編集: 民泊学校 編集部 | 最終更新日: 2026-06-02

住宅宿泊事業(民泊新法)を始めようとしている方が最初に直面するのが、「上乗せ条例」の壁です。住宅宿泊事業法が認めた年間180日の営業日数を、自治体の条例がさらに絞り込めるという仕組みで、物件の所在地によっては実質的に年間数十日しか営業できないケースもあります。2026年時点では全国の多くの自治体が何らかの上乗せ条例を設けていますが、その内容は区域・日数・期間・曜日など多岐にわたり、かつ変わりうるものです。この記事では上乗せ条例の全体像と代表的な制限タイプを整理し、「自分の物件がどの制限を受けるか」を確認するための具体的な手順を解説します。各都市の詳細条例については、既存の専門記事へ内部リンクで案内しています。

この記事でわかること

  • 上乗せ条例とは何か——住宅宿泊事業法との関係と法的根拠
  • 区域制限・日数制限・期間制限・曜日制限の4タイプと違い
  • 東京23区・京都市・大阪市・沖縄・北海道など代表自治体の制限の”例”
  • 民泊制度ポータルを使って自分の物件の条例を調べる具体手順
  • 届出前に所管課に確認すべき4つのチェックポイント
  • 上乗せ条例で失敗しやすい3つのパターンと回避策
  • 可否診断・専門家相談への接続ガイド
minpaku-jorei-zenkoku-map-2026 Step1 制限を知る

Contents

結論:上乗せ条例は「物件の住所」で決まる。まず制度ポータルで確認する

結論から述べます。あなたの物件に適用される上乗せ条例は、物件の所在地(住所)だけで決まります。自分の希望や届出内容で選ぶことはできません。同じ市内でも「住居専用地域か否か」「学校周辺区域か否か」といった用途地域・地区の区分によって、適用される制限が変わるケースもあります。

確認の順序は次の通りです。

  1. 国土交通省 民泊制度ポータルの「自治体情報」ページで、物件所在地の自治体ページを開く
  2. 当該自治体の上乗せ条例の有無・内容を確認する
  3. 内容に不明点があれば、自治体の住宅宿泊事業担当窓口に直接問い合わせる
  4. 必要に応じて行政書士に届出代行・相談を依頼する

「調べればわかる」という印象を持たれるかもしれませんが、自治体によって条例の文言が複雑で、同じ自治体内で地区ごとに規制が異なる場合があります。確認を怠ると「届出は通ったが実質的に稼働できなかった」という事態になりかねないため、本文で詳しく手順を解説します。

国土交通省 民泊制度ポータルサイト(観光庁)
(2026-06-02取得)

住宅宿泊事業法に基づく届出窓口・自治体の上乗せ条例情報・関連法令へのリンクをまとめた公式ポータル。届出に必要な書類様式や問い合わせ先も掲載。

はじめ君

はじめ君

上乗せ条例って、全国どこでも同じルールではないんですか?住んでいる市のホームページを見ても、どこに書いてあるのかわかりません。
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

上乗せ条例は自治体ごとに異なり、内容も変わりえます。まず民泊制度ポータルの「関連法令・条例」ページを開き、物件の都道府県・市区町村を絞り込んで検索するのが最短ルートです。見つからない場合は自治体の担当窓口へ直接問い合わせてください。

上乗せ条例の仕組みと法的根拠——なぜ自治体が制限できるのか

住宅宿泊事業法(民泊新法)は2018年6月15日に施行された国の法律で、年間180日を上限として住宅を宿泊事業に使用することを認めています。しかし同法第18条は「都道府県は、住居の環境の維持、生活環境の保全のために必要と認めるときは、条例で住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができる」と定めています。

この条文が、いわゆる「上乗せ条例」の法的根拠です。「上乗せ」という言葉は、国の基準(180日)に対して自治体が上から厳しい条件を重ねるイメージから来ています。条例で制限できる内容は主に次の3つです。

  • 営業可能な期間・日数の制限(例:年間60日まで、冬季のみ不可など)
  • 営業可能な区域の制限(例:住居専用地域は全面禁止など)
  • 営業可能な時期・曜日の制限(例:土日祝のみ可、学校周辺は平日禁止など)

