住宅宿泊事業の届出申請 手順・流れ 完全ガイド|民泊制度運営システム 電子申請 2026年版
編集: 民泊学校 編集部 | 最終更新日: 2026-05-20
住宅宿泊事業(いわゆる民泊)を始めるには、都道府県知事(または特定の自治体)への「届出」が必要です。旅館業は都道府県知事の「許可」が必要なのに対し、住宅宿泊事業は書類が整えば受理される「届出制」です。この違いは小さいようで実務上は大きく、旅館業許可は現地調査を経た審査に数ヶ月を要することがある一方、住宅宿泊事業の届出は書類が揃えばオンラインで手続きが完結します。ただし、届出が受理される前に営業を開始することは住宅宿泊事業法上の違反となる可能性があるため、受理通知を待ってからOTAへの掲載・予約受付を始めることが現実的な進め方です。
民泊制度ポータルの施行状況データによれば、2026年3月時点で累計届出件数は61,605件(現行届出数39,575件)に達しています。民泊が「制度の外」から「制度の中」に移行した2018年6月以降、届出件数は着実に積み上がっており、本記事を読んでいるあなたも、その手続きの入口に立っているはずです。
この記事では、届出に必要な前提確認から、民泊制度運営システムを使った電子申請の6ステップ、届出番号取得後の手続き、よくある却下・不備事例まで、実務の流れに沿って解説します。書類の準備が不安な場合は、行政書士への相談という選択肢も後半で整理しています。
この記事でわかること
- 住宅宿泊事業の届出制と旅館業許可制の実務上の違い
- 届出前に確認すべき3つの前提条件(物件要件・用途地域・消防)
- 個人・法人別の必要書類一覧(有効期限・翻訳義務を含む)
- 民泊制度運営システムによる電子申請の6ステップ詳細
- 届出番号(M+9桁)取得後に行うべき手続きの全体像
- 変更届・廃止届が必要なケースと提出期限
- 届出申請でよくある不備・却下事例とその防ぎ方

民泊制度ポータル「民泊の施行状況」(2026-05-20取得)
累計届出件数61,605件・現行届出件数39,575件(2026年3月時点)。届出件数の推移が確認できる公式データ。
Contents
届出前に確認する3つの前提条件
届出書を記入する前に、そもそも「この物件で住宅宿泊事業ができるのか」を3つの観点から確認しておく必要があります。この3条件のいずれかを満たさない場合、書類を揃えても届出が受理されない、または受理後に行政指導を受けるリスクがあります。順番に確認しましょう。

条件1: 物件が「住宅」の定義を満たすか(住宅宿泊事業法第2条)
住宅宿泊事業法第2条は「住宅」を「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」「入居者の募集が行われている家屋」「随時その所有者、賃借人または転借人の居住の用に供されている家屋」と定義しています。つまり、宿泊専用の施設として新たに取得した物件は原則として「住宅」の定義を満たさないため、住宅宿泊事業ではなく旅館業法の許可が必要になります。
自分が日常的に居住している家の空き部屋を貸す場合や、転勤・長期出張中の自宅を貸し出す場合は「住宅」に該当する可能性が高いといえます。一方で、賃貸物件を民泊専用に借りる場合は「随時その所有者、賃借人…の居住の用に供されている」かどうかの判断が問われます。判断が曖昧な場合は、所管の都道府県窓口または行政書士への事前確認が現実的な進め方です。
厚生労働省「住宅宿泊事業法 条文」(2026-05-20取得)
第2条(住宅・事業の定義)・第3条(届出の根拠)・第4条(欠格事由)を収録。住宅の定義の一次情報として参照すること。
条件2: 用途地域・マンション管理規約の確認
用途地域によっては、住宅宿泊事業が条例で制限または禁止されている場合があります。例えば京都市や東京都渋谷区などでは、住居専用地域での民泊営業日数を制限したり、特定の地区では一切認めない条例を設けています。物件が所在する自治体の民泊関連条例を必ず確認してください。
マンションの場合はさらに、管理規約または使用細則で「民泊(または短期賃貸)の禁止」が明記されていないかを確認する必要があります。管理規約で禁止されている状態で届出をしても、管理組合から差止請求を受けるリスクがあります。区分所有建物の場合は管理組合への事前確認が欠かせません。
条件3: 消防設備の事前確認(届出前に消防署相談が必要)
住宅宿泊事業の届出には「消防法令適合通知書」の添付が求められます(床面積33㎡以上の場合は消防署への事前相談が原則です。33㎡未満でも相談することを推奨します)。消防設備(自動火災報知設備、誘導灯、消火器等)が基準を満たしているかは、物件の規模・用途・構造によって異なります。消防署への相談→設備設置→消防法令適合通知書の取得という流れに一定の時間がかかることを見越して、届出作業と並行して早めに着手することが現実的です。
