編集: 民泊学校 編集部 | 最終更新日: 2026-05-20

民泊を始めようと調べていると「稼げる」「副収入になる」という情報が目につきます。しかし現実を見ると、住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されてから廃止届が積み上がり続けており、2026年3月13日時点の公式データでは届出廃止件数が22,030件、廃止率は約35.8%に達しています(民泊制度ポータル「施行状況」)。開業した物件のおよそ3件に1件が廃止に至った計算です。この数字は個別の成否を保証するものではありませんが、「始めてみたが続かなかった」ケースが相当数あることを示しています。本記事では、公式ソースをもとに民泊の主要な7つのリスクを整理し、それぞれの対策と「始める前に確認すべきこと」を実務目線で解説します。

この記事でわかること

  • 民泊廃止率35.8%という公式データの示す意味と失敗パターンの全体像
  • 「収益が見込めない」が廃業理由の約半数を占める費用構造の内訳
  • 無届出・無許可で運営した場合の法的ペナルティ(住宅宿泊事業法・旅館業法)
  • マンション管理規約の確認を怠ると開業後に廃業に追い込まれるリスク
  • 近隣トラブル・騒音問題が法制定の背景となった経緯と対策義務の内容
  • 通常の火災保険では補償されない可能性がある保険リスクの実態
  • 180日制限と条例上乗せが収益計画に与える影響と事前チェックの手順

Contents

民泊のリスク、結論から言うと

まず結論を先に示します。民泊は「物件・立地・制度条件・資金体力・運営スキル」がそろって初めて継続できる事業です。どれか1つが欠けても事業継続が難しくなるケースが公式データに記録されています。

廃止率35.8%は2026年3月13日時点の公式データです。この数値は市場全体の傾向を示すものであり、個々の物件・運営者の成否を保証・予測するものではありません。

廃業理由の公式調査(観光庁・令和2年11月時点)では、「収益が見込めない」が49.1%と最多を占めています。次いで「個人的な事情」「管理規約で禁止されたため(8.1%)」などが続きます。この廃業理由調査は令和2年11月時点のものであり、現在の動向は異なる可能性がありますが、収益面と制度面の2軸がリスクの中心であることは現在も変わりません。

7つの主要リスクのサマリー

リスク 概要 主な根拠
①収益・赤字リスク 廃業理由の49.1%が「収益見込めない」 観光庁 廃業理由調査
②法的リスク(無届出) 住宅宿泊事業法76条: 30万円以下の罰金 民泊制度ポータル 留意事項
③管理規約の禁止 廃業理由の8.1%が規約禁止に起因 観光庁 廃業理由調査
④近隣トラブル・騒音 法制定の背景として騒音・ゴミ問題が明記 民泊制度ポータル 法律概要
⑤保険の適用外リスク 通常の火災保険では民泊中の損害を補償しない可能性 保険各社約款(要個別確認)
⑥180日制限 住宅宿泊事業は年180日上限+条例上乗せあり 住宅宿泊事業法第8条
⑦運営の手間・負担 チェックイン・清掃・定期報告が継続コスト 住宅宿泊事業法 各条項
はじめ君

はじめ君

廃止率35.8%ってかなり高いですよね……始める前にリスクを全部知っておきたいです。

民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

その通りです。7つのリスクをひとつひとつ確認することが、開業後の後悔を減らす最短ルートです。この記事で全体像をつかんでください。

本記事で使用した公式ソース

本記事の各リスク解説は以下の公式・一次情報を根拠としています。個人ブログや口コミではなく、行政機関の公表データと制度資料に基づいた内容です。

民泊制度ポータル「施行状況」(2026-05-20取得)
届出件数・廃止件数・廃止率のデータ。廃止件数22,030件、廃止率約35.8%(2026年3月13日時点)。

観光庁「廃業理由調査」(令和2年11月)(2026-05-20取得)
廃業した住宅宿泊事業者へのアンケート結果。「収益が見込めない」49.1%、「管理規約で禁止された」8.1%等。

