編集:民泊学校 編集部|公開日:2026年6月21日|最終更新日:2026年6月21日

相場より安く、立地も悪くない——そんな物件が、実は都市計画道路の予定地に掛かっていることがあります。都市計画道路の予定地は、将来そこに道路が通る計画がある土地で、建てられる建物に制限がかかり、事業が決まれば土地が買収・収用されることもあります。安さの裏に、こうした事情が隠れていることは珍しくありません。民泊・旅館業のように建物に投資して長く運営する事業では、建てたい建物が建てられるか、運営の途中で立ち退きになるおそれはないかが、投資の可否を左右します。この記事は、都市計画道路にかかる物件を取得・契約する前のデューデリジェンス(調査)に絞って、都市計画法などの公式情報をもとに整理します。市街地開発事業(区画整理・再開発)にかかる物件は区画整理・再開発のある物件の確認もあわせてご覧ください。

この記事でわかること

  • 都市計画道路予定地とは何か(都市計画法第53条の建築制限)
  • 予定地に建てられる建物の制限(階数・構造の条件・第54条)
  • 計画決定と事業決定の違い(第53条許可と第65条の分かれ目)
  • 事業が決まったときの収用・補償と、買取請求の仕組み
  • 取得前に都市計画図と事業認可の有無を確認する手順
  • 重要事項説明での扱いと、民泊投資への影響
  • 減価償却の途中で立ち退きになるリスクの考え方
minpaku-toshikeikaku-douro-yoteichi-2026 Step1 予定地か確認

計画道路にかかる土地の取得——「将来削られる土地」という視点

物件を見るとき、現在の道路付けや用途地域は気にしても、「将来の都市計画」まで確認する人は多くありません。けれども、都市には、将来の道路や公園などをあらかじめ計画として定めた区域があり、これを都市計画施設といいます。その代表が都市計画道路です。都市計画道路の区域に掛かっている土地は、将来そこに道路が通る前提で、建物の建築が制限され、計画が事業として動き出せば、土地の一部または全部が買収・収用されることがあるのです。

取得前のデューデリジェンスでこの視点が大切なのは、「建てたい民泊・旅館の建物が建てられるか」「いつか道路事業が動いて、立ち退きや営業停止になるおそれはないか」が、投資の前提に直結するからです。相場より安い物件には、こうした「将来削られる土地」という事情が背景にあることがあります。安さの理由を確かめないまま取得すると、思い描いた建物が建てられなかったり、運営の途中で収用されたりするリスクを抱えることになります。以下、都市計画法の制度から順に見ていきます。

はじめ君

はじめ君

相場より安い物件ですが、都市計画道路が関係していることはありますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

あります。相場より安い物件が、都市計画道路の予定地に掛かっていることは珍しくありません。予定地は建物に制限がかかり、事業が決まれば土地が買収・収用されることもあります。安さの理由を確かめないまま取得すると、思い描いた建物が建てられなかったり、立ち退きになったりするリスクがあります。

都市計画道路予定地とは——都市計画法第53条の建築制限

都市計画道路などの都市計画施設の区域内では、建物を建てるときに特別な手続が必要です。都市計画法第53条第1項は、都市計画施設(都市計画道路・公園など)の区域内で建築物を建築しようとする場合には、都道府県知事(指定都市・中核市の区域内ではそれぞれの長。以下「都道府県知事等」)の許可を受けなければならないと定めています。これは、将来の道路整備の妨げになるような建物が建てられてしまうのを防ぐための仕組みです。横浜市・港区・大阪市など、多くの自治体がこの第53条許可について案内しています。

注意したいのは、この第53条の許可は、建築確認とは別の手続だという点です。多くの自治体の案内では、確認済証の交付を受ける前に、第53条の許可を取得しておく必要があるとされています。つまり、都市計画道路の予定地で建物を建てたり建て替えたりするには、通常の建築確認に加えて、第53条の許可というもう一つの関門を通ることになります。民泊・旅館業のために物件を取得して建物を整えようとするとき、この手続が必要かどうかは、取得前に確認しておきたいポイントです。

