民泊の宿泊者名簿の書き方と管理方法 2026年版|住宅宿泊事業法の義務・罰則・電子化対応まで完全解説
編集: 民泊学校 編集部 | 最終更新日: 2026-05-20
住宅宿泊事業(民泊新法)の届出を行ったホストが、運営開始後に最初に直面する実務のひとつが「宿泊者名簿」の管理です。名簿の備付けは法律上の義務であり、違反した場合には罰則が科せられる可能性があります。しかし、「何をどこまで記録すればよいのか」「紙と電子化のどちらが有利か」「保存期間はどのくらいか」など、実務上の疑問は尽きません。本記事では、住宅宿泊事業法施行規則に定められた記録項目・保存義務・罰則・電子化の方法を、公式ソースをもとに整理します。法令の解釈や個別ケースへの対応は、管轄の都道府県担当課または民泊専門の行政書士にご確認ください。
この記事でわかること
- 宿泊者名簿の法的根拠と義務の位置づけ
- 日本人ゲスト(5項目)と外国人ゲスト(7項目)の記録内容
- 本人確認の方法(対面 または ICT)
- 紙 または 電子(国交省配布ソフト・Excel・PMS)による管理のポイント
- 保存場所と3年間保存義務の実務的対応
- 違反した場合の罰則(30万円以下の罰金)の具体ケース
- 定期報告との連動方法
結論
住宅宿泊事業法の宿泊者名簿は、チェックインのたびに氏名・住所・職業・宿泊日・人数(外国人は+国籍・旅券番号)の記録が必要です。保存期間は3年。備付け義務違反は30万円以下の罰金の対象となる可能性があります。国交省が電子名簿ソフトを無料配布しており、紙 または 電子のどちらの形式でも対応可能とされています。管理方法の詳細は、届出時に都道府県担当課で確認することをお勧めします。
本記事の主な参照元(公式ソース)
民泊制度ポータル:住宅宿泊事業者の業務(国土交通省)(2026-05-20取得)
宿泊者名簿の必須記録5項目・7項目、本人確認義務(対面 または ICT)、保存期間3年を規定
住宅宿泊事業法施行規則 第7条(厚生労働省)(2026-05-20取得)
電子的記録による代替が明示的に認められている。保存期間3年。
民泊制度ポータル:罰則・留意事項(国土交通省)(2026-05-20取得)
宿泊者名簿の備付け義務違反 → 30万円以下の罰金
民泊制度ポータル:電子名簿ソフト(国土交通省)(2026-05-20取得)
国交省が電子宿泊者名簿ソフト(無料)を配布。Windows10/11対応。CSVで定期報告へ活用可。
旅館業法施行規則 第4条の2(厚生労働省)(2026-05-20取得)
旅館業は「職業」不要・「連絡先」追加(2023年改正)。保存3年は共通。
Contents
- 1 宿泊者名簿とは何か|住宅宿泊事業法上の位置づけと義務の根拠
- 2 記録すべき5項目(日本人)と7項目(外国人)
- 3 宿泊者名簿の管理方法
- 4 違反した場合の罰則|30万円以下の罰金
- 5 宿泊者名簿と定期報告の連動
- 6 住宅宿泊事業法 vs 旅館業法|名簿義務の比較
- 7 よくある疑問とQ&A
- 7.1 Q1. 宿泊者名簿は「世帯主だけ」それとも「全員分」記録が必要ですか?
- 7.2 Q2. ゲストが名簿への記入を拒否した場合はどうすればよいですか?
- 7.3 Q3. Airbnbなどの予約情報から名簿の情報を転記するだけでよいですか?
- 7.4 Q4. 管理会社に運営を委託している場合、名簿はどちらが管理しますか?
- 7.5 Q5. 3年間の保存期間が過ぎた名簿はどのように処分すればよいですか?
- 7.6 Q6. スマートロック導入後は無人チェックインが主流ですが、本人確認はどうすればよいですか?
- 7.7 Q7. 旅館業・特区民泊と住宅宿泊事業を同一物件で切り替えた場合、過去の名簿も3年保存が必要ですか?
