民泊事業主の36協定 完全ガイド 2026年版|時間外・休日労働の上限規制・締結・届出・繁忙期の注意点
編集: 民泊学校 編集部 | 最終更新日: 2026-06-03
民泊事業では、チェックイン・チェックアウトが集中するGW・夏季・年末年始の繁忙期に、清掃スタッフや施設管理担当者が通常の労働時間を超えて働くケースは珍しくありません。しかし、「繁忙期だから」「急なゲストからの連絡があったから」という理由だけでスタッフに残業や休日出勤を指示することは、労働基準法の観点から問題が生じる可能性があります。時間外・休日労働をさせるには、事前に「36協定(時間外・休日労働に関する協定)」を締結し、労働基準監督署へ届け出ることが法的に求められます。
本記事では、民泊事業主が知っておくべき36協定の基礎知識から、締結手順・届出様式・時間外労働の上限規制・繁忙期の実務対応まで、公式情報をもとに解説します。「スタッフを雇って繁忙期に乗り切りたい」とお考えの方は、ぜひ最後までご確認ください。
この記事でわかること
- 36協定とは何か、なぜ民泊事業主に必要なのか
- 36協定を締結しないまま残業させた場合の法的リスク
- 労働者代表の選出方法と協定書に記載すべき事項
- 労働基準監督署への届出様式と電子申請の方法
- 時間外労働の上限規制(原則・特別条項)と民泊業務への適用
- 繁忙期の実務上の注意点と失敗しないための確認ポイント
- 社会保険労務士・労働基準監督署への相談窓口
【結論】 民泊事業で清掃スタッフや管理スタッフを雇用している場合、繁忙期に残業や休日出勤をさせる可能性があれば、事前に36協定を締結・届出しておくことが法律上の要件となります。未届けのまま時間外労働をさせた場合、労働基準法の罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)の対象となる可能性があります。まずは社会保険労務士や所轄の労働基準監督署へ相談のうえ、適切な手続きを踏むことを強くお勧めします。

Contents
1. 36協定とは何か:民泊事業主が必ず知っておくべき前提
「36協定(サブロク協定)」とは、正式名称を「時間外・休日労働に関する協定」といい、労働基準法第36条に基づく労使間の取り決めです。労働基準法では、原則として1日8時間・1週40時間を超えて労働させることは禁止されており、これを「法定労働時間」といいます。また、週1日(または4週に4日)の休日も法律上保障されています。
この法定労働時間を超えて働かせたい場合や、法定休日に出勤させたい場合、使用者(雇用主)は、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数代表者)との間で36協定を締結し、所轄の労働基準監督署へ届け出ることが必要です。36協定を届け出た場合にのみ、その協定で定めた範囲内で時間外・休日労働を命じることができます。
民泊事業において36協定が重要になるのは、清掃・管理スタッフを「雇用」している場合です。業務委託(個人事業主への外注)では原則として労働基準法は直接適用されませんが、実態が雇用関係に近い場合(いわゆる「偽装請負」の問題)は別途確認が必要です。雇用か業務委託かの判断については、関連記事「民泊スタッフと労働基準法」もあわせてご参照ください。
民泊業務の特性上、ゲストのチェックイン・アウト時間は深夜や早朝に及ぶことがあり、清掃の繁忙期は観光シーズンに集中します。こうした業務特性を踏まえると、雇用スタッフが通常の労働時間内だけで業務をこなすことが難しいケースも生じます。そのため、36協定の締結・届出は、民泊事業主にとって「いざというとき」ではなく「雇用が始まる前」に準備すべき手続きといえます。
(2026-06-03取得)
36協定の制度概要、締結・届出の必要性、上限規制の内容などを官公庁が解説したページ。民泊事業主が最初に参照すべき一次情報。[出典: 厚生労働省「36協定(サブロク協定)について」 2026-06-03取得]
2. 36協定を締結しないまま残業させたときのリスク
36協定を締結・届出しないまま時間外・休日労働をさせることは、労働基準法第32条(労働時間の制限)または第35条(休日の保障)違反となり、使用者に対して「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」(同法第119条)が科せられる可能性があります。
労働基準監督署(労基署)は、定期的な調査のほか、スタッフからの申告(内部通報)や労災発生時の調査をきっかけに事業主の労務管理を確認します。民泊業界においても、スタッフとのトラブルや過重労働による事故をきっかけに是正勧告・行政指導が入るケースがあります。「小さな民泊だから関係ないだろう」という認識は、法的なリスク回避の観点から改める必要があります。
