民泊 家主居住型 vs 家主不在型 違い・選択・判定ガイド 2026年版|委託義務・不在の定義・収益比較まで完全解説
編集: 民泊学校 編集部 | 最終更新日: 2026-05-20
民泊を始めようとするとき、多くの方が最初に直面するのが「家主居住型か家主不在型か、自分はどちらに当たるのか?」という疑問です。インターネットで調べると「居住型なら管理業者は不要」「不在型は委託義務あり」といった説明をよく目にします。しかし、「家主居住型」「家主不在型」という言葉は、住宅宿泊事業法の条文には登場しない通称である点を、まず押さえておく必要があります。
観光庁のFAQ集(令和3年3月12日時点版)には「一般的に家主居住型・家主不在型と呼ばれています」と明記されており、法律上の正式区分ではありません。法律が定めているのは「住宅宿泊管理業務の委託義務が発生するか否か」の条件です。この区別を正確に理解しているかどうかが、届出の正確性・運営コスト・収益性に直結します。
本記事では、通称「家主居住型」「家主不在型」の意味合いと法律上の定義を丁寧に整理したうえで、「委託義務が発生する条件」「不在の定義と範囲」「コストと収益の違い」「業者の選び方」まで、実務に必要な知識を網羅的に解説します。どちらの形態で運営するかの判断材料として、ぜひお役立てください。
この記事でわかること
- 「家主居住型」「家主不在型」が法律上の正式用語ではない理由と、実際の法的区分
- 住宅宿泊事業法第11条が定める「管理業務委託義務の発生条件」
- 「不在」の定義(原則1時間・最大2時間)とよくある誤解4つ
- 居住型・不在型それぞれのメリット・デメリットと向いているケース
- 登録住宅宿泊管理業者への委託で義務付けられる法定6業務
- 居室数の数え方と「5室超」ルールの詳細
- 判断に迷ったときの実務的なチェックポイント

Contents
- 1 家主居住型・家主不在型の法律上の定義
- 2 「不在」の定義とよくある誤解
- 3 家主居住型と家主不在型の比較表
- 4 家主居住型のメリット・デメリット
- 5 家主不在型のメリット・デメリット
- 6 委託業者(住宅宿泊管理業者)の選び方と法定6業務
- 7 「居室5室ルール」の詳細解説
- 8 居住型・不在型の判断ミスによる失敗事例
- 9 よくある質問(FAQ)
- 9.1 Q1. 同一建物内に住んでいますが、仕事で昼間不在になります。これは委託義務がある形態(家主不在型)になりますか?
- 9.2 Q2. 居住型で運営を始め、途中から不在型に切り替えることはできますか?
- 9.3 Q3. 隣の建物(敷地外)に住んでいる場合、委託義務なしの届出はできますか?
- 9.4 Q4. 居住型でも清掃業者を使えますか?
- 9.5 Q5. 法人として住宅宿泊事業者の届出をする場合、「事業者の在宅」はどのように判断されますか?
- 9.6 Q6. 宿泊者が旅行で丸1日外出している日は、事業者も外出できますか?
- 9.7 Q7. 委託義務が発生するにもかかわらず委託しなかった場合、どのようなリスクがありますか?
