編集:民泊学校 編集部|公開日:2026年6月24日|最終更新日:2026年6月24日

中古の分譲マンションを1室取得して、民泊(住宅宿泊事業)や賃貸で運用しようとするとき、利回りの計算に入れ忘れがちなのが「修繕積立金」です。マンションは十数年ごとに大規模修繕が必要で、その費用は区分所有者みんなで積み立てた修繕積立金でまかないます。けれども、この積み立てが計画より不足していると、大規模修繕のときに「一時金の徴収」「積立金の値上げ」「借入」が起こり、取得後のキャッシュフローを直撃します。管理規約で民泊ができるかどうか(可否)とは別に、その管理組合の「お台所事情(財政)」を取得前に調べることが大切です。この記事は、中古区分マンションを取得・契約する前のデューデリジェンス(調査)のうち、修繕積立金・長期修繕計画という財政面に絞って、国土交通省の公式情報をもとに整理します。民泊ができるかどうかの管理規約面は分譲マンションの管理規約と民泊可否の確認もあわせてご覧ください。

この記事でわかること

  • 管理規約とは別に確認すべき「修繕積立金」の財政デューデリ
  • 修繕積立金とは何か(大規模修繕に備える共有のお金)
  • 積立額の目安(国土交通省ガイドライン・円/㎡・月)
  • 段階増額方式の落とし穴(初期0.6倍・最終1.1倍の考え方)
  • 長期修繕計画の確認ポイント(30年・大規模修繕2回)
  • 取得前に読む「重要事項調査報告書」(残高・滞納・履歴)
  • 積立不足のリスク(一時金・値上げ・借入)と収支への織り込み
minpaku-shuzen-tsumitate-zaisei-dd-2026 Step1 積立を確認

中古マンションを民泊・賃貸に——「修繕積立金」の財政デューデリ

中古区分マンションの取得では、多くの人が「価格」「立地」「管理規約で民泊ができるか」を見ます。けれども、もう一つ、取得後の収支を左右するのに見落とされがちなのが、その管理組合の財政、とりわけ修繕積立金の状況です。マンションは、外壁・屋上防水・配管・エレベーターなどを十数年ごとに大規模修繕する必要があり、その費用は区分所有者が毎月積み立てる修繕積立金でまかなうのが基本です。

取得前のデューデリジェンスでこの視点が大切なのは、「修繕積立金が計画どおりに積み立てられているか」「将来、一時金や値上げが見込まれていないか」が、取得後のランニングコストと収支計画に直結するからです。安く見えた物件でも、積立不足で近い将来に大きな一時金を求められたり、毎月の積立金が大幅に値上げされたりすれば、想定した利回りは崩れます。民泊・賃貸として運用するなら、表面的な利回りだけでなく、この財政リスクを織り込んで判断する必要があります。以下、積立金の仕組み・目安・確認方法・リスクの順に見ていきます。

住宅:マンション管理|国土交通省
(2026-06-24取得)

長期修繕計画・修繕積立金・標準管理規約・管理計画認定制度など、マンション管理に関する各種ガイドラインへの公式索引。修繕積立金や長期修繕計画の考え方の出発点となる所管官庁の一次情報。

はじめ君

はじめ君

管理規約で民泊OKなら、もう買って進めていいですよね?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

民泊ができるか(規約)と、管理組合の財政が健全か(修繕積立金)は別の問題です。積立が不足していると、将来の大規模修繕で一時金や値上げが来て収支が崩れることがあります。可否と財政の両方を取得前に確認しましょう。

修繕積立金とは——大規模修繕に備える共有のお金

修繕積立金は、将来の計画的な大規模修繕などに備えて、区分所有者が毎月積み立てる共有のお金です。毎月の管理費が、清掃・点検・管理員人件費など「日常の管理」に充てられるのに対し、修繕積立金は「数年〜十数年に一度の大きな工事」に充てられます。国土交通省のマンション標準管理規約(第28条)でも、修繕積立金は計画的な修繕、不測の事故などによる修繕、共用部分の変更といった「特別の管理に要する経費」に充てる場合に限って取り崩せるものとされ、管理費とは区分して経理するのが原則です。なお、標準管理規約はあくまで国が示すモデル(令和7年・2025年10月改正版を含む)で、条番号や細部は版によって異なることがあります。実際の取扱いは、対象マンションの管理規約そのもので確認してください。

