編集: 民泊学校 編集部 | 最終更新日: 2026-06-03

清掃スタッフやフロント担当者を雇用している民泊ホスト・管理業者にとって、育児・介護休業法への対応は避けて通れない実務課題です。「パートだから育休は不要」「うちは中小だから規程がなくても大丈夫」という思い込みは、令和6年改正以降は通用しない可能性があります。改正は2025年4月・10月と段階的に施行されており、就業規則・規程の整備、パート・有期労働者への適用拡大、不利益取扱い禁止の徹底など、事業主が対応すべき事項は多岐にわたります。本記事では、民泊事業を運営する事業主の目線から、育児・介護休業法の全体像から具体的な規程整備・申出対応まで、公式資料をもとに整理します。最終的なご判断は、必ず社会保険労務士・所轄労働局にご確認ください。

  • 育児・介護休業法がカバーする休業・休暇の種類と事業主の義務の範囲
  • パート・有期契約の清掃スタッフへの適用条件(継続雇用1年要件の廃止等)
  • 令和6年改正の2025年4月施行分・10月施行分の内容と施行スケジュール
  • 就業規則・育児介護休業規程を整備するポイントと規定例の活用方法
  • 申出を受けた際の事業主の対応手順(受理・通知・不利益取扱い禁止)
  • 中小企業の義務範囲と努力義務の違い(企業規模別の対応レベル)
  • よくある失敗例と社会保険労務士への相談タイミング
minpaku-ikukaikyu-kaisei-taiou-2026 Step1 適用を知る

Contents

育児・介護休業法の全体像と民泊事業への関係

育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)は、雇用する労働者が育児・介護を理由に仕事を継続できるよう、事業主に対して各種の義務と配慮義務を課す法律です。民泊事業においては、清掃スタッフ、フロント対応スタッフ、運営管理担当者など、実際に雇用契約を結んでいるスタッフが対象となります。

主な制度は以下の通りです。

  • 育児休業:子が原則1歳になるまで(要件を満たす場合は1歳6ヶ月・2歳まで延長可)取得できる休業。令和3年改正から父親の産後パパ育休(出生時育児休業)も追加。
  • 介護休業:対象家族1人につき通算93日(3回まで分割可)取得できる休業。
  • 子の看護休暇:小学校就学前の子1人につき年5日(2人以上は年10日)まで取得できる休暇(時間単位取得可)。
  • 介護休暇:対象家族1人につき年5日(2人以上は年10日)まで取得できる休暇(時間単位取得可)。
  • 育児のための所定外労働・深夜業の制限:3歳未満の子を養育する労働者が請求した場合の所定外労働免除、時間外労働・深夜業の制限。
  • 介護のための所定外労働・深夜業の制限:対象家族を介護する労働者が請求した場合の措置。
  • 勤務時間短縮等の措置(育児短時間勤務):3歳未満の子を養育する労働者への所定労働時間6時間措置の義務。

民泊事業は宿泊施設の運営という性質上、早朝・深夜・週末に業務が集中しやすい傾向があります。そのため、深夜業の制限申請や所定外労働の制限申請が通常の事務系職場より発生しやすい環境にあります。事業主として、これらの制度について予め把握し、規程を整備しておくことが現実的な対応となります。

厚生労働省「育児・介護休業法について(法改正のポイント)」(2026-06-03取得)

育児・介護休業法の制度概要・改正経緯・各種休業・休暇の要件が整理されたポータルページ。

はじめ君

はじめ君

清掃スタッフが数人いるだけの小さな民泊業者にも、この法律は全部適用されるのですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

1人でも労働者を雇用していれば育児・介護休業法の適用事業所となります。企業規模によって「義務」と「努力義務」に区分される制度もありますが、育休申出の受理・不利益取扱いの禁止は規模を問わず義務です。詳細は後述の中小企業向け解説をご確認ください。

パート・有期労働者への適用条件(継続雇用1年要件の廃止)

民泊事業でよく見られる雇用形態として、週2〜3日の清掃パートや有期雇用の運営スタッフがあります。これらの労働者に対して、以前は「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上」という要件が労使協定によって除外要件として設定できる運用がありました。しかし、令和3年改正(2022年4月施行)により、育児休業・介護休業に関する「継続雇用1年以上」の労使協定による除外規定は廃止されました。