- 10 まとめ
家主居住型・家主不在型の法律上の定義
「家主居住型」「家主不在型」は通称にすぎない
まず大前提として確認しておきたいのは、「家主居住型」「家主不在型」という区分は、住宅宿泊事業法(民泊新法)の条文や政令・省令のどこにも登場しないということです。

観光庁が公開しているFAQ集(令和3年3月12日時点版)には、以下のように記載されています。
住宅宿泊事業法 FAQ集(令和3年3月12日時点版)(2026-05-20取得)
「届出住宅において宿泊者が宿泊する間、事業者が当該届出住宅または隣接する届出住宅に居住しているものを一般的に家主居住型、そうでないものを家主不在型と呼ぶことがあります」と記載。法律上の正式区分ではなく通称である旨が明示されています。
このFAQの記述が示す通り、「居住型」「不在型」という呼び名はあくまでも実務慣行上の通称です。法律が実際に規定しているのは「住宅宿泊管理業務を委託しなければならない条件」であり、この条件に該当するかどうかが運営の仕組みを決定的に左右します。
住宅宿泊事業法第11条第1項:委託義務が発生する2つの条件
住宅宿泊事業法第11条第1項は、住宅宿泊事業者(届出をした事業者)が住宅宿泊管理業者(登録業者)に管理業務を委託しなければならない場合として、次の2つを定めています。
| 条件番号 | 委託義務が発生する場合 | 実務上の目安 |
|---|---|---|
| 条件① | 届出住宅の居室の数が5を超える場合 | 居室6室以上の物件は、生活の本拠が同一建物内にあっても委託義務 |
| 条件② | 宿泊者が滞在している間、事業者が当該届出住宅に不在となる場合 | 「不在」の詳細は次のセクションで解説 |
委託義務が免除される条件(ただし書き)
住宅宿泊事業法第11条第1項ただし書きは、条件①②に当たる場合でも委託義務が免除される例外を定めています。具体的には、届出住宅が「住宅宿泊事業者が生活の本拠として使用する住宅」と同一建物内または同一敷地内にある場合、あるいは隣接する場合です。
「隣接」の解釈については、住宅宿泊事業法施行要領(令和6年12月24日最終改正)に詳細な記載があります。隣接とは原則として「届出住宅と生活の本拠となる住宅が、道路・水路等を挟まずに接していること」とされています。建物が道路を挟んで向かいにある場合などは隣接に当たらないとされるため、個別事情に応じた確認が必要です。
住宅宿泊事業法施行要領(令和6年12月24日最終改正)(2026-05-20取得)
「隣接」の定義、委託義務の詳細解釈、届出書記載における居住型チェックの要件(建物内居住に限られる)などが記載されています。
民泊制度ポータル「住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?」(2026-05-20取得)
住宅宿泊事業者・住宅宿泊管理業者・住宅宿泊仲介業者の3事業者区分と、各事業者に課される義務の全体像が整理されています。
「家主居住型」「家主不在型」は法律の正式用語じゃないと知りませんでした。では、届出書にはどう書けばいいのでしょう?
届出書の様式には「管理業務を自ら行う(委託しない)」または「住宅宿泊管理業者に委託する」を選択する欄があります。どちらを選ぶかは「委託義務が発生するか否か」の条件で決まります。自治体窓口または行政書士に事前確認することをおすすめします。
「不在」の定義とよくある誤解
法律上の「不在」とは何か
委託義務の有無を判断するうえで最も重要なのが、「不在」という概念の正確な理解です。宿泊者が滞在している間に事業者が「不在」になれば委託義務が発生します。

観光庁の民泊制度ポータル「管理業務の委託について」によると、「不在」とは「宿泊者の宿泊期間中において、事業者が一時的な不在の範囲を超えて届出住宅を外出すること」とされています。
民泊制度ポータル「管理業務の委託について」(2026-05-20取得)
委託義務の法的根拠(住宅宿泊事業法第11条)、「不在」の定義(原則1時間以内・やむを得ない場合は最大2時間程度)、家族が在宅でも事業者本人不在はNGである旨が詳細に記載されています。
「一時的な不在」の範囲
一時的な不在の範囲として観光庁ガイドラインが示す目安は次のとおりです。
| 区分 | 時間の目安 | 具体例 |
|---|---|---|
| 原則 | 1時間以内 | 近くのコンビニへの買い物、近隣の病院への短時間通院など |
| やむを得ない場合 | 最大2時間程度まで | 急な来客対応、近隣への緊急の用事など |
| 委託義務が発生する不在 | 2時間を超える外出、または常態的な不在 | 通勤・勤務時間中の不在、旅行・出張など |