都市計画法第53条に基づく建築許可|横浜市
(2026-06-21取得)

都市計画施設の区域内・市街地開発事業の施行区域内での建築には第53条の許可が必要であること、許可基準(都市計画法第54条第3号=階数2以下・地階なし・木造等で容易に移転除却できる構造)を示す一次情報。横浜市では、事業認可等の告示前の区域について、取扱要綱により階数3以下・高さ12メートル以下・地階なしへの緩和運用が設けられている(法律の原則は階数2以下)。

都市計画法第53条に基づく許可|港区
(2026-06-21取得)

都市計画道路・都市計画公園等の区域内での建築は第53条第1項の許可が必要であること、許可基準は第54条によること、確認済証の交付前に許可の取得が必要であることを示す一次情報。関連する第65条(事業中の施設)も整理されている。

はじめ君

はじめ君

都市計画道路の予定地だと、建物を建てるのに手続が要りますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

都市計画法第53条により、都市計画施設(都市計画道路・公園など)の区域内で建物を建てるには都道府県知事等の許可が必要です。これは建築確認とは別の手続で、多くの自治体では確認済証の交付前に許可を取得する必要があるとされています。新築だけでなく一定の増改築も対象になることがあります。

建てられる建物の制限——階数・構造の条件(第54条)

第53条の許可が下りるかどうかは、都市計画法第54条の許可基準で決まります。第54条には複数の基準があり、(1)その建物が都市計画の内容に適合する場合、(2)都市計画施設の立体的な範囲が定められているときに、その範囲外で施設の整備に著しい支障がない場合、(3)階数が2以下で地階(地下室)がなく、主要構造部(柱・はりなど)が木造・鉄骨造・コンクリートブロック造などで、容易に移転・除却できる場合——のいずれかに当てはまり、容易に移転・除却できると認められれば、許可されます。民泊・旅館業の建物でよく問題になるのは、(3)の基準です。なお、法律の原則は階数2以下ですが、自治体によっては、取扱要綱などの運用で、事業の認可が告示される前の区域について、階数3以下・高さ12メートル以下(地階なし・容易に移転除却できる構造)に緩和している例(横浜市など)もあります。

これは、民泊・旅館業の建物計画にとって、見過ごせない制限です。上記(3)の基準では、鉄筋コンクリート造の本格的な宿泊棟や、3階建て以上の規模の大きな建物は認められにくく、(1)(2)に当てはまらない限り、計画道路の予定地では建てにくいことになります。用途地域の建ぺい率・容積率に余裕があっても、第54条の構造・階数の基準で頭打ちになりうる、というのが取得前に押さえておきたいポイントです。さらに、階数・構造の条件を満たしていても、「容易に移転・除却できる」と認められるかは個別の審査によるため、建てたい建物が許可されるかは、設計の前に、自治体の都市計画担当窓口で事前に相談しておくのが確実です。「この土地に、思い描いている規模・構造の民泊施設が建てられるか」を、取得前に、都市計画道路の予定地かどうかとあわせて確認しておくことが大切です。建て替えの可否に関わる論点は再建築不可物件の確認もご覧ください。

注意したいのは、第53条の許可が必要になるのは、新築だけではないという点です。一定の規模を超える増築や改築、建て替えなども、都市計画施設の区域内では許可の対象になります。古い建物をリノベーションして民泊・旅館に活用する場合でも、増築や大きな改修を伴うなら、第53条の手続が必要になることがあります。「既存の建物を使うだけだから自分には関係ない」と早合点せず、計画している工事の内容が許可の対象になるかどうかを、設計の段階で自治体に確認しておくことが大切です。許可の対象になる工事の範囲は、自治体によって運用の細かな違いがあるため、窓口での確認が確実です。

minpaku-toshikeikaku-douro-yoteichi-2026 Step2 建築制限を確認
都市計画施設等の区域内における建築の規制|大阪市
(2026-06-21取得)