民泊制度ポータル「留意事項」(2026-05-20取得)
住宅宿泊事業法第76条(無届出: 30万円以下の罰金)、第73条(虚偽届出: 6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)の規定を掲載。

民泊制度ポータル「法律の概要」(2026-05-20取得)
法制定の背景として「騒音やゴミ出しなどによる近隣トラブルが社会問題となっていること」が明記されている。

国土交通省「マンション標準管理規約改正」(2026-05-20取得)
管理規約で民泊禁止が可能であることを示す国交省の公式プレス。廃業理由の8.1%が「規約で禁止されたため」。

国民生活センター「民泊に関する相談情報」(2026-05-20取得)
民泊に関する相談件数は2015年の57件から2017年には271件と急増。トラブル件数の推移が確認できる。

はじめ君

はじめ君

公式データや法律を確認するって、自分では難しくてなかなかできていませんでした。

民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

開業前に公式ソースを一度は確認しておくことが大切です。制度は改正されることもあるので、取得日も必ず確認するようにしてください。

リスク①: 収益が出ない・赤字になる

観光庁が実施した廃業理由調査(令和2年11月調査)において、廃業した住宅宿泊事業者の49.1%が「収益が見込めない」と回答しています。この調査は令和2年11月時点のものであり、現在の市場環境とは異なる可能性がありますが、収益リスクが廃業の最大要因であることは現状でも変わらないと見られています。

なぜ収益が出にくいのか:費用構造の問題

民泊収益の構造はシンプルに見えて、費用が多方面から積み上がります。収益面では「宿泊料 × 稼働率 × 営業可能日数」で決まりますが、この「営業可能日数」が住宅宿泊事業では年間180日(約49%)に制限されています(後述のリスク⑥を参照)。稼働率が50%と仮定すると、実質的な稼働日は年間90日前後にとどまります。

費用面では以下のような項目が発生します。

費用項目 目安(月額・年額) 備考
OTA手数料(Airbnb等) 宿泊料の3〜15% プラットフォームにより異なる
清掃費 1回あたり5,000〜15,000円 宿泊1件ごとに発生
民泊専用保険 年間数万円〜 保険商品により異なる(要確認)
消耗品・アメニティ 月3,000〜10,000円 稼働頻度による
管理委託費(任意) 宿泊料の15〜30% 自己運営なら不要
定期報告・備品補充 年間数万円〜 住宅宿泊事業法上の義務

初期費用についても無視できません。消防設備(火災報知機・消火器等)の整備、家具・家電・リネン類の購入、写真撮影費用、鍵交換費など、開業前に数十万円〜百万円規模の出費になるケースがあります。これらを回収するには一定の稼働期間が必要です。

収益リスクの判断基準

「収益が出るか」を確認するには、以下の観点を事前に試算することが現実的です。まず、物件の立地と周辺の相場宿泊単価を確認します。次に、固定費(賃料・保険・管理費)と変動費(清掃・OTA手数料)を積み上げ、損益分岐稼働率を計算します。180日制限を加味した上で、その稼働率が現実的かどうかを近隣の競合物件の状況から判断します。

試算は必ず収支シミュレーターを使って複数パターンで確認してください。「最低でも稼働率何%が必要か」を把握した上で判断することが重要です。

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はじめ君

はじめ君

自己運営にすれば管理委託費はかからないですよね?それで黒字にできますか?

民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

自己運営でも清掃・チェックイン・ゲスト対応の「時間コスト」が発生します。委託費を抑えた分だけ運営負担が増える構造なので、まずは収支試算でどちらが現実的かを確認することをお勧めします。

民泊を営む際には、物件の形態や運営方法に応じた法的手続きが必要です。届出や許可を取らずに運営した場合、刑事罰を含む厳しいペナルティが設けられています。民泊制度ポータル「留意事項」(2026-05-20取得)には以下の罰則規定が明記されています。