なお、「宿泊者が全員外出している間」の事業者の外出は「不在」には該当しないとされています。これはFAQ集にも明記されており、宿泊者が物件にいない状況での事業者の外出は問題ないという解釈です。ただし、宿泊者が戻る前に帰宅できる状況であることが前提と考えられます。
よくある誤解4つと正しい理解
注意 以下の4つの誤解は、実際の運営で違法状態を招くリスクがあります。届出前に必ず確認してください。
誤解①「家族が在宅なら事業者が不在になっても問題ない」
これは誤りです。FAQ集(令和3年3月12日時点版)には、「家族が在宅であっても、事業者本人が不在の場合は委託義務が発生する」と明記されています。住宅宿泊事業法が求めているのは「事業者」(届出をした本人)の在宅であり、家族・同居人の存在では代替できません。
誤解②「従業員を常駐させれば事業者本人は不在でよい」
法人が住宅宿泊事業者として届出をした場合でも、「その法人の代表者等が実質的に常駐している」という状態が求められます。従業員の常駐のみでは、法律上の意味での「事業者の在宅」とは認められない場合があるとされています。この点は法人での届出を検討している方が特に注意すべき点です。詳細は各都道府県の担当窓口に確認することをおすすめします。
誤解③「隣の部屋・同じフロアに住んでいれば居住型として扱える」
同一建物内であれば問題ない場合が多いですが、建物が分かれている(別棟など)場合は「隣接」の要件を満たすかどうかの確認が必要です。施行要領が定める「隣接」の解釈は「道路・水路等を挟まずに接していること」が原則です。敷地内であっても建物が離れている場合は個別判断が求められることがあります。
誤解④「昼間だけ仕事で不在にする。朝晩は在宅だから問題ない」
「宿泊者が滞在している間」の不在が問題になります。宿泊者は通常、夜間から翌朝にかけて在宅していることが多いため、「昼間だけ不在」というケースでも宿泊者がチェックインしている時間帯に事業者が不在であれば委託義務の対象となりえます。実際の宿泊者の滞在時間帯と事業者のスケジュールを照らし合わせた判断が必要です。
週末だけ民泊で運営し、平日は仕事で不在の場合はどうなりますか?
宿泊者が滞在している時間帯に事業者が不在になるかどうかが判断基準です。週末しか受け付けない設定でも、宿泊者が在籍している間に2時間を超えて不在になるなら委託義務が発生します。運営スタイルに合わせて、事前に都道府県の窓口へ確認されることをおすすめします。
家主居住型と家主不在型の比較表
表1:主要な違い一覧
| 比較項目 | 家主居住型(委託義務なし) | 家主不在型(委託義務あり) |
|---|---|---|
| 法律上の根拠 | 第11条ただし書き:委託義務の例外に該当 | 第11条第1項:委託義務が発生 |
| 管理業務の担い手 | 事業者本人(自己管理) | 登録住宅宿泊管理業者(一括委託必須) |
| 管理費用の目安 | 不要(自分で行うため費用は自分の手間) | 売上の15〜30%程度が一般的な目安(業者により異なる) |
| 在宅の必要性 | 宿泊者滞在中は原則在宅(一時的不在2時間以内) | 事業者の在宅不要(管理業者が対応) |
| スケールのしやすさ | 難しい(自分の時間・体力に依存) | 複数物件の同時運営が可能 |
| ゲストとのコミュニケーション | 直接対応が可能(高評価につながりやすい) | 管理業者経由(対面コミュニケーションは少ない) |
| 向いている物件形態 | 自宅の空き部屋、同一建物内の一室 | 賃貸物件全室、投資用物件、遠隔地の物件 |
| プライバシー | ゲストと生活空間を共有(制約あり) | 生活空間の分離が可能 |
表2:どちらを選ぶべきかの判断フロー
以下のポイントを確認しながら、自分の状況に合った形態を判断してください。最終的な判断は必ず都道府県の担当窓口または行政書士に確認することをおすすめします。

| チェックポイント | 「はい」の場合 | 「いいえ」の場合 |
|---|---|---|
| 届出住宅の居室数が6室以上ある | 委託義務あり(不在型で届出必須) | 次の確認へ |
| 宿泊者滞在中に2時間超の外出が常態化する(通勤・仕事等) | 委託義務あり(不在型で届出必須) | 次の確認へ |
| 生活の本拠(自宅)が届出住宅と同一建物内または同一敷地内 | 居住型として届出可能(ただし条件確認必須) | 「隣接」要件の確認が必要。不明な場合は窓口へ |
| 複数物件を同時に民泊として運営したい | 委託義務あり(不在型で届出)。管理業者への委託が前提 | 1物件のみであれば居住型も選択肢 |

居住型のほうがコストがかからないのはわかりましたが、どれくらい収益が変わりますか?