- 8 まとめ|宿泊者名簿チェックリスト
宿泊者名簿とは何か|住宅宿泊事業法上の位置づけと義務の根拠
宿泊者名簿とは、届出住宅に宿泊したゲストの情報を記録した帳簿です。旅館業・ホテルでは長年にわたって義務付けられてきた慣行ですが、2018年(平成30年)6月施行の住宅宿泊事業法(民泊新法)でも、住宅宿泊事業者(届出ホスト)に対して宿泊者名簿の備付け義務が明確に定められました。
法的根拠は住宅宿泊事業法第10条および住宅宿泊事業法施行規則第7条です。国土交通省の民泊制度ポータルサイト「住宅宿泊事業者の業務」によれば、ホストは宿泊ごとにゲストの情報を記録し、届出住宅に3年間保存する義務を負います。
宿泊者名簿の目的は、宿泊者の安全確保・防犯・感染症対応・犯罪捜査への協力など、公共の秩序維持に資することにあります。実際に行政機関が立入検査に来た際、名簿の提示を求められるケースがあるため、「存在するだけでよい」という認識ではなく、実際に正確な情報が記録されているかが重要です。
宿泊者名簿の整備は、民泊運営において避けられない義務のひとつです。住宅宿泊事業法施行規則第7条では、紙による記録に加えて電子的記録による代替も認められており、近年は電子化が推奨されつつあります。具体的な対応方法については、後述する各セクションで詳しく説明します。
なお、宿泊者名簿の備付け義務は、住宅宿泊事業(民泊新法)の届出だけでなく、旅館業法に基づく簡易宿所・国家戦略特別区域法に基づく特区民泊でも求められています。制度によって記録項目が異なるため、自身が利用する制度の施行規則を確認してください。個別のケースについては都道府県の担当課または民泊専門の行政書士への確認が有効です。
法的根拠まとめ
- 住宅宿泊事業法 第10条:宿泊者名簿の備付け義務
- 住宅宿泊事業法施行規則 第7条:記録項目・電子化・保存期間(3年)
- 違反した場合:同法 第55条第2項 → 30万円以下の罰金
民泊の宿泊者名簿って、本当に全員分記録しないといけないのですか?ゲストが2〜3泊するときも1回でいいですか?
宿泊ごとに記録が必要とされています。同じゲストが複数泊する場合でも、チェックイン時に1回記録するのが実務上の対応として一般的です。記録の単位については、管轄の都道府県担当課に確認しておくことをお勧めします。
記録すべき5項目(日本人)と7項目(外国人)
民泊制度ポータルサイト(国土交通省、2026-05-20取得)によると、住宅宿泊事業法上の宿泊者名簿に記録すべき項目はゲストの属性によって異なります。日本人ゲストは5項目、外国人ゲストは国籍と旅券番号が追加されて7項目となります。
日本人ゲストの必須5項目(氏名・住所・職業・宿泊日・人数)
日本人ゲストに対しては、以下の5項目の記録が求められます。
| 項目 | 記録内容の例 | 備考 |
|---|---|---|
| ① 氏名 | 山田 太郎 | 代表者のみ または 全員、届出自治体の運用に従う |
| ② 住所 | 東京都〇〇区〇〇 | 都道府県・市区町村レベルが最低限の目安 |
| ③ 職業 | 会社員 / 自営業 / 学生 等 | 旅館業と異なり住宅宿泊事業法では記録必須。詳細は後述。 |
| ④ 宿泊日 | 2026年5月20日〜21日 | チェックインおよびチェックアウト日を記録 |
| ⑤ 人数 | 2名 | 宿泊者全員の合計人数 |
特に「職業」は旅館業法の改正(2023年)後の施行規則と比較すると取扱いが異なる点として注目されます。住宅宿泊事業法では現状、「職業」の記録が義務付けられています。「会社員」「自営業」「学生」「無職」など大まかな記載で実務上対応しているケースが多いとされていますが、記録の粒度については管轄の担当課への確認を推奨します。
外国人ゲストの追加必須2項目(国籍・旅券番号)
外国人ゲストの場合は、上記5項目に加えて以下の2項目が追加されます。
| 追加項目 | 記録内容 | 確認方法 |
|---|---|---|
