民泊の標識 掲示義務と作り方 2026年版|住宅宿泊事業法第13条・様式ダウンロード・掲示場所・罰則まで完全ガイド
編集: 民泊学校 編集部 | 最終更新日: 2026-05-20
住宅宿泊事業の届出が受理されたあと、最初にやらなければならない実務のひとつが「標識の掲示」です。住宅宿泊事業法第13条第1項は、届出住宅ごとに省令で定める様式の標識を公衆の見やすい場所に掲げることを事業者に義務づけています。様式はウェブでダウンロードでき、内容を記入して印刷・ラミネート加工するだけで用意できますが、掲示場所・掲示高さ・記載事項には細かい要件があります。怠った場合は30万円以下の罰金の対象になりえるため、開業準備の段階で正確に把握しておく必要があります。本記事では、標識の根拠法令・様式の記載事項・ダウンロード手順・掲示場所・掲示高さ・変更対応・罰則・他制度との比較まで、実務ベースで整理します。
この記事でわかること
- 住宅宿泊事業法第13条における標識掲示義務の根拠と条文
- 省令様式(第十七号様式)の必須記載5項目と管理業者委託時の追加記載
- 民泊制度ポータルからの様式ダウンロード手順とExcelの編集・印刷方法
- 掲示場所の選び方(一戸建て・マンション個室・共用エントランス)と掲示高さ(地上1.2m〜1.8m)の根拠
- 届出番号変更・管理業者変更・標識破損時の対応フロー
- 掲示義務違反に対する30万円以下の罰金と行政調査での確認内容
- 旅館業(簡易宿所)・特区民泊との標識制度比較
結論:標識掲示は届出受理後すぐに対応が必要
民泊制度ポータルの様式集から第十七号様式(PDF・Excel)を入手し、届出番号・氏名・電話番号等を記入して印刷・ラミネート加工し、宿泊者が最初に目にする扉の周辺に地上1.2m〜1.8mの高さで掲示する、というのが実務上の基本的な対応です。共同住宅の場合は個別住戸の扉に加えて共用エントランス等への掲示も求められるため、建物形態ごとに確認が必要です。最終的な判断は物件所在地の都道府県担当課または民泊専門の行政書士にご確認ください。
本記事の公式ソース
住宅宿泊事業法 第13条・第76条(厚生労働省)(2026-05-20取得)
第13条第1項:届出住宅ごとに省令様式の標識掲示義務。第76条第2号:違反で30万円以下の罰金。
民泊制度ポータル 住宅宿泊事業者の業務(国土交通省観光庁)(2026-05-20取得)
掲示高さ(地上1.2m〜1.8m)・共同住宅の共用エントランス掲示要件・ラミネート等耐候性の確保。
民泊制度ポータル 様式集(国土交通省観光庁)(2026-05-20取得)
第十七号様式(標識)のPDF・Excel形式ダウンロードページ。
民泊制度ポータル 罰則・留意事項(国土交通省観光庁)(2026-05-20取得)
標識の掲示義務違反・宿泊者名簿の備付け義務違反 → 30万円以下の罰金。
Contents
標識掲示は届出と同時に義務化される|住宅宿泊事業法第13条の根拠
住宅宿泊事業(いわゆる民泊)を適法に行うには、住宅宿泊事業法に基づく都道府県への届出が必要です。そして届出が受理された時点から、標識の掲示義務が発生します。
根拠は住宅宿泊事業法第13条第1項です。
住宅宿泊事業法 第13条第1項(抜粋)
「住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令・厚生労働省令で定める様式の標識を掲げなければならない。」出典: 住宅宿泊事業法 第13条(厚生労働省)、2026-05-20取得
この規定のポイントは3点です。
- 義務の主体は「住宅宿泊事業者」すなわち届出をした本人(または法人)
- 対象は「届出住宅ごと」であり、複数の物件を届け出ている場合は各物件に掲示が必要
- 様式は国土交通省令・厚生労働省令で定めるものに限定されており、自作の任意様式は認められない
法令で「掲げなければならない」と定められているため、掲示は任意ではなく義務です。開業初日から掲示されていなければ、その期間は違反状態になりえます。届出受理の連絡を受けたら、標識の準備を最優先タスクとして位置づけてください。
なお、「届出住宅」とは届出が受理された住宅のことであり、まだ届出をしていない段階で宿泊者を受け入れることは、そもそも住宅宿泊事業法の無届営業として別途問題になります。今回の記事では届出済みの物件を前提として解説します。