管理費用の目安は売上の15〜30%程度とされています。たとえば月20万円の売上なら3〜6万円の管理費がかかる計算です。ただし不在型であれば物件を複数展開できるため、スケールアップ後の総収益は居住型より大きくなる場合もあります。収支シミュレーターで試算することをおすすめします。
家主居住型のメリット・デメリット
メリット:コスト優位性とゲスト体験の充実
家主居住型(委託義務が発生しない形態)の最大のメリットは、住宅宿泊管理業者への委託費用が不要である点です。売上の15〜30%程度とされる管理費がゼロになることで、同じ売上でも手元に残る収益が大きくなります。
また、事業者がゲストと直接コミュニケーションを取れるのも大きな特徴です。チェックイン時に直接案内したり、近くのおすすめスポットを紹介したりすることで、ゲストの満足度を高めやすい環境が生まれます。Airbnbなど宿泊プラットフォームのレビュー制度においては、ホストとの直接交流が高評価につながるケースが多く見られます。
さらに、運営の柔軟性も居住型の利点です。カレンダー管理・価格設定・清掃スケジュールなどをすべて自分で決められるため、自分のライフスタイルに合わせた無理のない運営ができます。
デメリット:在宅義務とプライバシーの制約
最も大きなデメリットは宿泊者が在籍している間は常に在宅していることが求められる(一時的不在は2時間以内)という制約です。旅行・出張・長時間の外出ができなくなるため、生活の自由度は大きく制限されます。特に、副業として民泊を行いながら本業の仕事をしている方にとっては、この制約が実質的なハードルになるケースがあります。
次に、ゲストのクレーム・トラブルをすべて自分で対応しなければならないという点も挙げられます。深夜のクレーム対応、設備不具合への対処、ゲスト同士のトラブルなど、精神的・体力的な負担は小さくありません。
また、スケールしにくいという側面もあります。自分の在宅が前提のため、物件を増やすほど管理が難しくなり、事実上1〜2物件での運営が現実的な上限になることが多いです。
向いているケース
- 自宅の空き部屋(使っていない洋室・和室など)を活用したい
- 在宅ワーク・フリーランスなど、時間の融通が効く働き方をしている
- ゲストとのコミュニケーションを楽しみたいホスト気質の方
- まず小規模から始めて民泊の感覚を掴みたい
- 外国語が得意で、インバウンドゲストへの対応を自分で行いたい
居住型は清掃業者を使えないのですか?自分で掃除するしかないのでしょうか?