また、36協定なしで残業させた場合、割増賃金の未払いにも注意が必要です。時間外労働に対しては25%以上(月60時間超の部分は50%以上)の割増賃金を支払う義務があります(中小企業への月60時間超50%割増の猶予措置は2023年4月に終了しています)。未払いが発覚した場合、遡及して支払いを求められることになります。
さらに、36協定の締結なしに残業させることは、雇用されたスタッフの信頼喪失にもつながります。民泊清掃・管理業務は人材確保が難しい分野であるため、労務コンプライアンスの整備は事業の継続性にとっても重要です。民泊スタッフの雇用形態や契約内容については、「民泊スタッフの雇用形態と契約」もあわせてご参照ください。
36協定なしの残業は法律違反となる可能性があります
「少し残業させただけ」「同意があったから」という理由であっても、36協定の締結・届出がない状態での時間外・休日労働は労働基準法違反になり得ます。スタッフの同意だけでは免責されません。最終的な判断は所轄の労働基準監督署または社会保険労務士にご確認ください。
3. 36協定締結の手順:労働者代表の選出から協定書作成まで
36協定を締結するには、まず「労働者代表」を適切に選出することが最初のステップです。労働基準法施行規則第6条の2に基づき、事業場に労働組合がない場合、使用者側が指名するのではなく、労働者の過半数が自主的に選出した代表者(過半数代表者)と協定を結ぶ必要があります。
民泊事業のように少人数の事業場では、「誰かに頼んで形だけ署名してもらう」「使用者が事実上任命する」という形になりがちですが、これは法令上の要件を満たさない可能性があります。選出方法としては、挙手・投票・持ち回り確認など、労働者が自由意思で選べる方法を取ることが求められます。選出の経緯を記録として残しておくことも重要です。
協定書に記載すべき主な事項は以下のとおりです。ただし、様式や具体的な記載要件については厚生労働省の公式ページや専門家にご確認ください。
| 記載事項 | 内容の目安 | 民泊事業での注意点 |
|---|---|---|
| 時間外・休日労働をさせる必要のある具体的事由 | 繁忙期の清掃業務、緊急対応 など | 「その他一切」など包括的記載は不可。具体的な事由を記載する |
| 時間外・休日労働をさせることができる労働者の範囲(業務の種類) | 清掃スタッフ、施設管理担当 など | 対象業務を明確にする |
| 1日の時間外労働の延長可能な時間数 | 例:3時間 | 上限規制の範囲内で設定する |
| 1か月の時間外労働の延長可能な時間数 | 例:45時間以内(原則上限) | 45時間を超える場合は特別条項が必要 |
| 1年の時間外労働の延長可能な時間数 | 例:360時間以内(原則上限) | 360時間を超える場合は特別条項が必要 |
| 法定休日労働をさせることができる日 | 例:月2日を上限とする など | 休日労働は上限規制の対象外だが記載は必要 |
| 協定の有効期間 | 1年間(起算日を明記) | 有効期間満了後は再締結・再届出が必要 |
協定書の作成にあたっては、厚生労働省が公開している様式をそのまま活用することが現実的です。労働者代表の署名・押印(または記名・押印)を受けたうえで、使用者と代表者の双方が原本を各1部保管します。
有効期間は1年ごとの更新が現実的
36協定の有効期間は「定めのある期間」であれば法令上の制限はありませんが、実務的には1年間(自動更新なし)とし、毎年起算日前に再締結・再届出する運用が一般的とされています。民泊事業では繁忙期のパターンが変わる場合もあるため、毎年内容を見直す機会として活用することも考えられます。

4. 労働基準監督署への届出:様式・電子申請・提出期限
36協定書を作成したら、事業場を管轄する労働基準監督署へ届け出る必要があります。届出は「時間外労働・休日労働に関する協定届(様式第9号またはその他の規定様式)」を使用します。厚生労働省のウェブサイトからダウンロード可能な様式を利用するのが最も確実です。
届出の方法は以下の3つがあります。
- 窓口持参:事業場を管轄する労働基準監督署の窓口へ直接持参する
- 郵送:管轄の労働基準監督署宛てに郵送する(控えへの受付印が必要な場合は返信用封筒を同封)
- 電子申請:厚生労働省の「e-Gov電子申請」または「労働基準関係手続の電子化」サービスを利用する
電子申請は24時間365日対応しており、控えも電子的に保管できるため、民泊事業主にとっても利便性が高い方法です。ただし、電子申請には事前にアカウント登録や電子証明書の準備が必要な場合があるため、初めて利用する際は早めに手続きを進めることが現実的です。