以下の罰則は法律上の規定です。実際の適用状況は司法・行政の判断によって異なり、すべての事例で同様に適用されるとは限りません。

住宅宿泊事業法の罰則

違反の種類 根拠条文 罰則の内容
無届出で住宅宿泊事業を営む 住宅宿泊事業法第76条 30万円以下の罰金
虚偽の届出をして住宅宿泊事業を営む 住宅宿泊事業法第73条 6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

旅館業法の罰則

旅館業法に基づく許可(旅館業許可)が必要な形態で、無許可のまま宿泊サービスを提供した場合も罰則の対象となります。旅館業法では、無許可営業に対して100万円以下の罰金が規定されています(旅館業法第10条)。どの制度が適用されるかは、物件の形態・運営スタイル・営業日数などにより異なります。制度の選択については、行政書士や自治体の担当窓口に相談することをお勧めします。

「意図せず無届出」になるケース

悪意がなくても法的リスクが生じる場面があります。よくあるパターンとして以下が挙げられます。

  • 「知人に部屋を貸しただけ」と思っていたが、対価が発生しており宿泊事業に該当するケース
  • 届出を出したが、年次報告(定期報告)を怠って行政から改善指導を受けるケース
  • 民泊可の物件を取得したが、条例の施行により区域規制が変更され適法外となったケース
  • 旅館業許可が必要な運営形態なのに、住宅宿泊事業として届け出てしまっているケース

制度の選択と手続きは物件・地域によって細かく異なります。開業前に、物件所在地の自治体(住宅宿泊事業の場合は都道府県または保健所設置市の担当課)に確認することが最も確実です。

はじめ君

はじめ君

住宅宿泊事業法と旅館業法、どちらを選べばいいのか判断が難しそうです……

民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

制度の選択は物件・地域ごとに異なるため、民泊に詳しい行政書士か物件所在地の自治体担当課への確認が現実的な第一歩です。最終的なご判断は必ず専門家にご確認ください。

リスク③: マンション管理規約の禁止

マンション(区分所有建物)で民泊を行う場合、行政上の届出・許可だけでなく、管理組合の管理規約を確認することが不可欠です。管理規約で民泊が禁止されている場合、届出を出して合法的な手続きを踏んでいても、管理組合から民泊中止を求められ、場合によっては法的手続きに発展するケースがあります。

国交省の標準管理規約改正と民泊禁止の根拠

国土交通省は2018年6月に「マンション標準管理規約」を改正し、区分所有者の承認を得ずに専有部分を民泊に使用することを禁止する条項のモデルを示しました(国土交通省プレスリリース「2026-05-20取得」)。この改正を受けて、多くの管理組合が規約に民泊禁止条項を明示的に盛り込んでいます。

観光庁の廃業理由調査(令和2年11月)では、廃業した事業者のうち8.1%が「管理規約で禁止されたため」と回答しています。これは「開業後に規約が改正された」ケースも含まれており、「始める前は問題なかったが、後から禁止になった」という事態が実際に起きていることを示します。

開業前に確認すべき3つのポイント

  • 管理規約の原文確認: 管理組合から最新の管理規約を入手し、民泊・宿泊業・ホームシェアに関する条項を読む
  • 使用細則の確認: 規約本体にない場合でも、使用細則や「居住のみに使用する」旨の条項がある場合は民泊が制限される可能性がある
  • 管理組合への事前相談: 規約上の解釈が不明な場合は、管理組合の理事会または管理会社に書面で事前確認をとる

賃貸物件で民泊を行う場合(いわゆる「又貸し民泊」)は、さらに賃貸借契約書上の転貸禁止条項も確認が必要です。賃貸人(家主)の承諾なく転貸した場合、賃貸借契約の解除事由となるリスクがあります。最終的なご判断は必ず法的な専門家(弁護士・宅地建物取引士)にご確認ください。

