民泊の宿泊者名簿の書き方と管理方法 2026年版|住宅宿泊事業法の義務・罰則・電子化対応まで完全解説
編集: 民泊学校 編集部 | 最終更新日: 2026-10-15
住宅宿泊事業(民泊新法)の届出を行ったホストが、運営開始後に最初に直面する実務のひとつが「宿泊者名簿」の管理です。名簿の備付けは法律上の義務であり、違反した場合には罰則が科せられる可能性があります。しかし、「何をどこまで記録すればよいのか」「紙と電子化のどちらが有利か」「保存期間はどのくらいか」など、実務上の疑問は尽きません。本記事では、住宅宿泊事業法施行規則に定められた記録項目・保存義務・罰則・電子化の方法を、公式ソースをもとに整理します。法令の解釈や個別ケースへの対応は、管轄の都道府県担当課または民泊専門の行政書士にご確認ください。
この記事でわかること
- 宿泊者名簿の法的根拠と義務の位置づけ
- 全宿泊者共通の4項目と、日本国内に住所を有しない外国人の追加2項目(国籍・旅券番号)の記録内容
- 本人確認の方法(対面 または ICT)
- 紙 または 電子(国交省配布ソフト・Excel・PMS)による管理のポイント
- 保存場所と3年間保存義務の実務的対応
- 違反した場合の罰則(30万円以下の罰金)の具体ケース
- 定期報告との連動方法
結論
住宅宿泊事業法の宿泊者名簿は、宿泊者全員について氏名・住所・職業・宿泊日の記載が必要で、宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人の場合は国籍・旅券番号も記載します(住宅宿泊事業法施行規則第7条第3項)。保存期間は作成の日から3年。備付け義務違反は30万円以下の罰金の対象となる可能性があります。国交省が電子名簿ソフトを無料配布しており、紙 または 電子のどちらの形式でも対応可能とされています。管理方法の詳細は、届出時に都道府県担当課で確認することをお勧めします。
本記事の主な参照元(公式ソース)
民泊制度ポータル:住宅宿泊事業者の業務(国土交通省)(2026-05-20取得)
宿泊者名簿の記載事項(氏名・住所・職業・宿泊日、国内に住所を有しない外国人は国籍・旅券番号)、宿泊者全員の記載、本人確認(対面 または 要件を満たすICT)、旅券の写しの保存、備付け場所、3年間保存を解説
住宅宿泊事業法施行規則 第7条(厚生労働省)(2026-05-20取得)
電子的記録による代替が明示的に認められている。保存期間3年。
民泊制度ポータル:罰則・留意事項(国土交通省)(2026-05-20取得)
宿泊者名簿の備付け義務違反 → 30万円以下の罰金
民泊制度ポータル:電子名簿ソフト(国土交通省)(2026-05-20取得)
国交省が電子宿泊者名簿ソフト(無料)を配布。Windows10/11対応。CSVで定期報告へ活用可。
旅館業法施行規則 第4条の2(厚生労働省)(2026-05-20取得)
旅館業は「職業」不要・「連絡先」追加(2023年改正)。保存3年は共通。
宿泊者名簿とは何か|住宅宿泊事業法上の位置づけと義務の根拠
宿泊者名簿とは、届出住宅に宿泊したゲストの情報を記録した帳簿です。旅館業・ホテルでは長年にわたって義務付けられてきた慣行ですが、2018年(平成30年)6月施行の住宅宿泊事業法(民泊新法)でも、住宅宿泊事業者(届出ホスト)に対して宿泊者名簿の備付け義務が明確に定められました。

法的根拠は住宅宿泊事業法第8条第1項および住宅宿泊事業法施行規則第7条です。国土交通省の民泊制度ポータルサイト「住宅宿泊事業者の業務」によれば、ホストは宿泊者名簿を「届出住宅」または「住宅宿泊事業者の営業所・事務所」に備え、3年間保存し、都道府県知事から求められたときは提出する必要があります。
宿泊者名簿の目的は、宿泊者の安全確保・防犯・感染症対応・犯罪捜査への協力など、公共の秩序維持に資することにあります。実際に行政機関が立入検査に来た際、名簿の提示を求められるケースがあるため、「存在するだけでよい」という認識ではなく、実際に正確な情報が記録されているかが重要です。
宿泊者名簿の整備は、民泊運営において避けられない義務のひとつです。住宅宿泊事業法施行規則第7条では、紙による記録に加えて電子的記録による代替も認められており、近年は電子化が推奨されつつあります。具体的な対応方法については、後述する各セクションで詳しく説明します。
なお、宿泊者名簿の備付け義務は、住宅宿泊事業(民泊新法)の届出だけでなく、旅館業法に基づく簡易宿所・国家戦略特別区域法に基づく特区民泊でも求められています。制度によって記録項目が異なるため、自身が利用する制度の施行規則を確認してください。個別のケースについては都道府県の担当課または民泊専門の行政書士への確認が有効です。
法的根拠まとめ
- 住宅宿泊事業法 第8条:宿泊者名簿の備付け義務(第2項:宿泊者は求められたら記載事項を告げる義務)
- 住宅宿泊事業法施行規則 第7条:記録項目・電子化・保存期間(3年)
- 違反した場合:同法 第55条第2項 → 30万円以下の罰金
民泊の宿泊者名簿って、本当に全員分記録しないといけないのですか?ゲストが2〜3泊するときも1回でいいですか?
