編集: 民泊学校 編集部 | 最終更新日: 2026-06-03

民泊・簡易宿所に貸切風呂やサウナを設置したいオーナーがまず突き当たるのが「公衆浴場法の許可は必要か」という問いです。旅館業の許可と公衆浴場法の許可は別の制度であり、施設の使われ方によって適用判断が変わります。とりわけ、宿泊客以外にも開放する共同浴場を設けるのか、宿泊客専用の浴場にとどめるのかで、保健所の手続き内容が大きく異なります。本記事では、公衆浴場法の許可が必要になる条件・施設基準・衛生管理義務・保健所申請の手順を、2026年6月時点の公式情報をもとに整理します。

この記事でわかること

  • 公衆浴場法の許可が必要になる条件と「共同浴場」の定義
  • 旅館業の許可に含まれる専用浴場と公衆浴場法の関係
  • サウナ・露天風呂・貸切風呂の法的位置づけ(施設類型別)
  • 施設基準(脱衣所・換気・消毒設備)の概要
  • 衛生管理義務:水質検査・レジオネラ対策・消毒頻度の考え方
  • 温泉法との違いと適用条件の分岐点
  • 保健所への許可申請の手順と行政書士の活用場面
minpaku-koshu-yokujo-sauna-2026 Step1 許可を判定

Contents

公衆浴場法とは何か——適用される浴場の定義

公衆浴場法(昭和23年法律第139号)は、不特定多数の人が使用する浴場施設の衛生・設備を規律する法律です。同法第1条では「公衆浴場とは、温湯、潮湯または温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設」と定義されています。

実務上の重要な区分として、都道府県は条例で公衆浴場を大きく「普通公衆浴場(銭湯など地域住民向け)」と「その他の公衆浴場(スーパー銭湯・サウナ施設・宿泊施設付帯の浴場等)」に分類しています。民泊・簡易宿所に関係するのは多くの場合「その他の公衆浴場」の分類です。

ただし、どの施設が「公衆浴場法の許可が必要な公衆浴場」に該当するかは都道府県・保健所が個別に判断します。地域差があるため、「宿泊客専用なら不要」と一概に断定することは難しく、最終的な判断は所管の保健所に確認することが現実的な対応です。

公衆浴場法(e-Gov 法令データベース)
(2026-06-03取得)

昭和23年法律第139号。公衆浴場の定義(第1条)、許可の義務(第2条)、施設の衛生管理基準の根拠条文を確認できる。

はじめ君

はじめ君

宿泊施設にある風呂は全部「公衆浴場」になるんですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

宿泊客だけが使う専用浴場は、多くの都道府県で旅館業の許可の範囲内として扱われます。ただし判断は保健所によって異なるため、設計段階で確認しておくことが大切です。

旅館業許可の範囲内に収まる専用浴場とは

旅館業法に基づく営業許可(旅館・ホテル営業または簡易宿所営業)を取得した施設では、宿泊客が利用するための専用浴場を設けるのが一般的です。この「宿泊客のみが使用する浴場」は、多くの都道府県の運用において公衆浴場法の許可とは別に扱われています。

旅館業法の施行令や都道府県の条例では、旅館・ホテル・簡易宿所の施設基準として浴場・シャワー室の設置基準が定められており、この基準を満たした専用浴場であれば旅館業の許可の枠内で運営できるとされています。民泊(住宅宿泊事業法に基づく届出)の場合も、届出が完了した物件の宿泊客専用シャワー・ユニットバスは同様の位置づけです。

問題が生じるのは次のいずれかのケースです。

  • 宿泊客以外の一般客にも浴場を開放する(日帰り入浴・外来客の受け入れ)
  • 複数の棟・区画で共同利用する形式(複数予約グループが同時に使う共同浴場)
  • 施設の規模・設備が「その他の公衆浴場」としての許可基準を満たさなければならない規模に達する

いずれも都道府県・保健所の解釈によって結論が変わる可能性があります。開業前に保健所の担当部署(生活衛生担当課)に事前相談を行い、書面で確認しておくことが現実的な対応です。

!「宿泊客専用」の解釈に地域差あり

「宿泊客のみが使う浴場は公衆浴場法の許可が不要」というのは多くの都道府県の一般的な運用ですが、条例の定め方や保健所の解釈によって異なります。特に貸切制・時間制の浴場を設ける場合や、連泊・グループで複数室が同じ浴場を共用する場合は、事前に保健所に確認してください。

はじめ君

はじめ君

日帰り客も受け入れたい場合は、別途、公衆浴場の許可が必要になるんですね?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

宿泊客以外に開放した時点で「公衆を入浴させる施設」に該当するとみなされ、公衆浴場の許可申請が必要になるのが一般的な考え方です。日帰り入浴を検討する場合は、保健所・行政書士への事前相談をお勧めします。
minpaku-koshu-yokujo-sauna-2026 Step2 基準を確認

サウナ・貸切風呂・露天風呂の法的位置づけ

近年、民泊・簡易宿所の差別化設備として人気が高いのが、プライベートサウナ・貸切風呂・露天風呂です。それぞれ施設の形態や使い方によって法的な取り扱いが変わります。

サウナ(ドライ・ウェット)

サウナは「公衆浴場法」上の「公衆浴場」に含まれる場合があります。都道府県の条例では、蒸し風呂・サウナを「その他の公衆浴場」として分類していることが多く、宿泊施設に設置するサウナについても保健所の事前相談が重要です。宿泊客専用・1棟貸しで外部に開放しないサウナについては、旅館業の施設基準の範囲内として扱われるケースもありますが、地域によって判断が異なります。

貸切風呂(家族風呂・プライベートバス)

「貸切」という名称であっても、複数の宿泊グループが時間交代で使用する形式は、実質的に共同浴場と同等の利用形態とみなされる場合があります。一方、特定の宿泊予約に紐づいた専用浴場(その予約者グループのみが使用)であれば、旅館業の施設基準の枠内に収まる可能性が高いです。境界線は保健所に確認することが現実的です。

露天風呂

露天風呂を屋外に設ける場合、給湯設備・排水経路・衛生管理の基準に加えて、建築基準法・用途地域の確認も必要です。公衆浴場法上の衛生管理義務(水質管理・消毒)も屋内浴場と同様に適用されます。屋根・囲いの有無・飛沫による近隣への影響なども含め、設計段階から保健所・建築確認担当との調整が求められます。

i施設タイプ別の確認先まとめ

サウナ・貸切風呂・露天風呂のいずれも、「旅館業許可の範囲で収まるか、それとも公衆浴場法の許可が別途必要か」の判断は都道府県の保健所(生活衛生担当)が行います。開業・改装前に保健所への事前相談を行い、担当者から確認内容を書面またはメールで記録する形で残しておくことを強くお勧めします。

はじめ君

はじめ君

1棟貸し物件に完全プライベートのサウナを付ける場合は、許可は不要ですか?
民泊学校 編集部</p>
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宿泊客専用のプライベートサウナであれば旅館業の許可内で扱えるとするケースが多いですが、都道府県・保健所の判断によって異なります。「不要と断言できる」状況は少ないため、事前相談で確認する姿勢が現実的です。