| ⑥ 国籍 | United States / 中国 / 韓国 等 | パスポートの国籍欄を確認 |
| ⑦ 旅券番号 | AA1234567 | パスポートの番号欄を確認(英数字9桁が多い) |
外国人ゲストへの対応で実務上の難しさが生じやすいのは、チェックイン時に旅券(パスポート)の番号を正確に記録する工程です。対面チェックインの場合はパスポートを直接目視確認し転記する方法が一般的ですが、無人・リモートチェックインの場合はICTを活用した本人確認の仕組みが必要になります。詳細は次のH3で説明します。
なお、パスポートのコピーを取得して保存する運用については、個人情報保護の観点から慎重な対応が求められます。記録にとどめる範囲や保管方法は、個人情報の適切な取扱いに関する法令にも配慮した上で、都道府県担当課または専門家に確認してください。
本人確認の方法(対面 または ICT)
宿泊者名簿の記録においては、単に自己申告の情報を書き取るだけでなく、ゲスト本人を確認した上で情報を記録することが求められています。民泊制度ポータル(2026-05-20取得)によれば、本人確認の方法として認められているのは「対面での確認」と「ICT(情報通信技術)を活用した非対面での確認」の2種類です。
| 確認方法 | 概要 | 主なメリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 対面確認 | ホスト自身またはスタッフがゲストと対面し、身分証・パスポートを目視確認 | 確実性が高い。初回利用ゲストへの安心感 | ホスト不在の場合に対応が難しい |
| ICT活用(非対面) | ゲストがオンライン上で身分証・パスポートの画像を送信し、ホストが確認 | スマートロックと組み合わせた無人チェックインが可能 | 要件を満たす手順・ツールの整備が必要。自治体ごとに運用差がある可能性 |
ICTを活用した非対面チェックインは、スマートロックや予約管理システム(PMS)と組み合わせることで運用効率が上がります。ただし、ICT活用による本人確認が法令上の要件を満たしているかどうかは、具体的なツールや手順によって異なる場合があります。導入前に管轄の都道府県担当課または行政書士にご相談ください。


外国人ゲストが来たとき、パスポートをスマホで写真撮って記録に使ってもいいですか?
旅券番号など必要事項を記録するための確認手段としてスマホ撮影を利用するケースはあります。ただしパスポートの画像を記録・保管する際には個人情報保護法上の適切な管理が求められます。運用方法については管轄の担当課また行政書士にご確認ください。
宿泊者名簿の管理方法
宿泊者名簿の管理方法には大きく「紙による管理」と「電子化による管理」の2つのアプローチがあります。住宅宿泊事業法施行規則第7条(厚生労働省、2026-05-20取得)では、電子的記録による代替が明示的に認められています。どちらの方法も法令上は認められていますが、管理の効率・定期報告との連動・保存場所の確保といった実務面からは、電子化が有利な場面も増えています。
紙の名簿で管理する場合
紙の名簿はシンプルで、特別なシステム環境を必要としないのが利点です。以下のような点に留意して管理します。
- フォーマット:決まった書式は法令上規定されていませんが、記録必須5項目(外国人は7項目)が漏れなく記入できるシートを用意するのが現実的です。
- 記入タイミング:チェックイン時に記入いただくか、ホストが本人確認と同時に転記する形が一般的です。
- 保管場所:届出住宅に備え置くことが原則です(詳細は後述)。
- 管理上の注意:第三者に閲覧されないよう施錠管理することが推奨されます。
- 3年間保存:宿泊日から3年間は廃棄せず保存が必要です。
紙の名簿は運用負担が小さい反面、定期報告の際にデータ集計が手作業になる点やスペースの問題が生じやすい点があります。管理物件が1〜2件でゲスト数が少ない場合は紙で対応するケースも見られますが、複数物件・多数ゲストの場合は電子化の検討が現実的です。
