廃業した旧旅館・空きホテルを居抜きで取得して民泊・旅館業を再生する 2026年版|物件の探し方・建物DD・旅館業許可の承継/新規・温泉/消防/耐震・収支試算
編集:民泊学校 編集部|公開日:2026年6月15日|最終更新日:2026年6月15日
廃業した旅館や、客足が遠のいて売りに出された空きホテルを居抜き(建物・設備をそのまま)で安く取得し、旅館業として再生する——これは、新築や更地からの開業に比べて、取得コストと開業スピードの面で魅力のある投資手法です。一方で、旧耐震の建物、現行基準に合っていない消防設備、温泉利用許可の承継、残置物の処理費など、購入前に見極めるべき論点も多く、そこを外すと「安く買ったはずが、改修と手続きで想定外の出費」という結果にもなりかねません。この記事では、廃業旅館・空きホテルの居抜き取得から旅館業再生までを、物件の探し方・建物デューデリジェンス・旅館業許可の「承継か新規か」・温泉と消防と耐震・収支試算・補助制度・開業までのロードマップという順で、公式情報をもとに一気通貫で整理します。
この記事でわかること
- 居抜き取得が新築開業より有利になる条件と、見落としやすいコスト(取得コスト・開業スピード・許可リスクの3軸)
- 旅館業許可を「事業譲渡で承継する」か「新規申請する」かの判断フロー(旅館業法第3条の2・令和5年改正)
- 廃止届を出すと事業譲渡ができなくなるなど、順番を誤ると致命的になる手続きの勘所
- 温泉利用許可・消防設備・耐震という、廃業旅館特有の3大確認事項
- 客室稼働率(旅館平均38.4%)を起点にした収支試算の考え方と、観光庁・国交省の補助制度
- 物件探しから開業までの6〜18か月のロードマップと、相談すべき専門家

Contents
- 1 廃業旅館・空きホテルの居抜き取得とは何か——新築開業との投資比較
- 2 廃業物件を市場で探す——取引価格情報・競売・事業再生・M&Aの4チャネル
- 3 建物デューデリジェンスの4大チェックポイント
- 4 旅館業許可は「承継」か「新規申請」か——判断フローと令和5年改正
- 5 温泉権・温泉利用許可の承継——廃業旅館で温泉が残っている場合
- 6 消防設備の現行基準適合と遡及——消防法令適合の確認
- 7 耐震改修促進法とリノベーション工事費
- 8 旅館業再生の収支試算——稼働率を起点に考える
- 9 取得・改修費を含めた収支をシミュレーション
- 10 観光庁・国土交通省の補助金・支援制度
- 11 開業までのタイムライン——物件探しから再開業まで
- 12 あなたの物件で旅館業・民泊ができるか無料診断
- 13 よくある質問(FAQ)
- 14 まとめ——居抜き再生は「総取得コストと手続きの順序」で決まる
廃業旅館・空きホテルの居抜き取得とは何か——新築開業との投資比較
居抜き取得とは、建物・客室・厨房・浴場などの設備が残った状態の物件を取得し、それを活かして事業を再開する手法です。旅館・ホテルの再生では、次の3つの軸で新築開業と比較するのが実務的です。
| 比較軸 | 居抜き取得 | 新築・更地開業 |
|---|---|---|
| 取得コスト | 旧耐震・立地により大きく割安になりやすい | 土地+建築費で高くなりやすい |
| 開業スピード | 既存設備を活かせば早い(ただし改修次第) | 設計・建築で時間がかかる |
| 許可・法令リスク | 旧耐震・消防・用途・温泉の確認が必要 | 現行基準で設計するため見通しやすい |
居抜きの強みは「安く・早く」ですが、その裏返しとして、建物と許認可の状態を見極めるデューデリジェンス(DD)の精度が、投資の成否を分けます。割安に見える価格に、後述する耐震改修費・消防改修費・残置物処理費を足したとき、総取得コストが想定の利回りに見合うかどうか——この計算ができて初めて、居抜きは有利な選択になります。