民泊制度ポータルには、宿泊者全員の記載が必要で代表者のみの記載は認められないと示されています。連泊は宿泊開始時に1回記録し、宿泊日欄に全泊分を書く形が一般的です。7日以上の宿泊契約では定期的な面会等による滞在者の確認も必要です。
記録すべき4項目と、国内に住所のない外国人の追加2項目
民泊制度ポータルサイト(国土交通省、2026-05-20取得)によると、住宅宿泊事業法上の宿泊者名簿に記録すべき項目は、宿泊者が日本国内に住所を有するかどうかで異なります。全宿泊者について氏名・住所・職業・宿泊日の4項目を記載し、日本国内に住所を有しない外国人は国籍と旅券番号を加えた6項目となります(施行規則第7条第3項)。「人数」は法定の記載事項ではなく、宿泊者全員を1人ずつ記載する必要があります。

宿泊者全員の法定4項目(氏名・住所・職業・宿泊日)と任意の人数欄
宿泊者全員について、以下①〜④の4項目の記載が法令上求められます(施行規則第7条第3項)。⑤人数は法定項目ではありませんが、定期報告の集計用に記録しておくと便利です。
| 項目 | 記録内容の例 | 備考 |
|---|---|---|
| ① 氏名 | 山田 太郎 | 宿泊者全員分を記載(代表者のみの記載は認められない=施行要領)。宿泊グループごとに分かるように記載 |
| ② 住所 | 東京都〇〇区〇〇町1-2-3 | 法令上「住所」の記載が求められる。市区町村までで足りるとする公式基準は見当たらないため、番地まで記載するのが無難(詳細は自治体へ確認) |
| ③ 職業 | 会社員 / 自営業 / 学生 等 | 旅館業と異なり住宅宿泊事業法では記録必須。詳細は後述。 |
| ④ 宿泊日 | 2026年5月20日〜21日 | チェックインおよびチェックアウト日を記録 |
| ⑤ 人数 | 2名 | 法定の記載事項ではない任意項目。定期報告(宿泊者数・延べ宿泊者数)の集計用に記録しておくと便利 |
特に「職業」は旅館業法の改正(2023年)後の施行規則と比較すると取扱いが異なる点として注目されます。住宅宿泊事業法では現状、「職業」の記録が義務付けられています。「会社員」「自営業」「学生」「無職」など大まかな記載で実務上対応しているケースが多いとされていますが、記録の粒度については管轄の担当課への確認を推奨します。
外国人ゲストの追加必須2項目(国籍・旅券番号)
宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人の場合は、上記①〜④に加えて以下の2項目が必要です。日本に住所がある外国人については、国籍・旅券番号の記載は法令上求められていません。
| 追加項目 | 記録内容 | 確認方法 |
|---|---|---|
| ⑥ 国籍 | United States / 中国 / 韓国 等 | パスポートの国籍欄を確認 |
| ⑦ 旅券番号 | AA1234567 | パスポートの番号欄を確認(英数字9桁が多い) |
外国人ゲストへの対応で実務上の難しさが生じやすいのは、チェックイン時に旅券(パスポート)の番号を正確に記録する工程です。対面チェックインの場合はパスポートを直接目視確認し転記する方法が一般的ですが、無人・リモートチェックインの場合はICTを活用した本人確認の仕組みが必要になります。詳細は次のH3で説明します。
なお、日本国内に住所を有しない外国人宿泊者については、住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)で、旅券の呈示を求めたうえで旅券の写しを宿泊者名簿とともに保存することとされています(写しの保存で氏名・国籍・旅券番号欄の記載に代えることも可能)。写しは個人情報にあたるため、施錠保管やアクセス権限の限定など、個人情報保護法に沿った安全管理措置を講じてください。運用の詳細は都道府県担当課または専門家に確認してください。