電子名簿(国交省配布ソフト・Excel・PMS)で管理する場合
民泊制度ポータル(国土交通省、2026-05-20取得)によれば、国土交通省は電子宿泊者名簿ソフトを無料配布しています。同ソフトはWindows 10/11対応で、記録したデータをCSVに書き出して定期報告にも活用できる設計になっています。
| ツール | 特徴 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|---|
| 国交省配布ソフト | Windows専用、無料。必須項目の入力フォームあり。CSV出力機能あり。 | 公式認定の形式。定期報告連動が容易。無料。 | Windows限定。Mac環境では別途対応が必要。 |
| Excel / スプレッドシート | 自作または配布テンプレを活用。5項目 または 7項目を列として設定。 | 汎用性が高い。Mac環境にも対応。クラウド保存が可能。 | フォーマットを自身で整備する必要がある。入力漏れが発生しやすい。 |
| PMS(宿泊管理システム) | 予約管理と連動した宿泊者情報の記録・出力機能を持つ専門ツール | OTA予約データとの連携で自動入力が可能な場合がある。複数物件管理に向く。 | 月額費用が発生。宿泊者名簿の法定項目への対応状況はシステムごとに要確認。 |
PMSを利用する場合は、システムが住宅宿泊事業法上の宿泊者名簿要件(全記録項目・外国人対応・3年保存)を満たしているかを導入前に確認してください。OTA側の予約情報がすべて自動転記されるわけではなく、「職業」や「国籍・旅券番号」は別途ゲストに入力を求める工程が必要になる場合があります。
電子名簿の場合も、データの改ざんが困難な形で保存することが推奨されます。クラウドサービスを利用する場合は、アクセス権限の管理とデータのバックアップ体制を整えておくと安心です。
保存場所(届出住宅 または 営業所)と3年間保存義務
宿泊者名簿は原則として「届出住宅」に備え置くことが求められています。実務上の注意点としては以下が挙げられます。
- 保存期間:宿泊日から3年間。3年を経過した記録の廃棄については、個人情報保護の観点からも適切な方法(シュレッダー等)を選択することが推奨されます。
- 保存場所:届出住宅が複数ある場合は物件ごとに保管するか、管理会社等に委託する場合は保存場所の取り決めが必要です。電子化の場合でも「当該届出住宅において閲覧できる状態」が求められることがあります。詳細は管轄の都道府県に確認してください。
- 住宅宿泊管理業者に委託している場合:管理業者が名簿管理を行う場合でも、名簿備付け義務の責任はホスト(届出者)が負います。委託契約の内容を確認してください。
注意: 「電子化したので紙は不要」という認識は正しいのですが、電子データが立入検査の際にすぐ閲覧・印刷できる状態でないと、実務上の問題が生じる可能性があります。特にクラウド保存のみの場合は、インターネット接続環境の確保も含めて対応を準備しておくことをお勧めします。


Macユーザーです。国交省配布ソフトはWindowsだけとのことですが、電子名簿はどのように管理すればいいですか?
Macでは Google スプレッドシートや Numbers で必須項目を網羅した独自フォーマットを作り電子記録する方法があります。法定5項目(外国人は7項目)が記録できれば書式は問われません。管轄の担当課に電子記録の形式について確認しておくとより安心です。
違反した場合の罰則|30万円以下の罰金
民泊制度ポータルの罰則・留意事項ページ(国土交通省、2026-05-20取得)によれば、宿泊者名簿の備付け義務に違反した場合は30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。住宅宿泊事業法は行政機関による立入検査や報告命令の規定も持っており、名簿の不備が発覚した場合は行政処分の対象となりうることも念頭においてください。
「備付け義務違反」の具体的なケース