なぜ標識掲示が義務とされているかというと、宿泊者・近隣住民・緊急時の行政機関や消防などが、「ここは届出済みの民泊である」と一目でわかるようにするためです。標識には届出番号や緊急連絡先が記載されるため、トラブル発生時の連絡先確認にも機能します。制度の透明性を確保するうえで欠かせない要件といえます。
また、住宅宿泊事業法第76条第2号では、この掲示義務に違反した場合の罰則として「30万円以下の罰金」が規定されています。後述する「掲示義務を怠った場合の罰則」の節でも詳しく触れますが、罰則は決して軽いものではありません。
標識に関する省令上の具体的な要件(様式・記載事項・掲示場所・掲示高さなど)は、国土交通省と厚生労働省の共同省令として定められており、民泊制度ポータルで公開されている様式集(第十七号様式)がその省令様式にあたります。実務上は、このポータルからダウンロードして利用するのが現実的な対応です。
届出が受理されてから標識を準備すれば間に合いますか?準備に時間がかかりそうで不安です。
掲示義務は届出が受理された時点から発生します。Excelに記入して印刷・ラミネートすれば数時間で用意できるため、届出受理の見込みがついた段階で準備を始めておくのが実務上の現実的な進め方です。
民泊標識(省令様式)の記載事項と見本
標識は「第十七号様式」と呼ばれる省令で定められた書式に基づいて作成します。内容は定型で、記入すべき項目が決まっています。ここでは必須記載事項と、管理業者に委託している場合の追加記載、そして様式のイメージを解説します。
必須記載5項目(届出番号・氏名・電話番号等)
省令様式(第十七号様式)に記入が必要な基本項目は以下の5つです。
| 項目 | 記入内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 届出番号 | 住宅宿泊事業届出番号(都道府県から通知) | 届出受理通知書に記載されている番号をそのまま転記 |
| 氏名(名称) | 届出者の氏名(法人の場合は法人名) | 届出書と一致する表記を使用 |
| 電話番号 | 緊急時に連絡可能な電話番号 | 24時間対応可能な番号の記載が実務上望ましい |
| 住宅の所在地 | 届出住宅の住所 | マンションの場合は部屋番号まで記載 |
| 用途 | 「住宅宿泊事業」と記載 | 省令様式には定型文として印字済みのケースが多い |
届出番号は、都道府県の担当部署から届出受理後に通知される番号です。書面またはウェブシステム(各都道府県の民泊届出システム)で確認できます。この番号が標識の最も重要な記載事項であり、省略や間違いがあると行政調査時に問題になりえます。
管理業者に委託している場合の追加記載
住宅宿泊管理業者に管理を委託している場合は、標識に管理業者の情報も追加で記載します。
| 追加項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 住宅宿泊管理業者の氏名(名称) | 委託先管理業者の登録名称(登録番号ではなく商号・氏名) |
| 住宅宿泊管理業者の電話番号 | 管理業者への緊急連絡先(24時間対応の番号が望ましい) |
管理業者への委託は、届出事業者本人が不在の場合でも宿泊者からの問い合わせやトラブルに対応するためのしくみです。そのため、標識にも管理業者の連絡先を明示して、宿泊者・近隣住民が連絡できる体制を示すことが求められています。
管理委託をしていない(自己管理)場合は、この追加記載欄は空欄のままにします。
標識の見本(官庁様式のイメージ説明)
第十七号様式は縦長の矩形レイアウトで、おおむね以下の構成になっています。
【標識 イメージ構成(第十七号様式)】
| 標 識(住宅宿泊事業) | |
|---|---|
| 届出番号 | 第○○○○号 |
| 住宅宿泊事業者の氏名 | ○○ ○○(または株式会社○○) |
| 電話番号 | 03-XXXX-XXXX(緊急連絡先) |
| 住所 | ○○県○○市○○町X-X-X |
| 管理業者の氏名(委託の場合) | 株式会社△△管理 |
| 管理業者の電話番号(委託の場合) | 03-XXXX-XXXX |
※ 上記はイメージ図です。正確な様式は民泊制度ポータルの様式集(第十七号様式)でご確認ください。
実際の省令様式はA4サイズ程度を想定したレイアウトですが、サイズについて省令に明記された制限があるわけではありません。ただし小さすぎて読めない、という状態では「公衆の見やすい場所」の要件を満たさないと判断されるリスクがあります。A4程度のサイズで印刷するのが現実的な対応です。

様式を自分でデザインしてオシャレな標識を作るのは認められませんか?