本人確認の方法(対面 または ICT)
宿泊者名簿の記録においては、単に自己申告の情報を書き取るだけでなく、ゲスト本人を確認した上で情報を記録することが求められています。民泊制度ポータル(2026-05-20取得)によれば、本人確認の方法として認められているのは「対面での確認」と「ICT(情報通信技術)を活用した非対面での確認」の2種類です。
| 確認方法 | 概要 | 主なメリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 対面確認 | ホスト自身またはスタッフがゲストと対面し、身分証・パスポートを目視確認 | 確実性が高い。初回利用ゲストへの安心感 | ホスト不在の場合に対応が難しい |
| ICT活用(非対面) | 届出住宅等に備え付けたテレビ電話・タブレット端末などで、宿泊者の顔と旅券(身分証)を画像で鮮明に確認し、その画像が届出住宅内・近傍や営業所等から発信されていることを確認する方法(宿泊開始までに宿泊者それぞれについて実施) | スマートロックと組み合わせた無人チェックインが可能 | 要件を満たす手順・ツールの整備が必要。自治体ごとに運用差がある可能性 |
ICTを活用した非対面チェックインは、スマートロックや予約管理システム(PMS)と組み合わせることで運用効率が上がります。ただし、ICT活用による本人確認が法令上の要件を満たしているかどうかは、具体的なツールや手順によって異なる場合があります。導入前に管轄の都道府県担当課または行政書士にご相談ください。


外国人ゲストが来たとき、パスポートをスマホで写真撮って記録に使ってもいいですか?
日本国内に住所を有しない外国人宿泊者については、旅券の写しを宿泊者名簿とともに保存することが民泊制度ポータルで求められています。撮影画像を写しとして扱えるかは管轄の担当課に確認し、保管する際は個人情報保護法に沿った安全管理を行ってください。運用方法については管轄の担当課また行政書士にご確認ください。
宿泊者名簿の管理方法
宿泊者名簿の管理方法には大きく「紙による管理」と「電子化による管理」の2つのアプローチがあります。住宅宿泊事業法施行規則第7条(厚生労働省、2026-05-20取得)では、電子的記録による代替が明示的に認められています。どちらの方法も法令上は認められていますが、管理の効率・定期報告との連動・保存場所の確保といった実務面からは、電子化が有利な場面も増えています。

紙の名簿で管理する場合
紙の名簿はシンプルで、特別なシステム環境を必要としないのが利点です。以下のような点に留意して管理します。
- フォーマット:決まった書式は法令上規定されていませんが、記載必須の4項目(氏名・住所・職業・宿泊日)と、日本国内に住所を有しない外国人の国籍・旅券番号が、宿泊者1人ごとに漏れなく記入できるシートを用意するのが現実的です。民泊制度ポータルに推奨様式も掲載されています。
- 記入タイミング:チェックイン時に記入いただくか、ホストが本人確認と同時に転記する形が一般的です。
- 保管場所:届出住宅または住宅宿泊事業者の営業所・事務所に備え付けます(管理業者へ委託している場合は管理業者の営業所・事務所。詳細は後述)。
- 管理上の注意:第三者に閲覧されないよう施錠管理することが推奨されます。
- 3年間保存:宿泊日から3年間は廃棄せず保存が必要です。