「備付け義務違反」にあたる可能性があるケースとして、実務上は以下が考えられます。
| 違反の類型 | 具体例 |
|---|---|
| 名簿が存在しない | 届出後に1度もゲストの宿泊情報を記録していない状態 |
| 記録項目の不備 | 氏名のみ記録し、住所・職業・人数などが抜けている状態 |
| 外国人項目の未記録 | 外国人ゲストの国籍・旅券番号が記録されていない状態 |
| 保存期間前の廃棄 | 宿泊日から3年未満で名簿を廃棄した状態 |
| 立入検査時に提示できない | 名簿が存在するが届出住宅に備え置かれておらず確認できない状態 |
罰則の適用は、違反の重大性・継続性・悪意の有無などを総合的に判断して行政が対応します。ただし「知らなかった」「書き方がわからなかった」という事情が、名簿不備の免責事由となるかどうかは個別のケース判断となります。届出時点から適切な運用を開始することが重要です。
注意: 宿泊者名簿の不備は、廃業処分・業務停止命令の根拠にもなる可能性があります。民泊制度ポータルの罰則ページを定期的に確認し、最新の情報を把握しておくことをお勧めします。
行政調査・立入検査への対応
住宅宿泊事業法では、都道府県知事(政令市は市長)が届出住宅に対して報告を求め、立入検査を行うことができると定めています。立入検査の際に求められる主な書類として、宿泊者名簿は代表的な確認対象のひとつです。
立入検査への対応として、現状できる準備を以下にまとめます。
- 宿泊者名簿を届出住宅に常時備え置き、すぐに閲覧できる状態を保つ
- 名簿の全必須項目が記録されているか、チェックインのたびに確認する習慣をつける
- 電子化の場合は、検査官が閲覧・印刷できる環境を確保する
- 3年間の保存期間が経過していない記録は廃棄しない
- 管理業者に委託している場合でも、名簿の状況をホスト自身が把握しておく
立入検査を受けた際の具体的な対応方法や、行政との交渉については、民泊専門の行政書士または弁護士への相談が有益です。届出時から専門家との相談窓口を確保しておくと、問題発生時のリスクを軽減できます。
罰金30万円以下とのことですが、実際に初回の不備で即座に罰金になるのでしょうか?
罰則の適用は行政が違反の状況を総合的に判断します。一般的には報告・指導・改善命令を経て処分が行われるケースが多いとされていますが、違反の程度によって対応は異なります。「罰金にならなければよい」ではなく、届出当初から正しく備え置くことが最も現実的な対応です。
宿泊者名簿と定期報告の連動
住宅宿泊事業者は、宿泊者名簿の備付けに加えて、定期報告(2か月ごと)を都道府県知事に提出する義務があります。定期報告では宿泊日数・宿泊者数・延べ床面積当たりの宿泊者数などを報告します。宿泊者名簿の記録が正確であれば、定期報告のデータ集計が格段に楽になります。
国交省配布の電子名簿ソフト(民泊制度ポータル、2026-05-20取得)は、記録データをCSV形式で出力できる機能を持っており、定期報告の電子申請システムと組み合わせて使えるよう設計されています。具体的な連携手順は都道府県の電子申請システムによって異なるため、管轄の担当課へ確認することをお勧めします。
定期報告と宿泊者名簿の数字が一致しているかを定期的に照合する習慣をつけることで、記録ミスや漏れを早期に発見できます。特に以下の数値は名簿と報告の両方に影響します。
- 宿泊日数(住宅宿泊事業法の上限180日との関係でも重要)
- 宿泊者数(外国人・日本人の内訳を含む場合もある)
- 宿泊延べ数
180日ルールの管理については、180日カレンダーツールと組み合わせて運用日数を可視化することで、オーバーのリスクを事前に把握できます。
定期報告は電子申請が主流となっていますが、自治体によって申請システムや提出書類の詳細が異なります。届出時に担当課から配布される「事業者ガイド」や「説明資料」を保管しておき、報告サイクルを逃さないようにカレンダー管理することを推奨します。
定期報告の提出を忘れてしまったらどうなりますか?名簿と定期報告はどちらが厳しいですか?
