編集:民泊学校 編集部|公開日:2026年6月15日|最終更新日:2026年6月15日

中古の戸建てやビル、廃業した宿などを民泊(住宅宿泊事業)や旅館業に転用しようとすると、相場より割安な物件の多くが「旧耐震基準」で建てられたものだと気づきます。価格が魅力的でも、旧耐震物件は耐震診断・耐震改修のコストや、旅館業許可・用途変更にともなう建築基準法への対応が、取得後の資金計画を大きく左右します。この記事では、旧耐震と新耐震を分ける「昭和56年5月31日」という境界線の意味から、耐震診断の指標(Is値・Iw値)と費用相場、旅館業許可と耐震性能の関係、耐震改修促進法の計画認定や補助制度、現実的なスケジュールまでを、公式情報をもとに整理します。建物の「耐震性能そのもの」を軸に、旧耐震物件を買うかどうかを判断するための実務ガイドです。

この記事でわかること

  • 旧耐震・新耐震を分ける「昭和56年5月31日」の意味と、着工日で見る理由・確認方法
  • 耐震診断の指標——木造のIw値(上部構造評点)とRC・鉄骨造のIs値(構造耐震指標)の違い
  • 耐震診断・耐震改修の費用相場(構造別・図面の有無別)の目安
  • 旅館業許可・用途変更と耐震性能の関係——保健所審査と建築確認の2層構造
  • 耐震改修促進法の計画認定制度と、令和8年度の補助制度・税制の使いどころ
  • 旧耐震物件を取得するかどうかの判断チェックリストと、相談すべき専門家
minpaku-kyu-taishin-bukken-2026 Step1 見極める

Contents

旧耐震基準とは何か——昭和56年5月31日が境界線になる理由

耐震基準は、1981年(昭和56年)6月1日に施行された建築基準法施行令の改正で大きく変わりました。これより前の基準を「旧耐震基準」、これ以降の基準を「新耐震基準」と呼びます。つまり、新耐震基準が施行された昭和56年6月1日を境に、その前日にあたる昭和56年5月31日以前に着手した建物が旧耐震基準に位置づけられます。国土交通省も、昭和56年以前に建築された建物を旧耐震基準のものとして耐震化の対象に整理しています。新耐震基準は、震度6強〜7程度の大地震でも建物が倒壊・崩壊しにくいことを目標とした考え方に立っています。

ここで実務上の落とし穴になりやすいのが、境界の基準は「完成日」や「登記日」ではなく「新築工事に着手した時期(着工日)」だという点です。昭和56年6月1日より後に完成・登記された建物でも、着工がそれ以前であれば旧耐震基準で設計されている場合があります。逆に、登記が古くても着工が新しければ新耐震ということもあります。物件のチラシや登記情報だけで判断せず、確認済証や建築確認の時期を確認することが、旧耐震かどうかを見極める出発点になります。

i補足:国の耐震化目標

国土交通省は、令和12年(2030年)までに不特定多数が利用する大規模建築物の耐震性が不十分なものをおおむね解消し、令和17年(2035年)までに住宅の耐震性が不十分なものをおおむね解消する、という目標を掲げています。旧耐震物件の耐震化は、国としても後押ししている分野であり、補助制度や税制が用意されている背景でもあります。

住宅・建築物の耐震化について|国土交通省
(2026-06-15取得)

旧耐震基準(昭和56年以前に建築された建物)と新耐震基準の区分、新耐震基準の施行日(昭和56年6月1日)、令和12年・令和17年の耐震化目標、主要支援制度の名称の一次情報。