紙の名簿は運用負担が小さい反面、定期報告の際にデータ集計が手作業になる点やスペースの問題が生じやすい点があります。管理物件が1〜2件でゲスト数が少ない場合は紙で対応するケースも見られますが、複数物件・多数ゲストの場合は電子化の検討が現実的です。
電子名簿(国交省配布ソフト・Excel・PMS)で管理する場合
民泊制度ポータル(国土交通省、2026-05-20取得)によれば、国土交通省は電子宿泊者名簿ソフトを無料配布しています。同ソフトはWindows 10/11対応で、記録したデータをCSVに書き出して定期報告にも活用できる設計になっています。
| ツール | 特徴 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|---|
| 国交省配布ソフト | Windows専用、無料。必須項目の入力フォームあり。CSV出力機能あり。 | 公式認定の形式。定期報告連動が容易。無料。 | Windows限定。Mac環境では別途対応が必要。 |
| Excel / スプレッドシート | 自作または推奨様式を活用。法定4項目(国内に住所のない外国人は+国籍・旅券番号)を列として設定。 | 汎用性が高い。Mac環境にも対応。クラウド保存が可能。 | フォーマットを自身で整備する必要がある。入力漏れが発生しやすい。 |
| PMS(宿泊管理システム) | 予約管理と連動した宿泊者情報の記録・出力機能を持つ専門ツール | OTA予約データとの連携で自動入力が可能な場合がある。複数物件管理に向く。 | 月額費用が発生。宿泊者名簿の法定項目への対応状況はシステムごとに要確認。 |
PMSを利用する場合は、システムが住宅宿泊事業法上の宿泊者名簿要件(全記録項目・外国人対応・3年保存)を満たしているかを導入前に確認してください。OTA側の予約情報がすべて自動転記されるわけではなく、「職業」や「国籍・旅券番号」は別途ゲストに入力を求める工程が必要になる場合があります。
電子名簿の場合も、データの改ざんが困難な形で保存することが推奨されます。クラウドサービスを利用する場合は、アクセス権限の管理とデータのバックアップ体制を整えておくと安心です。
保存場所(届出住宅 または 営業所)と3年間保存義務
宿泊者名簿は「届出住宅」または「住宅宿泊事業者の営業所・事務所」のいずれかに備え置く必要があります(施行規則第7条第2項。住宅宿泊管理業務を委託した場合は管理業者の営業所・事務所)。実務上の注意点としては以下が挙げられます。
- 保存期間:宿泊日から3年間。3年を経過した記録の廃棄については、個人情報保護の観点からも適切な方法(シュレッダー等)を選択することが推奨されます。
- 保存場所:届出住宅が複数ある場合は物件ごとに保管するか、管理会社等に委託する場合は保存場所の取り決めが必要です。電子化の場合でも「当該届出住宅において閲覧できる状態」が求められることがあります。詳細は管轄の都道府県に確認してください。
- 住宅宿泊管理業者に委託している場合:法第11条第2項・第36条により、管理業務を委託した届出住宅では、宿泊者名簿の備付け等(法第8条)は住宅宿泊管理業者の義務となり、名簿は管理業者の営業所・事務所に備えることとされています。ホスト側も、委託契約や定期的な報告で名簿の管理状況を確認しておくと安心です。
注意: 「電子化したので紙は不要」という認識は正しいのですが、電子データが立入検査の際にすぐ閲覧・印刷できる状態でないと、実務上の問題が生じる可能性があります。特にクラウド保存のみの場合は、インターネット接続環境の確保も含めて対応を準備しておくことをお勧めします。


Macユーザーです。国交省配布ソフトはWindowsだけとのことですが、電子名簿はどのように管理すればいいですか?