厚生労働省の衛生行政報告例(政府統計)によると、近年の旅館業の施設は全国でおおむね9万施設台で推移しています。後継者難や設備老朽化で廃業する旅館がある一方、インバウンド需要の回復で再生需要も高まっており、廃業旅館の居抜き取得は、こうした市場の循環のなかにある手法です。
廃業物件を市場で探す——取引価格情報・競売・事業再生・M&Aの4チャネル
廃業旅館・空きホテルを探すチャネルは、大きく次の4つに整理できます。
- 不動産取引価格情報:国土交通省が公開する実取引価格のデータで、エリアの相場観をつかむ出発点になります。
- 競売・公売:裁判所の不動産競売(BIT)などで、廃業旅館が出ることがあります。価格は割安になりやすい一方、内覧の制約や引渡しのリスクがあります(競売の論点は別記事で詳しく扱っています)。
- 事業再生案件:経営難の旅館が、事業を続けながら譲渡先を探すケース。許可や設備を活かしやすい一方、価格交渉や条件が複雑になりがちです。
- M&A仲介:旅館・ホテルの事業承継を扱う仲介を通じて、株式譲渡・事業譲渡の形で取得するルートです。
いずれのチャネルでも、旧耐震の建物は価格にディスカウントが反映されていることが多く、その分、取得後の耐震・消防改修費を見込んでおく必要があります。価格の安さだけでなく、「なぜ安いのか(築年・耐震・立地・設備)」を一つずつ確認するのが、居抜き取得の基本姿勢です。競売・任意売却での取得を検討する場合は、競売・任意売却物件で民泊を始める前に確認することもあわせてご覧ください。
(2026-06-15取得)
旅館業の施設数の年次推移を収録する政府統計(衛生行政報告例)。最新年度の施設数は同サイトのデータベースで確認できる。
建物デューデリジェンスの4大チェックポイント
廃業旅館の建物DDで、取得コストを大きく左右するのが次の4点です。いずれも、購入前に概算を出して総取得コストに織り込むのが鉄則です。
1. 旧耐震(1981年以前の着工)かどうか
昭和56年(1981年)5月31日以前に着工した建物は旧耐震基準です。耐震診断・耐震改修の費用は、構造・規模によって幅があります。詳しくは旧耐震基準の物件で民泊・旅館業を始める前の耐震チェックで扱っています。
2. 消防設備が現行基準に合っているか
旅館・ホテルは消防法上「特定防火対象物」にあたり、規模・構造に応じた消防用設備が求められます。古い建物では現行基準に達していないことがあり、改修費が発生します(後述)。
3. 用途変更の確認申請が必要か
建築基準法上、特殊建築物への用途変更は、原則として床面積200平方メートル超で確認申請が必要です(2019年6月25日施行の改正で、それまでの100平方メートルから引き上げ)。なお、もともと旅館だった建物を再び旅館として使う場合は用途変更に当たらないとされますが、大規模な改修を行う際は既存不適格の遡及適用を検討する必要があります。検査済証がない物件では追加の確認が要ります(検査済証がない物件で民泊・旅館業を始められるかを参照)。
4. 残置物の処理費
廃業旅館には、家具・寝具・厨房機器・什器などの残置物が大量に残っていることがあります。これらの撤去・処分費は、規模によっては無視できない金額になります。売買契約で「残置物あり・現況渡し」となる場合は、撤去費を見積もって取得コストに加えておきましょう。建物の物理的な状態を客観的に把握するには、ホームインスペクション(建物状況調査)の活用も有効です。
廃業旅館の割安な価格には、たいてい理由があります。旧耐震・消防の遡及改修・温泉許可の失効・残置物・立地——これらの「隠れたコストや制約」を一つずつ洗い出し、総取得コストで判断することが大切です。表面の価格だけで取得を決めると、再開業の段階で資金計画が崩れるおそれがあります。

