編集:民泊学校 編集部|公開日:2026年6月15日|最終更新日:2026年6月15日

入居者がいる収益物件(オーナーチェンジ物件)を割安に取得し、入居者の退去後に民泊(住宅宿泊事業)や旅館業へ転用する——投資の出口戦略としては魅力的に見えますが、ここには「買えても、すぐには使えない」という大きな壁があります。日本の借地借家法は賃借人を強く保護しており、オーナーが代わったからといって、すぐに退去を求められるわけではないからです。この記事では、賃借人・占有者がいる物件を民泊・旅館業用に取得する際の、借地借家法28条の「正当事由」、立退料の考え方、任意退去に応じない場合の法的手順、旧オーナーが結んだサブリース契約の承継、定期借家への切替の可否、そして退去後の旅館業許可・消防・用途変更までを、公式情報をもとに整理します。

この記事でわかること

  • オーナーチェンジ物件を民泊・旅館業に転用する前に確認すべき3つの前提
  • 賃借人がいると「買えてもすぐ使えない」理由——借地借家法の基本構造
  • 更新拒絶の「正当事由」(借地借家法28条)の4要素と、立退料の位置づけ
  • 旧オーナーのサブリース契約が新オーナーに承継される仕組み(民法605条の2)
  • 普通借家を定期借家に切り替えられない理由と、現実的な出口戦略
  • 退去後の旅館業許可・消防(住宅→旅館の設備強化)・用途変更の順序
minpaku-owner-change-occupant-2026 Step1 退去を見極める

Contents

オーナーチェンジ物件を民泊・旅館業に転用できるか——3つの前提

賃借人・占有者がいる物件を取得して民泊・旅館業に転用するには、まず次の3つの前提を確認する必要があります。

  • 賃借人の退去がいつ・どう実現できるか:借地借家法の保護があるため、退去には正当事由や立退料、あるいは合意が必要になります。
  • 旧オーナーが結んだ契約が引き継がれるか:賃貸借契約やサブリース契約は、原則として新オーナーに承継されます(後述の民法605条の2)。
  • 退去後に旅館業・民泊として使える建物か:用途変更・消防・検査済証などの建物側の要件を満たせるか。

この3つが揃って初めて、転用の計画が現実的になります。とくに最初の「退去」は、時間も費用も読みにくく、投資判断の最大の不確実要素です。賃貸物件の運営そのものの論点は民泊の賃貸借契約と転貸の論点でも扱っています。

はじめ君

はじめ君

入居者がいる物件を買えば、退去後に民泊にできますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

退去がいつ実現できるか、旧オーナーの契約が引き継がれるか、退去後に宿泊施設として使える建物か——この3つが揃って初めて現実的になります。とくに退去の見通しが最大の不確実要素です。

賃借人がいても「買える」が「すぐ使えない」理由——借地借家法の基本

賃借人が入居している物件でも、所有権の売買そのものは可能です。問題は、買った後にその賃借人へ退去を求められるかどうかです。借地借家法では、賃貸人(オーナー)から契約の更新を拒絶したり解約を申し入れたりするには、期間満了の1年前から6か月前までの間に通知を行う必要があり(借地借家法第26条第1項)、しかもその更新拒絶には「正当事由」が求められます(第28条)。

つまり、オーナーチェンジで所有者が代わっても、賃借人の地位は守られたまま新オーナーに引き継がれ、「民泊にしたいから出ていってほしい」というだけでは、当然には退去を求められないのが基本です。ここを軽視して「取得後すぐに転用できる」と見込むと、想定が大きく崩れることになります。

なぜ新オーナーが賃借人に縛られるのかというと、建物の賃借人は、その建物の引渡し(実際に住んで使っていること)を受けていれば、その後に建物を取得した第三者に対しても賃借権を主張できるとされているためです(いわゆる対抗要件)。登記まではなくても、現に住んでいる賃借人は保護されるのが原則です。だからこそ、賃借人がいる物件の売買では、買主は「賃借人ごと」物件を引き受けることになり、退去をどう実現するかが、転用を目指す投資家にとっての最初の関門になります。

借地借家法(平成3年法律第90号)第26条・第28条・第38条|e-Gov法令検索
(2026-06-15取得)

更新拒絶の通知時期(第26条第1項=期間満了の1年前から6か月前)、更新拒絶等に正当事由を要すること(第28条)、定期建物賃貸借(第38条)の条文。

はじめ君

はじめ君

オーナーが代われば、入居者に出ていってもらえますよね?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

借地借家法は賃借人を強く保護しており、所有者が代わっても賃借人の地位は引き継がれます。「民泊にしたいから」というだけでは当然には退去を求められないのが基本で、取得後すぐの転用は見込まないほうが安全です。