定期報告の未提出も宿泊者名簿と同様に罰則の対象となりうる義務です。どちらも運営上の柱と位置づけ、期日管理を徹底することをお勧めします。不明点は管轄の都道府県担当課にご確認ください。
住宅宿泊事業法 vs 旅館業法|名簿義務の比較
自身の物件が住宅宿泊事業(民泊新法)なのか旅館業(簡易宿所)なのかによって、宿泊者名簿の記録項目が異なります。旅館業法施行規則(厚生労働省、2026-05-20取得)は2023年改正により記録項目が変更されており、住宅宿泊事業法との違いを把握しておくことが重要です。
記録項目の違い(「職業」の有無)
| 記録項目 | 住宅宿泊事業法(民泊新法) | 旅館業法(簡易宿所等)2023年改正後 |
|---|---|---|
| 氏名 | ○ 必須 | ○ 必須 |
| 住所 | ○ 必須 | ○ 必須 |
| 職業 | ○ 必須 | × 2023年改正で削除 |
| 連絡先(電話・メール) | 規定なし(任意) | ○ 2023年改正で追加 |
| 宿泊日 | ○ 必須 | ○ 必須 |
| 人数 | ○ 必須 | ○ 必須 |
| 国籍(外国人のみ) | ○ 必須 | ○ 必須 |
| 旅券番号(外国人のみ) | ○ 必須 | ○ 必須 |
| 保存期間 | 3年 | 3年(共通) |
最大の違いは「職業」の扱いです。旅館業法は2023年の改正で「職業」を記録義務から削除しましたが、住宅宿泊事業法ではこの改正の影響を受けないため、現状も「職業」の記録が求められています。「旅館業も民泊もどちらも同じ」と思って旅館業基準のフォーマットを流用すると、職業欄が抜ける可能性があります。
外国人対応の共通点
外国人ゲストへの対応については、住宅宿泊事業法と旅館業法の双方において国籍・旅券番号の記録が義務付けられています。インバウンド比率の高い都市部では、外国人ゲストの割合が半数を超えるケースも見られます。チェックイン時のフローにパスポート確認工程を組み込んでおくことが、安定した運用につながります。
また、チェックインガイドやハウスルールを多言語対応にしておくと、外国人ゲストへの情報提供と同時に、名簿記録への協力もスムーズに求めやすくなります。
旅館業(簡易宿所)に転換したら宿泊者名簿の書き方が変わるということですか?
はい、適用法令が変わるため記録項目も変わります。旅館業法では「職業」が削除され、代わりに「連絡先」が追加されています。制度を切り替える際は、名簿フォーマットの見直しも必要です。転換の際は管轄の保健所または行政書士にご確認ください。
よくある疑問とQ&A
Q1. 宿泊者名簿は「世帯主だけ」それとも「全員分」記録が必要ですか?
住宅宿泊事業法上は「宿泊者」の情報を記録することとされており、グループで訪れた場合に代表者のみでよいのか全員分必要なのかは、解釈の運用が自治体によって異なる場合があります。確実を期すには、管轄の都道府県担当課に確認し、指示に従うことをお勧めします。なお、人数(何名泊まったか)は必須記録項目です。
Q2. ゲストが名簿への記入を拒否した場合はどうすればよいですか?
宿泊者名簿の記録はホスト側の法的義務です。ゲストへの記入協力を事前に予約ページや案内文でお知らせし、チェックイン時に対応してもらうフローを設けることが一般的な対策です。協力を得られない場合の具体的な対処方法(宿泊拒否の可否等)については、民泊制度ポータルの最新情報または行政書士への相談をお勧めします。
Q3. Airbnbなどの予約情報から名簿の情報を転記するだけでよいですか?
OTAの予約情報に含まれる項目(氏名・国籍等)を名簿に転記すること自体は否定されていませんが、OTAが提供する情報だけでは「住所」「職業」「旅券番号」が揃わないケースが多いです。チェックイン時にゲストから不足情報を直接取得する工程が別途必要になります。
Q4. 管理会社に運営を委託している場合、名簿はどちらが管理しますか?
住宅宿泊管理業者(届出住宅の管理を受託する事業者)に管理を委託している場合は、管理業者が名簿管理を担当するケースがほとんどです。ただし、名簿備付け義務の法的責任はホスト(届出者)にあることに変わりありません。委託契約の中で名簿管理の責任範囲・保存場所・報告方法を明確にしておくことが重要です。
Q5. 3年間の保存期間が過ぎた名簿はどのように処分すればよいですか?