旅館業許可は「承継」か「新規申請」か——判断フローと令和5年改正
廃業旅館を再生するとき、最も重要な分かれ道が、旅館業の許可を「事業譲渡で承継する」か「新規に取り直す」かです。2023年(令和5年)12月13日施行の旅館業法改正で、事業譲渡による地位の承継制度(旅館業法第3条の2第1項)が新設されました。これにより、譲渡人と譲受人が都道府県知事等の承認を受ければ、譲受人は営業者の地位を承継でき、新規の許可を取り直さずに営業を続けられます。
| 項目 | 事業譲渡による承継 | 新規許可申請 |
|---|---|---|
| 根拠 | 旅館業法第3条の2第1項(令和5年12月13日施行) | 旅館業法第3条第1項 |
| 前提 | 営業中(廃止届を出していない)・施設の同一性が保たれている | 廃業済み、または施設を大幅に変更する |
| 申請のタイミング | 譲渡の効力発生前に承継承認申請(事前申請が必須) | 取得・改修後に許可申請 |
| 標準処理期間の例 | 20日程度(千葉県の例) | 20〜30日程度(自治体により異なる) |
ここで決定的に重要な実務上の注意があります。営業者が「廃止届」を提出してしまうと、その後は事業譲渡による承継の手続きができなくなります(京都市の案内などで明示されています)。廃止届は廃止した日から10日以内に提出することになっていますが、承継を狙うなら、売主が廃止届を出す前に承継承認申請のスケジュールを組む必要があります。順番を誤ると、せっかくの許可を活かせず新規申請に回ることになりかねません。
また、事業の一部だけの譲渡や、施設の同一性が認められないほどの大幅な変更がある場合は、承継ではなく新規許可申請が必要とされます(鹿児島市の案内など)。承継承認申請には、承継承認申請書・譲渡を証する書類・法人の登記事項証明書・周辺地図などが必要で、手数料の例として7,400円(鹿児島市)が示されています。具体的な要否・書類・手数料は自治体(保健所)によって異なるため、必ず物件所在地の保健所へ事前に相談してください。
(2026-06-15取得)
旅館業の許可(第3条第1項)、令和5年改正(2023年12月13日施行)で新設された事業譲渡による地位承継(第3条の2第1項)、承継後6か月以内の業務状況調査の条文。
(2026-06-15取得)
許可申請の窓口は施設所在地の保健所であること、構造設備基準が旅館業法施行令・施行規則に定められることの一次情報。令和5年改正による事業譲渡の承継手続きの詳細は、同ページからリンクする改正案内を参照。
(2026-06-15取得)
廃止届は廃止日から10日以内に提出すること、廃止届の提出後は事業譲渡の手続きができなくなることなど、承継と廃止の順序に関する自治体の運用例。
温泉権・温泉利用許可の承継——廃業旅館で温泉が残っている場合
温泉設備が残っている廃業旅館では、温泉法上の確認が欠かせません。温泉を公衆浴場などに利用するには、都道府県知事または保健所設置市(区)長の許可が必要です(温泉法第15条)。温泉の掘削や動力装置の設置にも許可が要ります(温泉法第3条・第11条)。
注意したいのは、温泉利用許可は、物件を取得しただけでは自動的に引き継がれないという点です。許可が失効している場合は、新たに許可を取り直すことになります。廃業旅館の温泉を「そのまま使えるはず」と考えて取得すると、再開業の段階で許可手続きが必要になり、時間とコストがかかることがあります。温泉付き物件を検討する場合は、温泉利用許可の現況(有効か・名義はどうか・失効していないか)を、取得前に都道府県・保健所へ確認しておきましょう。
(2026-06-15取得)
温泉の利用(公衆浴場・飲用等)には都道府県知事等の許可が必要であること、温泉の掘削・動力装置の設置にも許可が必要であることの概要。
消防設備の現行基準適合と遡及——消防法令適合の確認