注意: 消防法令適合通知書を添付せずに届出を提出しても不受理となる場合があります。消防署との相談は届出書類準備と同時進行で進めることをお勧めします。
| 確認項目 | 確認先 | NGの場合 |
|---|---|---|
| 物件が住宅の定義を満たすか(法第2条) | 都道府県窓口または行政書士 | 旅館業法の許可申請を検討 |
| 用途地域・条例の制限なし | 市区町村の都市計画課 | 営業地域・日数制限の有無を再確認 |
| マンション管理規約で禁止されていない | 管理組合・管理会社 | 管理規約変更または物件変更を検討 |
| 消防設備が基準を満たすか | 物件所在地の消防署 | 設備設置・改修後に再相談 |
3つの条件を全部確認してから届出書を書き始める、という順番でよいですか?
その順番が現実的です。特に消防設備の確認は時間がかかるため、他の書類を並行して準備しながら消防署に相談を入れておくとスムーズです。3条件の確認なしに届出書を先に出しても、後から書類の差し替えや追加が発生する場合があります。
必要書類一覧(個人・法人別)
住宅宿泊事業の届出に必要な書類は、個人と法人で一部異なります。民泊制度ポータルが公表している「届出の際の添付書類」に基づいて整理します。書類には有効期限(発行から3ヶ月以内が原則)があるものも含まれるため、収集のタイミングに注意が必要です。

民泊制度ポータル「届出の際の添付書類」(2026-05-20取得)
個人12書類・法人13書類の詳細リスト。書類の有効期限・日本語翻訳義務についての公式説明を収録。
個人の場合(主な添付書類)
| No. | 書類名 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 届出書(様式第1号) | 民泊制度運営システムまたは書面 |
| 2 | 住宅の登記事項証明書 | 法務局で取得・発行3ヶ月以内 |
| 3 | 住宅の図面(平面図・各室の床面積) | 建物の間取りがわかるもの |
| 4 | 欠格事由に該当しない旨の誓約書 | 様式は民泊制度ポータルに掲載 |
| 5 | 住宅宿泊管理業者への委託契約書の写し | 家主不在型の場合のみ必要 |
| 6 | 消防法令適合通知書 | 所轄消防署が交付(床面積に関わらず確認推奨) |
| 7 | 区分所有建物の管理規約 | マンション等の場合。禁止規定の有無を確認 |
| 8 | 賃貸物件の場合は賃貸人の承諾書 | 賃借人が届出する場合に必要 |
| 9 | 住宅の所有を示す書類(賃貸借契約書等) | 所有権または賃借権を確認 |
| 10 | 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等) | 有効期限内のもの |
| 11 | 住宅の案内図(周辺地図) | 物件所在地を示す地図 |
| 12 | 外国語書類の日本語翻訳文 | 外国語書類がある場合に添付必須 |
法人の場合(個人書類に追加・変更)
| No. | 書類名 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 届出書(様式第1号) | 法人名・代表者名で記載 |
| 2 | 法人の登記事項証明書 | 法務局で取得・発行3ヶ月以内 |
| 3 | 定款または寄附行為の写し | 法人の目的に宿泊事業を含むことが望ましい |
| 4 | 役員全員の住民票 | 本籍地記載・発行3ヶ月以内 |
| 5 | 役員全員の欠格事由に該当しない旨の誓約書 | 各役員が個別に提出 |
| 6 | 住宅の登記事項証明書 | 発行3ヶ月以内 |
| 7 | 住宅の図面(平面図・各室の床面積) | 個人と同様 |
| 8 | 住宅宿泊管理業者への委託契約書の写し | 家主不在型の場合のみ |
| 9 | 消防法令適合通知書 | 個人と同様 |
| 10 | 区分所有建物の管理規約 | マンション等の場合 |
| 11 | 賃貸物件の場合は賃貸人の承諾書 | 個人と同様 |
| 12 | 住宅の所有を示す書類 | 法人名義の登記または賃貸借契約 |
| 13 | 外国語書類の日本語翻訳文 | 外国語書類がある場合 |
共通の注意点
住民票・登記事項証明書など、有効期限が定められている書類は原則として「発行から3ヶ月以内」のものが求められます。書類収集から届出提出まで時間がかかると、先に取得した書類の有効期限が切れてしまうケースがあります。特に法人の場合、役員全員分の書類を揃える必要があるため、提出タイミングを意識した計画的な準備が求められます。
外国語で作成された書類(外国法人の書類、外国語の賃貸借契約等)がある場合は、日本語翻訳文の添付が義務付けられています。翻訳は公的な証明は不要ですが、内容の正確性が求められます。

住民票は役所で取ればいいのですか?本籍地の記載は必要ですか?