居住型でも外部の清掃業者を利用することは可能です。「管理業務の委託」と「清掃の外注」は別物で、清掃だけを外部委託することに法的制限はありません。ただし、管理業務(衛生・安全・外国語対応・名簿・苦情等)は事業者本人が担当する必要があります。
家主不在型のメリット・デメリット
メリット:生活の自由と拡張性
家主不在型(委託義務が発生する形態)の最大のメリットは、普段の生活スタイルを維持したまま民泊を運営できる点です。宿泊者が在籍している間も自由に外出でき、旅行・出張・長時間の仕事も可能です。副業として不動産投資をしているサラリーマン・投資家にとっては、この点が決定的な選択理由になることが多いです。
また、管理業者へ法定6業務を一括委託することで、実際の運営の手間を大幅に削減できるのも利点です。衛生管理・安全確認・ゲストとのコミュニケーション・苦情対応など、日常的な運営業務をプロに任せることで、物件オーナーはより戦略的な判断(物件選定・価格戦略・サービス改善)に集中できます。
さらに、複数物件を同時に運営できる拡張性も大きな魅力です。居住型では事業者の在宅が前提のため事実上1物件が限界ですが、不在型であれば管理業者に複数物件をまとめて委託することも可能で、民泊事業のスケールアップが実現しやすくなります。
デメリット:管理費用と業者選定の手間
最大のデメリットは管理委託費用の発生です。住宅宿泊管理業者への委託費用の目安は、一般的に売上の15〜30%程度とされていますが、業者・エリア・サービス内容によって差があります。これはあくまでも目安であり、実際の契約内容は各業者に直接確認することが必要です。委託費用の水準は収益計画に大きく影響するため、複数業者の見積もりを比較したうえで選定することが現実的です。
次に、適切な管理業者を選定する手間と時間が必要です。住宅宿泊管理業者として国土交通省に登録された業者の数は2026年3月時点で4,095件(民泊制度ポータル「施行状況」より)に上ります。エリア対応・料金体系・実績・サービスの幅は業者によって大きく異なるため、慎重な選定が求められます。業者選びに失敗すると、ゲストへの対応品質が下がり、レビュー評価の低下につながるリスクもあります。
向いているケース
- フルタイムで別の仕事をしており、民泊を副業・投資として位置づけたい
- 複数物件の民泊経営を目指している、またはすでに行っている
- 遠隔地(居住地から離れた物件)で民泊を運営したい
- 旅行・出張が多く、常時在宅できないライフスタイルである
- 物件の管理よりも収益の最大化・物件の拡大に注力したい
不在型は最初から管理業者に全部頼む前提で始めるべきですか?
住宅宿泊事業法上、不在型の場合は「登録住宅宿泊管理業者への一括委託」が法的に義務付けられています。法定6業務を分割して一部だけ外注することはできません。届出前に委託予定の管理業者を決めてから手続きを進める流れが現実的です。
委託業者(住宅宿泊管理業者)の選び方と法定6業務
登録業者のみが委託先として認められる
住宅宿泊事業法上、管理業務の委託先は国土交通省に登録された「住宅宿泊管理業者」に限定されています。登録を受けていない業者(いわゆる管理代行サービスなど)への委託は法律上認められておらず、委託したとしても委託義務を果たしたことにはなりません。

国土交通省の登録を受けた住宅宿泊管理業者の数は、2026年3月時点で4,095件に上ります(民泊制度ポータル「施行状況」より)。届出前に委託先となる業者を決め、委託契約を締結したうえで届出書に業者名を記載する流れが一般的です。
民泊制度ポータル「施行状況」(2026-05-20取得)
届出件数61,605件・管理業者登録4,095件(2026年3月時点)などの施行状況データが公開されています。
法定6業務:一括委託が必須で分割委託は不可
住宅宿泊事業者が管理業者に委託できる業務は、法律で定められた次の6業務です。これらの業務はすべてを一括して1つの登録管理業者に委託しなければならず、分割して複数業者に分けて委託することは認められていません。
民泊制度ポータル「事業者の業務
」(2026-05-20取得)
法定業務(衛生確保・安全確保・外国語対応・宿泊者名簿管理・周辺環境配慮・苦情対応)の詳細と事業者の義務が記載されています。
| 法定業務 | 具体的な内容 |
|---|---|
| ①衛生確保措置 | 居室・設備の定期的な清掃・消毒、アメニティの補充など |
| ②安全確保措置 | 非常用照明・消火設備・避難経路等の確認、緊急時の対応体制整備 |
| ③外国語による案内 | 施設の使用方法・緊急連絡先等の外国語表記(英語は最低限必須) |
| ④宿泊者名簿の管理 | 氏名・住所・国籍・旅券番号等の記録・保管(3年間) |
| ⑤周辺環境への配慮 | 騒音・ゴミ出し・駐車などに関するゲストへの案内と苦情予防 |
| ⑥苦情対応 | 近隣住民・ゲストからの苦情受付・処理(24時間体制が求められる場合あり) |
管理業者の選定ポイント
管理業者の選定に当たっては、以下のポイントを確認することが現実的です。なお、料金・サービス内容は業者により大きく異なるため、複数業者への問い合わせと比較が重要です。
- エリア対応の可否:物件所在地のエリアに対応しているか(遠隔対応の可否)
- 料金体系:売上連動型か固定費型か。清掃費・緊急対応費の扱い
- 実績と評判:担当物件数・レビュー評価・トラブル対応の実績
- サービスの幅:OTA(Airbnb等)の出品代行・価格最適化・多言語対応のレベル
- 緊急対応体制:24時間365日の対応が可能かどうか
- 契約形態:最低契約期間・解約条件・更新手数料の有無
実務上は、まず民泊に特化した行政書士に届出手続きの相談をしながら、その際に管理業者の紹介を受けるルートも有効です。また、自治体の窓口や住宅宿泊事業者向けのセミナーでも業者情報を収集できます。
管理業者が登録されているかどうかは、どうやって確認できますか?