現時点(2026年6月時点)での適用要件の整理は以下の通りです。

休業・休暇の種類 パート・有期労働者への適用条件 除外可否
育児休業 雇用期間が子が1歳6ヶ月になる日を超えて継続雇用されることが明らかでない場合は除外可(労使協定要) 条件付きで除外可
産後パパ育休(出生時育児休業) 同上(子が生後8週以降6ヶ月の日を超えて継続雇用されることが明らかでない場合は除外可) 条件付きで除外可
介護休業 雇用期間が93日以上かつ6ヶ月を超えて継続雇用されることが明らかでない場合は除外可(労使協定要) 条件付きで除外可
子の看護休暇・介護休暇 継続雇用6ヶ月未満の者を除外可(労使協定要) 条件付きで除外可
所定外労働の制限・深夜業の制限 雇用期間が制限終了予定日を超えて継続雇用されることが明らかでない場合は除外可(労使協定要) 条件付きで除外可

重要なポイントは、「継続雇用1年以上」という要件そのものが廃止されたことです。以前は「雇用されて1年未満のパートは対象外」という運用が一般的でしたが、現在は雇入れ直後のパートスタッフであっても、上表の「除外労使協定」がなければ原則として育休の申出を受理する必要があります。

民泊事業では雇用形態が多様なケースが多いため、「このスタッフは対象か否か」を個別に判断する前に、就業規則・育児介護休業規程を整備し、適用要件を明示しておくことが現実的な対応となります。

厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A」(PDF)(2026-06-03取得)

パート・有期労働者への適用条件、1年要件廃止後の除外労使協定の取扱い等について、Q&A形式で詳細が解説されている。

はじめ君

はじめ君

週3日の清掃パートさんが入ってすぐに妊娠した場合、育休申請は断れないのですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

継続雇用1年要件を労使協定で設けていない場合、原則として申出を拒否することは難しい状況です。ただし雇用期間・契約期間の終了日等の条件によって取扱いが変わるため、社会保険労務士への確認をお勧めします。

令和6年改正の段階施行スケジュール(2025年4月・10月)

令和6年(2024年)に成立した改正育児・介護休業法は、内容によって施行日が分かれており、2025年4月1日施行分と2025年10月1日施行分の2段階で進んでいます。事業主はそれぞれの施行日までに規程整備や社内周知を完了させる必要があります。

施行日 改正内容 事業主の対応
2025年4月1日 育児休業取得状況の公表義務化(従業員300人超の事業主対象) 対象事業主は取得率・取得日数等の情報を公表する仕組みの整備
2025年4月1日 育児休業等の個別周知・意向確認の対象拡大(妊娠・出産の申出をした労働者に加え、その配偶者・パートナーへも) 個別周知・意向確認の実施手順の見直しと記録管理
2025年4月1日 子の看護休暇の対象拡大(小学校就学前の子 → 小学3年生修了まで)および名称変更(「子の看護等休暇」) 就業規則・育児介護休業規程の対象範囲・名称の更新
2025年4月1日 介護離職防止のための雇用環境整備義務化(事業主の措置義務) 介護に関する制度の個別周知・意向確認の仕組みの整備
2025年10月1日 3歳以降小学校就学前の子を養育する労働者への柔軟な就業形態確保措置の義務化(テレワーク・時差出勤・保育施設整備等から1以上) 制度の選択・就業規則への規定・労働者への周知
2025年10月1日 育児短時間勤務(3歳未満)に加え、3歳以降小学校就学前について育児のための柔軟な働き方を選択できる仕組み(育児時短就業給付の創設に連動) 規程への追加・労働者への情報提供
2025年10月1日 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大(3歳未満 → 小学校就学前) 規程の対象年齢欄の更新
!段階施行のため現在地を確認してください

本記事は2026年6月3日時点の情報をもとに作成しています。2025年4月1日施行分・10月1日施行分は既に施行済みですが、今後さらに改正施行が予定される可能性があります。最新の施行スケジュールは厚生労働省の公式ページで必ずご確認ください。

民泊事業者として特に影響が大きいのは、子の看護等休暇の対象拡大(2025年4月施行)です。従来は「小学校就学前の子」が対象でしたが、改正後は「小学3年生修了まで」に拡大されました。清掃・フロントスタッフに小学生の子を持つ方が多い場合、申出件数が増加する可能性があります。就業規則の当該条文を確認し、必要に応じて更新してください。

厚生労働省「育児・介護休業法について(法改正のポイント)」(2026-06-03取得)