Macでは Google スプレッドシートや Numbers で必須項目を網羅した独自フォーマットを作り電子記録する方法があります。法定の4項目(国内に住所を有しない外国人は国籍・旅券番号を加えた6項目)を宿泊者全員分記録でき、必要に応じて紙に印刷して表示できれば、書式の定めはありません(施行規則第7条第4項)。管轄の担当課に電子記録の形式について確認しておくとより安心です。
- 旅券の呈示を拒まれたとき:日本国内に住所を有しない外国人宿泊者が旅券の呈示を拒む場合は、国の指導による措置であることを説明して改めて呈示を求め、なお拒む場合は旅券不携帯の可能性があるものとして、最寄りの警察署に連絡する等の対応をとることとされています。
- 警察官から名簿の閲覧を求められたとき:職務上の閲覧請求には、捜査関係事項照会書の交付の有無にかかわらず、職務の目的に必要な範囲で協力することとされています。この情報提供は個人情報保護法第27条第1項第4号に基づく措置で、本人の同意は不要と解されています。
- 長期滞在のとき:定期的な清掃等の際に、本人確認をしていない人が泊まっていないか、滞在者が所在不明になっていないかを確認することが望ましく、特に宿泊契約が7日以上の場合は、定期的な面会(オンラインを含む)や電話等で確認することが望ましいとされています。
- 本人確認用のカメラを室内に置くとき:盗撮などのプライバシー侵害に悪用されないよう、チェックイン時以外は通信や記録を行わないなどの対応をとることが望ましいとされています。
出典:住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)2-2⑷(令和6年12月24日最終改正)、民泊制度ポータル「住宅宿泊事業者の業務」(国土交通省)(いずれも2026-10-15確認)。自分の物件の運用がこれに沿っているかは、管轄の都道府県(保健所設置市等)の担当課にご確認ください。
- 届出番号と届出住宅の所在地
- いま使っている名簿の様式(紙の推奨様式、国の電子宿泊者名簿ソフト、PMSの出力画面など)
- 本人確認の手順(対面かICTか、使っている機器とその設置場所)
- 名簿と旅券の写しの保管場所(届出住宅か、営業所・事務所か)と、保存期限の管理方法(施行規則第7条第1項は「作成の日から3年間」の保存と定めています)
- 住宅宿泊管理業者に委託している場合は委託契約書。委託した届出住宅では名簿の備付け等は管理業者の義務になりますが(住宅宿泊事業法第11条第2項・第36条)、2か月ごとの定期報告(同法第14条)は委託後も住宅宿泊事業者の義務として残ります。報告に使う宿泊実績を管理業者からいつ、どの形式で受け取るかを、契約で確認しておくと手戻りを防げます。
委託が必要になる条件や管理業者の選び方は、住宅宿泊管理業者とは?家主不在型への委託義務・法定6業務・登録業者の選び方で整理しています。
違反した場合の罰則|30万円以下の罰金
民泊制度ポータルの罰則・留意事項ページ(国土交通省、2026-05-20取得)によれば、宿泊者名簿の備付け義務に違反した場合は30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。住宅宿泊事業法は行政機関による立入検査や報告命令の規定も持っており、名簿の不備が発覚した場合は行政処分の対象となりうることも念頭においてください。
「備付け義務違反」の具体的なケース
「備付け義務違反」にあたる可能性があるケースとして、実務上は以下が考えられます。
| 違反の類型 | 具体例 |
|---|---|
| 名簿が存在しない | 届出後に1度もゲストの宿泊情報を記録していない状態 |
| 記録項目の不備 | 氏名のみ記録し、住所・職業・宿泊日などが抜けている状態、または代表者だけを記載し同行者が抜けている状態 |
| 外国人項目の未記録 | 外国人ゲストの国籍・旅券番号が記録されていない状態 |
| 保存期間前の廃棄 | 宿泊日から3年未満で名簿を廃棄した状態 |
| 立入検査時に提示できない | 届出住宅にも営業所・事務所にも名簿が備えられておらず、都道府県知事の求めに応じて提出・提示できない状態 |
罰則の適用は、違反の重大性・継続性・悪意の有無などを総合的に判断して行政が対応します。ただし「知らなかった」「書き方がわからなかった」という事情が、名簿不備の免責事由となるかどうかは個別のケース判断となります。届出時点から適切な運用を開始することが重要です。
注意: 宿泊者名簿の不備は、廃業処分・業務停止命令の根拠にもなる可能性があります。民泊制度ポータルの罰則ページを定期的に確認し、最新の情報を把握しておくことをお勧めします。
行政調査・立入検査への対応
住宅宿泊事業法では、都道府県知事(政令市は市長)が届出住宅に対して報告を求め、立入検査を行うことができると定めています。立入検査の際に求められる主な書類として、宿泊者名簿は代表的な確認対象のひとつです。
立入検査への対応として、現状できる準備を以下にまとめます。
- 宿泊者名簿を届出住宅に常時備え置き、すぐに閲覧できる状態を保つ
- 名簿の全必須項目が記録されているか、チェックインのたびに確認する習慣をつける
- 電子化の場合は、検査官が閲覧・印刷できる環境を確保する
- 3年間の保存期間が経過していない記録は廃棄しない
- 管理業者に委託している場合でも、名簿の状況をホスト自身が把握しておく
立入検査を受けた際の具体的な対応方法や、行政との交渉については、民泊専門の行政書士または弁護士への相談が有益です。届出時から専門家との相談窓口を確保しておくと、問題発生時のリスクを軽減できます。
罰金30万円以下とのことですが、実際に初回の不備で即座に罰金になるのでしょうか?