旅館・ホテルは、消防法上「特定防火対象物」(消防法施行令別表第一の(五)項イ)に位置づけられ、不特定多数が宿泊する施設として、消火器・自動火災報知設備・誘導灯・スプリンクラー設備などの消防用設備が、規模・構造・収容人員に応じて求められます。特定防火対象物は、建築時の基準ではなく現行の基準に合わせる(遡及適用)必要がある設備がある点が、一般の建物と異なります。
廃業旅館を再開業する場合、古い消防設備が現行基準に達していないことがあり、その改修費は再生コストの大きな要素になります。設置すべき設備の範囲は延べ面積・階数・収容人員などで変わり、個別性が高いため、取得前・改修前に所轄の消防署と協議し、必要な設備と消防法令への適合を確認することが欠かせません。旅館業の許可手続きでは、消防法令に適合していることの確認(消防法令適合通知書など)が求められるのが一般的です。具体的な基準は消防法施行令に定められています。
(2026-06-15取得)
旅館・ホテルが特定防火対象物(別表第一(五)項イ)に分類されること、消火器・自動火災報知設備・スプリンクラー設備等の設置基準が規模・用途に応じて定められていることの条文。
特定防火対象物である旅館・ホテルは、現行基準への適合を求められる設備があり、古い建物ほど改修費が大きくなりがちです。必要な設備は物件ごとに異なるため、消防署との事前協議なしに取得・改修を進めると、想定外の費用が後から発生するおそれがあります。

耐震改修促進法とリノベーション工事費
旧耐震の旅館・ホテルでは、耐震改修促進法(建築物の耐震改修の促進に関する法律)の枠組みも関わります。同法では、昭和56年5月31日以前に着工し、階数3以上かつ床面積5,000平方メートル以上のホテル・旅館などが「要緊急安全確認大規模建築物」として耐震診断の義務対象とされ、診断結果が公表されてきました。一方、耐震改修自体は努力義務とされています。
この義務対象に当たらない中小規模の物件でも、宿泊者の安全と取得後の改修費の見積もりのため、任意の耐震診断が実務上は重要です。耐震診断・改修の費用相場や補助制度、計画認定については、旧耐震基準の物件で民泊・旅館業を始める前の耐震チェックで詳しく解説しています。居抜き再生では、耐震・消防・用途変更の改修費をまとめてリノベーション費用として見積もり、総取得コストに織り込むことが、収支の見通しを立てる前提になります。
(2026-06-15取得)
昭和56年5月31日以前に着工し階数3以上・床面積5,000平方メートル以上のホテル・旅館が耐震診断の義務対象であること、耐震改修は努力義務であることの一次情報。
旅館業再生の収支試算——稼働率を起点に考える
居抜き再生の収支は、客室稼働率と客室単価(ADR)を起点に組み立てます。観光庁の宿泊旅行統計調査(2025年年間値速報・2026年2月発表)によると、2025年の客室稼働率は全体で61.8%、施設タイプ別では旅館38.4%・リゾートホテル56.9%・ビジネスホテル75.3%・シティホテル74.2%でした。旅館の稼働率が相対的に低いのは、立地・客室規模・運営形態などの構造的な要因が背景にあります。
| 施設タイプ | 2025年 客室稼働率(観光庁速報) |
|---|---|
| 全体 | 61.8% |
| 旅館 | 38.4% |
| リゾートホテル | 56.9% |
| ビジネスホテル | 75.3% |
| シティホテル | 74.2% |
再生の収支試算では、この旅館平均(38.4%)を出発点に、立地・コンセプト・客室単価の見直し・OTAでの集客などで稼働率と単価をどこまで引き上げられるかを保守的に見積もります。取得価格に、耐震・消防・用途変更・残置物処理のリノベーション費を加えた総取得コストを分母に、改修後の想定収益から実質的な利回りを試算します。これはあくまで試算であり、稼働率や収益を保証するものではありませんが、感覚でなく数字で取得を判断するための土台になります。具体的な収支は、当サイトの収支シミュレーターでも試せます。