令和6年改正の段階施行スケジュール・各措置の内容が整理されている。

はじめ君

はじめ君

2025年10月施行の「柔軟な就業形態確保措置」って、テレワークができない清掃業務の事業者はどう対応すればよいのですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

テレワーク・始業時刻等の変更・保育施設整備・短時間正社員制度・新たな休暇付与などの措置の中から1つ以上を選択する仕組みです。清掃業務では時差出勤の導入や短時間勤務制度の活用が現実的な選択肢となる場合があります。具体的な制度設計は社労士への相談を検討ください。
minpaku-ikukaikyu-kaisei-taiou-2026 Step2 規程を整える

事業主が整える就業規則・育児介護休業規程と申出対応手順

育児・介護休業法は、各制度の内容を就業規則(10人以上の事業所は作成・届出義務あり)または育児介護休業規程(別規程として整備する方法)に明記することを求めています。規程がない場合でも法律は適用されますが、労使間のトラブル防止と申出への迅速な対応のために、規程整備は強く推奨されます。

規程に盛り込む主要項目

  • 育児休業の取得資格・申出期限・申出方法・休業期間の延長要件
  • 産後パパ育休(出生時育児休業)の申出期限・分割取得の条件
  • 介護休業の取得資格・申出期限・分割回数・対象家族の範囲
  • 子の看護等休暇・介護休暇の日数・時間単位取得の可否
  • 所定外労働・深夜業・時間外労働の制限に関する申出手順
  • 育児短時間勤務(3歳未満)および小学校就学前の柔軟な就業形態の選択肢
  • 休業中・復職時の賃金・賞与・年次有給休暇の取扱い
  • 不利益取扱いの禁止に関する規定

厚生労働省は「育児・介護休業等に関する規則の規定例」を公式サイトで公開しており、中小企業を含む事業主が無料で活用できます。この規定例には、就業規則の本則に組み込む形と別規程として整備する形の両方が示されており、自社の実態に合わせてカスタマイズして利用する形が一般的です。

厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例」(2026-06-03取得)

就業規則・別規程として整備するためのひな形(Word・PDFで提供)。令和6年改正対応版が掲載されており、中小企業がそのまま活用できる。

申出を受けた際の事業主の対応手順

スタッフから育休・介護休業の申出があった場合、事業主は以下の手順で対応します。

  1. 申出の受理:要件を満たす申出は原則として拒否できません。申出を受けた日時・内容を記録します。
  2. 休業開始日・終了日の確認通知:育児休業の場合、申出を受けた事業主は申出を受けた旨と休業期間を書面等で通知することが求められます。
  3. 社会保険・雇用保険の手続き確認:育児休業給付金(雇用保険)・社会保険料免除の手続きが別途必要です(→ 詳細は民泊スタッフの雇用保険手続きガイド参照)。
  4. 職場への周知と業務の引き継ぎ調整:休業中の業務体制を整えます。代替要員の確保が必要な場合は早めに動くことが現実的です。
  5. 復職時の面談:育児短時間勤務の希望確認・配置等の確認を行います。

個別周知・意向確認の義務(令和3年改正から)
妊娠・出産の申出をした労働者(令和6年改正後はその配偶者・パートナーも)に対し、事業主は育児休業制度の内容を個別に周知し、取得の意向を確認することが義務化されています。「掲示板に貼ってあるから周知した」では足りず、個別の通知・面談・書面交付等によって行う必要があります。民泊事業で複数拠点を管理している場合は、各現場スタッフへの周知漏れに注意が必要です。

はじめ君

はじめ君

厚生労働省の規定例を使えば、規程整備はそれだけで十分ですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

厚労省の規定例は土台として活用できますが、自社の勤務形態・シフト制・有期雇用の取扱い等に合わせたカスタマイズが必要な箇所があります。就業規則は所轄労働基準監督署への届出も必要なため、社会保険労務士に確認しながら進める方が安心です。

不利益取扱い禁止と事業主が留意すべき点

育児・介護休業法において、不利益取扱いの禁止は企業規模を問わず全ての事業主に課される義務です。育休・介護休業の申出・取得を理由とした以下の行為は禁止されています。

  • 解雇・雇止め・契約更新の拒否
  • 降格・減給・賞与の削減
  • 不利益な配置転換や部署変更
  • 専ら不利益となる労働契約内容への変更の強要
  • 自宅待機の命令
  • 精神的・身体的な嫌がらせ(マタニティハラスメント・パタニティハラスメント・ケアハラスメント)