罰則の適用は行政が違反の状況を総合的に判断します。一般的には報告・指導・改善命令を経て処分が行われるケースが多いとされていますが、違反の程度によって対応は異なります。「罰金にならなければよい」ではなく、届出当初から正しく備え置くことが最も現実的な対応です。
宿泊者名簿と定期報告の連動
住宅宿泊事業者は、宿泊者名簿の備付けに加えて、定期報告(2か月ごと)を都道府県知事に提出する義務があります。定期報告では、届出住宅に人を宿泊させた日数・宿泊者数・延べ宿泊者数・国籍別の宿泊者数の内訳の4項目を、毎年2月・4月・6月・8月・10月・12月の15日までに、それぞれ前2か月分について報告します(施行規則第12条)。宿泊者名簿の記録が正確であれば、定期報告のデータ集計が格段に楽になります。
国交省配布の電子名簿ソフト(民泊制度ポータル、2026-05-20取得)は、記録データをCSV形式で出力できる機能を持っており、定期報告の電子申請システムと組み合わせて使えるよう設計されています。具体的な連携手順は都道府県の電子申請システムによって異なるため、管轄の担当課へ確認することをお勧めします。
定期報告と宿泊者名簿の数字が一致しているかを定期的に照合する習慣をつけることで、記録ミスや漏れを早期に発見できます。特に以下の数値は名簿と報告の両方に影響します。
- 宿泊日数(住宅宿泊事業法の上限180日との関係でも重要)
- 宿泊者数と国籍別の宿泊者数の内訳(いずれも定期報告の報告事項)
- 宿泊延べ数
180日ルールの管理については、180日カレンダーツールと組み合わせて運用日数を可視化することで、オーバーのリスクを事前に把握できます。
定期報告は電子申請が主流となっていますが、自治体によって申請システムや提出書類の詳細が異なります。届出時に担当課から配布される「事業者ガイド」や「説明資料」を保管しておき、報告サイクルを逃さないようにカレンダー管理することを推奨します。
定期報告の提出を忘れてしまったらどうなりますか?名簿と定期報告はどちらが厳しいですか?
定期報告の未提出も宿泊者名簿と同様に罰則の対象となりうる義務です。どちらも運営上の柱と位置づけ、期日管理を徹底することをお勧めします。不明点は管轄の都道府県担当課にご確認ください。
- 届出住宅に人を宿泊させた日数:正午から翌日の正午までを1日として数えます。同じ日に複数のグループが泊まっていても、同じ届出住宅であれば1日です。
- 宿泊者数:実際に届出住宅に泊まった宿泊者の総数です。代表者だけでなく全員を記載した名簿から数えます。
- 延べ宿泊者数:宿泊者1人が1日泊まるごとに1人と数えた合計です(例:1人が3日泊まった場合は3人)。
- 国籍別の宿泊者数の内訳:「宿泊者数」を国籍別に分けた内訳です。国の電子宿泊者名簿ソフトでは、日本に住所のある外国人は国籍「日本」として分類します。
根拠:住宅宿泊事業法施行規則第3条・第12条、住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)2-2⑼、民泊制度ポータル「電子宿泊者名簿・定期報告方法」(いずれも2026-10-15確認)。報告は原則として民泊制度運営システムで行い、直接入力するか、電子宿泊者名簿ソフトで作成した定期報告データ(CSV)をアップロードします。入力の手順や期限を過ぎた場合の扱いは、民泊の定期報告(2ヶ月ごと)の書き方と提出方法をご覧ください。
住宅宿泊事業法 vs 旅館業法|名簿義務の比較
自身の物件が住宅宿泊事業(民泊新法)なのか旅館業(簡易宿所)なのかによって、宿泊者名簿の記録項目が異なります。旅館業法施行規則(厚生労働省、2026-05-20取得)は2023年改正により記録項目が変更されており、住宅宿泊事業法との違いを把握しておくことが重要です。
記録項目の違い(「職業」の有無)
| 記録項目 | 住宅宿泊事業法(民泊新法) | 旅館業法(簡易宿所等)2023年改正後 |
|---|---|---|
| 氏名 | ○ 必須 | ○ 必須 |
| 住所 | ○ 必須 | ○ 必須 |
| 職業 | ○ 必須 | × 2023年改正で削除 |
| 連絡先(電話・メール) | 規定なし(任意) | ○ 2023年改正で追加 |
| 宿泊日 | ○ 必須 | ○ 必須 |