住宅宿泊事業法は「国土交通省令・厚生労働省令で定める様式」と規定しています。省令様式以外の独自デザインは省令要件を満たさないと解される可能性があるため、第十七号様式をベースにすることを強くお勧めします。詳細は都道府県担当課にご確認ください。
標識のダウンロードと作成方法
標識の作成は、民泊制度ポータルの様式集ページから第十七号様式をダウンロードして記入・印刷することで行います。特別な機材や業者への発注は基本的に不要で、自宅のプリンターでも対応できます。
民泊制度ポータルからのダウンロード手順
ダウンロード手順は以下の通りです。
- 民泊制度ポータルの様式集ページ(https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/regulation.html)にアクセス
- 「住宅宿泊事業者関係」の様式一覧から「標識(第十七号様式)」を探す
- PDFまたはExcelファイルのリンクをクリックしてダウンロード
- ダウンロードしたファイルを開き、必要事項を入力する
PDF版はAdobe Acrobat等でフォームに入力できる場合がありますが、Excel版の方が入力しやすく推奨されます。ページが更新されることがあるため、取得日を確認してから利用してください。
民泊制度ポータル 様式集(国土交通省観光庁)(2026-05-20取得)
第十七号様式(標識)のPDF・Excelがダウンロード可能。様式集ページは随時更新されるため最新版を使用してください。
Excelテンプレートの編集方法
Excelファイルを開いたら、以下の順序で記入します。
- 届出番号欄に都道府県から通知された届出番号を入力
- 住宅宿泊事業者の氏名欄に届出者の氏名(または法人名)を入力
- 電話番号欄に緊急時の連絡先電話番号を入力
- 住所欄に届出住宅の所在地(部屋番号まで)を入力
- 管理業者に委託している場合は、管理業者の氏名と電話番号を追加入力
- 印刷プレビューで文字が見切れていないか確認
セルの書式が保護されている場合は、シートの保護を解除してから編集します。ただし様式の構造(レイアウト・項目名)を改変しないよう注意してください。フォントサイズは読みやすさを確保できる範囲で調整可能な場合があります。
印刷・ラミネート加工(耐候性の確保)
印刷後は、ラミネート加工等の耐候性確保が求められます。
民泊制度ポータル 住宅宿泊事業者の業務(国土交通省観光庁)(2026-05-20取得)
「ラミネート加工等を施すなど、耐候性のある素材で作成してください」という趣旨の記載あり。
屋外や玄関ドア周辺に掲示することが多い標識は、雨風・日光・温度変化にさらされます。普通紙に印刷しただけでは短期間で劣化・退色してしまい、記載内容が読めなくなります。ラミネートパウチを使えばA4サイズ1枚あたり数十円〜数百円程度で加工でき、ラミネーターがない場合は家電量販店やコンビニエンスストアの機器を利用することもできます。
印刷はカラーでも白黒でも省令上の制限はありませんが、文字が鮮明に読み取れることが重要です。特に届出番号や電話番号のような数字は小さくなりすぎないように注意してください。
より長期的な使用を想定する場合は、プラスチック製の看板や屋外用プレートへの印刷サービスを利用する方法もあります。費用は上がりますが、耐久性・見栄えの面で優れています。ただし省令様式の要件を満たしていることが前提です。
標識は複数枚作成しておくことをお勧めします。破損・紛失への備えに加えて、共用エントランスへの掲示が必要な共同住宅では1物件あたり2枚以上が必要になるためです。
ラミネート加工なしで紙のまま掲示すれば費用がかからないのですが、問題になりますか?