さらに政令指定都市・中核市などでは、都道府県が定める条例とは別に市が独自の条例を重ねることができる場合があり、二重の制限が課される構造になっているケースもあります。複数の条例が重なる場合は、より厳しい制限が優先されます。

上乗せ条例は施行後も新設・改正が続いており、2026年時点では観光地・住宅地を問わず多くの自治体が何らかの制限を設けています。ただし「全国で○○自治体が制限を設けている」という確定的な数は頻繁に変わるため、最終的な確認は必ず最新の公式情報で行ってください。

民泊制度ポータル 関連法令・条例(国土交通省)
(2026-06-02取得)

住宅宿泊事業法の条文・政省令・都道府県・市区町村の条例リンク集。自治体ごとの規制の有無を検索できる。

!注意

上乗せ条例は新設・改正が続いています。本記事の情報は2026年6月時点のものであり、最新の制限内容は必ず物件所在地の自治体窓口または民泊制度ポータルでご確認ください。

はじめ君

はじめ君

国が180日まで認めているのに、自治体がさらに減らせるんですか?法律より条例のほうが強いということ?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

住宅宿泊事業法第18条が自治体に「制限条例を作る権限」を明示しているため、合法的に国の上限より厳しい規制が設けられます。法律が「自治体が絞り込める」と認めた設計です。詳細は行政書士か自治体窓口にご確認いただくのが安心です。

上乗せ条例の4タイプ——区域・日数・期間・曜日の違いを整理する

上乗せ条例の制限は大きく4タイプに分類できます。自分の物件がどのタイプの制限を受けているかを理解することが、開業計画を立てる第一歩です。

タイプ 制限の概要 代表的な対象地域の例 開業への影響
区域制限 住居専用地域などの特定区域で営業を禁止またはまたは大幅制限する 住居専用地域のある市区(全国多数) 区域外物件への移転が必要な場合あり
日数制限 年間営業可能日数を180日未満に限定する 住居専用地域での制限が多い 収支計画の前提が大きく変わる
期間制限 特定の季節・月に営業を禁止する 観光混雑期を対象とした制限など 繁忙期に稼げない可能性あり
曜日・時間帯制限 学校周辺などで平日営業を禁止またはまたは土日祝のみ許可 学校・幼稚園周辺区域のある市区 平日の収益が得られない期間が生じる

タイプ1: 区域制限——用途地域と重なって複雑になりやすい

最も影響範囲が大きいのが区域制限です。住居専用地域(第一種・第二種)や、自治体が独自に設定した「民泊禁止区域」内の物件は、住宅宿泊事業の届出そのものができないケースがあります。用途地域については、都市計画法に基づく区域指定が前提となるため、物件の登記簿や市区町村の都市計画窓口で確認が必要です。

用途地域と上乗せ条例の関係は複雑で、「用途地域上は住居専用地域だが、条例で特定の期間だけ営業可」という例もあります。一律に「禁止」と思い込まず、条例の文言を正確に確認することが大切です。用途地域の確認手順については、用途地域と民泊可否の確認ガイドもあわせてご参照ください。

タイプ2: 日数制限——住居専用地域での「年間60日」が代表例

日数制限は最も多くの自治体で採用されているタイプです。国の上限180日に対して、住居専用地域の物件では年間60日程度に絞られる自治体が複数見られます。年間60日という制限は、週末のみ(土日)の営業に換算するとおおむね年52週×2日=104日の枠が上限180日なので、さらに絞られた形です。収支試算の段階で「稼働日数」を60日前提で計算しておく必要があります。

タイプ3: 期間制限——観光繁忙期・学校期間と連動するケース

特定の月や季節に限って営業を禁止するタイプです。「3月〜11月のみ営業可」「夏季のみ禁止」といった形があります。観光地では「観光混雑を緩和するため閑散期のみ民泊を認める」という逆の発想もあれば、「住民が不在になる繁忙期は特に近隣への影響が大きいため禁止」という設計もあります。自治体ごとに趣旨が異なるため、条例の目的説明文も合わせて読むと理解しやすいです。

タイプ4: 曜日・時間帯制限——学校周辺では「平日禁止」が代表例

学校・幼稚園・保育所から一定距離の区域では、「月曜正午〜金曜正午は営業禁止」「平日は宿泊者の受け付け禁止」というタイプの制限があります。これは「不特定多数の宿泊者が学校周辺を歩き回ることで子どもの安全に影響しうる」という懸念を根拠にしています。土日祝のみ営業可という縛りは、週間稼働率に直接影響するため、収益計画の前提として必ず織り込む必要があります。