取得・改修費を含めた収支をシミュレーション
取得価格・リノベ費・客室単価・稼働率・清掃費などを入れて、月次・年次の収支を試算できます。
観光庁・国土交通省の補助金・支援制度
廃業旅館の再生では、国の支援制度を活用できる場合があります。代表的なものを挙げます。
- 廃屋撤去・再生による地方温泉地等のまちづくり支援事業:温泉街などの中心にある大規模な廃旅館を撤去・減築してダウンサイジング再生することを支援する観光庁の事業です。なお、この事業の公募は事務局(補助事業者)を対象とするもので、個々の事業者が直接応募する形とは異なります。
- 観光産業再生促進事業:旅館業法の許可を受けた宿泊事業者を対象に、事業再生アドバイザーの派遣や再生に必要な設備改善を支援する事業です(住宅宿泊事業者は対象外)。
これらの制度は、年度ごとに公募内容・対象・スケジュールが変わります。また、公募が「実際に支援を受ける事業者の募集」なのか「事務局(補助事業者)の募集」なのかで意味が異なる点にも注意が必要です。利用を検討する場合は、観光庁・国土交通省の最新の公募情報を確認し、対象要件と申請タイミングを早めに押さえてください。なお、外国人観光客の宿泊に対応する登録ホテル・旅館では、国際観光ホテル整備法に基づく承継の手続き(全部譲渡・相続・合併などの場合)も関係することがあります。
(2026-06-15取得)
温泉街等の大規模な廃旅館を撤去・減築して再生することを支援する事業の概要。公募は事務局(補助事業者)を対象とし、年度により内容が変動する。
開業までのタイムライン——物件探しから再開業まで
居抜き再生は、複数の手続きを並行・連続で進めるため、開業までに相応の期間がかかります。一般的な流れは次のとおりです。
- 物件探し(取引価格情報・競売・事業再生・M&A)と一次調査
- 建物デューデリジェンス(耐震・消防・用途・残置物の概算)と総取得コストの試算
- 旅館業許可を「承継」か「新規」かで方針決定(売主の廃止届のタイミングに注意)
- 売買契約(残置物・現況・契約不適合責任の条件を確認)
- 行政手続き(承継承認申請または新規許可申請、温泉利用許可、用途変更の確認)
- 消防署との協議・消防用設備の改修・消防法令適合の確認
- 耐震・内装などのリノベーション工事
- 再開業・集客(OTA登録・運営体制の構築)
物件や改修の規模にもよりますが、物件取得から再開業まで、おおむね6〜18か月程度を見込むのが現実的です。各段階で、建築士・行政書士・税理士・弁護士・宅地建物取引士、そして保健所・消防署・特定行政庁といった窓口との連携が必要になります。手放す側の出口戦略の論点は民泊・旅館業の売却・事業承継・出口戦略、旅館の事業譲渡・承継の実務は旅館の事業譲渡・承継ガイドでも扱っています。
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用途地域・管理規約・条例を3分で確認。居抜き再生の検討でも、まず大枠を整理できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 廃業旅館を買えば、前の旅館業の許可をそのまま使えますか?
必ずしもそのまま使えるわけではありません。令和5年改正で事業譲渡による地位承継の制度ができましたが、これは譲渡人と譲受人が都道府県知事等の承認を受けることが前提です。売主が既に廃止届を出していると、その後は承継の手続きができず、新規許可申請になります。承継を狙うなら、売主の廃止届のタイミングを含めて、早めに保健所へ相談してください。
Q2. 承継と新規申請は、どちらが有利ですか?