つまり、修繕積立金は「将来の工事のために、いま少しずつ貯めているお金」です。これが十分に貯まっていれば、大規模修繕のときに追加負担なく工事ができます。逆に、貯まりが足りなければ、その不足を取得後の所有者も含めて、みんなで負担することになります。だからこそ、取得前にこの「貯まり具合」を確認することが大切なのです。

マンション標準管理規約及び同コメント|国土交通省
(2026-06-24取得)

修繕積立金(第28条)・管理費等(第25条)・使用料(第29条)の標準的な定めを示す国土交通省のモデル規約。修繕積立金が計画修繕・不測の事故・共用部分の変更等の特別の管理に充てる場合に限り取り崩せること、管理費と区分経理することの根拠。

はじめ君

はじめ君

修繕積立金って、毎月の管理費とは違うんですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

違います。管理費は清掃や点検など日常の管理に、修繕積立金は十数年に一度の大規模修繕に充てるお金です。標準管理規約でも、修繕積立金は計画修繕などの特別の管理に限って取り崩せるとされ、管理費と区分して積み立てます。

積立額の目安——国土交通省ガイドライン

「その積立金の額が、多いのか少ないのか」を判断する手がかりになるのが、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年・2024年6月改定)です。このガイドラインは、専有面積あたり1か月いくら(円/㎡・月)という形で、修繕積立金の額の目安を、建物の規模・階数の区分ごとに、平均値と、「事例の3分の2が包含される幅」であわせて示しています。具体的な目安は次のとおりです(いずれも機械式駐車場分を除く専有面積あたりの月額)。

建物の区分 目安の幅(円/㎡・月) 平均値
地上20階未満・延床5,000㎡未満 235〜430円 335円
地上20階未満・5,000〜10,000㎡未満 170〜320円 252円
地上20階未満・10,000〜20,000㎡未満 200〜330円 271円
地上20階未満・20,000㎡以上 190〜325円 255円
地上20階以上 240〜410円 338円

つまり、規模や階数によって幅があり、全体ではおおむね1㎡あたり月170〜430円程度、平均値で見ても250〜340円程度が示されています。「200〜300円台ならどこも同じ」ではなく、超高層や小規模なマンションでは目安が高めになるなど、区分によって水準が違う点に注意してください。

まず自分の検討している物件がどの区分に当たるかを見て、その区分の目安と照らすことが大切です。取得を検討している住戸の修繕積立金が、当てはまる区分の目安と比べて極端に低い場合は、注意が必要です。月々の負担が軽く見えても、その裏で積み立てが不足していて、将来の大規模修繕のときに一時金や値上げで一気に負担が来る可能性があるからです。逆に、目安どおりかやや高めにきちんと積み立てている管理組合は、財政が健全な傾向があります。専有面積あたりの月額を計算し、ガイドラインの目安と照らしてみることが、取得前の有効なチェックになります。なお、目安の具体的な数値は改定されることがあるため、最新版を国土交通省の公式情報で確認してください。

minpaku-shuzen-tsumitate-zaisei-dd-2026 Step2 計画を確認
マンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和6年6月改定)|国土交通省
(2026-06-24取得)

修繕積立金の額の目安を、建物の延床面積・階数別に「円/㎡・月」の平均値と幅で示すガイドライン(平成23年4月策定・令和6年6月改定)。機械式駐車場がある場合の加算の考え方も示す。取得住戸の積立金が目安と比べて多いか少ないかを判断する基準。