都市計画道路・公園・緑地等の区域内での建築には第53条の許可が必要であること、都市計画事業の認可が告示された後は原則として建築が禁止され、施行上支障がない場合のみ第65条の許可で建築できることを示す一次情報。

はじめ君

はじめ君

予定地に、どんな建物なら建てられますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

都市計画法第54条の基準により、階数2以下で地階がないこと、主要構造部が木造・鉄骨造など容易に移転・除却できる構造であることなどが求められます(自治体により階数3以下などに緩和の例あり)。鉄筋コンクリート造の本格的な宿泊棟や3階建ては建てにくくなるため、建てたい建物が建つかを取得前に確認してください。

計画決定と事業決定——第53条と第65条の分かれ目

都市計画道路の予定地は、「どの段階にあるか」で扱いが大きく変わります。大きく、計画として定められただけの「計画決定」の段階と、実際に道路をつくる事業として動き出した「事業決定(都市計画事業の認可)」の段階があります。この違いが、取得前のデューデリジェンスではとても重要です。

計画決定の段階では、前述の第53条・第54条にもとづいて、容易に移転・除却できる範囲の建物であれば建築が認められます。一方、事業の認可が告示される(都市計画法第62条第1項)と、以後はより厳しい第65条が適用され、事業地の中では、土地の形質の変更、建築物の建築、工作物の建設、重量5トンを超える物件の設置・堆積などが、原則として制限されます。施行に支障がない場合に限って許可されうる、という整理です。つまり、同じ「都市計画道路にかかる土地」でも、計画決定の段階か、事業決定の段階かで、建てられるかどうか・立ち退きが近いかどうかが大きく異なるのです。取得前に、対象地が今どの段階にあるかを確認することが欠かせません。

なお、都市計画道路の中には、計画決定されてから何十年も事業に着手されていない、いわゆる「長期未着手」のものが全国に数多くあります。計画決定だけで長く動いていない道路であれば、当面の制限は第54条の建築の階数・構造にとどまることもあります。一方で、長期未着手だからといって「これからも事業化されない」とは限らず、社会情勢や自治体の方針によって、計画の見直し(廃止・変更)が行われたり、逆に事業化が進んだりすることもあります。「今は動いていないから大丈夫」と決めつけず、計画を見直す動きがないか、事業化の見込みはどうかを、自治体に確認しておくことが、建物に投資して長く運営する民泊・旅館業では大切です。

都市計画法第65条に基づく許可|横浜市
(2026-06-21取得)

都市計画事業の認可・承認の告示(第62条第1項)後は、第53条に代わって第65条が適用されること、事業地内では土地の形質変更・建築物の建築・工作物の建設・重量5トンを超える物件の設置や堆積が制限され、事業の施行に支障がなければ許可されうることを示す一次情報。

はじめ君

はじめ君

計画決定と事業決定は、何が違うのですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

計画決定は道路の計画が定められた段階で、第53条・第54条の範囲で建築が認められます。事業決定(都市計画事業の認可・告示)は実際に道路をつくる事業が動き出した段階で、以後は第65条が適用され、事業地内の建築や土地の形質変更が原則制限されます。立ち退きの近さはこの段階で大きく変わります。

事業化されたら——収用・補償と買取請求

都市計画道路の事業が実際に動き出すと、事業地にかかる土地は、分筆のうえ買収され、必要に応じて収用されることになります。その際には、土地の対価のほか、建物の移転に要する費用(建物移転補償)や、一定の要件のもとでの営業補償などが支払われる場合があります(補償の内容や金額は、個別の土地・建物の状況や事業の進め方によって異なります)。とはいえ、補償があるからといって、民泊・旅館業にとって痛手がないわけではありません。立地を選んで投資した物件を手放し、別の場所で事業を立ち上げ直すには、時間も労力もかかります。営業の中断は、収益の空白期間に直結します。

