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自宅に消防の整えるべき設備・管理体制は!?消防法令適合通知書ってなに!?
住宅宿泊事業法(以下、民泊新法)での申請を役所で進めると同時平行で進めなくてはならないのが消防庁への『消防法令適合通知書』の取得申請。
これは民泊新法の届け出をする際に、民泊施設と言えど、
ホテル・旅館並みの消防設備が必須とされており、この設備要件をきちんと守っている施設の証明としての書類が、『消防法令適合通知書』です。
ほとんどの施設でこの『消防法令適合通知書』が無いと民泊新法の許可が下りません。
今回はこの【消防】の観点から、ご自宅を民泊施設として申請する際に必要となる設備・条件をまとめてみます!
- あなたの施設に必要な消防の要件は?
- 消防法令適合通知書取得の為の必要設備は?
- 防火管理者の選任が必要なケースは?
- 免除などの特例はあるの?
- 最後に、消防法令適合通知書発行までの流れ
あなたの施設に必要な消防の要件は?住宅別の必要消防設備対照表
▼民泊施設に必要な消防設備・管理体制がわかる表がコチラ。
不特定多数の人が出入りする民泊を含む宿泊施設では、
一般の住宅よりも防火に対する設備・管理はホテル・旅館並みの高度なものが要求されます。
細かい条例番号まで覚えなくても良いのですが、
上の消防法施工令別表第1によると、真ん中の列、『宿泊施設(5)項のイ』という
旅館・ホテル・宿泊所はこの防火対象物に該当すると明記されております。
また民泊施設も同様に、この(5)項のイに該当する項目の設備・管理体制が必要とされます。
後に記載しますが、例外もあり、
家主居住型で、宿泊室の床面積の合計が50㎡以下になるときは、通常の住宅(5)項のロとして取り扱いますので、通常住居の設備で認定を受けることができます。
引用元:消防法施行令別表第1
それぞれ必要な設備・管理体制について一つずつみていきましょう。
消防法令適合通知書取得の為の必要設備は?
自動火災報知設備
必要です。
無線で自動的に消防庁等に信号が飛ぶタイプが望ましいとされますが、
2階建て以下の建物の場合、簡易的なものでも要件を満せるケースが多いです。
※煙を感知して音が鳴るこのタイプですね。一棟もので複数部屋がある場合はそれぞれが連動して警報が鳴るタイプのものを採用してください。
必要設置数ですが、
基本的に各部屋(寝室・リビング等)ごとに一つ必要となり、
ドアや鍵などで密閉される空間(押し入れや棚も鍵付きであれば対象)があればその空間へもひとつ必要となります。
非常用照明設備
必要です。
災害時などに停電した際に、
人々を速やかに避難できるように居室に設けるバッテリー等で点灯する照明装置です。
シンプルなタイプでコスパが良いのはよくホテルの客室玄関などにある、このようなタイプが一般的ですね。
本タイプだと低コストで乾電池付きですぐ使えます。
誘導灯
基本的に必要です。
ただし一部、
- 床面積の合計が防火対象物の延べ面積の10分の1以下(小規模特定用途複合防火対象物の認定)
- 居室の各部分から避難口を容易に見通し、識別できる
場合免除されるなどの施設ごとに特例もあります。
このあたりは現場管轄の消防庁と相談となりますのでヒアリングしてみてください。
旅館業での宿泊免許取得の場合は、誘導灯は必須の項目となります。
誘導灯はネットでも購入できます。
スプリンクラー設備
下記に該当する大型施設の一部のケースで必要となります。
- マンションタイプの場合は、11階以上で設置
- 施設全体の延べ床面積が6,000㎡の場合は設置
①のマンションタイプの場合、ですが
例えばマンションの11階以上の1室で転貸物件が1室出ていたからといって、
民泊運営をする場合、自己所有だったとしても、
マンション全体(各階)に適合させる必要があるので、
事前に消防庁相談の上、
設置の指摘を受けた場合、金額面で相当難易度が高い項目となります。
マンションの11階以上の部屋で運営を検討されている場合は、よくよく確認しましょう。
消火器
民泊施設運営の場合、下記に該当する一部のケースで必要です。