はじめ君

はじめ君

積立金が多いか少ないか、どう判断すればいいですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

国土交通省のガイドライン(令和6年6月改定)が、専有面積あたり月額(円/㎡・月)で目安を示しています。住戸の積立金を専有面積で割り、目安と比べてください。極端に低い場合は、将来の一時金・値上げのサインかもしれません。

段階増額方式の落とし穴——初期0.6倍・最終1.1倍の考え方

修繕積立金の積み立て方には、ずっと同じ額を積む「均等積立方式」と、はじめは安く、後から段階的に上げていく「段階増額積立方式」があります。新築時の販売では、毎月の負担を軽く見せるために段階増額方式が採られていることが多く、その場合、将来にわたって積立金が大きく値上がりしていく前提になっています。

ここで問題になるのが、「予定どおりに値上げできず、積立金が不足する」ケースです。段階増額方式では、後年の大幅な値上げに区分所有者の合意が得られず、計画どおりに上げられないことがあります。そこで国土交通省は、令和6年(2024年)6月の改定で、段階増額方式における「適切な引上げの考え方」を新たに示しました。具体的には、均等積立方式とした場合の月額を「基準額」として、計画の初期額は基準額の0.6倍以上、最終額は基準額の1.1倍以内に収めることが望ましい、という考え方です。

取得前のデューデリジェンスでは、その住戸が段階増額方式かどうか、そして将来どこまで値上がりする計画かを確認するとよいでしょう。初期の積立金が極端に安く、後年に大幅な値上げが予定されている(この0.6倍・1.1倍の目安を大きく外れている)場合は、計画どおりに値上げできず積立不足に陥るリスクのサインと考えられます。「いまの積立金が安いから家計に優しい」ではなく、将来いくらまで上がる前提かまで見ることが大切です。

「長期修繕計画作成ガイドライン」及び「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の改定について(令和6年6月7日)|国土交通省
(2026-06-24取得)

令和6年6月7日付の国土交通省の公式発表。段階増額積立方式における「適切な引上げの考え方」(初期額は基準額の0.6倍以上、最終額は1.1倍以内)が新たに示された背景に、計画どおり値上げできず積立金が不足するおそれがあることを明記。

はじめ君

はじめ君

いまの積立金が安いマンションは、家計に優しくていいですよね?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

はじめ安く後で上げる『段階増額方式』だと、将来の大幅な値上げが前提になっていることがあります。国は初期額を基準額の0.6倍以上・最終額を1.1倍以内とする考え方を示しています。将来いくらまで上がる計画かを確認しましょう。

長期修繕計画——30年・大規模修繕2回

修繕積立金が「足りているか」を判断するうえで、セットで見たいのが「長期修繕計画」です。長期修繕計画は、将来どの時期に・どの部分を・いくらかけて修繕するかを見通した計画で、これにもとづいて毎月の積立金の額が決まります。国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」(令和6年6月改定)では、計画期間は「30年以上、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上」とすることが示されています。

取得前に確認したいのは、その管理組合が長期修繕計画を作っているか、そして定期的に見直しているかです。長期修繕計画がない、あるいは何年も更新されていない管理組合は、将来の修繕費の見通しがあいまいで、積立金が実態に合っていないおそれがあります。大規模修繕の周期は、部材や仕様によって異なりますが、外壁や防水などでおおむね十数年に一度が目安とされます。直近の大規模修繕がいつ行われ、次がいつ予定されているかも、取得後すぐに大きな工事・負担が来ないかを見るうえで重要です。

長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント(令和6年6月改定)|国土交通省
(2026-06-24取得)

長期修繕計画の計画期間を「30年以上かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上」とすること、推定修繕工事項目・修繕周期・収支計画の標準様式を示すガイドライン(平成20年6月策定・令和6年6月改定)。長期修繕計画の有無・内容を確認する基準。

はじめ君

はじめ君

長期修繕計画は、何を見ればいいですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

計画の有無と直近の見直し時期、大規模修繕の履歴を見ます。国のガイドラインでは計画期間は30年以上・大規模修繕2回以上が目安です。計画がない、長く更新されていない場合は、修繕費の見通しがあいまいなサインと考えられます。