一方で、都市計画施設の区域内の土地については、第53条の許可を受けられない旨の通知を受けた場合などに、土地の所有者が、その土地の買取りを申し出ることができる仕組み(都市計画法第56条)も設けられています。ただし、この制度が使える場面は限られており、計画決定の段階での一般的な建築制限(構造・階数が基準に合わないなど)に当然に適用されるものではありません。買取りが認められるかや、その手続・要件は土地の状況によって異なるため、自治体・専門家に確認してください。また、事業の認可(第62条)に伴う施行の公告(第66条)の日の翌日から起算して10日を経過した後に、事業地内で土地・建物を有償で譲渡しようとするときは、施行者へあらかじめ書面で届け出る義務(第67条第1項)があり、施行者は届出後30日以内に、その土地を買い取るかどうかを通知できる(先買い)とされています。これらの仕組みは専門的なので、収用・補償・買取りの見通しは、自治体の都市計画担当や、土地収用に詳しい専門家に確認することをおすすめします。

minpaku-toshikeikaku-douro-yoteichi-2026 Step3 投資を判断
都市計画事業地内で土地建物等の売買を予定している方へ(都市計画法第67条)|大田区
(2026-06-21取得)

事業の認可に伴う公告の後の事業地内で土地・建物を有償で譲渡する場合、第67条第1項により施行者へ書面で届け出る義務があること、届出後30日以内に施行者が買取りの意向(先買い)または不買を回答すること、届出を怠ると罰則の対象になりうることを示す一次情報(対象は事業認可済みの事業地)。

都市計画法(昭和43年法律第100号)|e-Gov法令検索
(2026-06-21取得)

第53条(都市計画施設の区域内の建築の許可)、第54条(許可の基準)、第56条(土地の買取り)、第62条(事業の認可の告示)、第65条(事業地内における建築等の制限)、第67条(有償譲渡の届出)などの根拠条文の正本。

はじめ君

はじめ君

事業が決まったら、土地は強制的に取られますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

都市計画事業が進むと事業地にかかる土地は買収され、必要に応じて収用されることがあります。土地代のほか建物移転補償や営業補償が支払われるのが一般的ですが、立地を選んだ投資を手放し営業が中断する影響は小さくありません。買取請求(第56条)などの仕組みもあり、要件は自治体・専門家に確認してください。

取得前の確認手順——都市計画図と事業認可の有無

都市計画道路にかかるかどうかは、取得前に確認できます。第一に、物件所在地の自治体が公表している都市計画図(都市計画情報のインターネット提供サービスなど)で、対象地が都市計画道路の区域線(計画線)に掛かっていないかを確認します。計画道路の幅員や区域線がどこを通っているかで、土地のどの部分が、どれくらい掛かるかが見えてきます。

第二に、その都市計画道路が「計画決定」の段階か、「事業決定(事業認可)」の段階かを確認します。これによって、第53条の許可で建てられるのか、より厳しい第65条が適用されるのかが分かれ、立ち退きの近さの見通しも変わります。事業認可の有無や時期は、自治体の都市計画担当窓口で確認できます。第三に、建てたい建物(規模・構造・階数)が、第54条の許可基準の範囲に収まるかを整理します。これらは、自治体の窓口や、宅地建物取引士・建築士に相談しながら確認していくのが現実的です。物件選び全般の考え方は民泊の物件選び・不動産投資の基本もご覧ください。

はじめ君

はじめ君

取得前に、都市計画道路にかかるか調べられますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

自治体が公表する都市計画図(都市計画情報のインターネット提供サービスなど)で、対象地が都市計画道路の区域線に掛かっていないかを確認できます。あわせて、その道路が計画決定か事業決定(事業認可済み)かを都市計画担当窓口で確認してください。土地のどの部分がどれくらい掛かるかも重要です。

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重要事項説明と民泊投資への影響

中古物件を仲介で取得する場合、都市計画道路の予定地であることは重要事項説明の対象になります。対象物件が都市計画施設(都市計画道路など)の区域内にある場合、その旨と、建築の制限の内容が、宅地建物取引業法にもとづく重要事項説明で説明されるのが一般的です。重要事項説明で都市計画道路にかかると示されたら、土地のどの部分が、どれくらい掛かるのか、計画決定か事業決定か、建てたい建物が建てられるのかを、宅地建物取引士に具体的に確認してください。仲介業者の選び方は民泊 不動産仲介・物件紹介業者の選び方もご覧ください。