- 延べ面積150㎡以上のもの
- 地階・無窓階・3階以上の階で 床面積が50㎡以上のもの
一戸建て貸し切りタイプの家主非居住タイプの宿泊施設では設置を義務付けられる場合もあります。
旅館業での宿泊免許取得の場合は、こちらは必須の項目となります。
防炎物品の使用
必要です。
民泊部分のカーテン、じゅうたんは防炎物品とすることが必要です。
細かいところでいうと、玄関マット、リビングのテーブルマットやキッチンマットも対象となりますので、
値段が多少上がり、デザインが限られてくるのですが、防炎仕様のものを選択しましょう。
消防用設備等の点検報告
設備の設置と合わせて、上記の設備がきちんと作動するかどうかの点検が必要です。
点検が年2回・報告が年1回。
専門業者に依頼する形で行います。
費用感としては、300㎡未満/室の施設の場合は、点検・報告のフルパッケージで1万~2万円のところが多いです。
防火管理者の選任が必要なケース
下記に該当する一部のケースで必要です。
- 収容人数が施設全体で30名を超える場合
は、選任の防火管理者が必要となります。
防火管理者になる為には、防火管理講習の受講が必要です。
詳細:東京消防庁・防火管理講習(http://www.tfd.metro.tokyo.jp/sk/kousyu.html)
東京消防庁火災予防(防火管理)コールセンターへ
電話: 03-3253-0119
受付 月曜日から金曜日まで 午前9時から午後5時まで
申込される場合ですが、日本防火防災協会が主催する「甲種防火管理者・講習会」
※こちらの協会が主催する講習会は、全国の建物に対して有効です。
講習は2日間にわたり行われ、2日目の最後に修了証が受けられます(申請可能となる)
申し込み状況は変化し、講習会ごとに事務担当協会は変わりますのでいずれも主催する事務担当協会への問い合わせ・確認は必要です。
申込(FAX送付)にあたっては、証明写真・受講料の振込が必要です。
日本防火防災協会:防火・防災管理講習
http://www.boukan.jp/lec_info/index.php
日本防火防災協会講習会日程一覧
http://www.boukan.jp/lec_info/info_frame.php
日本防火防災協会:申込方法
役割としては、
防火管理者の役割
- 消防計画の作成
- 消火、通報及び避難訓練の実施
- 消防用設備等の点検及び整備
- 火気の使用又は取扱いに関する監督
- 避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理
- 収容人員の管理
と難しそうな用語が並びますが、2日間の講習にて一通り学ぶことが出来ますのでご安心ください。
特例(上記の消防設備が免除されるケース)
引用:総務省消防庁 資料4-5
- 住宅部分の一部(民泊部分が建物全体の半分未満で50㎡以下である)、
- かつ人を宿泊させる間、当該住戸に家主が不在とならない場合、
家主居住型で住居の半分以下を貸し出す場合は
建物全体が一般住宅として取り扱われる為、消防用設備等の設置は不要です。
その代わり、ゲスト滞在期間中は管理者が室内にいる必要があります。
消防法令適合通知書発行までの流れ
簡略化すると、
①消防法令適合通知書の交付申請
管轄する消防庁へ出向いて申請します。
※事前に防火管理者資格の取得など、必要なものはそろえておきましょう。
②消防法令適合状況の現地調査
物件竣工し、FFE(家具家電)納品後、消防庁と日程を合わせ、物件現地で調査を行います。
設備条件や、ゲストの動線が確保出来ているかどうかなどが現地で確認されます。
③消防法令適合通知書の交付
②の現地調査で特に指摘が無ければ、最短で1~2週間ほどで消防庁より交付されます。
まとめ
- あなたの施設に必要な消防の要件は?
- 消防法令適合通知書取得の為の必要設備は?
- 防火管理者の選任が必要なケースは?
- 免除などの特例はあるの?
- 最後に、消防法令適合通知書発行までの流れ
今回は、民泊施設運営に必要な消防適合通知書の取得についてご紹介させて頂きました。
ご参考になれば幸いです!