住民票は市区町村の窓口またはマイナンバーカードを使ったコンビニ交付で取得できます。欠格事由の確認のため、本籍地記載のものを求められる場合があります。都道府県窓口に確認してから取得すると無駄がありません。
民泊制度運営システムの使い方(電子申請 6ステップ)
住宅宿泊事業の届出はオンラインで完結できます。国土交通省が運営する「民泊制度運営システム」(https://www.minpaku.mlit.go.jp/jigyo/)を使えば、書類のアップロードから申請送信まで一連の手続きが可能です。電子申請が原則ですが、マイナンバーカードによる電子署名が利用できない場合は書面提出も認められています。

民泊制度ポータル「民泊制度運営システムの利用方法」(2026-05-20取得)
電子申請原則・マイナンバーカードによる電子署名・書面提出の手順について公式に説明されているページ。
Step 1: アカウント作成
民泊制度運営システムへのアクセス後、「新規登録」から利用者アカウントを作成します。メールアドレスと基本情報を登録します。電子申請には原則としてマイナンバーカードを使った電子署名が必要です。マイナンバーカードが手元にない場合は、事前に市区町村窓口での交付申請が必要となるため、余裕を持ったスケジュール管理が求められます。なお、マイナンバーカードが用意できない場合でも、書面での届出提出という選択肢があります(後述)。
Step 2: 事業者情報の登録
ログイン後、「事業者情報の登録」から届出人(個人 または 法人)の基本情報を入力します。氏名・住所・連絡先・法人の場合は法人名・代表者名・法人番号を入力します。この情報は全届出住宅共通の事業者プロフィールとして保存されるため、複数物件を届出する際は共通利用できます。
Step 3: 届出住宅情報の入力
届出住宅(物件)ごとに、所在地・建物の構造・延床面積・客室数・宿泊可能人数・家主居住型または家主不在型の別・住宅宿泊管理業者名(家主不在型の場合)などを入力します。この段階で入力する情報は届出書(様式第1号)の内容と対応しているため、手元に住宅の登記事項証明書・図面を用意した状態で進めると入力がスムーズです。
Step 4: 添付書類のアップロード(PDF形式)
必要書類一覧で確認した書類をスキャンし、PDF形式でシステムにアップロードします。ファイルサイズに上限が設定されている場合があるため、スキャン解像度を調整する必要があることがあります。画像が鮮明で文字が判読できることが受理の条件となります。書類ごとにファイルを分けてアップロードするよう求められます。
Step 5: 申請内容の確認・電子申請の送信
入力内容とアップロード書類の最終確認画面が表示されます。内容を確認した上で「申請する」ボタンを押すと、マイナンバーカードによる電子署名画面に進みます。ICカードリーダーまたはスマートフォンのNFC機能でマイナンバーカードを読み取り、署名用電子証明書のパスワード(英数字6〜16文字)を入力して送信します。送信完了後、登録したメールアドレスに受付通知が届きます。
Step 6: 審査・受理待ち
都道府県(または法定受託事務を行う自治体)が書類を審査します。審査期間は都道府県によって異なるため、事前に窓口へ確認することをお勧めします。一般的には数日〜数週間程度とされていますが、書類不備の補正対応が発生した場合はさらに時間を要します。審査が完了すると、システム上で「届出受理」の通知が届き、届出番号(M+9桁)が発番されます。
重要: 届出が受理される前に営業を開始することは、住宅宿泊事業法上の違反となる可能性があります。必ず「届出受理」の通知を受け取ってから予約受付・営業を開始してください。
電子署名が利用できない場合の書面提出