一概には言えません。施設の同一性が保たれ、売主が営業中であれば、承継は新規許可を取り直す手間を省ける利点があります。一方、施設を大幅に変更する場合や、廃業済みの場合は新規申請になります。どちらに当たるかは施設の状態と手続きの順序によるため、物件ごとに保健所へ確認するのが確実です。
Q3. 温泉が付いている廃業旅館なら、すぐ温泉を使えますか?
温泉設備が残っていても、温泉利用許可は物件取得で自動的に引き継がれるわけではありません。許可が失効している場合は、新たに温泉法に基づく許可を取り直すことになります。温泉付き物件は、利用許可の現況を取得前に都道府県・保健所へ確認しておきましょう。
Q4. 消防の改修費はどのくらいかかりますか?
旅館・ホテルは特定防火対象物で、現行基準への適合を求められる設備があります。必要な設備と費用は、延べ面積・階数・収容人員・現況によって大きく異なるため、一律にはいえません。取得前に所轄の消防署と協議し、必要な改修と概算を把握しておくことが欠かせません。
Q5. 旧耐震の旅館は再生できますか?
旧耐震というだけで再生できないわけではありません。耐震診断で性能を確認し、必要な耐震改修を行ったうえで再開業する例があります。耐震診断・改修の費用や補助制度は物件と自治体によって変わるため、建築士・特定行政庁に確認しながら、改修費を総取得コストに織り込んで判断してください。
まとめ——居抜き再生は「総取得コストと手続きの順序」で決まる
廃業旅館・空きホテルの居抜き取得は、新築開業に比べて「安く・早く」始められる可能性がある一方、旧耐震・消防の遡及改修・温泉許可・用途変更・残置物といった、廃業物件特有の確認事項が成否を分けます。取得価格にこれらの改修・処理費を足した総取得コストで利回りを試算し、旅館業許可は「承継か新規か」を売主の廃止届のタイミングまで含めて設計する——この2点が、居抜き再生の核心です。物件の物理的な状態はホームインスペクションや耐震チェックで見極め、許認可・税務・契約は保健所・消防署・特定行政庁・建築士・行政書士・税理士・弁護士といった専門家に確認しながら、無理のない計画で進めてください。
関連記事: 居抜き・旧旅館の再生とあわせて、観光地で効きやすい外観規制(風致地区・景観地区の許可・認定、看板の制限)については、風致地区・景観地区にある物件で民泊・旅館業を始める前の確認で解説しています。
関連記事: 居抜き・旧旅館の再生とあわせて、防火地域での耐火・準耐火構造の要否と、宿泊施設への転用にかかる耐火化改修コストは、防火地域・準防火地域にある物件で民泊・旅館業を始める前の確認を参照してください。
関連記事: 旧旅館の建物・旅館業許可の承継とは別に、温泉そのものの権利と許可(温泉法の4許可・慣習上の温泉権/引湯権・引湯契約)の確認は、温泉付き物件・温泉権のある物件で民泊・旅館業を始める前の確認で解説しています。
⚠️ 本記事は2026-06-15時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊の制度は改正される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
📋 ご確認ください(民泊学校 編集部より)
本記事は 2026-06-15 時点で公開されている公式情報・一次情報をもとに編集しています。
法律、条例、税制、消防、各種許認可、収支見通しなどは、お住まいの自治体・対象物件の所在地・物件種別・運営形態によって取扱いが異なります。
最終的なご判断は、必ず以下にご確認ください。
- 制度・条例: 民泊制度ポータルサイト / 物件所在地の自治体(住宅宿泊事業 / 旅館業 / 特区民泊の所管課)
- 消防: 物件所在地の所轄消防署
- 税務: 顧問税理士 または 所轄税務署
- 許認可・届出: 行政書士(民泊・旅館業に詳しい方)
- 近隣対応・契約: 弁護士・宅地建物取引士
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