はじめ君

はじめ君

開業後に規約で禁止されることもあるんですね……。それは困ります。

民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

開業前の確認に加えて、管理組合の総会動向にも注意が必要です。規約改正は総会決議で行われることが多いため、管理組合とのコミュニケーションを継続することが大切です。

リスク④: 近隣トラブル・騒音問題

民泊制度ポータル「法律の概要」(2026-05-20取得)には、住宅宿泊事業法が制定された背景として「騒音やゴミ出しなどによる近隣トラブルが社会問題となっていること」が明記されています。民泊に関する相談件数は、国民生活センターのデータによると2015年の57件から2017年には271件へと約4.7倍に急増しています(国民生活センター「民泊に関する相談情報」2026-05-20取得)。

トラブルの主な類型

トラブルの種類 具体的な内容 ホスト側の対応義務
騒音 深夜の談笑・音楽・ドアの開閉音 ハウスルールへの明記・違反ゲストへの注意
ゴミ出し 分別違反・曜日・時間外出し ゴミ出しルールの案内・指定日の明示
共用部の使い方 廊下・エレベーターでの飲食・大声 案内文配布・セルフチェックインルールの徹底
セキュリティ 見知らぬ人の頻繁な出入りへの不安 ゲストへの行動案内・管理組合への事前連絡

住宅宿泊事業法上の対応義務

住宅宿泊事業法では、ホスト(住宅宿泊事業者)に対して近隣への説明・苦情対応の義務が課されています。具体的には、宿泊者に対してゴミ処理・騒音防止等に関するルールを案内する義務(第6条)のほか、近隣居住者からの苦情に迅速に対応する義務があります。これらを怠ると、行政からの改善命令・業務停止命令の対象となる場合があります。

近隣対応でトラブルが深刻化した場合、弁護士や宅地建物取引士への相談も視野に入れてください。トラブルが訴訟に発展するケースも報告されています。

はじめ君

はじめ君

近隣トラブルは、ゲストのマナーが悪いと自分では何もできないから怖いですね。

民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

ハウスルールを多言語で整備し、チェックイン時に必ず確認してもらう仕組みを作ることがトラブル予防の基本です。騒音センサーの導入で深夜の状況を把握する手段もあります。

リスク⑤: 保険の適用外リスク

民泊運営における保険リスクは、見落とされがちな重大な論点です。一般的な火災保険や家財保険は、「住居として使用していることを前提」に設計されている場合があります。有償で第三者を宿泊させる民泊の用途に対して補償が適用されるかどうかは、加入している保険商品の約款内容によって異なります。

保険の適用・非適用は保険商品・約款の内容により異なります。民泊運営を始める前に、必ず加入中の保険会社に現在の保険の適用範囲を確認してください。

補償が問題になり得るケース

  • ゲストによる室内の損壊・水漏れ: 通常の火災保険では宿泊ゲストが起こした損害を補償しない約款の場合がある
  • 民泊中の火災: 住居用途の保険で「業務用途」とみなされた場合、保険金が支払われない可能性がある
  • ゲストの身体事故: 物件内でゲストが怪我をした場合の賠償責任が、通常の個人賠償保険の対象外となる場合がある
  • ゲストによる盗難: 家財保険での盗難補償が、第三者が宿泊する状況では適用されないケースがある

民泊専用保険の活用

上記リスクに対応するため、民泊専用の保険商品が複数の保険会社から提供されています。民泊専用保険は一般的に、ゲストによる物的損害、ゲストへの賠償責任、宿泊施設に対する物件損害などをカバーするよう設計されています。一部のOTA(Airbnb等)はホスト向けの保障プログラムを設けていますが、カバー範囲・条件・上限額はプラットフォームのポリシー変更により変わる場合があります。OTA側の保障のみに頼るのではなく、別途民泊専用保険への加入を検討することが現実的です。

保険商品の選定・加入については、民泊対応の保険に詳しいFPまたは損害保険の代理店にご相談ください。最終的なご判断は必ず保険会社・専門家にご確認ください。

はじめ君

はじめ君

火災保険にはずっと加入しているから問題ないと思っていました。民泊だと別途必要なんですね。

民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

開業前に現在加入している保険会社に「民泊で使う場合はどうなりますか」と確認するのが最初のステップです。補償の空白を作らないよう、専門家にも相談することをお勧めします。