マイナンバーカードを持っていない、または電子署名環境を準備できない場合は、届出書(様式第1号)を印刷して記名・押印し、添付書類と合わせて管轄の都道府県窓口に郵送または持参することが認められています。書面提出の受付先・様式は各都道府県のウェブサイト(または民泊窓口)で確認してください。
| 比較項目 | 電子申請 | 書面提出 |
|---|---|---|
| 手続き場所 | インターネット(24時間対応) | 都道府県窓口または郵送 |
| 必要なもの | マイナンバーカード・ICカードリーダーまたはスマートフォン | 印刷・記名・押印した書類一式 |
| 書類管理 | システム上で進捗確認可能 | 窓口に問い合わせが必要 |
| 変更・廃止手続き | システムからオンライン手続き | 書面再提出が必要 |
申請を送信したらすぐに営業を始めていいのですか?
申請送信と届出受理は異なります。「届出受理」の通知を受け取り、届出番号が発番されてから営業を開始するのが正しい順番です。受理前の営業は法令上の問題が生じる可能性があります。
届出番号(登録証)取得後の手続き
届出が受理されると、都道府県知事から「届出番号」(M+9桁の形式)が発番されます。この番号は住宅宿泊事業者であることの証明になるとともに、OTA(Airbnb等)への掲載時に登録が求められます。受理後にすべき手続きを整理します。

届出番号の意味と保管
届出番号は「M」に続く9桁の数字で構成されます(例:M1234567890)。この番号は届出住宅ごとに異なる固有番号で、変更や廃止の際の手続きにも使用します。民泊制度運営システム上に記録されますが、紙での保存またはシステム画面のスクリーンショット保存をしておくと、後から参照しやすくなります。
標識(第十七号様式)の掲示義務
住宅宿泊事業法では、届出事業者は届出住宅の見やすい場所に「標識」(法定様式)を掲示することが義務付けられています。様式は民泊制度ポータルで公開されており、届出番号・届出事業者名・住宅宿泊管理業者名(家主不在型の場合)等を記載します。標識のサイズは縦15cm以上×横20cm以上が原則です。掲示場所は玄関ドアの外側または郵便受けの近くなど、宿泊者または来訪者が視認できる場所が適切です。
民泊制度ポータル「関連法令・様式集」(2026-05-20取得)
様式第1号(届出書)・様式第17号(標識)・変更届・廃止届の様式が一括でダウンロードできる。
OTAへの届出番号登録
Airbnbに住宅宿泊事業の物件を掲載する場合は、リスティング画面から届出番号を登録する手順が設けられています。届出番号を入力しないと掲載が完了しない場合や、後から入力を求められる場合があります。Booking.comなど他のOTAでも同様に、営業許可番号・届出番号の登録が求められることがあります。各OTAの管理画面のガイダンスに従って登録してください。
Airbnb公式ヘルプ「許可番号をリスティングに追加する」(2026-05-20取得)
届出番号フォーマット(M+9桁)とリスティングへの登録手順を案内している公式ページ。
180日カレンダーの管理開始
住宅宿泊事業は年間営業日数の上限が180日(条例によっては一層の制限あり)と定められています。届出番号を取得した時点から宿泊日数の管理が実務的に始まります。営業開始日から180日の上限をどのペースで消化するかを可視化するツールとして、民泊学校の180日カレンダーを活用できます。
宿泊者名簿の整備
住宅宿泊事業者は宿泊者名簿を備え付け、宿泊者の氏名・住所・職業・宿泊日を記録することが義務付けられています(住宅宿泊事業法第12条)。名簿は紙・電子データいずれでも可能で、3年間の保存が求められます。OTAのゲスト情報管理システムとの連携で記録を簡略化しているホストも実務上は多く見られますが、最終的な記録義務は事業者にあります。

届出番号を取得したら、すぐにAirbnbで予約を受け付けられますか?