取得前に読む「重要事項調査報告書」——残高・滞納・履歴

では、これらの財政状況を、取得前にどうやって調べるのでしょうか。中古区分マンションの取得では、管理会社が作成する「管理に係る重要事項調査報告書」という書類が、財政デューデリの一次資料になります。これは、管理組合(実務は管理会社)が、その住戸・マンションの管理状況をまとめた報告書で、仲介を通じて取得する際に取り寄せて確認するのが一般的です。

重要事項調査報告書は、取得を検討している住戸の管理会社に、仲介業者を通じて発行を依頼するのが一般的です(発行に手数料がかかることがあります)。取得を決めてから慌てて取り寄せるのではなく、契約・申込みの前の検討段階で取り寄せて、財政状況を確認しておくのが理想です。報告書では、特に次の点を確認します。①修繕積立金の残高(管理組合全体としていくら貯まっているか)、②修繕積立金・管理費の滞納額(その住戸の前所有者や、ほかの住戸の滞納がないか)、③長期修繕計画の有無と直近の見直し時期、④大規模修繕の実施履歴、⑤管理組合の借入金の有無です。とくに滞納は要注意で、前所有者が修繕積立金を滞納していると、その滞納分は取得した人(買主)が引き継いで支払わなければならないことがあります(管理費等の滞納は、区分所有法上、特定承継人=買主に対しても請求できるとされています)。前所有者本人にも支払義務は残りますが、管理組合は買主にも請求できるため、実務上は買主が負担を求められる前提で備えるのが安全です。取得前に、誰がいくら滞納しているかを確認し、滞納分の処理(決済時の精算や売主負担の取り決め)を、価格交渉・契約の段階で必ず取り決めておきましょう。

minpaku-shuzen-tsumitate-zaisei-dd-2026 Step3 リスク判断
管理に係る重要事項調査報告書 作成に関するガイドライン・標準様式(マンション管理業協会)
(2026-06-24取得)

取得前の財政デューデリの実物となる「重要事項調査報告書」の標準様式と作成ガイドライン。修繕積立金残高・滞納額・長期修繕計画・大規模修繕履歴・借入金などの記載項目を示す、業界団体の標準資料。記載内容の確認に用いる。

はじめ君

はじめ君

財政の状況は、取得前にどうやって調べるんですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

管理会社が作る『重要事項調査報告書』を、仲介を通じて取り寄せて確認します。修繕積立金の残高・滞納・長期修繕計画・大規模修繕履歴・借入が載っています。とくに前所有者の滞納が買主に承継されないかに注意してください。

積立不足のリスクと、収支への織り込み

修繕積立金が、ガイドラインの目安や0.6倍・1.1倍の考え方を大きく下回っていたり、長期修繕計画が30年・2回の要件を満たさず長く更新されていなかったりする場合、大規模修繕のときに次のいずれかが起こりうると見込んでおくべきです。①一時金の徴収(数十万円〜の臨時負担)、②修繕積立金の値上げ(毎月の負担増)、③管理組合による借入(住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資など)です。区分所有者は持分割合に応じてこれらを負担するため、取得後のキャッシュフローを直接圧迫します。

だからこそ、民泊・賃貸として運用する収支計画には、現在の修繕積立金だけでなく、将来の値上げ・一時金の可能性まで織り込むことが大切です。表面利回りだけで判断すると、こうした将来負担が抜け落ちて、実際の手残りが見込みより小さくなりがちです。取得を検討する段階で、収支を試算し、修繕積立金の増額シナリオも置いて考えておくと、無理のない投資判断につながります。