届出のタイミングは、時間外・休日労働を実際に命じる前に済ませておく必要があります。「繁忙期が来てから急いで届け出る」では間に合わない場合があります。民泊の繁忙期(GW・夏季・年末年始など)の1〜2か月前には届出を完了させておくことが、現実的なスケジュール感といえます。
| 届出方法 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 窓口持参 | その場で受付確認、質問もできる | 開庁時間内のみ。遠方の場合は移動コストがかかる |
| 郵送 | 窓口に行かなくてよい | 控えが必要な場合は返信用封筒を同封する必要がある |
| 電子申請(e-Gov) | 24時間対応・控えを電子保管できる | 初回利用前にアカウント登録が必要 |
(2026-06-03取得)
届出様式の案内、記載方法のポイント、よくある質問などを掲載。東京都内の事業場はここを参考に管轄の労働基準監督署を確認できる。[出典: 東京労働局「時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)」 2026-06-03取得]
(2026-06-03取得)
36協定届(様式第9号等)を含む労働基準法関係の届出様式をダウンロードできる。最新版の様式は必ずこのページから取得する。[出典: 厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法関係)」 2026-06-03取得]
5. 時間外労働の上限規制:原則と特別条項の条件
2019年4月(中小企業は2020年4月)から、時間外労働の上限規制が法律上明確化されました。この規制は、かつての「36協定で定めれば事実上無制限の残業が可能」という運用を解消するために設けられたものです。
時間外労働の上限は、現状の法令によると以下のように整理されます(ただし、解釈・適用は個々の事情によって異なるため、最終確認は厚生労働省の公式情報または専門家にお求めください)。
| 区分 | 1か月の上限 | 1年の上限 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 原則(特別条項なし) | 45時間 | 360時間 | これを超えるには特別条項が必要 |
| 特別条項あり(臨時的な特別事情) | 100時間未満(時間外+休日労働) | 720時間(時間外のみ) | 月45時間超は年6か月までが目安とされる |
| 絶対的上限(超えることは不可) | 100時間未満(時間外+休日労働) | 年720時間(時間外のみ) | 特別条項を結んでも超えられない上限 |
特別条項付き36協定とは、臨時的な特別の事情がある場合に限って、原則の上限を超える時間外労働を一定の条件のもとで認める協定のことです。ただし、「臨時的な特別の事情」は、あらかじめ具体的な事由を協定書に明記する必要があり、常態的な繁忙には利用できない趣旨とされています。
民泊事業において繁忙期(GW・夏・年末年始)は比較的予測可能なため、「繁忙期」を特別条項の事由として認められるかどうかは、その予測可能性の程度や具体的な業務内容によって変わる可能性があります。この点は社会保険労務士や管轄の労働基準監督署へ確認することをお勧めします。
「月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内」の複合規制に注意
特別条項を設けた場合であっても、時間外労働と休日労働の合計が「月100時間未満」かつ「2〜6か月の月平均が80時間以内」という条件はいずれも超えてはならない絶対的上限とされています。民泊の繁忙期に集中的に残業させる場合、この複合条件の管理が特に重要となります。詳細は専門家にご確認ください。
6. 民泊の繁忙期における実務上の注意点
民泊事業の労務管理で36協定が特に重要となる場面は、GW・夏休み・年末年始・地域のイベント時期などの繁忙期です。このような時期には、通常の1日の清掃件数が倍近くになることもあり、スタッフの実労働時間が法定労働時間を超えやすくなります。繁忙期の実務において確認しておきたい主なポイントを整理します。
1. 労働時間の記録・管理体制の構築
36協定を締結・届出していても、実際の労働時間をきちんと記録しておかなければ、上限規制を超えていないかどうか確認できません。タイムカード・打刻アプリ・勤怠管理ツールなどを活用して、日々の労働時間を記録する仕組みを整えることが現実的です。清掃スタッフが複数の物件を掛け持ちする場合は、各物件での作業時間の合計を正確に把握することが重要です。
2. 割増賃金の計算と支払い