届出番号取得後にOTAへの番号登録と標識の掲示を済ませてから予約受付を開始するのが現実的な流れです。標識の掲示は法令上の義務ですので、掲示なしでの営業開始は避けてください。
変更届・廃止届が必要なケース
一度届出を行っても、届出事項に変更が生じた場合や事業を廃止する場合は、それぞれ「変更届」または「廃止届」を提出する義務があります。提出期限は変更または廃止から30日以内です。これを怠ると過怠金の対象となる可能性があります(住宅宿泊事業法上の規定による)。

変更届が必要な主な事項
| 変更事項 | 具体例 | 提出期限 |
|---|---|---|
| 届出事業者の氏名・名称 | 個人の改氏名、法人の商号変更 | 変更から30日以内 |
| 住宅の所在地 | 住居表示変更、住所変更 | 変更から30日以内 |
| 家主居住型・家主不在型の別 | 転居による形態変更 | 変更から30日以内 |
| 委託する管理業者の変更 | 管理会社の乗り換え | 変更から30日以内 |
| 住宅の構造・設備の変更 | リノベーションによる客室数変更 | 変更から30日以内 |
廃止届が必要なケース
住宅宿泊事業を廃止する場合は、廃止日から30日以内に廃止届を提出します。物件の売却・賃貸借契約の終了・諸事情による事業撤退のいずれの場合も廃止届の対象です。廃止届を提出せずに放置すると、行政からの問い合わせが発生する場合があります。
変更届・廃止届は民泊制度運営システムからオンラインで手続き可能です。届出当初からシステムのアカウントを維持しておくことで、後続の手続きがスムーズになります。
管理会社を変更するたびに変更届が必要なのですか?手間が大きくないですか?
変更届はオンラインシステムから提出できるため、実務的な負担は最初の届出ほど大きくはありません。変更から30日以内という期限だけ意識しておけば、忘れずに対応できます。
届出申請でよくある失敗・却下事例
届出申請は書類を揃えれば受理される制度ですが、書類の不備や条件の見落としによって補正対応や不受理が発生することがあります。実務上よく見られる失敗パターンを事前に把握しておきましょう。
失敗例1: 書類の有効期限切れ
住民票や登記事項証明書は発行から3ヶ月以内が原則です。書類収集を早期に始めすぎて、届出提出時点で有効期限が過ぎてしまうケースがあります。特に法人の場合は役員全員分の書類を揃える必要があるため、提出直前にまとめて最新版を取得し直す計画を立てると安全です。
失敗例2: 消防法令適合通知書の添付漏れ
届出書類の中でも最も忘れやすい書類のひとつが消防法令適合通知書です。消防署との事前相談から通知書の取得までに時間がかかる場合があり、他の書類が揃ったタイミングで消防の手続きが未了というケースが見られます。消防署への相談は書類収集の初期段階で着手することが現実的です。
失敗例3: 区分所有建物での管理規約確認不足
マンション等の区分所有建物では、管理規約で民泊(短期賃貸)を禁止または制限している場合があります。届出書類に管理規約の写しを添付する際に「禁止規定がある」ことが確認されると、受理されない場合や、受理後に管理組合から差止請求を受けるリスクがあります。管理規約の確認は届出書類準備の最初期段階で実施してください。
失敗例4: 賃貸物件で賃貸人の承諾書を未取得
賃借人が民泊事業者として届出を行う場合、賃貸借契約書の他に「賃貸人(大家)の承諾書」が必要です。大家との合意なしに民泊利用した場合は、賃貸借契約の解除事由になる可能性もあります。書類の添付のみならず、大家との良好な関係構築が長期運営の安定につながります。
失敗例5: 欠格事由への該当確認の甘さ
住宅宿泊事業法第4条には欠格事由が列挙されています(旅館業法・風俗営業等の取締法規違反による罰金等)。誓約書を形式的に記入するだけでなく、欠格事由の内容を正確に理解した上で署名することが重要です。判断が難しい場合は行政書士への確認が現実的です。
| 失敗パターン | 主な原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 書類の有効期限切れ | 収集から提出まで時間がかかりすぎた | 提出直前に住民票・登記証明書を再取得 |
| 消防法令適合通知書の漏れ | 消防手続きの着手が遅れた | 書類準備の初期段階で消防署に相談 |
| 管理規約の確認不足 | 規約を「ざっと読んだ」だけで判断 | 管理組合に直接問い合わせる |
| 賃貸人の承諾書の未取得 | 大家への確認を後回しにした | 大家との合意を先行させる |
| 外国語書類の翻訳漏れ | 翻訳義務を知らなかった | 外国語書類には必ず日本語訳を添付 |
書類を揃えて提出したのに不備で返ってきた場合、一から出し直しになりますか?