国土交通省の「住宅宿泊管理業者登録簿」で確認できます。業者名・登録番号・所在地・登録更新日などが公開されています。契約前に必ず登録状況を確認することをおすすめします。
「居室5室ルール」の詳細解説
「居室」の数え方
住宅宿泊事業法上の「居室」とは、宿泊者のグループが独立して使用できる部屋の数を指します。寝室として使える部屋の数と理解するのが実務上の目安です。

一般的な数え方の例を示します。
| 物件の間取り | 居室数の目安 | 委託義務の目安 |
|---|---|---|
| 1LDK(洋室1室) | 居室1室 | 条件②(不在か否か)のみで判断 |
| 3LDK(洋室3室) | 居室3室 | 5室以下のため条件②のみで判断 |
| 5LDK(洋室5室) | 居室5室 | 5室のため条件②のみで判断(ぎりぎり条件①の対象外) |
| 6LDK以上(洋室6室以上) | 居室6室以上 | 条件①に該当:委託義務あり(在宅状況に関係なく) |
LDKは居室にカウントされるか
LDK(リビング・ダイニング・キッチン)は一般的に「居室」にはカウントされません。ただし、実際の物件では間取りが複雑なケースもあります。たとえば、リビングにソファベッドを置いてゲストが宿泊できる状態であれば居室として扱われる場合もありえます。
居室数の数え方に迷う場合は、都道府県の担当窓口(住宅宿泊事業の受付窓口)に事前確認することが確実です。観光庁の民泊制度ポータルでは届出先の自治体一覧も公開されています。
複数の届出住宅を持つ場合の居室数の計算
「居室5室超」の判断は1つの届出住宅ごとの居室数で判断します。複数の物件を届け出ている場合でも、それぞれの物件単位で居室数を数え、1物件につき5室以下であれば条件①は満たしません。ただし、条件②(不在)の判断は各物件ごとに独立して行う必要があります。

3LDKの自宅で、洋室3室のうち2室だけを民泊に使う場合、居室数は何室になりますか?