一時金や値上げの規模感は、マンションの規模や工事内容によって大きく異なりますが、大規模修繕に向けて積立が不足している管理組合では、一住戸あたり数十万円規模の一時金が求められたり、毎月の積立金が数千円から、場合によっては倍近くに引き上げられたりすることもあります。とくに、築年数が経過していて、近いうちに2回目・3回目の大規模修繕を控えているマンションでは、こうした負担が現実味を帯びます。取得を検討している物件が「いつ建てられ、これまで何回大規模修繕をしてきて、次がいつか」を押さえておくと、取得直後に大きな負担が来るかどうかを見通しやすくなります。古くて安い区分マンションほど、修繕の山が近いことがあるという視点を持っておきましょう。

はじめ君

はじめ君

積立金が足りないと、買った後どうなりますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

大規模修繕のときに、一時金の徴収・積立金の値上げ・管理組合の借入が起こりえます。区分所有者は持分に応じて負担するため、取得後のキャッシュフローを圧迫します。収支計画には、将来の値上げ・一時金まで織り込んでおきましょう。

民泊の収支を試算してみる

家賃・稼働率・経費から手残りをシミュレーション。修繕積立金の値上げシナリオも織り込んで考えましょう。

収支シミュレーターを使う

専門家への確認と、財政の見極め

修繕積立金や長期修繕計画の評価は、数字の読み取りと、マンション管理の知識が必要な領域です。重要事項調査報告書を取り寄せたら、その内容(積立金残高・滞納・長期修繕計画・大規模修繕履歴・借入)を、仲介の宅地建物取引士や、マンション管理士などの専門家と一緒に確認するのが確実です。とくに滞納の承継や、将来の値上げ・一時金の見通しは、取得後の負担に直結するため、取得前に専門家の目を通しておくことをおすすめします。

あわせて、可能であれば管理組合の総会議事録にも目を通しておくとよいでしょう。議事録には、修繕積立金の値上げや一時金が議題に上がっているか、大規模修繕に向けてどんな議論がされているか、滞納や管理上のトラブルがないかといった、報告書の数字だけではわからない「管理組合の生の状態」が表れます。値上げ案が何度も否決されている、修繕計画の見直しが先送りされている、といった様子が見えれば、財政が将来きしむサインかもしれません。数字(残高・滞納)と、運営の様子(議事録)の両面から見ることで、その管理組合の健全性をより立体的につかめます。

なお、国や自治体には、長期修繕計画や修繕積立金が一定の基準を満たす管理組合を認定する「管理計画認定制度」もあります(マンション管理適正化法にもとづく制度で、運用は自治体ごとに異なります)。認定の有無は、その管理組合の財政・管理が健全かどうかの一つの目安になります。管理規約で民泊ができるかどうか(区分所有マンションでの民泊の可否)とあわせて、財政面まで含めて見極めることで、取得後に「こんなはずではなかった」を避けやすくなります。物件選びの全体像は民泊の物件選び・不動産投資の基本もご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 管理規約で民泊ができれば、修繕積立金は気にしなくてよいですか?

いいえ。民泊ができるか(管理規約・可否)と、その管理組合の財政が健全か(修繕積立金・長期修繕計画)は別の問題です。民泊ができても、積立不足で将来の一時金・値上げがあれば収支は崩れます。「民泊OK」という一点だけで飛びつかず、可否と財政の両方を取得前に確認してください。とくに古くて安い物件ほど、修繕の山が近いことがある点に注意しましょう。

Q2. 修繕積立金が安い物件は、お得ですか?

毎月の負担は軽く見えますが、注意が必要です。積立金が国土交通省ガイドラインの目安より極端に低い場合、積み立てが不足していて、将来の大規模修繕で一時金や大幅な値上げが来る可能性があります。安さの理由が積立不足でないかを、取得前にしっかり確認しましょう。

Q3. 積立額の目安は、どれくらいですか?