「うちは小さい会社だから…」という規模を理由にした例外は、不利益取扱い禁止においては認められません。1人のアルバイトスタッフが育休申出をした翌月に契約更新を拒否した場合でも、法的なリスクが生じる可能性があります。

ハラスメント(マタニティ・パタニティ・ケアハラスメント)防止義務

令和2年改正により、職場における育児休業等に関するハラスメント(マタハラ・パタハラ・ケアハラ)の防止措置を講じることが事業主に義務化されています。具体的には以下の措置が求められます。

  • ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化・周知
  • 相談・苦情対応の体制整備
  • 相談者のプライバシー保護
  • 相談者・調査協力者への不利益取扱いの禁止

民泊事業では、シフト管理上の理由から「この時期は休まれると困る」という意識が現場責任者に生じやすい状況があります。そのような発言・態度がハラスメントとして問題化する事案が増えていることに留意が必要です。ハラスメント防止については民泊スタッフのハラスメント防止義務対応ガイドもあわせてご参照ください。

!不利益取扱いは規模不問で禁止・違反すると行政指導の対象に

育休申出・取得を理由とした解雇・雇止め・シフト削減・降格等の不利益取扱いは、企業規模に関わらず禁止されています。違反が確認された場合、都道府県労働局からの行政指導・公表の対象となる可能性があります。申出があった場合は速やかに受理し、記録を残すことが重要です。

はじめ君

はじめ君

育休取得後に同じシフトに戻せない場合、シフト変更は不利益取扱いになりますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

本人の同意なく、休業取得を理由とした不利益なシフト変更・待遇変更は問題視される可能性があります。業務上やむを得ない変更がある場合も、理由を説明し本人の意向を確認した上で書面で記録に残すことが現実的な対応です。

中小企業の義務・努力義務と段階的な対応レベル

育児・介護休業法における「義務」と「努力義務」の区分は企業規模によって異なる制度があります。以下の表は、主な制度の適用区分を整理したものです。なお、制度の改正・施行により対象規模が変更される場合があるため、最新情報は厚生労働省公式ページで確認することをお勧めします。

制度・措置 大企業(概ね常用労働者1,001人以上) 中小企業(概ね常用労働者1,000人以下)
育休取得状況の公表 常用労働者301人以上:義務(2025年4月施行) 300人以下:努力義務
個別周知・意向確認 全事業主:義務 全事業主:義務
不利益取扱い禁止 全事業主:義務 全事業主:義務
ハラスメント防止措置 全事業主:義務 全事業主:義務
育児休業取得促進のための雇用環境整備(パパ育休取得促進) 全事業主:義務 全事業主:義務
3歳〜小学校就学前の柔軟な就業形態確保措置(2025年10月施行) 全事業主:義務 全事業主:義務
育児休業取得状況の公表(2025年4月施行) 301人以上:義務 300人以下:努力義務
!「中小だから義務がない」は一部の制度にのみ当てはまります

「中小企業は義務がない」という理解は誤りです。上表のとおり、不利益取扱い禁止・個別周知・意向確認・ハラスメント防止措置・柔軟な就業形態確保措置等は、企業規模を問わず全ての事業主に義務が課されています。「中小だから大丈夫」という認識は、労務トラブルの原因になる可能性があります。

なお、将来的な法改正により、現在「努力義務」とされている項目が「義務」に格上げされる可能性もあります。段階的な対応を想定した規程整備を行っておくことが、実務上は合理的な判断となることが多いです。

はじめ君

はじめ君

従業員10人未満の民泊業者でも就業規則を作らないといけないのですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

労働基準法上の就業規則作成・届出義務は常時10人以上の事業所が対象ですが、9人以下でも育児介護休業規程(別規程)を整備・周知しておくことで労使間のトラブルを予防できます。規程例は厚労省サイトから入手できます。

よくある失敗例と回避ポイント

!失敗例1:「パートだから対象外」と口頭で断った

前述のとおり、継続雇用1年要件の廃止により、パート・有期労働者も原則として育休の対象となります。「対象外です」と口頭で断った場合、申出拒否として不利益取扱いに問われる可能性があります。申出があった際はまず受理を検討し、除外労使協定がある場合は規程と照合した上で対応することが現実的です。