更新拒絶の「正当事由」の壁——借地借家法28条の4要素

借地借家法第28条では、更新拒絶・解約申入れの正当事由を、次の要素を総合して判断するとされています。

  • 賃貸人・賃借人の双方が、その建物の使用を必要とする事情
  • 建物の賃貸借に関する従前の経過
  • 建物の利用状況および建物の現況
  • 賃貸人が賃借人に対して財産上の給付(立退料)を申し出た場合は、その申出

注意したいのは、「民泊・旅館業に転用して収益を上げたい」という賃貸人側の事情だけで、正当事由が当然に認められるわけではないという点です。賃借人がそこで長く生活している、高齢である、代わりの住居の確保が難しい、といった事情があれば、正当事由は認められにくくなる傾向があります。立退料の提示は正当事由を補強する要素の一つですが、立退料を払えば必ず退去させられるというものでもありません。正当事由の判断は個別事情によって裁判所の結論が大きく変わるため、転用目的での取得を検討する際は、早い段階で弁護士に見通しを相談することを強くおすすめします。

!注意:転用目的の取得は「退去の見通し」を最優先で

賃借人がいる物件の転用では、退去がいつ実現できるか(あるいはできないか)が、投資の成否を左右します。正当事由の有無・立退料の額は事案ごとに大きく異なり、断定はできません。退去の見通しが立たないまま取得すると、転用できず収益計画が崩れるおそれがあります。取得前に弁護士へ相談してください。

minpaku-owner-change-occupant-2026 Step2 契約を確認
はじめ君

はじめ君

立退きを求めるには、何が必要なんですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

更新拒絶には借地借家法28条の「正当事由」が要り、双方の使用の必要性・従前の経過・建物の状況・立退料の申出を総合して判断されます。転用したい側の事情だけでは認められにくい傾向があり、まず弁護士に見通しを相談してください。

立退料の算定実務——移転補償・営業補償・迷惑料の3構成

立退料は法律で金額が決まっているものではなく、交渉と、必要なら裁判のなかで定まっていきます。実務では、おおむね次の3つの要素を組み合わせて考えられることが多いとされます。

  • 移転費用の補償:引っ越し費用、新居の敷金・礼金・仲介手数料など、移転に直接かかる費用。
  • 営業損失の補償:店舗・事務所として使っている場合の、移転による営業上の損失。
  • 迷惑料(いわゆる慰謝料的な要素):住み慣れた場所を離れることへの補償的な意味合い。

公共用地の取得では国土交通省の損失補償基準が用いられますが、民間の立退き交渉でも、これが一つの参考指標として参照されることがあります。ただし、「立退料は◯◯万円が相場」と一律に言えるものではなく、建物の用途(住居か店舗か)、入居期間、賃料、代替物件の有無などによって大きく変わります。具体的な金額の見立てや交渉は、弁護士・不動産の専門家に相談しながら進めるのが現実的です。

立退料を考えるうえで押さえておきたいのは、住居として使われている場合と、店舗・事務所として使われている場合とで、補償の考え方が変わることです。店舗の場合は、移転にともなう営業の損失や、得意客を失うことへの補償が加わりやすく、住居だけのケースより金額が大きくなる傾向があります。また、立退き交渉は一度の提示で決まることは少なく、賃借人の事情を聞きながら条件をすり合わせていくプロセスになります。交渉が長期化すれば、その間の保有コスト(ローン金利・固定資産税・空室期間)も投資の収支に効いてきます。立退料そのものだけでなく、交渉にかかる時間も含めて、転用計画に織り込んでおくことが大切です。

はじめ君

はじめ君

立退料はいくらくらい用意すればいいですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

金額は法律で決まっておらず、移転費用・営業損失・迷惑料などを組み合わせて交渉で定まります。住居か店舗か、入居期間、賃料などで大きく変わるため「相場いくら」とは言えません。弁護士に見立てを相談しながら進めてください。

任意退去に応じない場合——占有移転禁止仮処分・明渡し

交渉で合意できず、正当事由が認められて明渡しを求める場合でも、賃借人が任意に退去しないことがあります。その際の法的手続きとして、建物明渡請求の訴訟や、それに先立つ「占有移転禁止の仮処分」があります。これは、民事保全法第23条第1項に基づき、将来の明渡請求権を保全するために、現在の占有者を固定しておく手続きです。占有者が途中で第三者に入れ替わると明渡しの手続きが振り出しに戻りかねないため、これを防ぐ意味があります。

こうした保全・明渡しの手続きは、担保の提供や裁判所への申立てを伴い、専門家(弁護士)の関与なしに進めるのは現実的ではありません。賃借人がいる物件の転用を検討する場合は、最悪のケース(任意退去に応じない場合)まで含めて、弁護士に手順と期間・費用の見通しを確認しておくことが大切です。

保全事件の発令まで|裁判所(東京地方裁判所 民事第9部)
(2026-06-15取得)