はじめ君

はじめ君

物件が住居専用地域にあっても、土日だけなら民泊できるということですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

自治体や地区によっては「土日祝のみ」「年間60日以内」など条件付きで可能なケースがあります。ただし全ての住居専用地域で同じ条件とは限りません。物件の住所を持って自治体窓口で確認するのが最も確実です。

代表自治体の制限の”例”——東京23区・京都・大阪・沖縄・北海道

以下に示す内容は、2026年6月時点における代表的な自治体の上乗せ条例の概要例です。これらは制度の理解を助けるための参考情報であり、実際の制限内容は自治体ごとに異なり変わりうるものです。必ず最新の公式情報(民泊制度ポータルまたは各自治体窓口)でご確認ください。

minpaku-jorei-zenkoku-map-2026 Step2 所在地を確認

東京都・特別区(23区)の例

東京都は都道府県レベルで住宅宿泊事業法の上乗せ規制を設けており、各特別区も独自の条例を持つ場合があります。住居専用地域では、区によって「日数制限(年間○日以内)」または「曜日制限(月曜正午〜金曜正午は禁止)」が設定されているケースが見られます。また学校等の周辺区域では年間を通じた制限が設けられている区もあります。新宿区・渋谷区・世田谷区など、物件が多く集まるエリアほど条例の確認が重要です。

東京23区の条例の詳細は、東京23区の民泊条例まとめ(2026年版)をご参照ください。

京都市の例

京都市は住居専用地域での年間営業日数をおおむね年間60日程度(1月15日〜3月15日の期間のみ営業可という設計の条例が知られています)に制限しているとされてきました。観光地として世界的な知名度がある一方、住民の生活環境保護を重視した条例設計が特徴的です。ただし条例の具体的な計算方法や対象地区の詳細については、必ず京都市の所管課(住宅室住宅政策課)に最新情報を確認してください。

京都市の条例の詳細は、京都市の民泊条例まとめ(2026年版)をご参照ください。

大阪市の例

大阪市は、インバウンド観光地としての受け入れ拡大と住環境保護のバランスを取る形で条例を整えています。観光地・商業地域と住居専用地域では異なる制限が設けられており、エリアによっては年間180日フルで営業可能な地区もあれば、制限が課される地区もあります。難波・心斎橋周辺のような商業地域と、住宅地では規制感が大きく異なります。

大阪市の条例の詳細は、大阪市の民泊条例まとめ(2026年版)をご参照ください。

沖縄県・那覇市・宮古島などの例

沖縄県は離島・観光地が多く、住宅宿泊事業の届出件数も比較的多い地域です。2026年時点では、沖縄県全体として年間180日の制限そのものは住宅宿泊事業法に準じますが、市区町村ごとの条例・区域設定に注意が必要です。那覇市中心部と離島の市町村では、用途地域の設定状況が大きく異なります。離島の場合は用途地域が指定されていないエリア(都市計画区域外)もあるため、特有の確認が必要です。

北海道(札幌市・ニセコ町周辺)の例

北海道は広大なエリアを持つため、自治体ごとの差が大きい地域です。札幌市では住居専用地域での制限が設定されています。ニセコ周辺(倶知安町など)はスキーリゾートとして外国人需要が高いエリアですが、旅館業法との整理も含めて届出の形態を慎重に選ぶ必要があります。観光地だからといって無条件に制限が少ないわけではないため、所在地の市町村への確認が不可欠です。

i補足

上記の自治体の情報は2026年6月時点の概要例です。条例の改正・新設は随時行われており、数値・対象地区・期間は変わりうるものです。最終確認は必ず各自治体の公式情報または民泊制度ポータルで行ってください。

はじめ君

はじめ君

京都は年間60日しか民泊できないって聞いたことがあります。これは絶対ですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

住居専用地域での制限が厳しいとされてきましたが、地区・用途地域・物件形態によって異なります。また条例の計算方法や対象期間は改正で変わる可能性があります。京都市の所管課(住宅室)への最新確認を強くお勧めします。