リスク⑥: 180日制限による収益制約

住宅宿泊事業法(民泊新法)による民泊(住宅宿泊事業)は、年間の宿泊提供日数が180日以内に制限されています(同法第8条)。これは1年のうち約49%に当たる日数です。残りの185日は宿泊に使えず、空室か自己使用となります。この制限は収益計画に直接影響を与えます。

180日制限が収益に与える影響

仮に宿泊単価15,000円・OTA手数料15%・清掃費8,000円/回で計算した場合、フル稼働(180日×稼働率最大時)でも年間の粗収益は180日×15,000円×0.85=2,295,000円となります。これに清掃費180回×8,000円=1,440,000円を差し引くと、清掃費だけで収益の約63%が消えます。実際は満稼働に届くことは少なく、固定費も加わるため、収益の試算は慎重に行う必要があります。

条例による上乗せ制限

180日制限は全国一律の上限ですが、自治体の条例によってさらに短い日数に制限されているケースがあります。たとえば京都市は条例で「月曜日の正午から金曜日の正午まで(週の一部平日)は営業禁止」とする制限を設けているエリアがあり、実質の年間営業可能日数が180日を大きく下回る地域もあります。東京都内の一部区でも、住居専用地域での営業曜日・期間を制限する条例が施行されています。

物件を選定する際は、所在地の条例による上乗せ制限を必ず確認してください。条例の内容は自治体の公式サイトまたは担当窓口に確認するのが確実です。

民泊リスク Step2 近隣・保険・180日・運営リスクを確認する
はじめ君

はじめ君

180日のうち条例でさらに絞られることもあるんですね。実際に何日営業できるのか計算しないといけないですね。

民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

物件選定前に「その地域の実際の営業可能日数」を条例ベースで確認することが先決です。180日カレンダーツールで年間の残日数をシミュレーションすることもできます。

リスク⑦: 運営の手間・体力的負担

民泊は「物件を貸すだけ」ではなく、継続的な運営業務が発生します。この運営負担を過小評価して開業し、後から「続けられない」と感じて廃業するケースが一定数あります。住宅宿泊事業法では事業者に複数の義務が課されており、これらが実務上の継続コストとなります。

運営で発生する主な業務

業務 頻度 義務か任意か
チェックイン・鍵の受け渡し 宿泊1件ごと 任意(スマートロックで省力化可)
清掃・リネン交換 宿泊1件ごと 事実上必須(衛生確保)
ゲストへの対応(メッセージ) 宿泊1件ごと(滞在中も含む) 事実上必須(レビュー影響)
宿泊者名簿の作成・保存 宿泊1件ごと 法定義務(住宅宿泊事業法第9条)
定期報告(届出自治体への報告) 2か月ごと(各都道府県等) 法定義務(住宅宿泊事業法第14条)
消防設備の点検 定期(頻度は物件種別による) 法定義務(消防法)
近隣への苦情対応 随時(発生時) 法定義務(住宅宿泊事業法第12条)

自己運営 vs 代行委託の現実的な判断

上記の業務をすべて自己で行うか、運営代行会社に委託するかは、時間コストと委託費用のトレードオフです。特に「本業がある」「遠方に物件がある」「複数物件を持つ」ケースでは、運営代行の活用が現実的な選択肢となります。代行費用は一般的に宿泊料収入の15〜30%程度が目安とされていますが、各社によって異なります。最新の料金や契約条件は各業者に直接お問い合わせください。

法定報告(定期報告)の提出漏れは行政からの改善指導・業務停止命令の対象となる可能性があります。報告体制の確立は運営開始前に決めておくことが重要です。

はじめ君

はじめ君

副業でやろうと思っていたのに、こんなに業務があるとは……。

民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

法定義務の報告・名簿管理は省けない業務です。スマートロックやPMS(物件管理システム)で省力化できる部分は多いですが、「ゼロ手間では回らない」という前提で計画を立ててください。