多くの場合は「補正」として不備箇所の差し替えや追加提出を求められます。ただし補正の対応中も受理されていない状態が続くため、営業開始が遅れます。最初の書類準備を丁寧に行うことが結果的に時間短縮につながります。
届出申請を行政書士に依頼する場合
住宅宿泊事業の届出は自己申請が可能ですが、書類の収集・作成・申請手続きをまとめて専門家に依頼するという選択肢もあります。行政書士は「官公署に提出する書類の作成」を業務とする国家資格者であり、民泊届出申請の書類作成・提出代行を合法的に行えます。
行政書士に依頼できる業務範囲
行政書士が対応できる業務としては、届出書(様式第1号)の作成、添付書類の収集サポート・確認、民泊制度運営システムへの入力代行・書面届出の代理提出が挙げられます。消防署への同行や管理規約の読み取りについては、行政書士によって対応範囲が異なるため、依頼前に確認することをお勧めします。なお、法的判断が必要な問題(近隣トラブル・契約解釈等)は弁護士の領域になります。
費用の目安と自己申請との比較
行政書士への依頼費用は、物件種別・自治体・業務範囲によって大きく異なります。民泊専門を標榜する行政書士事務所が複数存在し、公開料金も様々です。費用は数万円から十数万円の幅があるとされますが、個別の状況によって変動するため、複数事務所に見積もりを取ることが現実的です。費用の断定はできませんので、最終的な依頼金額は必ず直接確認してください。
自己申請との比較で検討する際は、費用だけでなく「時間コスト」「補正リスク」「複数物件対応の効率性」も判断軸に入れると整理しやすくなります。
| 判断軸 | 自己申請が向く場合 | 行政書士依頼が向く場合 |
|---|---|---|
| 時間的余裕 | 書類収集・手続きに時間を確保できる | 本業多忙で時間を割きにくい |
| 物件数 | 1〜2件の単一物件 | 複数物件を同時に届出したい |
| 物件の複雑さ | 戸建て・自己所有・家主居住型 | 法人・区分所有・賃貸・家主不在型 |
| 費用感 | 費用を抑えたい | 補正リスクや時間コストを減らしたい |
民泊届出の書類準備・申請代行について、民泊専門の行政書士への相談を検討される場合は、以下のリンクから民泊学校の行政書士相談ページをご確認ください。
行政書士に頼むと、消防の手続きも一緒にやってもらえますか?
消防署への同行・相談サポートまで対応してくれる事務所もありますが、業務範囲は事務所によって異なります。依頼前に「消防手続きのサポートも含むか」を確認することをお勧めします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 審査にはどのくらい時間がかかりますか?
審査期間は都道府県によって異なります。数日で受理されるケースもあれば、書類の補正対応が重なると数週間〜1ヶ月以上かかることもあります。審査期間の目安については、事前に管轄の都道府県窓口へ確認されることをお勧めします。書類に不備がなく揃っている状態での提出が、受理までの期間短縮につながります。
Q2. 届出が受理される前に営業を始めてもよいですか?
届出が受理される前に住宅宿泊事業を行うことは、住宅宿泊事業法上の違反となる可能性があります。OTAへの掲載・予約受付・宿泊者の受け入れはいずれも、届出番号の発番(受理通知)を確認してから開始してください。「申請を送信した」の段階では受理とはみなされません。
Q3. 届出住宅を追加するたびに届出が必要ですか?