民泊制度ポータルは耐候性のある素材での作成を求めています。屋外・玄関ドア周辺は雨や湿気にさらされるため、普通紙のみでは短期間で劣化し「見やすい状態」が保てなくなります。ラミネートパウチは100円ショップでも入手できるため、コスト面でも対応しやすい方法です。
標識の掲示場所と掲示高さ
「公衆の見やすい場所」という法令の要件をどう解釈するかが実務上の核心です。民泊制度ポータルでは具体的な掲示場所と掲示高さの目安が示されており、これに従うのが現実的です。
一戸建て・マンション個室の掲示場所
一戸建ての場合は、玄関ドア周辺(表側)が一般的な掲示場所です。外から訪れる宿泊者・近隣住民が見やすいよう、玄関ドアの正面または側面の壁に掲示します。
マンション等集合住宅の個別住戸の場合も、住戸の玄関ドア周辺が基本です。廊下側から見えるドアの外面または玄関扉横の壁面に掲示します。ただし、マンションによっては管理規約で貼り紙・掲示物に制限がある場合があります。管理組合や管理会社に事前確認した上で適切な方法を選んでください。
物件内部(室内)への掲示は「公衆の見やすい場所」の要件を満たさない可能性があります。宿泊者が入室する前に確認できる位置への掲示が求められているため、屋外または共用部側から視認できる場所を選ぶことが基本的な考え方です。
共同住宅の共用エントランスへの追加掲示
共同住宅(マンション・アパート等)では、個別住戸の玄関ドアへの掲示に加えて、共用エントランス等にも標識を掲示することが求められています。
民泊制度ポータル 住宅宿泊事業者の業務(国土交通省観光庁)(2026-05-20取得)
「共同住宅にあっては、当該届出住宅の各住戸の出入口及び共用の玄関等の見やすい場所にも標識を掲示する必要があります。」という趣旨の記載あり。
共用エントランスへの掲示は、その建物にどの住戸が民泊として届出されているかを居住者・来訪者が認識できるようにする目的があります。掲示場所はエントランスホールの掲示板・集合ポスト付近・エレベーターホールなど、居住者が自然に目にする箇所が適切です。
共用エントランスへの掲示方法は、管理組合の許可が必要なケースがほとんどです。掲示板の空きスペースへの設置、または専用のフレームを使った掲示など、建物ごとに調整が必要です。管理組合・管理会社との事前調整を忘れないようにしてください。
共同住宅で複数の住戸を届け出ている場合は、住戸ごとに標識が必要です(各住戸の玄関ドア周辺に各1枚)。共用エントランスへは住戸の数に関わらず1箇所での掲示で対応できる場合もありますが、詳細は都道府県担当課にご確認ください。
掲示高さ(地上1.2m〜1.8m)の根拠
標識の掲示高さについて、民泊制度ポータルでは「地上1.2m〜1.8m」という目安が示されています。
民泊制度ポータル 住宅宿泊事業者の業務(国土交通省観光庁)(2026-05-20取得)
標識の掲示高さ:「地上から1.2m以上1.8m以下の位置に掲示することが望ましい」という趣旨の案内あり。
この高さは、一般的な成人が立った状態で標識を無理なく確認できる視認ゾーンを想定しています。地面に近すぎると見落とされやすく、高すぎると読み取りが困難になります。玄関ドアや壁に掲示する際は、標識の中央部分が地上1.2m〜1.8mの範囲に収まるよう設置してください。
玄関ドアの高さが標準的なもの(一般的に190〜210cm程度)であれば、ドアの中段付近(地上100〜150cm程度の位置)に標識を貼ることで概ねこの要件を満たすことができます。ドアノブやポスト投入口の近くに設置するとちょうどよい高さになることが多いです。

マンションの管理規約で廊下への貼り紙が禁止されているのですが、どうすれば対応できますか?