!失敗例2:育休規程が古く、令和6年改正に未対応だった

数年前に作成した育児介護休業規程をそのまま使い続けているケースがあります。令和3年改正(2022年4月)・令和4年改正(2023年施行)・令和6年改正(2025年施行)と法改正が続いており、子の看護等休暇の対象年齢・名称や柔軟な就業形態措置の規定が未更新の規程は、実態と齟齬が生じている可能性があります。厚労省の最新規定例と照合した定期的な見直しが推奨されます。

!失敗例3:育休取得後に「契約更新なし」とした

有期雇用の清掃スタッフが育休から復帰した翌月、契約更新を行わなかったケースがあります。雇止めと育休取得の関連性が問われた場合、不利益取扱いとして問題化する可能性があります。雇止めを行う場合は育休取得との関連性を切り離した合理的な理由が必要です。判断が難しい場合は社会保険労務士への確認を先行させることを検討ください。

!失敗例4:個別周知・意向確認を口頭だけで済ませた

妊娠・出産の申出があった際の個別周知・意向確認を口頭だけで行い、記録を残していないケースがあります。後日「説明を受けていない」「意向を聞かれていない」というトラブルが生じた際に、事業主側が対応した証拠を示せません。書面・メール・チャット等で記録が残る形で実施することが重要です。

!失敗例5:雇用保険の育休給付手続きを本人任せにしていた

育児休業給付金の申請手続きは事業主が雇用保険の届出を行う必要があります。「本人が自分でやるもの」と誤解して手続きを放置したケースが散見されます。育休開始から2ヶ月ごとに事業主経由で申請が必要なため、総務・経理担当者との連携体制を事前に確認しておくことが現実的です。雇用保険の手続き詳細は民泊スタッフの雇用保険手続きガイドをご参照ください。

はじめ君

はじめ君

万が一、申出を断ってしまった場合はどうすればよいですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

速やかに申出を受け直し、経緯を書面で記録した上で社会保険労務士または所轄都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に状況を相談することが現実的な対応です。問題が大きくなる前に専門家に相談することを検討ください。

社会保険労務士への相談と確認範囲

育児・介護休業法に関する対応は、法律の条文だけでは判断が難しいケースが多くあります。特に以下の事項については、社会保険労務士(社労士)への相談が実務上の判断基準となります。

  • パート・有期労働者の適用除外要件(除外労使協定の作成・届出)
  • 育児介護休業規程の作成・就業規則への統合・所轄労働基準監督署への届出
  • 申出の拒否が法的に許容されるか否かの個別判断
  • 育休中の社会保険料免除申請・育児休業給付金の申請補助
  • マタハラ・パタハラ・ケアハラの相談窓口設置・社内規程の整備
  • 3歳以降小学校就学前の柔軟な就業形態の具体的制度設計

民泊事業を運営する事業主は、労働基準法・社会保険・雇用保険・育児介護休業法と複数の法律への対応が求められます。スタッフ雇用に関する法的整備については、定期的に社会保険労務士との契約・相談体制を持つことが合理的な選択肢の一つです。相談の第一歩として、当サイトの労務専門家相談フォームをご活用ください。

民泊スタッフの育休・介護休業対応について社労士に相談する

規程整備・申出対応・パート労働者への適用判断など、個別ケースについての確認は専門家への相談が確実です。当サイトの相談フォームから労務専門家への問い合わせができます。

労務専門家に相談する

関連する雇用・労務ガイドもあわせてご確認ください
民泊スタッフの雇用全般については民泊スタッフ雇用の基本ガイド、労働基準法(偽装請負・労働時間)については民泊スタッフの労働基準法対応ガイドもご参照ください。

minpaku-ikukaikyu-kaisei-taiou-2026 Step3 確認する

FAQ(よくある質問)

Q1. 週2日・1日4時間勤務の清掃パートにも育休は認めないといけないのですか?

原則として、雇用している全ての労働者が育児休業の対象となります。ただし、育休が終わる予定日を超えて継続雇用される見込みがない(例:雇用期間が子が1歳6ヶ月になる日以前に満了する)と明らかな場合は、労使協定を締結することで除外できる場合があります。このような労使協定の有無・内容によって対応が変わるため、社会保険労務士への確認を検討してください。

Q2. 育休を取ったスタッフのシフトを減らすことはできますか?