はい、届出は住宅(物件)ごとに行うものです。2棟目、3棟目の物件でも、それぞれ個別に届出が必要です。民泊制度運営システムでは、同一事業者が複数物件を管理する形でアカウントに紐付けられます。既存の事業者登録情報を活用できるため、2件目以降の届出は初回より効率的に進められる場合があります。
Q4. 個人で届出した場合と法人で届出した場合の違いは何ですか?
制度上は個人・法人いずれも届出可能で、義務や上限日数(年間180日)は変わりません。主な違いは書類の種類(法人は役員全員分の書類が必要)と、税務上の取扱い(個人は所得税・事業税、法人は法人税等)です。税務上の取扱いは個別の事情によって異なるため、顧問税理士への確認を推奨します。
Q5. 届出書(様式第1号)はどこで入手できますか?
民泊制度ポータルの「関連法令・様式集」(https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/regulation.html)からダウンロードできます。民泊制度運営システム上でオンライン入力する場合は、システム内の入力フォームが様式第1号の代わりになります。
Q6. 標識(第十七号様式)を掲示しないとどうなりますか?
標識の掲示は法的な義務です。掲示を怠った場合、行政からの是正指導の対象となる可能性があります。標識は届出番号が発番された後、印刷して所定の場所に掲示する必要があります。様式・記載内容は民泊制度ポータルで確認できます。
Q7. 届出後に条例が改正された場合、届出し直しは必要ですか?
条例改正の内容によって対応が異なります。営業日数の制限や区域変更など、条例が自分の物件の営業に影響する変更がなされた場合は、改正後の条件を改めて確認し、場合によっては届出内容の見直しが必要になることがあります。条例改正の情報は物件所在地の自治体のウェブサイトや、民泊窓口への定期的な問い合わせで把握しておくことが現実的です。
まとめ:届出申請の全体フローを振り返る
住宅宿泊事業の届出申請は、「許可」ではなく「届出」制であるため、書類が整えば受理される仕組みです。ただし、前提条件(物件定義・用途地域・消防)を確認しないまま書類収集を進めると、補正対応や受理遅延が発生します。この記事で確認した内容を手順にまとめると、以下のような流れになります。
- Step 0: 物件が住宅の定義を満たすか確認。用途地域・管理規約・消防の3条件をチェック
- Step 1: 個人 または 法人の必要書類を確認し、収集開始(消防署相談も並行して着手)
- Step 2: 民泊制度運営システムでアカウント作成・事業者情報を登録
- Step 3: 届出住宅情報を入力し、書類をPDFでアップロード
- Step 4: マイナンバーカードで電子署名し、申請を送信
- Step 5: 受理通知・届出番号(M+9桁)の発番を待つ(受理前の営業は開始しない)
- Step 6: 届出番号取得後、標識の掲示・OTA登録・180日カレンダー管理・宿泊者名簿の整備を開始
書類の準備段階で不安がある場合や、複数物件の届出を効率化したい場合は、民泊専門の行政書士への相談という選択肢があります。最終的なご判断は、管轄の都道府県窓口・消防署・行政書士・税理士へのご確認をお勧めします。
⚠️ 本記事は2026-05-20時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊の制度は改正される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
📋 ご確認ください(民泊学校 編集部より)
本記事は 2026-05-20 時点で公開されている公式情報・一次情報をもとに編集しています。
法律、条例、税制、消防、各種許認可、収支見通しなどは、お住まいの自治体・対象物件の所在地・物件種別・運営形態によって取扱いが異なります。
最終的なご判断は、必ず以下にご確認ください。
- 制度・条例: 民泊制度ポータルサイト / 物件所在地の自治体(住宅宿泊事業 / 旅館業 / 特区民泊の所管課)
- 消防: 物件所在地の所轄消防署
- 税務: 顧問税理士 または 所轄税務署
- 許認可・届出: 行政書士(民泊・旅館業に詳しい方)
- 近隣対応・契約: 弁護士・宅地建物取引士
当サイトでは、上記の専門家・自治体への確認窓口を 運営代行業者の選び方 で案内しています。
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