はじめ君

はじめ君

旧耐震かどうかは、建てられた年で見ればいいんですよね?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

完成日や登記日ではなく「新築工事に着手した時期(着工日)」が昭和56年5月31日以前かどうかが境界です。確認済証や建築確認の時期で確認するのが確実です。

旧耐震物件で民泊・旅館業を始める前に知っておくべき3つのリスク

リスク1:耐震性能が不確実で、診断しないと現状がわからない

旧耐震物件は、現行の考え方からみて耐震性能が十分かどうかが図面だけでは判断しきれません。実際の性能は、構造・形状・劣化状況によって一棟ごとに異なります。宿泊施設は不特定多数のゲストを受け入れるため、安全性の確認は住居以上に重みを持ちます。

リスク2:耐震改修費が取得コストを押し上げる

割安に見える旧耐震物件でも、耐震診断と耐震改修を加えると、総取得コストは大きく変わります。改修費は構造・規模・工法によって幅があり、表面利回りだけで判断すると、取得後の資金計画が崩れるおそれがあります。

リスク3:旅館業許可・用途変更で建築基準法への対応が必要になる

旅館・簡易宿所への用途変更や建築確認の場面では、耐火構造などの建築基準法の要件や、既存不適格(建築当時は適法でも現行法に合っていない状態)の扱いが問われます。耐震性能だけでなく、こうした法令対応もあわせて見積もる必要があります。

!注意:旧耐震=買ってはいけない、ではない

旧耐震物件でも、耐震診断で性能を確認し、必要な改修を行えば、宿泊施設として活用できる場合があります。大切なのは「現状を数字で把握してから判断する」ことです。診断もせずに割安だけで飛びつくのも、旧耐震というだけで一律に避けるのも、いずれも投資判断としては精度を欠きます。

耐震診断の種類と指標——木造のIw値、RC・鉄骨造のIs値

耐震診断は、建物の耐震性能を数値化する作業です。構造によって使う指標が異なります。

  • 木造住宅:上部構造評点(Iw値)で評価します。一般財団法人日本建築防災協会の方法では、1.5以上が「倒壊しない」、1.0〜1.5未満が「一応倒壊しない」、0.7〜1.0未満が「倒壊する可能性がある」、0.7未満が「倒壊する可能性が高い」とされ、1.0以上が一つの目安です。診断には一般診断法と精密診断法があります。
  • 鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨造:構造耐震指標(Is値)で評価します。Is値が0.6以上で「倒壊・崩壊の危険性が低い」、0.3以上0.6未満で「危険性がある」、0.3未満で「危険性が高い」とされ、0.6が一つの基準になります。

これらの数値はあくまで一般的な判定の目安です。個別物件が基準を満たすかどうかは、建物の構造・形状・劣化状況によって変わるため、最終的な判定は、国土交通省に登録された講習を修了した建築士による耐震診断で確認することになります。

ホテル・旅館の耐震診断と耐震改修について|一般財団法人 日本耐震診断協会
(2026-06-15取得)

RC・鉄骨造のIs値の判定基準(0.6以上で危険性が低い等)、木造のIw値、耐震補強・制震補強・免震補強の工法の整理(民間団体による解説)。

minpaku-kyu-taishin-bukken-2026 Step2 診断する
はじめ君

はじめ君

耐震性が十分かどうかは、何の数字で判断するんですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

木造は上部構造評点(Iw値)、RC造・鉄骨造は構造耐震指標(Is値)で見ます。Is値は0.6が一つの基準ですが、最終的な判定は登録講習を修了した建築士の耐震診断で確認します。

耐震診断の費用相場——構造別・図面の有無別の目安

耐震診断の費用は、構造・規模・図面の有無によって変わります。以下は一般財団法人日本耐震診断協会が公開している目安で、民間団体による参考値です。実際の費用は物件と依頼先により変動するため、複数社からの見積もりが前提になります。

構造・規模 耐震診断費用の目安(民間団体の公開値)
木造住宅(延床120平方メートル程度・在来軸組) おおむね60万〜100万円(1棟・図面あり)
木造・一般診断法のみ 40万〜50万円程度
RC造(延床1,000〜3,000平方メートル) 約2,000〜3,500円/平方メートル
鉄骨造(延床1,000〜3,000平方メートル) 約2,500〜4,000円/平方メートル
図面がない場合 現況調査の手間が増え、費用が大きく上振れする可能性(要見積)