届出住宅の居室数は「実際に宿泊に使用する居室の数」ではなく「届出住宅が持つ居室の数」で判断されます。3LDKで3室あれば3室が基本です。ただし解釈に幅があるケースもあるため、届出先の自治体窓口に事前に確認されることをおすすめします。
居住型・不在型の判断ミスによる失敗事例
実務上、居住型・不在型の判断を誤ったまま運営を始め、後からトラブルになるケースが見られます。代表的な5つの失敗パターンを紹介します。いずれも「事前に確認していれば防げた」事例です。
失敗事例①:「家族が在宅だから大丈夫」と思い込んでいたケース
共働きの夫婦が自宅の空き部屋を民泊に利用。夫は夜間在宅だが、昼間は仕事で不在。妻も午前中だけ在宅という状況で届出を「居住型」として申請した。後日、都道府県の担当者から「宿泊者が滞在している間に事業者(夫婦どちらも)が2時間超の不在になるなら委託義務が発生する可能性がある」と指導を受け、運営形態の見直しが必要になった事例。
失敗事例②:無登録業者への委託で届出が無効になったケース
管理代行と称して民泊の清掃・受付対応を一括して引き受けるサービスを利用し、届出書に委託業者名を記載した。しかし、その業者が住宅宿泊管理業者として登録されていないことが後から発覚。届出の内容が実態と乖離していることを指摘され、届出の修正を余儀なくされた。委託先を決める際は、国土交通省の登録簿で登録を確認することが不可欠です。
失敗事例③:「隣の建物に住んでいるから居住型」と誤解したケース
道路を挟んで向かいにある自宅から届出住宅の管理をしようとし、「隣接している」と判断して居住型で届出を提出した。しかし、担当窓口から「道路を挟んでいる場合は隣接の要件を満たさない可能性がある」との見解を受け、委託業者への委託を改めて求められた事例。「隣接」の判断は施行要領の解釈と各自治体の運用に依るため、事前確認が重要です。
失敗事例④:管理業者との委託内容が法定6業務を満たしていなかったケース
コストを抑えるため、清掃業者に「清掃と名簿管理だけ」を委託し、残りの業務(外国語対応・苦情対応等)は自分で行う形での届出を申請しようとした。法定6業務は「一括委託」が原則のため分割委託は認められないと指摘を受け、対応が全6業務をカバーした管理業者への一括委託に変更となった事例。
失敗事例⑤:運営途中で不在型に変わったのに届出変更をしなかったケース
居住型で届出をした後、転勤により物件から離れた場所に引っ越した。実態は不在型になったにもかかわらず、届出変更をしないまま運営を継続。「届出の内容に変更が生じた場合は変更届を提出する義務がある」という規定に反することになり、是正対応が必要になった事例。生活環境・居住地の変化があった場合は、速やかに都道府県担当窓口に相談することが重要です。
これだけ注意点が多いと、自分で判断せずに専門家に相談したほうがよいですか?
物件の条件・居住状況・運営スタイルが複雑な場合は、民泊・旅館業に詳しい行政書士に届出前相談をすることが現実的です。自治体の無料相談窓口も活用できます。最終的な判断は必ず専門家・行政窓口にご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 同一建物内に住んでいますが、仕事で昼間不在になります。これは委託義務がある形態(家主不在型)になりますか?
宿泊者が滞在している時間帯に、事業者が「一時的な不在の範囲(原則1時間・最大2時間程度)」を超えて外出する状況が常態化している場合は、委託義務が発生する可能性があります。「昼間の勤務時間中に宿泊者が在籍している」状況が想定される場合は、委託義務が発生すると解釈されうるケースがあります。ただし、チェックアウトが午前中に完了していて宿泊者が退去してから外出するのであれば不在には当たりません。個別の状況に応じて都道府県の担当窓口に事前確認することをおすすめします。
Q2. 居住型で運営を始め、途中から不在型に切り替えることはできますか?
切り替え自体は可能ですが、届出内容(管理業者への委託の有無)に変更が生じるため、変更届の提出が必要です。また、不在型に切り替える場合は委託先となる住宅宿泊管理業者(登録業者)を事前に決め、委託契約を締結したうえで変更届を出す必要があります。変更届の手続きは各都道府県の担当窓口に確認してください。
Q3. 隣の建物(敷地外)に住んでいる場合、委託義務なしの届出はできますか?
住宅宿泊事業法施行要領が定める「隣接」の解釈では、道路・水路等を挟んでいる場合は隣接に当たらないとされる場合があります。敷地外・道路を挟んだ向かいの場合は、原則として委託義務が発生する形態(不在型)の扱いになる可能性が高いとされています。この点は自治体による解釈の差があるため、必ず届出先の担当窓口に個別確認することが不可欠です。
Q4. 居住型でも清掃業者を使えますか?
