Contents
お持ちの物件で旅館業の許可を得るための27のチェックリスト!
ご自身の物件が旅館業取得可能物件なのかどうか、即時に判断出来るようチェックリストを作りました!
この条件がクリアされている物件であれば、旅館業取得できる可能性が高い物件となります。
構造設備等基準を含まない大枠なものではありますが、
物件を仕入れる際や、お持ちの物件が旅館業取得できるかどうかの第一段階として判断したい場合に活用して頂ければ幸いです!
ページ最終部にはPDFも置いておきますのでお気軽に利用いただければと思います!
尚、旅館業取得が難しい物件を避ける為、以下の流れでスクリーニングをかけていくと良いです。
- 旅館営業不可能な地域である
NO ↓ - 検査済証が無い
NO ↓ - 違法建築物ではないが、既存不適格建築物である
NO ↓ - 玄関帳場設置が不可能である
NO ↓ - 水回り設備が不適切である
NO ↓ - 面積要件をクリアできない
NO ↓ - 旅館業の取得ができる可能性が高い物件
それでは、細かい各項目についてみてまいりましょう。
【土地】
1.旅館業営業可能な地域か
まず基本的なところから。
土地の用途地域を確認します。
全国全ての土地には、その土地土地で使用できる用途や利用目的が決まっております。
※無指定の土地もございます。
そこで、まずは用途地域分類を確認します。
用途地域には12種類あり、以下の6種類が旅館業取得可能な用途の土地となります。
[aside type=”boader”]旅館業取得可能な用途地域
- 第1種住居地域
- 第2種住居地域
- 準住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
[/aside]
その他の用途地域となる、
第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域・工業地域・工業専用地域
では旅館業用途としてその土地を使用することはできません。
2.条例・市街化調整区域・地区計画・建築協定に規定はないか
次にその土地や地域の規定を確認していきます。
土地概要書などに記載がある場合は、その他の制限等
という項目を見ていきます。ここに何かしらの記載がある場合は、
建築の際に都や県に届け出が必要になったり、建築物に制限がかかることがあります。
中でも多いのが、自然公園法の適用地域です。
この自然公園法の記載がある土地は都や県によりますが、
建蔽率:20%以下/容積率:40%以下
(通常の土地の20%しか使用できない)などの制限がかかってきたりするケースもあるので、
土地代が非常に高くつきますので、確認が必須となります。
他には、条例で
一定規模の敷地面積を有した建設物しか立てられない
(台風地域や観光地などで)色や素材・仕様に制限がある
などの記載があることもあります。
土地から仕入れて、新築を建てられる方。
既存物件の用途変更を行おうとされる方、概要書面の確認は必須です。
土地の確認は以上となり、次に建物についてです。
既存物件のリノベーションの際や、新築建設の際にご参考くださいませ。
【建物】
3.既定の建ぺい・容積率を超過していないか
既存物件(住宅や寄宿舎など)を旅館・ホテルに用途変更される場合は、
改めて、検査確認済書をもとに、該当する不動産が国が物件の竣工時に確認した通りに建っているか
過去の建築基準には合っており(完了検査済取得)、当時から変わらず、現在も同様に基準を満たしている物件であるか。
※その後認可の降りていない増改築をしていないか。
の確認が入ります。
こちらは建物の持ち主に確認を入れるのと、必ず検査済書を共有受けましょう。
4.接道義務を満たしているか
幅印4m以上の道路に2m以上面しているか。改変されていないか。
5.建築確認申請のされていない増改築はないか
上記3番同様に、屋上や空き地などにも増改築がないか、ある場合解体する必要はあるか、なども確認しましょう。
【地区特例の確認】管轄地区の保健所確認
6.上乗せ条例は無いか
例えば、改正旅館業法では無人施設(スタッフ常駐無し)を認めていますが、
上書きして特定の県・区では上乗せ条例として、スタッフ常駐を義務付けている地区もあります。(有名どころでは京都市)
また、ICT機器(タブレットを使ったTV電話でのチェックイン)なども浸透していない地区もありますので、前もって確認しておきましょう。
7.水回り設備(浴室・便所・洗面)の数の特例はないか
1施設宿泊人数5名あたり、1つのトイレを追加する、などの特例を置いている地区もあります。
既存物件のリノベーションや新築物件でも水回りの増設は金額がかさむポイントです。
前もって確認しておきましょう。
【施設内】客室面積
8.客室延べ床面積は3.3㎡に宿泊者の数を乗じる面積以上確保できるか
最低限確保必要な延べ床面積です。
カプセルホテルなどを作らない限り大丈夫だとは思いますが、収容人数には気をつけましょう。
9.寝室面積はベッドの場合9㎡以上、布団の場合7㎡以上確保できるか
上記同様です。
消防・構造(3階建て以上・延床面積200㎡以上の場合)
10.建物が耐火建築物である
こちらは建築基準法の要件ではありますが、建物を確認しましょう。
2階建・延べ床面積200平米未満の小ぶりな一戸建てなどの場合は、
耐火建築物にする必要はありませんが、
平成30年の改正建築基準法(令和元年6月25日施行)で、
- 就寝利用する建築物の場合は、警報設備の設置