図面(一般図・構造図)が残っているかどうかで費用が大きく変わる点は、旧耐震物件で特に重要です。古い物件では図面が失われていることがあり、その場合は現況調査の手間が増えて費用がかさみます。物件の検討段階で、売主や管理者に図面の有無を確認しておくと、診断費用の見込みが立てやすくなります。

耐震診断の料金(費用)|一般財団法人 日本耐震診断協会
(2026-06-15取得)

木造・RC造・鉄骨造の構造別の診断費用の目安、図面の有無による費用差、RC造の耐震改修工事費の目安(民間団体の公開値)。

木造住宅の耐震診断と補強・上部構造評点(Iw値)の判定基準|一般財団法人 日本耐震診断協会
(2026-06-15取得)

木造住宅の上部構造評点(Iw値)の判定区分(1.5以上/1.0〜1.5未満/0.7〜1.0未満/0.7未満)、一般診断法・精密診断法の区別、木造の診断費用の目安(民間団体の公開値)。

はじめ君

はじめ君

耐震診断っていくらくらいかかるものですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

木造の戸建てで60万〜100万円程度が一つの目安(民間団体の公開値)です。図面がないと1.5〜2倍以上になることもあります。物件と依頼先で変わるため、複数社の見積もりが前提です。

旅館業許可・民泊届出と耐震性能の関係——保健所審査と建築確認の2層構造

旧耐震物件を旅館業として使うとき、耐震性能がどこで問われるのかは、意外と誤解されています。ポイントは、旅館業法と建築基準法が独立した法規制だということです。手続きは2つの層に分かれます。

誰が/何を審査するか
旅館業法(保健所) 客室面積・換気・採光・排水・フロント等の構造設備基準(旅館業法施行令)を審査。耐震性能そのものを直接審査するわけではない
建築基準法(特定行政庁・建築主事) 用途変更の確認申請(200平方メートル超など)の場面で、耐火構造の要件や既存不適格の扱いを確認。ここで建物の安全性に関わる要件が問われる

旅館業法と建築基準法は、それぞれ別個の法規制です。旅館業の許可(保健所)と、建築基準法上の手続き(用途変更の確認など)は、別々に確認・申請を進める必要があります。つまり、保健所が「耐震性能の数値」を直接チェックするわけではないものの、用途変更や建築確認の段階で、建物の安全性に関わる建築基準法の要件が関わってくる、という二段構えになります。手続きの順序や要否は物件ごとに異なります。旅館業許可が取れるかどうかは、物件の規模・構造・所在自治体によって個別に判断されるため、申請前に所轄の保健所、そして用途変更については特定行政庁(建築行政の窓口)へ事前相談することが欠かせません

旅館業法(昭和23年法律第138号)・施行令・施行規則|厚生労働省
(2026-06-15取得)

旅館業を営むには都道府県知事等の許可が必要で(第3条)、施設の構造設備が政令の基準に適合しない場合は許可されないこと、客室面積・換気・排水等の構造設備基準(旅館業法施行令)の一次情報。

はじめ君

はじめ君

旧耐震だと、保健所で耐震性を厳しく見られるんですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

保健所は旅館業法施行令の構造設備基準を審査し、耐震性能を直接審査するものではないとされています。一方、用途変更の建築確認で建築基準法の要件が関わるため、保健所と特定行政庁の両方への事前相談が必要です。

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耐震診断義務の対象と、小規模物件で任意診断が必要な理由

耐震改修促進法(建築物の耐震改修の促進に関する法律・平成7年法律第123号)は、平成25年(2013年)11月の改正で、一定の大規模建築物に耐震診断を義務付けました。ホテル・旅館に関していえば、昭和56年5月31日以前に着工し、かつ階数3以上・床面積5,000平方メートル以上のものが「要緊急安全確認大規模建築物」として診断義務の対象になり、所管行政庁への結果報告が求められました。