はい、可能です。住宅宿泊事業法が委託を義務付けているのは「住宅宿泊管理業務」(法定6業務)であり、清掃作業のみを外部の清掃会社に依頼することは別の話です。居住型の場合でも、清掃業者への外注は法律上制限されていません。ただし、清掃の結果確認・衛生確保の最終責任は事業者(届出者)本人が持つことになります。
Q5. 法人として住宅宿泊事業者の届出をする場合、「事業者の在宅」はどのように判断されますか?
法人が事業者として届出をする場合でも、「代表者その他の法人の業務を執行する社員等が生活の本拠として使用する住宅に居住しているか否か」という観点で判断されます。従業員の常駐のみをもって「法人が在宅している」とは一般的に解釈されないとされています。法人での届出を検討する場合は、具体的な状況を都道府県の担当窓口に確認することをおすすめします。
Q6. 宿泊者が旅行で丸1日外出している日は、事業者も外出できますか?
観光庁のFAQ集によると、「宿泊者が全員外出中の場合の事業者の外出は『不在』には該当しない」とされています。ただし、宿泊者が戻ってきた際に事業者が在宅できる状態であることが前提となります。宿泊者の行動スケジュールを事前に把握したうえでの行動が現実的です。
Q7. 委託義務が発生するにもかかわらず委託しなかった場合、どのようなリスクがありますか?
住宅宿泊事業法では、委託義務に違反した場合、都道府県知事による指導・是正措置の対象となる可能性があります。また、届出内容と実態が異なる状態で運営を継続することは、届出の虚偽記載に当たりうるリスクもあります。罰則規定の詳細については都道府県の担当窓口または行政書士に確認してください。なお、法改正により取り扱いが変更される場合があるため、最新情報の確認が重要です。
まとめ
本記事では、「家主居住型・家主不在型」という通称の意味とその法律上の位置づけ、委託義務が発生する条件(居室5室超・宿泊者滞在中の不在)、「不在」の定義(原則1時間・最大2時間)、よくある誤解とその正しい理解、それぞれのメリット・デメリット、管理業者への一括委託が必要な法定6業務、居室の数え方、そして失敗事例までを解説しました。
判断のポイントを整理すると、「自分が宿泊者と同じ建物・敷地内に住み、宿泊者が在籍している間に2時間超の外出が常態化しないのであれば、委託義務なし(居住型)として運営できる可能性がある」というのが大きな目安です。ただし、これはあくまでも実務上の目安であり、「隣接」の解釈・居室数の数え方・個別の物件状況によって判断が変わります。
届出の誤りは後からの修正・是正対応に手間と時間がかかります。届出前に都道府県の担当窓口または民泊・旅館業に詳しい行政書士に相談することが、結果的に最も近道です。また、自分の物件が民泊の届出要件を満たしているかどうかは、以下の無料可否診断でもチェックできます。
⚠️ 本記事は2026-05-20時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊の制度は改正される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
📋 ご確認ください(民泊学校 編集部より)
本記事は 2026-05-20 時点で公開されている公式情報・一次情報をもとに編集しています。
法律、条例、税制、消防、各種許認可、収支見通しなどは、お住まいの自治体・対象物件の所在地・物件種別・運営形態によって取扱いが異なります。
最終的なご判断は、必ず以下にご確認ください。
- 制度・条例: 民泊制度ポータルサイト / 物件所在地の自治体(住宅宿泊事業 / 旅館業 / 特区民泊の所管課)
- 消防: 物件所在地の所轄消防署
- 税務: 顧問税理士 または 所轄税務署
- 許認可・届出: 行政書士(民泊・旅館業に詳しい方)
- 近隣対応・契約: 弁護士・宅地建物取引士
当サイトでは、上記の専門家・自治体への確認窓口を 運営代行業者の選び方 で案内しています。
収支試算は 収支シミュレーター、物件可否は 無料可否診断 をご利用ください。
本記事の情報は予告なく変更される可能性があります。掲載情報の利用により生じたいかなる損害についても、当サイトは責任を負いかねます。