全国の「見取り図」——制限の有無と緩さ・厳しさの地域傾向

全国の上乗せ条例の状況を一覧表にすることは、頻繁な新設・改正のため正確性を保つのが困難です。ここでは「地域の特性と傾向」という観点で整理します。

地域の傾向 代表的なエリア(例) 上乗せ条例の傾向 確認の優先度
大都市圏・住宅地 東京23区・大阪市・名古屋市・横浜市 住居専用地域での日数または曜日制限が多い 高い(必須確認)
歴史的観光都市 京都市・奈良市・金沢市 住環境保護の観点から比較的厳しい傾向 高い(必須確認)
リゾート・観光地 沖縄離島・北海道ニセコ・長野軽井沢 区域・物件形態により差が大きい 高い(エリア差に注意)
地方中核市 仙台市・広島市・福岡市・熊本市 住居専用地域での制限が中心。商業地域は比較的緩い傾向 中〜高(要確認)
農村・山間部・離島 都市計画区域外の市町村 用途地域が指定されていないため、条例体系が異なるケースあり 中(用途地域の有無から確認)

全国傾向として言えることは、「大都市圏・住宅地」ほど制限が厳しい傾向があるという点です。住民の生活環境保護に対する声が行政に届きやすい地域ほど、上乗せ条例の設定が進む構造があります。一方で「制限がないから大丈夫」と判断するのも危険で、無条例の地域でも旅館業法や消防法など別の規制が適用されます。上乗せ条例の有無に関わらず、開業前の行政確認は必須です。

はじめ君

はじめ君

上乗せ条例のない自治体に物件を探せば、年間180日フルで営業できるということですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

上乗せ条例がない場合でも、住宅宿泊事業法上の180日上限は変わりません。また旅館業法・消防法・管理組合規約など別の制約が残ります。「条例がない=何でもできる」ではないので、開業前には自治体への確認を強くお勧めします。

自分の物件の条例を確認する具体手順——民泊制度ポータルから所管課まで

実際に自分の物件に適用される上乗せ条例を確認する手順を、ステップ形式で解説します。

ステップ1: 物件住所の「用途地域」を確認する

まず物件の用途地域を特定します。用途地域によって適用される条例の内容が変わるため、条例確認の前提となります。確認方法は次の通りです。

  • 各自治体の「都市計画情報WebMap」(GISマップ)で住所を入力して調べる
  • 国土交通省の「国土数値情報」の用途地域データを活用する
  • 自治体の都市計画窓口に直接問い合わせる

住居専用地域(第一種・第二種)なのか、準住居地域・商業地域なのかで、続くステップの見方が大きく変わります。

ステップ2: 民泊制度ポータルで自治体の条例情報を確認する

国土交通省の民泊制度ポータルには、都道府県・市区町村ごとの条例情報へのリンクが掲載されています。

  1. 民泊制度ポータル(https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/)を開く
  2. 「関連法令・条例」ページへ進む(https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/regulation.html
  3. 物件の所在する都道府県・市区町村を検索し、条例名称およびリンクを確認する
  4. 条例の全文が掲載されている自治体公式サイトへアクセスし、制限内容(日数・区域・期間・曜日)を確認する

ポータルにリンクがない場合や情報が古い場合は、次のステップへ進みます。

ステップ3: 自治体の住宅宿泊事業担当窓口に直接確認する

最も確実な方法は、物件所在地の自治体(市区町村または都道府県)の住宅宿泊事業担当窓口に電話・メールで問い合わせることです。

窓口への問い合わせ時に準備するもの・聞くべきことは次の通りです。

確認事項 具体的な質問例
上乗せ条例の有無 「〇〇市(区)には住宅宿泊事業に関する上乗せ条例がありますか?」
制限の区域・内容 「〇〇番地の物件はどの制限区域に該当しますか?」
最新の改正状況 「直近で条例の改正はありましたか?予定はありますか?」
届出窓口と書類 「届出はどこで受け付けていますか?必要書類を教えてください。」

担当窓口は都道府県の観光部門または市区町村の住宅・観光担当部署が多いですが、自治体によって名称が異なります。ポータルの自治体情報ページで窓口名・連絡先を確認してから問い合わせると効率的です。