一方で、民泊や簡易宿所の取得で検討されるような中小規模の物件は、この法定の診断義務の対象外になることがほとんどです。ただし、義務がないこと=診断が不要ということではありません。前述のとおり、旧耐震物件は性能が一棟ごとに異なり、取得後の改修費を見積もるにも、宿泊者の安全を確保するにも、任意での耐震診断が実務上は欠かせません。法的義務の有無と、投資判断として必要かどうかは別の話だと整理しておきましょう。

建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)|e-Gov法令検索
(2026-06-15取得)

耐震改修促進法の条文。平成25年改正による耐震診断義務・結果公表の強化、計画認定制度(建築確認手続きの特例・容積率等の規制緩和)の根拠。

耐震診断の義務付け対象になるホテル・旅館の条件は?|一般財団法人 日本耐震診断協会
(2026-06-15取得)

耐震診断義務の対象が「昭和56年5月31日以前に着工し、階数3以上・床面積5,000平方メートル以上のホテル・旅館」であること、診断は登録講習修了の建築士が行う旨の解説。

minpaku-kyu-taishin-bukken-2026 Step3 許可へ
はじめ君

はじめ君

小さい物件なら耐震診断はしなくてもいいんですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

民泊や簡易宿所向けの中小規模物件は、法律上の診断義務の対象外になることが多いです。ただ改修費の見積もりや宿泊者の安全のため、任意の診断が実務上は欠かせません。義務の有無と必要かどうかは別の話です。

耐震改修の工法と費用、計画認定制度・補助・税制の使いどころ

耐震改修の工法には、耐震壁の増設やブレース新設で建物を強くする「耐震補強」、ダンパー等で揺れを抑える「制震補強」、基礎下に免震装置を設ける「免震補強」などがあります。営業を続けながら工事できる工法もあり、どれを選ぶかは構造・予算・営業計画で変わります。RC造の耐震改修工事費は、補強方法によりおおむね1平方メートルあたり5万〜20万円程度が一つの目安(民間団体の公開値)とされますが、実際は物件ごとに大きく変動します。

耐震改修促進法の計画認定制度

耐震改修促進法には、所管行政庁から耐震改修計画の認定を受けると、建築確認手続きの特例や、容積率・建ぺい率などの規制緩和が適用される計画認定制度があります。用途変更や増改築をともなう改修を計画する場合、この制度を組み合わせることで、手続きや規制面のハードルを下げられる可能性があります。

令和8年度の補助制度

国土交通省の令和8年度(2026年度)の支援策では、ホテル・旅館を含む要緊急安全確認大規模建築物について、補強設計の補助率2分の1、耐震改修の補助率3分の1などが示されています。これは国の制度の枠組みであり、実際には各自治体の制度と組み合わさって運用されます。補助の対象・金額・年度は自治体によって異なるため、最新の内容は必ず各都道府県・市区町村の担当窓口に確認してください

税制——事業用物件で使えるのは何か

税制面では注意が必要です。住宅耐震改修特別控除(所得税の控除・標準的な費用をもとに最大25万円)は、自己が居住する住宅が対象で、旅館業・民泊用の事業用物件は対象外です。しかも、この控除の適用期限は令和7年(2025年)12月31日までとされており、延長・改正の有無を含め、最新の取り扱いは国税庁・税理士に確認する必要があります。事業用物件で実務的に使いやすいのは、耐震改修後の一定期間、固定資産税が減額される措置(改修後2年間2分の1など)です。税務上の取り扱いは個別事情で変わるため、税理士への確認をおすすめします。

住宅・建築物の耐震改修等に対する支援策(令和8年度)|国土交通省
(2026-06-15取得)