- 就寝利用する建築物や自力避難困難者が利用する建築物の場合は、竪穴部分への間仕切壁・戸(竪穴区画)の設置
と、自動火災報知器の設置が義務付けられたり、構造上全焼しにくいように間仕切りを求められるケースがあります。
11.界壁・間仕切壁
界壁、仕切りは準耐火構造とし、そのまま小屋根裏か天井まで達していることが必須条件です。
12.居室から直通階段までの距離
- 主要構造部が準耐火構造又は不燃材料の場合、50m以下
- その他の場合、30m以下
13.廊下の幅・屋内階段
居室の床面積の合計が200㎡を超える場合、
中廊下1.6m以上、片廊下1.2m以上、屋内階段幅120cm以上、けあげ20cm以下、路面24cm以上とする。
避難経路の確保ですね。
14.2つ以上の直通階段設置
- 主要構造部が準耐火構造又は不燃材料の場合、宿泊室の床面積の合計が200㎡超の階
- その他の場合は、宿泊室の床面積の合計が100㎡超の階
15.避難階段の設置
5階以上の建物の場合、必須となります。
16.排煙設備の設置
延べ面積500㎡超の場合、必須となります。
17.非常用照明装置の設置
- 居室
- 避難経路
に設置が必要となります。
ただ、国土交通省からの2018年3月29日の改正で
ホテルなどの1部屋あたりの30平米以下の小規模な部屋で廊下に非常用照明があれば、宿泊施設の各部屋に備える非常用照明器具に関しては、設置を不要と改定がありました。
画像引用元:国土交通省HP
18.内装制限
- 居室及び避難経路の内装仕上げを難燃材料等とする
(1) 耐火建築物の場合 → 3階以上の床面積※が300㎡以上
(2) 準耐火建築物の場合 → 2階の床面積※が300㎡以上
(3) その他の場合 → 床面積※が200㎡以上
※ 100㎡以内毎に防火区画されている場合は対象外。 - 火気使用室の内装仕上げを準不燃材料とする
19.長屋でない
長屋では棟全体が防火対象物と扱われるため、
自分の所有部屋のみでなく、長屋全体に消防設備設置義務が発生します。
消防・設備 (必要備品)
20.自動火災報知設備
各居室に1つ設置が必要です。
21.誘導灯
緑色の人が逃げるマークの電飾掲示ですね。
細かい規定がありますので下記ご参照ください。
3 避難口誘導灯及び通路誘導灯は、各階ごとに、次の各号に定めるところにより、設置しなければならない。
一 避難口誘導灯は、次のイからニまでに掲げる避難口の上部又はその直近の避難上有効な箇所に設けること。
イ 屋内から直接地上へ通ずる出入口(附室が設けられている場合にあつては、当該附室の出入口)
ロ 直通階段の出入口(附室が設けられている場合にあつては、当該附室の出入口)
ハ イ又はロに掲げる避難口に通ずる廊下又は通路に通ずる出入口(室内の各部分から容易に避難することができるものとして消防庁長官が定める居室の出入口を除く。)
ニ イ又はロに掲げる避難口に通ずる廊下又は通路に設ける防火戸で直接手で開くことができるもの(くぐり戸付きの防火シャッターを含む。)がある場所(自動火災報知設備の感知器の作動と連動して閉鎖する防火戸に誘導標識が設けられ、かつ、当該誘導標識を識別することができる照度が確保されるように非常用の照明装置が設けられている場合を除く。)二 通路誘導灯は、廊下又は通路のうち次のイからハまでに掲げる箇所に設けること。
イ 曲り角
ロ 前号イ及びロに掲げる避難口に設置される避難口誘導灯の有効範囲内の箇所
ハ イ及びロのほか、廊下又は通路の各部分(避難口誘導灯の有効範囲内の部分を除く。)を通路誘導灯の有効範囲内に包含するために必要な箇所
玄関先などに必要だと覚えていれば大丈夫です。
22.11階以上の場合はスプリンクラー設置
居室1室が11階以上にある場合も、該当居室に設置が必要です。
※ スプリンクラー設備の設置について補足
10階以下の各部分を区画することにより、次の階を除く10階以下の階を免除
- 住戸利用施設の床面積の合計が3,000㎡以上となる防火対象物の階のうち、当該部分が存する階
- 住戸利用施設が1,000㎡以上存する地階・無窓階及び1,500㎡以上存する4階以上10階以下の階
23.消火器
原則消火器は各階(各居室)ごとに設置が必要です。
24.防炎物品の使用
カーテンやじゅうたんは防炎仕様が必須です。
部屋に設置するFFE(家具家電・消耗品)で用意するもののなかで
燃えやすいものが無いか確認しましょう。
竣工後の消防適合通知書を頂く際にチェックが入ります。
25.防火管理者の選任
30名以上の施設につき1人選任が必要です。
記載では、現地に駆けつけることができる人間を選任するというような内容ではあります。
防火管理者としての資格は、2日間の講習を受講すれば誰でも取得できます。
26.消防用設備等の点検報告
点検が年2回 報告が年1回必要です。
27.必要書類:検査済証はあるか
住居→ホテルへの用途変更の際に必須となります。
無ければ再取得が必要となり、3番記載の検査済書通り建設だと証明ができるかどうか。
まとめ
旅館業取得物件かどうかのフローチャート
- 旅館営業不可能な地域である
NO ↓ - 検査済証が無い
NO ↓ - 違法建築物ではないが、既存不適格建築物である
NO ↓ - 玄関帳場設置が不可能である
NO ↓ - 水回り設備が不適切である
NO ↓ - 面積要件をクリアできない
NO ↓ - 旅館業取得可能性が高い物件
以上27つのチェックポイントをご紹介してまいりました!
添付にPDFを置いておきますので、
お手元にもって、役所や不動産会社に確認に行きたい方などにもお使い頂ければ幸いです。