ステップ4: 行政書士に相談する

条例の文言が複雑で自分では判断できない場合、または複数の規制が重なっている場合は、民泊・旅館業に詳しい行政書士への相談をお勧めします。行政書士は届出書類の作成・代行だけでなく、条例の解釈・用途地域の確認・消防設備要件の整理なども含めて支援できます。相談前に物件の住所・登記簿謄本・管理規約(マンションの場合)を準備しておくとスムーズです。

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はじめ君

はじめ君

自治体に問い合わせるのは敷居が高いです。電話でも教えてもらえますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

多くの自治体の住宅宿泊事業担当窓口は電話での相談を受け付けています。事前に物件の住所をメモしてから電話すると、担当者がスムーズに回答できます。メール・オンライン窓口が整っている自治体も増えています。

上乗せ条例で失敗しやすい5つのパターン

条例を確認しないまま開業準備を進めてしまった場合に起こりやすい失敗パターンを整理します。

パターン1: 届出が通ったのに営業できない

住宅宿泊事業の届出は受理されたものの、物件が「条例上の制限区域」に該当し、実質的に営業日数がほぼゼロになってしまうケースです。届出の受理と「条例上の制限を受けないこと」は別の審査プロセスです。届出窓口が条例の制限区域を自動でチェックしてくれるとは限りません。

パターン2: 制限を知らずに収支計画を立ててしまった

「年間180日営業できる」前提で初期投資・収支計画を組んだ後に、物件が年間60日制限区域だったとわかるケースです。投資回収期間が3倍近く延びることになり、事業計画の根拠が崩れます。物件選定・契約前の段階で上乗せ条例を確認することが不可欠です。

パターン3: 条例改正で突然制限が厳しくなった

届出時点では制限がなかったまたはは緩やかだったが、開業後に条例が改正されて制限が強化されるケースです。条例は一度決まれば変わらないものではなく、近隣住民の要望・議会の議決・自治体方針の変更で改正されます。既存の届出物件にも新しい条例が適用される場合があるため、定期的な情報収集が必要です。

パターン4: 「市に条例はない」と言われて安心したら区に条例があった

都道府県・市・区(特別区)が重層的に規制を設けられる構造のため、「市には上乗せ条例がない」という回答を都道府県の窓口でもらっても、区レベルの条例が別に存在する場合があります。東京23区などはその代表例で、都・区の両方を確認する必要があります。

パターン5: 住居専用地域の制限と旅館業の違いを混同した

住宅宿泊事業法(民泊新法)と旅館業法(簡易宿所)では、上乗せ条例の適用範囲が異なります。旅館業許可を得た場合は住宅宿泊事業法の180日制限は適用されませんが、旅館業法固有の要件と自治体の旅館業関連条例が別に存在します。制度の混同は届出の失敗に直結するため、どの制度で開業するかを先に確定させてから条例確認を行ってください。

!注意

上記のパターンはいずれも実務上報告されている例です。失敗を防ぐために、物件契約の前・届出の前に必ず自治体窓口と行政書士(民泊専門)への確認を実施してください。最終的なご判断は、必ず所在地自治体または専門家にご相談ください。

はじめ君

はじめ君

条例の制限がある物件に既に投資してしまいました。旅館業に切り替えれば180日制限を超えられますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

旅館業(簡易宿所許可)に切り替えることで180日制限からは外れますが、用途地域による建築基準法上の制限・旅館業法固有の設備要件・消防法が別に適用されます。行政書士および消防署への事前相談が必要です。

民泊制度ポータルの使い方——条例検索の実践ガイド

民泊制度ポータルは国土交通省(観光庁)が運営する公式サービスで、住宅宿泊事業に関わるすべての公式情報の入口です。特に「関連法令・条例」ページは、都道府県・市区町村ごとの条例情報へのリンク集として機能しています。

ポータルで確認できる主な内容

  • 住宅宿泊事業法の条文・政省令テキスト
  • 都道府県・政令指定都市・中核市等の条例リンク
  • 届出に必要な書類様式のダウンロード
  • 自治体別の担当窓口情報(電話・メールアドレス)
  • 届出状況に関する統計データ(随時更新)

ただし、すべての市区町村の条例がポータルに網羅されているわけではありません。特に町・村レベルの小規模自治体は直接問い合わせが必要なケースがあります。また条例改正後のリンク更新に時差が生じることがあるため、重要な判断をする前は必ず自治体の公式サイトで最新情報を確認してください。