令和8年度の建築物耐震対策緊急促進事業の補助率(ホテル・旅館等:補強設計2分の1、耐震改修3分の1等)の一次情報。

補助金・支援制度について(住まいの耐震化ポータル)|国土交通省
(2026-06-15取得)

耐震改修促進税制・融資制度の枠組みと、補助制度は自治体ごとに異なるため各地方公共団体への相談が必要であることの案内。

No.1222 耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)|国税庁
(2026-06-15取得)

対象が昭和56年5月31日以前建築の自己居住用住宅であること、控除額(最大25万円)、適用期限が令和7年12月31日まで、事業用は対象外であることの一次情報。

はじめ君

はじめ君

耐震改修にお金がかかりそうですが、補助は使えますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

国の制度ではホテル・旅館等を対象にした補助の枠組みがあり、計画認定で建築確認の特例なども受けられます。ただ運用は自治体ごとに異なるため、最新の内容は所在地の窓口に確認してください。

旧耐震物件で旅館業許可を取るまでの現実的なスケジュール

旧耐震物件を取得して旅館業として再生する場合、手続きは複数の段階を踏みます。順序のイメージは次のとおりです。

  1. 物件の確認済証・図面で着工時期を確認し、旧耐震かどうかを把握する
  2. 登録講習を修了した建築士に耐震診断を依頼し、Is値・Iw値などで現状の性能を把握する
  3. 診断結果をもとに耐震改修設計を行い、必要に応じて計画認定の活用を検討する
  4. 用途変更(200平方メートル超など)に該当する場合は、特定行政庁へ建築確認の要否を相談する
  5. 耐震改修工事・用途変更に必要な工事を実施する
  6. 所轄の保健所へ旅館業許可(または住宅宿泊事業の届出)を申請する

診断・設計・工事・各種申請を順に進めるため、取得から営業開始までには相応の期間と資金が必要です。スケジュールと資金計画には余裕を持たせ、早い段階で建築士・行政書士・特定行政庁・保健所に相談しながら進めるのが現実的です。改修費を含めた収支の見通しは、当サイトの収支シミュレーターでも試算できます。

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旧耐震物件の取得判断チェックリスト

旧耐震物件を検討するときに、取得前に確認したいポイントを整理します。

  • 確認済証・図面で着工時期を確認したか(旧耐震かどうかの判定)
  • 図面(一般図・構造図)が残っているか(診断費用に直結)
  • 耐震診断の費用と、想定される耐震改修費を概算したか
  • 旅館業・民泊として使う場合の用途変更・建築確認の要否を特定行政庁に確認したか
  • 取得価格+診断費+改修費+諸費用の「総取得コスト」で実質利回りを試算したか

関連する論点は、検査済証がない物件で民泊・旅館業を始められるか再建築不可・旗竿地で民泊はできるか民泊向け物件投資・購入の完全ガイドでも扱っています。物件の物理的・法的な状態を多面的に確認したうえで、取得を判断してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 旧耐震かどうかは、何を見れば確認できますか?

境界は「新築工事に着手した時期(着工日)」が昭和56年5月31日以前かどうかです。完成日や登記日ではないため、確認済証や建築確認の時期を確認するのが確実です。古い物件で書類が見当たらない場合は、建築士に相談して建築時期を推定してもらう方法もあります。

Q2. 旧耐震物件では旅館業の許可は取れないのですか?

旧耐震というだけで一律に許可が取れないわけではありません。保健所は旅館業法施行令の構造設備基準を審査し、耐震性能を直接審査するものではないとされています。ただし用途変更や建築確認の場面で建築基準法の要件が関わるため、物件ごとに事前相談が必要です。許可可否を事前に断定はできないので、保健所・特定行政庁への確認を前提に進めてください。

Q3. 中小規模の物件でも耐震診断は義務ですか?