リスクを軽減するための事前チェック

ここまで7つのリスクを見てきました。これらのリスクは「知っていれば事前に対処できる」ものが大半です。実務上の順序として、以下の3ステップが現実的です。

ステップ1: 物件の可否を確認する

まず、対象物件で民泊が法律上・条例上・管理規約上「できるのか」を確認します。確認すべき項目は用途地域(住居系か商業系か)、自治体の条例による営業制限(エリア・曜日・日数)、管理規約(マンションの場合)、賃貸借契約(賃借物件の場合)の4点です。この段階で不可が確認されたら、他の物件・制度を検討する判断ができます。

ステップ2: 収支を試算する

可否が確認できたら、具体的な収支を試算します。単価・稼働率・180日制限・条例による追加制限・固定費・変動費を入れて、月次・年次の損益分岐点を確認します。特に「何%の稼働率が必要か」を把握しておくことが重要です。楽観的な試算と悲観的な試算の両方で検討することをお勧めします。

ステップ3: 専門家に確認する

制度面・法的面・税務面の最終確認は専門家へ。行政書士(届出手続き・制度選択)、税理士(所得区分・経費計上・確定申告)、消防署(消防設備の確認)に相談しておくことで、開業後のリスクを大幅に減らすことができます。制度や条例は自治体によって異なるため、物件所在地の自治体窓口への直接確認も欠かせません。

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民泊リスク Step3 事前チェックリストで開業準備を整える
はじめ君

はじめ君

3ステップを全部やれば開業の準備は整いますか?

民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

3ステップを踏んだ上で専門家確認をしてから開業するのが現実的な順序です。「やってみて問題が出てから対処」ではなく、事前確認が損失を最小化します。

専門家確認が必要な範囲

民泊は法務・税務・消防・建築・保険と複数の専門領域が重なる事業です。以下の範囲については、それぞれの専門家への確認を強くお勧めします。最終的なご判断は必ず各専門家・自治体にご確認ください。

確認テーマ 相談先 主な確認内容
制度選択・届出 行政書士(民泊対応)/ 物件所在地の自治体窓口 住宅宿泊事業 / 旅館業 / 特区民泊の適用判定・届出手続き
税務・確定申告 税理士 / 所轄税務署 所得区分(雑所得 / 事業所得)・経費認定・インボイス対応
消防設備 物件所在地の所轄消防署 必要な設備種類・設置基準・点検義務
管理規約・契約 弁護士 / 宅地建物取引士 規約解釈・賃貸借契約の転貸条件・トラブル時の対応
保険 加入中の保険会社 / 損害保険代理店 現在の保険の適用範囲確認・民泊専用保険の提案

民泊に詳しい行政書士・税理士・弁護士を探す際は、民泊学校の運営代行業者の選び方も参考にしてください。各専門家の選び方や費用目安も記載しています。

はじめ君

はじめ君

専門家に相談するって費用がかかりそうで、最初は自分でやろうと思っていました。

民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

自治体窓口・消防署への相談は無料です。行政書士への届出代行費用は数万円〜が目安とされていますが、違法状態で摘発された場合のリスクと比べると、相談コストは小さいと言えます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 民泊の廃止率35.8%というのは、始めた人の35.8%が失敗したということですか?

正確には、住宅宿泊事業法施行後の累計届出件数のうち、2026年3月13日時点で廃止届が出た件数の割合です。廃止の理由は「収益見込めない」以外にも、個人的な事情・転居・物件売却など多様です。廃止率が高い数値であることは公式データに示されていますが、個々の物件や運営者の成否を保証・予測するものではありません。

Q2. 民泊を始める前に必ず行政書士に相談しなければなりませんか?

法律上の義務ではありませんが、制度選択・届出手続きは複雑で、物件や地域によって対応が異なります。特に「住宅宿泊事業 / 旅館業 / 特区民泊のどれを選ぶか」の判断は、間違えると無届出・無許可のリスクにつながります。自治体窓口への無料相談を最初の一歩として活用することをお勧めします。

Q3. マンションの管理規約に「民泊禁止」と書いていなければ民泊を始めることはできますか?