| 人数 | 任意(法定事項ではない) | 任意(国の省令上の法定事項ではない) |
| 国籍(日本国内に住所を有しない外国人のみ) | ○ 必須 | ○ 必須 |
| 旅券番号(日本国内に住所を有しない外国人のみ) | ○ 必須 | ○ 必須 |
| 保存期間 | 3年 | 3年(共通) |
最大の違いは「職業」の扱いです。旅館業法は2023年の改正で「職業」を記録義務から削除しましたが、住宅宿泊事業法ではこの改正の影響を受けないため、現状も「職業」の記録が求められています。「旅館業も民泊もどちらも同じ」と思って旅館業基準のフォーマットを流用すると、職業欄が抜ける可能性があります。
外国人対応の共通点
日本国内に住所を有しない外国人宿泊者については、住宅宿泊事業法と旅館業法の双方において国籍・旅券番号の記載が求められています(住宅宿泊事業法施行規則第7条第3項・旅館業法施行規則第4条の2第3項)。インバウンド比率の高い都市部では、外国人ゲストの割合が半数を超えるケースも見られます。チェックイン時のフローにパスポート確認工程を組み込んでおくことが、安定した運用につながります。
また、チェックインガイドやハウスルールを多言語対応にしておくと、外国人ゲストへの情報提供と同時に、名簿記録への協力もスムーズに求めやすくなります。
旅館業(簡易宿所)に転換したら宿泊者名簿の書き方が変わるということですか?
はい、適用法令が変わるため記録項目も変わります。旅館業法では「職業」が削除され、代わりに「連絡先」が追加されています。制度を切り替える際は、名簿フォーマットの見直しも必要です。転換の際は管轄の保健所または行政書士にご確認ください。
よくある疑問とQ&A
Q1. 宿泊者名簿は「世帯主だけ」それとも「全員分」記録が必要ですか?
住宅宿泊事業法上は「宿泊者」の情報を記録することとされており、住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)でも、宿泊者全員の氏名・住所・職業その他の事項を記載する必要があり、代表者のみの記載は認めず、宿泊契約(宿泊グループ)ごとに宿泊者が分かるように記載することとされています。グループ客でも全員分を記録してください。なお、「人数」は施行規則第7条第3項の記載事項には挙げられていませんが、全員分を記録すれば人数も把握できます。
Q2. ゲストが名簿への記入を拒否した場合はどうすればよいですか?
宿泊者名簿の記録はホスト側の法的義務です。ゲストへの記入協力を事前に予約ページや案内文でお知らせし、チェックイン時に対応してもらうフローを設けることが一般的な対策です。協力を得られない場合の具体的な対処方法(宿泊拒否の可否等)については、民泊制度ポータルの最新情報または行政書士への相談をお勧めします。
Q3. Airbnbなどの予約情報から名簿の情報を転記するだけでよいですか?
OTAの予約情報に含まれる項目(氏名・国籍等)を名簿に転記すること自体は否定されていませんが、OTAが提供する情報だけでは「住所」「職業」「旅券番号」が揃わないケースが多いです。チェックイン時にゲストから不足情報を直接取得する工程が別途必要になります。
Q4. 管理会社に運営を委託している場合、名簿はどちらが管理しますか?
住宅宿泊管理業者(届出住宅の管理を受託する事業者)に管理業務を委託している場合、宿泊者名簿の備付け等(法第8条)は法第11条第2項・第36条により住宅宿泊管理業者の義務とされ、名簿は管理業者の営業所・事務所に備えることになります。ホスト側も、委託契約や報告の中で名簿の管理状況を確認できるようにしておくと安心です。委託契約の中で名簿管理の責任範囲・保存場所・報告方法を明確にしておくことが重要です。
Q5. 3年間の保存期間が過ぎた名簿はどのように処分すればよいですか?
3年を経過した記録については、個人情報保護の観点から適切な方法での廃棄が推奨されます。紙の名簿はシュレッダーによる裁断、電子データは復元困難な方法での削除が一般的です。廃棄タイミングの記録(「○年○月に○年分の名簿を廃棄」等)を残しておくと、運用管理上の証跡になります。
Q6. スマートロック導入後は無人チェックインが主流ですが、本人確認はどうすればよいですか?