時間外労働(法定労働時間を超える部分)には25%以上の割増賃金、深夜(22時〜5時)には25%以上(時間外と重なれば合計50%以上)の割増賃金が必要です。繁忙期に深夜・早朝のチェックイン対応をスタッフに依頼する場合は、深夜割増も含めた賃金計算が必要になります。また、法定休日に働かせる場合は35%以上の割増となります。
3. 繁忙期に合わせた36協定の見直し
繁忙期の時間外労働が原則上限(月45時間・年360時間)を超える見込みがある場合は、特別条項付き36協定を事前に整備しておくことが考えられます。繁忙期が始まってから慌てて手続きするのではなく、シーズン開始の1〜2か月前には届出を完了させるスケジュール管理が現実的です。
4. 有給休暇の付与・取得管理
繁忙期に多く働いたスタッフへの配慮として、閑散期に有給休暇を取得させる計画的な運用も労務管理の一環です。年5日の有給休暇取得義務(使用者による時季指定)については、清掃スタッフも対象となる場合があります。詳細は「民泊スタッフの雇用保険手続き」もあわせてご参照ください。
5. 業務委託との混在に注意
「パートスタッフは雇用・清掃会社は業務委託」という複合的な体制を取る民泊事業者も少なくありません。雇用スタッフについては36協定・割増賃金の管理が必要である一方、業務委託先の個人事業主には原則として労働基準法は直接適用されません。ただし、実態として雇用に近い指揮命令関係がある場合は「偽装請負」のリスクがあるため、体制の整理と専門家確認を行うことをお勧めします。
7. よくある失敗例と確認ポイント
民泊事業主が36協定の手続きで陥りやすい失敗パターンを整理します。これらは実際の労働基準監督署の行政指導や是正勧告の際に問題となりやすい事例です。
失敗例1:「シフト管理しているから問題ない」という誤解
シフト表で週40時間以内に収めていても、急な対応依頼・ゲストトラブル対応・清掃延長などで実際には法定労働時間を超えていることがあります。実労働時間の管理と36協定の届出は、シフト管理とは別に行う必要があります。
失敗例2:使用者が指名した「代表者」が署名している
事業主や管理職が「この人でいいよ」と指名した労働者に署名させる方法は、法令上の要件を満たさない可能性があります。労働者が自由な意思で選出した代表者でなければ、36協定そのものが無効と判断される恐れがあります。
失敗例3:有効期間が切れたまま残業させている
36協定の有効期間が終了した後に再締結・再届出を行わないまま時間外労働をさせることは、届出なしの状態と同じです。毎年の有効期間終了日をカレンダーに入れ、更新手続きを事前に行う管理体制が必要です。
失敗例4:特別条項なしで月45時間超の残業をさせている
繁忙期に「忙しいから仕方ない」として特別条項なしのまま月45時間を超える残業をさせると、36協定の記載内容を超えた違反になります。特別条項が必要かどうかは繁忙期の業務量を事前に見積もり、余裕を持って協定を整備しておくことが重要です。
失敗例5:様式の改定を知らずに旧様式で届け出ている
2019年4月の上限規制導入時に36協定届の様式が改定されています。それ以前の様式を使い続けると、受理されない場合や記載内容が不足する場合があります。届出の際は必ず厚生労働省の様式ダウンロードページから最新版を入手することをお勧めします。

8. 専門家確認範囲と相談窓口
36協定の手続きは、一見シンプルに見えても、業種・雇用形態・事業所の規模・繁忙期の実態によって判断が分かれる部分があります。以下の事項については、専門家または行政窓口への確認を強くお勧めします。
- 労働者代表の選出方法が適切かどうか(過半数代表者の要件)
- 特別条項の「臨時的な特別の事情」として民泊繁忙期が認められるかどうか
- 複数の事業場(物件)を運営している場合の36協定の取り扱い
- 業務委託スタッフと雇用スタッフが混在している場合の整理
- 割増賃金の計算方法・支払い時期
- 電子申請の手続き詳細
相談窓口の目安
- 社会保険労務士(社労士): 36協定の書類作成代行・労務管理全般の相談に対応。顧問契約のほか、単発での相談・書類作成も依頼できる場合があります。
- 都道府県の労働局・労働基準監督署: 届出様式の確認、記載内容の質問、制度全般の相談を無料で受け付けています。持参での相談も可能です。
- 総合労働相談コーナー: 全国の労働局・労働基準監督署等に設置されており、労働条件・雇用管理全般について相談できます。
36協定・雇用手続きについて専門家に相談する
社会保険労務士・行政書士への相談窓口はこちら。民泊事業に詳しい専門家への問い合わせや相談メモの作成ができます。
9. よくある質問(FAQ)
36協定について民泊事業主からよく寄せられる質問をまとめます。
Q1. 週3日・1日3時間のパートスタッフにも36協定は必要ですか?