明示的な禁止条項がない場合でも、「専有部分は住居としてのみ使用する」旨の条項がある場合は、民泊使用を禁じていると解釈される可能性があります。規約の解釈は管理組合や専門家によって異なる場合があるため、書面で管理組合に確認を取ることが現実的です。

Q4. 住宅宿泊事業の180日制限は1年のうち連続した180日でなければなりませんか?

住宅宿泊事業法上の180日制限は、年度内(毎年4月1日〜翌3月31日)の宿泊提供日数の合計が180日以内という上限です。連続している必要はなく、繁忙期に集中して使うことも可能です。ただし、自治体の条例によって曜日・時間帯・期間の制限が上乗せされている場合があるため、物件所在地の自治体に確認してください。

Q5. 通常の火災保険で民泊中の損害はカバーされますか?

加入している保険商品・約款の内容によって異なります。住居専用として設計された火災保険では、有償で第三者を宿泊させる民泊の用途での損害は補償対象外となる場合があります。開業前に必ず加入中の保険会社に確認し、必要に応じて民泊専用保険への加入を検討してください。

Q6. 民泊の収入は確定申告が必要ですか?

原則として、民泊収入が一定額を超えた場合は確定申告が必要です。収入の所得区分(雑所得か事業所得か)や経費の計上範囲は、運営規模・形態・個別事情によって異なります。税務上の取扱いは個別事情により異なるため、顧問税理士または所轄税務署にご相談ください。

Q7. 民泊の定期報告(2か月ごと報告)を忘れたらどうなりますか?

住宅宿泊事業法第14条に基づく定期報告は法定義務です。報告を怠った場合、都道府県等から報告徴収・立入検査の対象となり、虚偽報告や報告拒否に対しては罰則規定があります。報告の頻度・様式・提出先は届出先の自治体によって異なる場合があるため、届出時に確認しておくことをお勧めします。

まとめ

本記事では、民泊の7つの主要リスクを公式ソースをもとに解説しました。廃止率35.8%・廃業理由の49.1%が「収益見込めない」という公式データは、民泊が「気軽に稼げる副業」ではないことを示しています。

一方で、適切な事前準備と専門家確認を経て開業し、安定した運営を続けているホストが多いことも事実です。リスクを知ることは「やめる理由」ではなく、「何を確認すれば前に進めるか」を明確にするためのプロセスです。

開業前の確認リスト(5点)

  • 物件の可否(用途地域・条例・管理規約・賃貸借契約)を確認した
  • 年間の実際の営業可能日数を条例込みで把握した
  • 収支シミュレーションを複数パターンで実施した
  • 保険の適用範囲を保険会社に確認した
  • 行政書士・自治体窓口・消防署へ相談の予定を立てた

民泊学校では、可否診断・収支シミュレーター・180日カレンダーなどの実務ツールを無料で提供しています。まずは可否診断から始めてみてください。

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⚠️ 本記事は2026年5月時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊の制度は改正される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。

本記事は 2026-05-20 時点で公開されている公式情報・一次情報をもとに編集しています。
法律、条例、税制、消防、各種許認可、収支見通しなどは、お住まいの自治体・対象物件の所在地・物件種別・運営形態によって取扱いが異なります。
最終的なご判断は、必ず以下にご確認ください。

  • 制度・条例: 民泊制度ポータルサイト / 物件所在地の自治体(住宅宿泊事業 / 旅館業 / 特区民泊の所管課)
  • 消防: 物件所在地の所轄消防署
  • 税務: 顧問税理士 または 所轄税務署
  • 許認可・届出: 行政書士(民泊・旅館業に詳しい方)
  • 近隣対応・契約: 弁護士・宅地建物取引士

当サイトでは、上記の専門家・自治体への確認窓口を 運営代行業者の選び方 で案内しています。
収支試算は 収支シミュレーター、物件可否は 無料可否診断 をご利用ください。

本記事の情報は予告なく変更される可能性があります。掲載情報の利用により生じたいかなる損害についても、当サイトは責任を負いかねます。