管理組合・管理会社に「住宅宿泊事業法に基づく法定標識」であることを説明し、スタンド型フレームの設置や共用掲示板への掲示などの代替方法を協議するのが現実的です。対応方法は管理規約・物件ごとに異なるため、都道府県担当課にも相談してみてください。
変更・更新が必要なケース
一度作成した標識は、記載内容に変更が生じた場合に速やかに更新する必要があります。標識の記載内容が実態と異なる状態を放置することは、行政調査時に指摘の対象になりえます。
届出番号変更・管理業者変更時の対応
届出内容の変更が生じた場合の対応フローを整理します。
| 変更事由 | 必要な手続き | 標識の対応 |
|---|---|---|
| 届出者の氏名・住所変更 | 都道府県への変更届出 | 変更後の内容で標識を作り直して掲示し直す |
| 緊急連絡先の電話番号変更 | 内容によっては変更届出が必要(都道府県に確認) | 新電話番号で標識を作り直す |
| 管理業者の変更(新たに委託または解除) | 都道府県への変更届出 | 管理業者欄を更新した標識を作り直す |
| 届出住宅の所在地変更(物件変更) | 廃業届出+新規届出が原則 | 新たな届出番号で新標識を作成 |
変更届出の手続きは都道府県によって書式や提出方法が異なります。特に管理業者の変更は電話番号も変わるケースが多く、標識の記載が古いまま放置されがちです。委託先変更時には標識の更新を変更手続きと同時に進めることをお勧めします。
変更届出の要否・タイミングについては、物件所在地の都道府県担当課か民泊専門の行政書士に確認してください。自己判断でそのままにしておくと、行政調査時に古い標識が指摘される場合があります。
標識の破損・紛失時の対応
強風による飛散、経年劣化、盗難、いたずら等で標識が破損・紛失した場合は、速やかに新しい標識を作成して掲示し直す必要があります。
標識がない状態が続くと掲示義務違反の状態になるため、代替品の準備スピードが重要です。事前に予備の標識を数枚作成・保管しておけば、破損時に即座に掲示し直すことができます。特に屋外掲示の場合、台風・積雪シーズン前に標識の状態を確認する習慣をつけておくと安心です。
盗難や故意の破損が疑われる場合は、警察への届出も選択肢のひとつです。標識の掲示妨害が近隣トラブルに発展するケースも実務上見られるため、状況に応じて都道府県担当課や弁護士への相談も視野に入れてください。
管理業者を変更したら、古い標識はそのまま使えますか?電話番号が変わってしまうのですが。
古い標識の電話番号のままでは、宿泊者や近隣住民が緊急時に繋がらない事態になりかねません。管理業者変更の変更届出と同時に新しい標識を作成・掲示し直すことを強くお勧めします。変更届出のタイミングと標識更新のタイミングをセットで進めてください。
掲示義務を怠った場合の罰則|30万円以下の罰金
標識の掲示義務違反に対する罰則は、住宅宿泊事業法に明示されています。制度理解として正確に把握しておくことが重要です。
⚠️ 罰則規定(住宅宿泊事業法第76条第2号)
「第13条第1項の規定に違反して標識を掲げなかった者は、30万円以下の罰金に処する。」
出典: 住宅宿泊事業法 第76条(厚生労働省)、2026-05-20取得
罰金の額は「30万円以下」と規定されており、実際の金額は個別の事案・違反の程度・行政の判断によります。法令上、この違反は刑事罰(罰金刑)の対象として位置づけられています。ただし、実際に罰則が適用されるまでには行政調査・指導・改善指示等のプロセスを経るのが一般的であり、発覚後に速やかに是正すれば罰則適用に至らないケースも多いとされています。とはいえ、制度趣旨上は義務不履行の状態を作らないことが基本です。
行政調査・立入検査での確認
都道府県は住宅宿泊事業者に対して報告徴収・立入検査を行う権限を持っています。立入検査では標識の掲示状況、宿泊者名簿の備付け状況、180日ルールの遵守状況などが確認されます。
標識未掲示・記載内容の不整合・劣化による判読不能などは立入検査で指摘される典型的な事例です。また、近隣住民からの苦情・通報を受けて行政が調査に動くケースも実務上見られます。その際に標識がなければ、それ自体が違反の証拠となります。
立入検査は事前通告なく実施される場合もあります(住宅宿泊事業法第72条)。物件が無人の場合でも、スマートロックや鍵ボックスを利用して調査官が内部を確認できる状態にしておくことが求められるケースがあります。詳細な対応方法は都道府県担当課に確認してください。
近隣トラブルと標識の役割
標識は罰則回避のためだけでなく、近隣関係の管理上も重要な役割を持ちます。
近隣住民が「この物件が民泊であることを知らなかった」「騒音・ゴミ問題が発生しても連絡先がわからない」という状況は、トラブルの長期化につながります。標識が適切に掲示されていれば、近隣住民は届出番号から担当窓口を経由して事業者に連絡することができます。また、届出番号が明示されていることで「届出済みの適法な民泊」であることを近隣に示す効果もあります。
反対に、標識の未掲示・不備は「無届営業ではないか」という近隣の疑念を呼び起こしやすく、苦情・通報のリスクを高めます。標識の適切な掲示は、法令遵守という面だけでなく、地域との信頼関係構築という実務的な観点からも意義があります。
民泊に関する近隣トラブルへの対応方法については、宿泊者名簿の備付け義務と運用方法の記事もあわせてご参照ください。標識と宿泊者名簿はセットで整備しておくべき法定義務です。
標識を貼り忘れて数週間経ってしまいました。気づいた時点で貼れば問題にならないですか?