民泊・旅館業の投資という観点では、「建物に投資した費用を、収用までの期間で回収できるか」という時間軸の問題が重要です。事業決定が近い土地は、せっかく整えた施設を、減価償却が終わらないうちに手放すことになりかねません。逆に、計画決定だけで長く動いていない都市計画道路もあり、その場合は当面の制限は建築の階数・構造にとどまることもあります。「いつ事業化されるか分からない」という不確実性そのものが、投資のリスクだと捉え、安さの理由をよく確かめることが大切です。「安いから」だけで判断せず、宅地建物取引士・建築士・自治体に確認しながら、収用・立ち退きのシナリオまで見込んで、無理のない計画で進めてください。

もう一つ意識しておきたいのが、出口(将来の再売却)への影響です。都市計画道路にかかる土地は、自分が取得するときだけでなく、いつか物件を手放すときにも、買い手から同じ懸念を持たれます。建築の制限や収用のおそれは、買い手にとっても価格を抑える要因になりうるため、取得時に安く買えたとしても、出口でも同じ事情が価格に響き、「安く買って高く売る」という単純な絵を描きにくいことがあります。民泊・旅館業の投資判断では、保有している間の収益だけでなく、出口での売りやすさや価格への影響まで含めて見ておくことが大切です。こうした見通しは、地域の取引事情に詳しい宅地建物取引士や不動産鑑定士に相談すると、より具体的に描けます。

はじめ君

はじめ君

都市計画道路にかかる物件への投資は、何に注意すべきですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

建物に投資した費用を収用までの期間で回収できるかという時間軸が重要です。事業決定が近い土地は、整えた施設を減価償却が終わらないうちに手放しかねません。出口(再売却)でも買い手から同じ懸念を持たれ価格に響きます。安さの理由を確かめ、宅地建物取引士・建築士・自治体に確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 都市計画道路の予定地でも、民泊・旅館業はできますか?

一律にできないわけではありません。計画決定の段階であれば、都市計画法第54条の基準(容易に移転・除却できる構造・階数)の範囲で建物を建てて運営できることがあります。ただし、規模の大きい建物や鉄筋コンクリート造は建てにくく、事業が決まれば収用のおそれもあります。対象地の段階と建てたい建物を、自治体・宅地建物取引士に確認してください。

Q2. 都市計画道路の予定地だと、建物にどんな制限がありますか?

都市計画法第53条により、都市計画施設の区域内で建物を建てるには都道府県知事等の許可が必要で、第54条の基準のうち、民泊でよく問題になるのは、階数2以下で地階がなく、主要構造部が木造・鉄骨造など容易に移転・除却できる構造であること(第3号)です。鉄筋コンクリート造の本格的な宿泊棟や3階建ては、この基準では認められにくくなります(自治体によっては取扱要綱で階数3以下に緩和する例もありますが、法律の原則は2以下です)。建てたい建物が建つかは、自治体の窓口で事前相談するのが確実です。

Q3. 計画決定と事業決定は、何が違うのですか?

計画決定は、将来の道路として計画が定められた段階で、第53条・第54条の範囲で建築が認められます。事業決定(都市計画事業の認可・告示)は、実際に道路をつくる事業が動き出した段階で、以後は第65条が適用され、事業地内の建築・土地の形質変更などが原則制限されます。立ち退きが近いかどうかは、この段階の違いで大きく変わります。

Q4. 事業が決まったら、土地は強制的に取られるのですか?