民泊制度ポータル 関連法令・条例ページ(国土交通省)
(2026-06-02取得)

都道府県・市区町村の住宅宿泊事業関連条例のリンク集。届出窓口情報も掲載。最新の条例を確認する際は各自治体公式サイトも必ず参照すること。

京都市 住宅宿泊事業法の新規届出について(京都市保健福祉局)
(2026-06-02取得)

京都市の住宅宿泊事業届出窓口・手引き・必要書類・事前協議の案内ページ。住居専用地域における営業期間制限(1月15日正午〜3月16日正午の期間に制限)など、京都市独自ルールの概要も掲載。

ポータルを使った検索フロー(実践例)

  1. 「国土交通省 民泊制度ポータル」を検索してトップページを開く
  2. メニューから「関連法令・条例」を選択
  3. ページ内の都道府県一覧から物件所在地の都道府県を選択
  4. 市区町村のリストに上乗せ条例のリンクが表示される場合はクリック
  5. 条例全文(または概要)を確認し、制限の内容・対象区域・期間を読み取る
  6. 不明点は記載された担当窓口へ問い合わせる

ポータルの画面構成は更新されることがあります。上記の手順は2026年6月時点のものです。URLは変わらないことが多いですが、ページ内のナビゲーションが変わった場合は「住宅宿泊事業 条例 〇〇市」で検索して当該自治体のページから辿る方法も有効です。

はじめ君

はじめ君

ポータルを見ても、自分の市の条例のリンクが見つかりません。どうすればいいですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

ポータルに掲載されていない自治体もあります。その場合は「〇〇市 住宅宿泊事業 届出」で検索して自治体のページを探すか、自治体の代表番号に電話して住宅宿泊事業担当課につないでもらうのが確実です。

開業判断フロー——条例確認から届出まで

上乗せ条例の確認から実際の届出までの判断フローを整理します。物件選定の段階から条例を織り込んでおくことが、後々の問題を防ぐ最善策です。

フェーズ 主なアクション 確認先 注意点
物件候補の選定 用途地域・都市計画区域を確認 自治体の都市計画GISマップ 住居専用地域か否かで条例が大きく変わる
条例確認(事前) ポータルまたはは自治体窓口で条例内容を確認 民泊制度ポータル/自治体担当課 日数・区域・期間・曜日の4点を全て確認
収支計画の立て直し 条例上の最大営業日数で収支を試算 収支シミュレーター 最大日数を前提にした楽観試算は避ける
物件契約・借入 条例内容を踏まえた資金計画を策定 税理士・金融機関 変動リスクを見越してバッファを設ける
届出準備 必要書類を揃えて届出申請 自治体担当課/行政書士 条例上の制限区域かどうかを窓口で再確認
開業後のモニタリング 条例改正情報を定期確認 自治体サイト・民泊制度ポータル 年1回以上の確認を習慣にする

はじめ君

はじめ君

物件を契約する前に条例を確認するのが理想ですが、すでに契約してしまいました。今からでも間に合いますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

届出前であれば、条例の制限内容を踏まえた計画の見直しが可能です。まず今すぐポータルと自治体窓口で条例を確認し、収支計画を組み直してください。旅館業への転換・特区民泊など別制度の検討も行政書士に相談するとよいでしょう。
minpaku-jorei-zenkoku-map-2026 Step3 判定する

よくある質問(FAQ)

Q1. 上乗せ条例は毎年変わるものですか?

条例の改正頻度は自治体によって異なります。新設・強化・緩和のいずれもあり得ます。届出後も年に一度は所在地自治体の公式サイトまたは民泊制度ポータルで最新情報を確認することをお勧めします。特に政令指定都市・観光都市では改正の頻度が比較的高い傾向があります。

Q2. 複数の物件を持つ場合、各物件ごとに条例確認が必要ですか?

現状の実務上は、各物件の所在地ごとに適用される条例が異なるため、物件ごとの個別確認が必要です。同じ市内でも用途地域・学校周辺区域の指定状況によって制限が変わります。複数物件を運営する場合は行政書士への一括相談が効率的です。

Q3. 条例の制限を超えて営業した場合、どうなりますか?