育休取得を理由としたシフト削減・実質的な待遇低下は、不利益取扱いとして問題になる可能性があります。業務上の理由でシフト調整が必要な場合も、本人の同意を得た上で書面等で記録を残すことが重要です。不明な点は都道府県労働局または社会保険労務士にご相談ください。

Q3. 小学3年生の子を持つスタッフが「子の看護等休暇」を申し出てきました。何日認めるべきですか?

令和6年改正(2025年4月施行)により、子の看護等休暇の対象は「小学校就学前」から「小学3年生修了まで」に拡大されました。対象の子が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日が付与されます。時間単位取得も認める必要があります。自社の規程が旧基準のままとなっている場合は速やかに更新してください。

Q4. 介護休業を申し出てきた有期契約スタッフ(勤続8ヶ月)はどう対応しますか?

介護休業については、介護休業開始予定日から93日を経過する日から6ヶ月を経過する日(合算で約9ヶ月以上)まで継続雇用される見込みがないと明らかな場合は、労使協定で除外できる仕組みがあります。勤続8ヶ月の場合、契約期間の終了日と介護休業予定期間の関係によって対応が変わるため、個別の判断は社会保険労務士または所轄労働局への確認をお勧めします。

Q5. 育休取得率を公表する義務はありますか?

2025年4月施行の改正により、常時雇用する労働者が301人以上の事業主には育休取得率等の公表義務があります。300人以下の事業主は努力義務の位置付けです。ただし将来的な改正により対象規模が拡大する可能性もあるため、現在は努力義務であっても取組み状況を整理しておくことが選択肢の一つです。

Q6. 「産後パパ育休」とは何ですか?通常の育休とどう違いますか?

産後パパ育休(出生時育児休業)は、子の出生後8週間以内に最大4週間取得できる制度で、令和3年改正(2022年10月施行)から創設されました。通常の育休とは別に取得でき、分割して2回まで取得可能です。また、所定の要件と本人の同意があれば休業中に就業することもできます(通常育休は就業不可が原則)。事業主は産後パパ育休の申出に対しても受理義務があります。

Q7. 就業規則を変更した場合、労働基準監督署への届出は必要ですか?

常時10人以上の労働者を使用する事業所の場合、就業規則の変更は所轄労働基準監督署への届出が必要です(労働基準法第89条)。9人以下の場合は届出義務は生じませんが、内容を労働者に周知する義務があります。育児介護休業規程を就業規則の一部として整備する場合と別規程として整備する場合で取扱いが異なるため、社会保険労務士に相談の上で進めることを検討してください。

まとめ:民泊事業主が今すぐ確認すべき対応チェックリスト

育児・介護休業法は、清掃パートや有期雇用スタッフを含む全ての雇用労働者に適用される法律です。令和6年改正の段階施行(2025年4月・10月)により、子の看護等休暇の対象拡大・柔軟な就業形態確保措置・個別周知対象の拡大等が既に施行されています。

  • 育児介護休業規程を最新版(令和6年改正対応)の厚労省規定例と照合し、未対応の項目を確認する
  • パート・有期労働者の除外労使協定の有無・内容を確認する(除外したい場合は協定が必要)
  • 妊娠・出産の申出があった際の個別周知・意向確認の手順を整備・文書化する
  • 不利益取扱い禁止・ハラスメント防止についての方針を現場管理者に周知する
  • 申出受理・休業期間の記録管理フローを整備する
  • 判断が難しいケースは社会保険労務士に相談する体制を作る

民泊事業の規模が小さくても、雇用する労働者がいる以上、労務管理の基本を整えることは事業継続の基盤となります。対応が未整備の場合は、厚生労働省の規定例と本ガイドを出発点として、早めに体制整備を進めることを検討してください。


⚠️ 本記事は2026-06-03時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊の制度は改正される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。

📋 ご確認ください(民泊学校 編集部より)

本記事は 2026-06-03 時点で公開されている公式情報・一次情報をもとに編集しています。
法律、条例、税制、消防、各種許認可、収支見通しなどは、お住まいの自治体・対象物件の所在地・物件種別・運営形態によって取扱いが異なります。
最終的なご判断は、必ず以下にご確認ください。

  • 制度・条例: 民泊制度ポータルサイト / 物件所在地の自治体(住宅宿泊事業 / 旅館業 / 特区民泊の所管課)
  • 消防: 物件所在地の所轄消防署
  • 税務: 顧問税理士 または 所轄税務署
  • 許認可・届出: 行政書士(民泊・旅館業に詳しい方)
  • 近隣対応・契約: 弁護士・宅地建物取引士

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