3年を経過した記録については、個人情報保護の観点から適切な方法での廃棄が推奨されます。紙の名簿はシュレッダーによる裁断、電子データは復元困難な方法での削除が一般的です。廃棄タイミングの記録(「○年○月に○年分の名簿を廃棄」等)を残しておくと、運用管理上の証跡になります。
Q6. スマートロック導入後は無人チェックインが主流ですが、本人確認はどうすればよいですか?
スマートロックによる無人チェックインでは、ICTを活用した本人確認(ゲストがオンラインで身分証・パスポートを送信し、ホストが確認)の方式が活用されています。ただし、ICT活用が法令上の本人確認要件を満たすかどうかは、具体的なツールや手順によります。無人チェックイン体制の構築前に、管轄の都道府県担当課への確認を強くお勧めします。
Q7. 旅館業・特区民泊と住宅宿泊事業を同一物件で切り替えた場合、過去の名簿も3年保存が必要ですか?
過去の宿泊記録については、その記録が作成された時点の法令・制度の保存義務に従うのが原則です。制度切り替え前後で名簿フォーマットや保存場所が変わる場合もあるため、切り替え時に担当課に確認し、過去記録の取り扱い方針を明確にしておくことをお勧めします。
まとめ|宿泊者名簿チェックリスト
宿泊者名簿は、住宅宿泊事業を適法に運営するための基本的な義務です。毎回の記録漏れが積み重なると、立入検査時に問題が発覚するリスクがあります。以下のチェックリストを活用して、運用フローを確認してください。


宿泊者名簿 運用チェックリスト
- ☐ 名簿フォーマットに日本人ゲスト用5項目(氏名・住所・職業・宿泊日・人数)が揃っている
- ☐ 名簿フォーマットに外国人ゲスト用追加2項目(国籍・旅券番号)が揃っている
- ☐ チェックインのたびに本人確認(対面 または ICT)を実施している
- ☐ 名簿は届出住宅に備え置かれており、立入検査時に即座に提示できる
- ☐ 電子化の場合、データのバックアップおよび3年間保存の体制が整っている
- ☐ 3年未満の記録を誤廃棄しないよう、廃棄日程を管理している
- ☐ 定期報告(2か月ごと)の数値と名簿の記録が一致している
- ☐ 管理会社に委託している場合、名簿管理の責任範囲を契約で明確化している
- ☐ 不明点は管轄の都道府県担当課または行政書士に確認済み
宿泊者名簿の書き方・管理方法は、住宅宿泊事業法施行規則の規定を基本としつつ、都道府県によって運用の詳細が異なる場合があります。「現状、記録できていない」「フォーマットが不安」という場合は、管轄の都道府県担当課または民泊専門の行政書士にご相談ください。届出直後のホストには、担当課への問い合わせの際に「宿泊者名簿の記録方法の確認」を議題として挙げることを推奨します。
民泊運営を続けていく上で、宿泊者名簿は日々の記録の積み重ねです。運用フローをシンプルにして継続しやすい仕組みを作ることが、長期的な安定運営の基盤となります。
宿泊者名簿、まず何から始めればいいですか?
まず5項目(または7項目)が揃った記録フォームを用意することです。国交省配布の電子名簿ソフトを試すか、スプレッドシートで独自フォームを作るか、いずれかで対応できます。届出住宅への備え置きと3年保存の体制を整えた上で、初回ゲスト受け入れに臨みましょう。
関連記事
民泊を廃業する際にも宿泊者名簿の取り扱いが必要になります。廃業手続きの全体像については、民泊廃業の手続きガイド 2026年版 をご参照ください。
📋 ご確認ください(民泊学校 編集部より)
⚠️ 本記事は2026年5月時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法施行規則は改正される可能性があります。最新情報は必ず民泊制度ポータルでご確認ください。
本記事は 2026-05-20 時点で公開されている公式情報をもとに編集しています。宿泊者名簿の記録・管理・保存の具体的な方法は、管轄の都道府県担当課または専門家にご確認ください。
- 届出・名簿義務: 民泊制度ポータルサイト / 物件所在地の都道府県担当課
- 届出手続き代行: 民泊専門の行政書士
本記事の情報は予告なく変更される可能性があります。掲載情報の利用により生じたいかなる損害についても、当サイトは責任を負いかねます。