国土交通省のガイドライン(令和6年6月改定)では、専有面積あたり月額(円/㎡・月)で目安が、建物の規模・階数の区分ごとに平均値と幅で示されています。全体ではおおむね1㎡あたり月170〜430円程度(平均値で250〜340円程度)で、たとえば地上20階未満・延床5,000㎡未満なら235〜430円(平均335円)、20階以上なら240〜410円(平均338円)が目安です。住戸の積立金を専有面積で割り、当てはまる区分の目安と照らしてください。数値は改定されることがあるため、必ず最新版のガイドラインで確認してください。

Q4. 段階増額方式とは何ですか?注意点は?

はじめは安く、後から段階的に積立金を上げていく方式です。新築販売で多く採られますが、後年の大幅な値上げに合意が得られず積立不足になることがあります。国は初期額を基準額の0.6倍以上・最終額を1.1倍以内とする考え方を示しています(これは望ましい目安であり、法的な義務ではありません)。将来いくらまで上がる計画かを確認してください。

Q5. 前の所有者が積立金を滞納していたら、どうなりますか?

管理費・修繕積立金の滞納は、取得した人(買主=特定承継人)に請求されうるとされています。つまり、前所有者の滞納分を引き継いで支払うことになりかねません。重要事項調査報告書で滞納の有無・金額を確認し、承継の扱いを仲介・専門家に確かめてください。

Q6. 長期修繕計画は、どう確認すればよいですか?

重要事項調査報告書で、長期修繕計画の有無と直近の見直し時期、大規模修繕の実施履歴を確認します。国のガイドラインでは計画期間は30年以上・大規模修繕2回以上とされます。計画がない・長く更新されていない場合は、修繕費の見通しがあいまいなサインと考えられます。

Q7. 修繕積立金のリスクは、収支にどう織り込めばよいですか?

現在の積立金だけでなく、将来の値上げや一時金の可能性まで費用に見込むのが安全です。表面利回りだけで判断すると将来負担が抜け落ちます。収支シミュレーターで、積立金が増額するシナリオも置いて手残りを試算し、余裕をもった計画にしておきましょう。

まとめ——「民泊の可否だけでなく、管理組合の財政まで取得前に見る」

中古区分マンションを取得して民泊・賃貸で運用する際は、管理規約で民泊ができるかどうかだけでなく、その管理組合の財政——とりわけ修繕積立金と長期修繕計画——を取得前に確認することが大切です。修繕積立金は大規模修繕に備える共有のお金で、国土交通省のガイドライン(令和6年6月改定)は専有面積あたりの目安額や、段階増額方式での適切な引上げ(初期0.6倍以上・最終1.1倍以内)の考え方を示しています。長期修繕計画は30年以上・大規模修繕2回以上が目安です。取得前には、管理会社が作る「重要事項調査報告書」で、修繕積立金の残高・滞納・長期修繕計画・大規模修繕履歴・借入を確認し、とくに前所有者の滞納が承継されないかに注意します。数字だけでなく、総会議事録などから管理組合の運営の様子も見ておくと、より立体的に健全性をつかめます。積立不足の場合、一時金・値上げ・借入が将来のキャッシュフローを圧迫するため、収支計画には将来負担まで織り込み、宅地建物取引士やマンション管理士などの専門家と一緒に確認したうえで、無理のない投資判断を行うことをおすすめします。「民泊ができる」だけで判断せず、管理組合の財政という土台まで見て、慎重に進めていきましょう。


⚠️ 本記事は2026-06-24時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊の制度は改正される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。

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本記事は 2026-06-24 時点で公開されている公式情報・一次情報をもとに編集しています。
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  • 制度・条例: 民泊制度ポータルサイト / 物件所在地の自治体(住宅宿泊事業 / 旅館業 / 特区民泊の所管課)
  • 消防: 物件所在地の所轄消防署
  • 税務: 顧問税理士 または 所轄税務署
  • 許認可・届出: 行政書士(民泊・旅館業に詳しい方)
  • 近隣対応・契約: 弁護士・宅地建物取引士

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民泊学校 編集部。運営者は2015年からAirbnbでの民泊運用に携わり、複数物件の運営経験をもとに、公式ソースの確認・専門家への確認導線・実務目線の3つを軸に記事を編集しています。