気づいた時点で速やかに掲示し直すのが最初の対応です。実際に罰則適用に至るかどうかは行政の判断によりますが、未掲示の期間が事実として存在したことは変わりません。都道府県担当課に状況を報告しておくと、今後の対応で判断材料になります。
旅館業(簡易宿所)・特区民泊との標識比較
民泊に関係する主な制度は、住宅宿泊事業法(民泊新法)のほか、旅館業法(簡易宿所)、国家戦略特別区域法(特区民泊)があります。それぞれ標識に関する要件が異なります。
| 比較項目 | 住宅宿泊事業法(民泊新法) | 旅館業法(簡易宿所) | 特区民泊 |
|---|---|---|---|
| 根拠法 | 住宅宿泊事業法 第13条 | 旅館業法 第14条 | 国家戦略特別区域法 第13条の2等 |
| 標識の様式 | 省令第十七号様式(国交省・厚労省) | 厚生労働省令の様式 | 自治体により異なる(各特区の規則による) |
| 主な記載事項 | 届出番号・氏名・電話番号・住所等 | 許可番号・名称・営業種別等 | 認定番号・氏名等(自治体ごとに確認が必要) |
| 年間営業日数上限 | 180日(条例による短縮あり) | 上限なし(許可制) | 特区により異なる |
| 違反時の罰則 | 30万円以下の罰金 | 旅館業法に基づく罰則(別途規定) | 特区の根拠法により異なる |
旅館業(簡易宿所)の場合は、都道府県知事の「許可」が必要で、標識にも「許可番号」が記載されます。住宅宿泊事業の「届出番号」とは別物です。旅館業で開業している方が住宅宿泊事業法の標識を間違って掲示したり、その逆が起きたりしないよう注意が必要です。
特区民泊(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)は、大阪市・東京都大田区など特定の自治体のみで認められた制度です。認定を受けた場合の標識要件は各自治体の規則・ガイドラインによるため、民泊制度ポータルの一般情報だけでなく、当該自治体の担当窓口に直接確認してください。
どの制度で開業するかを迷っている場合は、まず物件の所在地・用途地域・建物形態・管理規約等の条件を確認した上で、無料可否診断ツールを活用することも有効です。
旅館業(簡易宿所)でも住宅宿泊事業法の標識様式を使って構いませんか?
それぞれ根拠法が異なり、様式・記載内容も別物です。旅館業(簡易宿所)の場合は旅館業法に基づく標識を掲示する必要があります。制度ごとに必要な標識を正確に確認してください。詳細は都道府県の担当窓口にお問い合わせください。
標識に関するよくある疑問Q&A
Q1. 標識のサイズ(大きさ)に規定はありますか?
省令上、標識のサイズについて具体的なcm指定はありません。ただし「公衆の見やすい」状態を確保する必要があるため、A4サイズ(210mm×297mm)程度を基準に考えるのが実務上の標準的な対応です。小さすぎて文字が読み取れない場合は要件を満たさないと判断されるリスクがあります。詳細は都道府県担当課にご確認ください。
Q2. 室内(玄関ホール内側)への掲示でも認められますか?
「公衆の見やすい場所」は、宿泊者が入室する前・近隣住民・来訪者が確認できる場所を想定しています。室内のみへの掲示は要件を満たさない可能性があります。玄関ドアの外側(廊下側)や建物外壁への掲示が基本的な対応です。個別の判断は都道府県担当課にご相談ください。
Q3. 日本語以外の言語(英語等)を併記した標識でも良いですか?
省令様式は日本語が基本ですが、追加で外国語を併記すること自体を禁じる規定はないとされています。ただし省令様式の構成・記載事項を変更することはできません。外国語併記版を作成する場合は、省令様式の記載内容が正確に含まれていること、都道府県担当課に事前確認することをお勧めします。
Q4. 民泊の休止期間中も標識は掲示し続ける必要がありますか?
届出が有効である限り(廃業届出をしていない限り)、掲示義務は継続します。一時的に宿泊営業を停止している期間でも、届出を維持している場合は標識の掲示が求められます。廃業を決定した場合は廃業届出を提出し、標識を撤去します。詳細は都道府県担当課にご確認ください。
Q5. 民泊の標識が盗まれた場合、すぐに新しいものを貼れば問題になりませんか?