耐震改修促進法による診断義務の対象は、ホテル・旅館では「階数3以上かつ床面積5,000平方メートル以上」などの大規模建築物が中心です。民泊や簡易宿所で検討するような中小規模の物件は、法定の診断義務の対象外になることが多いですが、改修費の見積もりや宿泊者の安全のため、任意の診断が実務上は重要です。

Q4. 耐震改修の補助金は使えますか?

国の制度としては、令和8年度にホテル・旅館等を対象とした補強設計・耐震改修の補助の枠組みがあります。ただし実際の運用は各自治体の制度と組み合わさり、対象・金額・年度が異なります。利用を検討する場合は、物件所在地の都道府県・市区町村の担当窓口に最新の内容を確認してください。

Q5. 耐震改修をすると税金の優遇はありますか?

住宅耐震改修特別控除(所得税)は自己居住用の住宅が対象で、旅館業・民泊用の事業用物件は対象外です。事業用では、耐震改修後の一定期間、固定資産税が減額される措置が使える場合があります。税制は年度や個別事情で変わるため、適用関係は税理士・国税庁に確認してください。

Q6. 旧耐震物件は融資が付きにくいと聞きました。本当ですか?

旧耐震物件は、金融機関の担保評価で慎重に見られる傾向があります。理由は、建物の法定耐用年数を経過しているケースが多く担保としての残存価値が小さく評価されやすいこと、現行の耐震性能が確認されていないと再販時のリスクが意識されることなどです。耐震診断・耐震改修で性能を明確にしておくと、評価面でのマイナスを和らげられる場合があります。融資条件は金融機関・物件・借り手の属性によって大きく異なるため、早い段階で複数の金融機関に相談することが現実的です。融資の論点は民泊向け物件取得の融資・ローンでも扱っています。

まとめ——旧耐震物件は「性能を数字にしてから」買う

旧耐震物件は、割安な取得チャンスである一方で、耐震診断・耐震改修のコストと、旅館業許可・用途変更にともなう建築基準法対応が、収益を大きく左右します。鍵になるのは、昭和56年5月31日という境界を着工日で正確に確認し、登録講習を修了した建築士による耐震診断で性能を数字にしたうえで、改修費を含めた総取得コストで実質利回りを判断することです。耐震改修促進法の計画認定や補助制度、固定資産税の軽減なども、使える場面を見極めれば取得コストの調整に役立ちます。許可可否・建築基準法の適用・税務の取り扱いは、物件と自治体によって異なるため、所轄の保健所・特定行政庁・建築士・行政書士・税理士に確認しながら、無理のない計画で進めてください。


⚠️ 本記事は2026-06-15時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊の制度は改正される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。

📋 ご確認ください(民泊学校 編集部より)

本記事は 2026-06-15 時点で公開されている公式情報・一次情報をもとに編集しています。
法律、条例、税制、消防、各種許認可、収支見通しなどは、お住まいの自治体・対象物件の所在地・物件種別・運営形態によって取扱いが異なります。
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  • 制度・条例: 民泊制度ポータルサイト / 物件所在地の自治体(住宅宿泊事業 / 旅館業 / 特区民泊の所管課)
  • 消防: 物件所在地の所轄消防署
  • 税務: 顧問税理士 または 所轄税務署
  • 許認可・届出: 行政書士(民泊・旅館業に詳しい方)
  • 近隣対応・契約: 弁護士・宅地建物取引士

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はじめ君

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旧耐震物件は、結局やめておいたほうが無難ですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

旧耐震というだけで一律に避ける必要はありません。耐震診断で性能を数字にし、改修費を含めた総取得コストで実質利回りを判断するのが鍵です。許可や税務は保健所・建築士・税理士に確認しながら進めてください。
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民泊学校 編集部。運営者は2015年からAirbnbでの民泊運用に携わり、複数物件の運営経験をもとに、公式ソースの確認・専門家への確認導線・実務目線の3つを軸に記事を編集しています。