住宅宿泊事業法に基づく上乗せ条例への違反は、業務改善命令や業務停止命令の対象となる可能性があります。また営業日数の虚偽報告は罰則の対象になり得ます。詳細な罰則の適用条件は自治体・条例の内容によって異なるため、最終的な判断は必ず自治体または弁護士・行政書士にご確認ください。

Q4. 「180日制限に上乗せ条例はない」という自治体でも、何か制限はありますか?

上乗せ条例がない場合でも、住宅宿泊事業法本体の年間180日上限は適用されます。また旅館業法・建築基準法・消防法・管理組合規約(マンションの場合)・賃貸借契約(賃貸物件の場合)など別の規制は残ります。「条例がない=何も制限がない」ではないため、各法令の確認は必須です。

Q5. 住宅宿泊事業(民泊新法)ではなく、旅館業(簡易宿所)の許可を取れば180日制限は関係ありませんか?

旅館業法に基づく簡易宿所許可を取得した場合、住宅宿泊事業法の180日制限は適用されません。ただし旅館業法固有の設備要件(フロント・換気・採光など)・保健所検査・消防設備基準が別に適用されます。旅館業の上乗せ条例(自治体の旅館業関連条例)も存在する場合があるため、切り替え前に保健所・行政書士への相談が必要です。

Q6. 外国人ゲストを受け入れる場合、条例以外に何か必要ですか?

外国人ゲスト(日本国籍以外の旅券を持つ方)の宿泊には、旅券の確認・宿泊者名簿への記録が法律上義務づけられています(住宅宿泊事業法第9条、旅館業法第6条)。ICT機器を使った非対面での本人確認も条件付きで認められています。詳細は所在地自治体の窓口でご確認ください。

Q7. 特区民泊(国家戦略特区)は上乗せ条例の対象外ですか?

特区民泊は国家戦略特別区域法に基づく制度であり、住宅宿泊事業法とは別の法体系です。現状の運用では、特区民泊の区域・要件(最低宿泊日数6泊7日など)は特区ごとに異なります。住宅宿泊事業法の上乗せ条例はそのまま適用されませんが、特区民泊固有の要件・条件があります。特区に指定されているエリアかどうかを含め、必ず所在地自治体または内閣府の特区担当窓口にご確認ください。

まとめ——上乗せ条例の確認は「開業前の最優先事項」

上乗せ条例は、住宅宿泊事業の収益性と開業可否を左右する最も重要な制度要素の一つです。区域・日数・期間・曜日の4タイプを理解し、物件住所をもとに「自分の物件に適用される制限」を正確に把握することが、失敗のない民泊開業の出発点となります。

確認の手順は明確です。まず民泊制度ポータルで自治体の条例情報を調べ、不明点は自治体の住宅宿泊事業担当窓口へ直接問い合わせてください。条例の文言が複雑な場合や複数の制限が重なる場合は、民泊専門の行政書士への相談を強くお勧めします。最終的なご判断は、必ず物件所在地の自治体または専門家にご確認ください。

条例は変わりうるものです。届出後も年に一度は所在地自治体の公式サイトで最新情報を確認し、改正があれば収支計画・運営計画に反映させる習慣を持つことが、長期的な民泊経営の安定につながります。

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⚠️ 本記事は2026-06-02時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊の制度は改正される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。

📋 ご確認ください(民泊学校 編集部より)

本記事は 2026-06-02 時点で公開されている公式情報・一次情報をもとに編集しています。
法律、条例、税制、消防、各種許認可、収支見通しなどは、お住まいの自治体・対象物件の所在地・物件種別・運営形態によって取扱いが異なります。
最終的なご判断は、必ず以下にご確認ください。

  • 制度・条例: 民泊制度ポータルサイト / 物件所在地の自治体(住宅宿泊事業 / 旅館業 / 特区民泊の所管課)
  • 消防: 物件所在地の所轄消防署
  • 税務: 顧問税理士 または 所轄税務署
  • 許認可・届出: 行政書士(民泊・旅館業に詳しい方)
  • 近隣対応・契約: 弁護士・宅地建物取引士

当サイトでは、上記の専門家・自治体への確認窓口を 運営代行業者の選び方 で案内しています。
収支試算は 収支シミュレーター、物件可否は 無料可否診断 をご利用ください。

本記事の情報は予告なく変更される可能性があります。掲載情報の利用により生じたいかなる損害についても、当サイトは責任を負いかねます。