都市計画事業が進むと、事業地にかかる土地は買収され、必要に応じて収用されることがあります。その際は土地の対価のほか、建物移転補償や、一定の要件のもとでの営業補償などが支払われる場合があります(内容や金額は個別の状況により異なります)。ただし、立地を選んで投資した物件を手放し、営業が中断することの影響は小さくありません。補償の範囲や手続は、自治体・土地収用に詳しい専門家に確認してください。

Q5. 取得前に、都市計画道路にかかるか調べる方法はありますか?

物件所在地の自治体が公表する都市計画図(都市計画情報のインターネット提供サービスなど)で、対象地が都市計画道路の区域線に掛かっていないかを確認できます。あわせて、その道路が計画決定か事業決定(事業認可済み)かを、自治体の都市計画担当窓口で確認してください。土地のどの部分がどれくらい掛かるかも重要です。

Q6. 都市計画道路にかかる土地は、買い取ってもらえますか?

第53条の許可を受けられない旨の通知を受けた場合などに、所有者が土地の買取りを申し出ることができる仕組み(都市計画法第56条)があります。ただし対象となる場面は限定的です。また、事業認可に伴う公告の後の事業地内で土地・建物を有償で譲渡するときは、施行者への届出義務(第67条)があり、施行者は届出後30日以内に買い取る旨を通知して先に買い取ることもあります。要件や手続は土地の状況により異なるため、自治体・専門家に確認してください。

Q7. 重要事項説明では、都市計画道路のことは説明されますか?

対象物件が都市計画施設(都市計画道路など)の区域内にある場合、その旨と建築の制限の内容が、宅地建物取引業法にもとづく重要事項説明で説明されるのが一般的です。説明を受けたら、土地のどの部分がどれくらい掛かるか、計画決定か事業決定か、建てたい建物が建てられるかを、宅地建物取引士に具体的に確認してください。

まとめ——「安さの理由が計画道路でないか、取得前に確かめる」

都市計画道路の予定地にかかる物件で民泊・旅館業を始めること自体は、できないわけではありません。けれども、取得・契約の段階で確認すべき論点があります。都市計画道路などの都市計画施設の区域内では、建物を建てるのに都道府県知事等の許可(都市計画法第53条)が必要で、第54条の基準により、多くの場合、容易に移転・除却できる構造・階数の建物に限られます。鉄筋コンクリート造の本格的な宿泊棟や3階建ては、この基準では認められにくくなります。さらに、計画決定の段階か、事業決定(事業認可)の段階かで扱いが分かれ、事業が動き出せば第65条が適用され、最終的には土地が買収・収用されることもあります。補償はあっても、立地を選んだ投資を手放し、営業が中断する影響は小さくありません。取得前には、自治体の都市計画図で計画道路にかかるかを確認し、計画決定か事業決定かを都市計画担当窓口で確かめ、重要事項説明の内容を宅地建物取引士に確認してください。相場より安い物件ほど、その理由が都市計画道路でないかを確かめ、宅地建物取引士・建築士・自治体に相談しながら、収用・立ち退きのシナリオまで見込んで、無理のない計画で慎重に進めることをおすすめします。


⚠️ 本記事は2026-06-21時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊の制度は改正される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。

📋 ご確認ください(民泊学校 編集部より)

本記事は 2026-06-21 時点で公開されている公式情報・一次情報をもとに編集しています。
法律、条例、税制、消防、各種許認可、収支見通しなどは、お住まいの自治体・対象物件の所在地・物件種別・運営形態によって取扱いが異なります。
最終的なご判断は、必ず以下にご確認ください。

  • 制度・条例: 民泊制度ポータルサイト / 物件所在地の自治体(住宅宿泊事業 / 旅館業 / 特区民泊の所管課)
  • 消防: 物件所在地の所轄消防署
  • 税務: 顧問税理士 または 所轄税務署
  • 許認可・届出: 行政書士(民泊・旅館業に詳しい方)
  • 近隣対応・契約: 弁護士・宅地建物取引士

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民泊学校 編集部。運営者は2015年からAirbnbでの民泊運用に携わり、複数物件の運営経験をもとに、公式ソースの確認・専門家への確認導線・実務目線の3つを軸に記事を編集しています。