スマートロックによる無人チェックインでは、ICTを活用した本人確認が使われています。施行要領では、ICTによる方法は「宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認できること」と「その画像が届出住宅内・近傍や事業者・管理業者の営業所等から発信されていると確認できること」の両方を満たす必要があるとされ、例として届出住宅等に備え付けたテレビ電話やタブレット端末が挙げられています。事前に身分証の画像を送ってもらうだけの方式は、この要件を満たさない可能性があります。ただし、ICT活用が法令上の本人確認要件を満たすかどうかは、具体的なツールや手順によります。無人チェックイン体制の構築前に、管轄の都道府県担当課への確認を強くお勧めします。
Q7. 旅館業・特区民泊と住宅宿泊事業を同一物件で切り替えた場合、過去の名簿も3年保存が必要ですか?
過去の宿泊記録については、その記録が作成された時点の法令・制度の保存義務に従うのが原則です。制度切り替え前後で名簿フォーマットや保存場所が変わる場合もあるため、切り替え時に担当課に確認し、過去記録の取り扱い方針を明確にしておくことをお勧めします。
まとめ|宿泊者名簿チェックリスト
宿泊者名簿は、住宅宿泊事業を適法に運営するための基本的な義務です。毎回の記録漏れが積み重なると、立入検査時に問題が発覚するリスクがあります。以下のチェックリストを活用して、運用フローを確認してください。


宿泊者名簿 運用チェックリスト
- ☐ 名簿フォーマットに日本人ゲスト用5項目(氏名・住所・職業・宿泊日・人数)が揃っている
- ☐ 国内に住所のない外国人の国籍・旅券番号欄があり、旅券の写しを名簿とともに保存している
- ☐ チェックインのたびに本人確認(対面 または ICT)を実施している
- ☐ 名簿は届出住宅または営業所・事務所(委託時は管理業者の営業所・事務所)に備え付けられ、要求があればすぐ提出できる
- ☐ 電子化の場合、データのバックアップおよび3年間保存の体制が整っている
- ☐ 3年未満の記録を誤廃棄しないよう、廃棄日程を管理している
- ☐ 定期報告(2か月ごと)の数値と名簿の記録が一致している
- ☐ 管理会社に委託している場合、名簿管理の責任範囲を契約で明確化している
- ☐ 不明点は管轄の都道府県担当課または行政書士に確認済み
宿泊者名簿の書き方・管理方法は、住宅宿泊事業法施行規則の規定を基本としつつ、都道府県によって運用の詳細が異なる場合があります。「現状、記録できていない」「フォーマットが不安」という場合は、管轄の都道府県担当課または民泊専門の行政書士にご相談ください。届出直後のホストには、担当課への問い合わせの際に「宿泊者名簿の記録方法の確認」を議題として挙げることを推奨します。
民泊運営を続けていく上で、宿泊者名簿は日々の記録の積み重ねです。運用フローをシンプルにして継続しやすい仕組みを作ることが、長期的な安定運営の基盤となります。
宿泊者名簿、まず何から始めればいいですか?
まず、宿泊者全員について4項目(氏名・住所・職業・宿泊日)、国内に住所のない外国人は国籍・旅券番号も記録できるフォームを用意することです。国交省配布の電子宿泊者名簿ソフト(Windows版)を試すか、推奨様式やスプレッドシートで独自フォームを作る方法があります。届出住宅または営業所・事務所への備付けと3年保存の体制を整えた上で、初回ゲスト受け入れに臨みましょう。
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民泊を廃業する際にも宿泊者名簿の取り扱いが必要になります。廃業手続きの全体像については、民泊廃業の手続きガイド 2026年版 をご参照ください。
📋 ご確認ください(民泊学校 編集部より)
⚠️ 本記事は2026年5月時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法施行規則は改正される可能性があります。最新情報は必ず民泊制度ポータルでご確認ください。
本記事は 2026-05-20 時点で公開されている公式情報をもとに編集しています。宿泊者名簿の記録・管理・保存の具体的な方法は、管轄の都道府県担当課または専門家にご確認ください。
- 届出・名簿義務: 民泊制度ポータルサイト / 物件所在地の都道府県担当課
- 届出手続き代行: 民泊専門の行政書士
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