パートタイム・アルバイトであっても、雇用している労働者が法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超えて働く可能性がある場合は36協定の適用対象となります。短時間勤務であっても例外ではないため、事前に確認しておくことをお勧めします。
Q2. 個人事業主に清掃を外注している場合、36協定は必要ですか?
形式上「業務委託」であり、実態も雇用ではなく独立した事業者として働いている場合、原則として36協定は不要です。ただし、実態として使用者からの指揮命令に従っている場合は「雇用」と認定される可能性があります。業務委託か雇用かの判断については、「民泊スタッフと労働基準法」をご参照ください。
Q3. 36協定は複数の物件(事業場)ごとに届け出る必要がありますか?
労働基準法の管理は原則として「事業場単位」で行われます。複数の物件を別々の事業場として運営している場合、それぞれの事業場を管轄する労働基準監督署へ届け出る必要があります。ただし、実態として一体的に管理している場合の取り扱いは個別の判断が必要です。所轄の労働基準監督署または社会保険労務士にご確認ください。
Q4. 36協定を結んでいれば、どれだけでも残業させられますか?
いいえ。現状の制度では、36協定を結んでいても時間外労働には上限規制があります。原則として月45時間・年360時間、特別条項を結んだ場合でも年720時間(時間外のみ)・月100時間未満(時間外+休日労働)などの絶対的上限を超えることはできないとされています。36協定は「残業し放題のお墨付き」ではありません。
Q5. 有給休暇の消化を「残業の代わり」として使えますか?
有給休暇の取得は時間外労働とは別の制度です。有給休暇を取得させたとしても、それによって36協定の届出義務や上限規制が緩和されるわけではありません。有給休暇については使用者による時季指定義務(年5日)など別途の管理が必要です。詳細は専門家にご確認ください。
Q6. スタッフから「残業代はいらない」と言われた場合、割増賃金を支払わなくて済みますか?
割増賃金は労働基準法上の強行規定であるため、スタッフの同意があっても免除されません。「残業代不要」という合意は法律上無効となり、未払いとして請求される可能性があります。契約書や雇用条件通知書にも割増賃金の支払い条件を明記することをお勧めします。
Q7. 社会保険の加入と36協定は関係がありますか?
直接的な法的関係はありませんが、労務コンプライアンスの観点から両者は密接に関連します。労働時間が増えることで社会保険の適用要件(週20時間・年収106万円等)を超えるスタッフが出てくる場合もあります。社会保険の手続きについては「民泊スタッフの雇用保険手続き」もあわせてご確認ください。
10. まとめ
民泊事業で清掃スタッフや管理スタッフを雇用し、繁忙期に時間外・休日労働をお願いする可能性があるなら、36協定の締結・届出は事前に済ませておくべき法的手続きです。手続きなしの残業は労働基準法違反となり、是正勧告・罰則のリスクがあるほか、スタッフとの信頼関係にも影響します。
本記事で解説した流れを整理すると、1)労働者代表を適切な方法で選出する、2)上限規制を踏まえた協定書を作成する、3)繁忙期前に管轄の労働基準監督署へ届け出る、4)実労働時間を記録・管理する——この4ステップが基本となります。特別条項の要否・複数事業場の取り扱い・割増賃金の計算方法など、判断が難しい部分は社会保険労務士または管轄の労働基準監督署に相談することを強くお勧めします。
民泊の労働法制については、雇用形態の選択から保険手続きまで関連する論点が多くあります。関連記事「民泊スタッフと労働基準法」「民泊スタッフの雇用形態と契約」「民泊スタッフの雇用保険手続き」もあわせてご参照いただき、事業の適切な運営にお役立てください。
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⚠️ 本記事は2026-06-03時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊の制度は改正される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
📋 ご確認ください(民泊学校 編集部より)
本記事は 2026-06-03 時点で公開されている公式情報・一次情報をもとに編集しています。
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