気づいた時点で速やかに新しい標識を掲示することが最初の対応です。盗難の場合は管理義務を尽くした上での紛失であり、発覚次第対応することで事情が考慮されるケースもあります。状況によっては都道府県担当課に報告することを検討してください。また、繰り返す場合は警察への届出も選択肢です。
Q6. 標識の掲示だけで民泊を開始できますか?届出以外に何が必要ですか?
標識の掲示は届出受理後の必須義務のひとつですが、それだけで開業できるわけではありません。宿泊者名簿の備付け・180日ルールの遵守・消防設備の確認・近隣説明等、他の義務も同時に必要です。開業前に都道府県担当課または行政書士に全体的な要件を確認されることをお勧めします。
Q7. 都道府県によって標識の様式や要件が異なりますか?
省令様式は全国共通(第十七号様式)ですが、都道府県や市区町村の条例・ガイドラインで追加要件が設けられている場合があります。例えば、掲示場所や共用部への掲示に関してより具体的な定めがある自治体も存在します。物件所在地の都道府県担当課に条例上の追加要件を必ず確認してください。
まとめ|標識掲示チェックリスト
民泊標識の掲示は、住宅宿泊事業法第13条第1項が定める法的義務であり、違反は30万円以下の罰金の対象です。届出受理後すみやかに対応するための実務チェックリストをまとめます。

民泊標識 掲示チェックリスト(2026年5月版)
- 民泊制度ポータルの様式集から第十七号様式(Excel・PDF)をダウンロードした
- 届出番号を届出受理通知書から正確に転記した
- 届出者の氏名(または法人名)を届出書と一致する表記で記載した
- 緊急時の電話番号(24時間対応できるもの)を記載した
- 届出住宅の所在地(部屋番号まで)を記載した
- 管理業者に委託している場合、管理業者の氏名と電話番号を追加記載した
- A4程度のサイズで印刷し、ラミネート加工等の耐候性処理を行った
- 玄関ドア外側(廊下側)または建物外壁の、地上1.2m〜1.8mの位置に掲示した
- 共同住宅の場合、共用エントランス等にも追加で掲示した(管理組合と調整済み)
- 予備の標識を2枚以上作成して保管した
- 変更(氏名・電話番号・管理業者等)が生じた場合に標識を更新するフローを確認した
標識の作成自体は数時間でできる作業ですが、掲示場所・掲示高さ・共用部対応など細かい要件が積み重なっています。特に共同住宅での掲示は管理組合との調整が必要なため、届出の手続きと並行して早めに動いておくことをお勧めします。
標識以外にも、宿泊者名簿の備付け・180日管理・消防設備の確認・定期報告など、住宅宿泊事業者には複数の義務があります。全体的な義務の整理については、物件所在地の都道府県担当課または民泊専門の行政書士にご相談いただくことを強くお勧めします。
本記事の内容は2026年5月20日時点で公開されている公式情報に基づいています。住宅宿泊事業法・省令は改正される可能性があるため、最新情報は民泊制度ポータルサイト(2026-05-20取得)でご確認ください。
標識の準備は自分でできそうですが、届出全体の手続きを間違えないか不安です。行政書士に頼むべきですか?
標識作成は自分で対応しやすい作業ですが、消防設備・管理規約・用途地域・自治体条例の確認まで含めると複数の専門領域にまたがります。初めての方は民泊専門の行政書士に相談し、全体の要件を一度整理してもらうのがスムーズに進めるための現実的な選択肢のひとつです。
📋 ご確認ください(民泊学校 編集部より)
⚠️ 本記事は2026年5月時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法・省令は改正される可能性があります。最新情報は必ず民泊制度ポータルでご確認ください。
本記事は 2026-05-20 時点で公開されている公式情報をもとに編集しています。標識の様式・掲示方法・掲示場所の詳細は、物件所在地の都道府県担当課または民泊制度ポータルでご確認ください。
- 届出・標識: 民泊制度ポータルサイト / 物件所在地の都道府県担当課
- 届出代行: 民泊専門の行政書士
本記事の情報は予告なく変更される可能性があります。掲載情報の利用により生じたいかなる損害についても、当サイトは責任を負いかねます。