占有移転禁止仮処分など保全事件の手続きの流れ、担保提供を経て保全命令が発令される一般的な運用に関する裁判所の案内。

サブリース契約の承継リスク——民法605条の2の「見えない契約」

オーナーチェンジで見落とされがちなのが、旧オーナーが結んでいた契約の承継です。2020年(令和2年)4月1日施行の改正民法第605条の2では、対抗要件を備えた賃借人がいる不動産が譲渡されると、賃貸人としての地位は当然に新しい所有者(譲受人)に移転するとされています。これは、旧オーナーがサブリース業者と結んでいたマスターリース(一括賃貸)契約も、原則として新オーナーに引き継がれることを意味します。

この承継を避けたい場合は、譲渡人と譲受人の間で「賃貸人の地位を譲渡人に留保する」旨などの合意(地位留保特約)をする方法が民法605条の2第2項に定められています。ただし、これには「物件を譲受人が譲渡人に賃貸する(譲渡人が引き続き貸主の立場で又貸しする形にする)」という合意もあわせて必要とされ、誰にでも使えるわけではありません。また、賃貸人たる地位の移転は、所有権移転登記をしなければ賃借人に対抗できないとされ(同条第3項)、敷金返還債務なども新オーナーに承継されます(同条第4項)。サブリースが付いた物件を転用目的で買うときは、その契約が承継されるのか、解約できるのかを、契約書を取り寄せて専門家に確認することが欠かせません。サブリースの一般的な論点は民泊 サブリース・マスターリース完全ガイドでも扱っています。

民法(明治29年法律第89号)第605条の2|e-Gov法令検索
(2026-06-15取得)

対抗要件を備えた賃借人のいる不動産が譲渡されると賃貸人の地位が譲受人に移転すること(第1項)、地位留保特約(第2項)、移転の対抗要件は所有権移転登記(第3項)、敷金返還債務等の承継(第4項)の条文。改正民法は2020年4月1日施行。

サブリース規制(賃貸住宅管理業法)|国土交通省 土地・建設産業局
(2026-06-15取得)

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和3年6月15日全面施行)によるサブリース契約の規制と、オーナー変更時に新賃貸人へ契約内容書類の交付が望ましいとされる運用の一次情報。

minpaku-owner-change-occupant-2026 Step3 転用する
はじめ君

はじめ君

前のオーナーのサブリース契約は、買ったら引き継ぐんですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

改正民法605条の2により、対抗要件を備えた賃借人がいる不動産を譲り受けると賃貸人の地位は原則移転し、サブリースも承継されるのが原則です。承継を避ける特約には要件があるため、契約書を確認し専門家に相談してください。

普通借家を定期借家に切り替えられるか——原則不可と出口戦略

「いったん普通借家のまま取得し、契約更新のときに定期借家に切り替えて、期間満了で確実に退去してもらおう」と考える人がいますが、これは原則としてできません。国土交通省の整理でも、普通借家契約を一方的に定期借家契約へ切り替えることはできないとされています。とくに、平成12年(2000年)3月1日以前に締結された居住用の普通借家契約は、当事者の合意があっても定期借家への切替が禁止されています(良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法の附則)。

現実的な出口は、賃借人との合意解約(立退料を含む条件で合意して退去してもらう)か、正当事由を満たしての更新拒絶です。賃借人が退去した後であれば、新たな入居者と定期借家契約を結ぶことは可能です。いずれにせよ、退去の実現可能性が転用計画の前提になります。定期借家の仕組みは定期借家で借りた物件で民泊を始める実務ガイドでも扱っています。

定期借家への切替に関するQ&A|国土交通省 住宅局
(2026-06-15取得)

普通借家を一方的に定期借家へ切り替えることはできないこと、平成12年3月1日以前の居住用普通借家は合意があっても切替禁止であること、退去後の新規入居者との定期借家契約は可能であることの一次情報。

はじめ君

はじめ君

更新のときに定期借家へ切り替えれば、確実に退去させられますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

普通借家を一方的に定期借家へ切り替えることは原則できません。とくに平成12年3月以前の居住用は合意があっても切替禁止です。現実的な出口は合意解約か正当事由を満たした更新拒絶になります。

退去後の手続きロードマップ——旅館業許可・消防・用途変更の順序

賃借人の退去が実現したら、ようやく民泊・旅館業への転用の手続きに入れます。住宅から宿泊施設へ用途を変えるため、建物側の対応が必要です。順序のイメージは次のとおりです。

  1. 用途変更の確認申請の要否を確認する(特殊建築物への用途変更は、延べ面積200平方メートル超で確認申請が必要)
  2. 所轄の消防署と協議し、宿泊施設としての消防用設備を整える
  3. 消防法令適合通知書の交付を受ける
  4. 旅館業の許可申請(または住宅宿泊事業の届出)を行う

ここで重要なのが、用途変更の200平方メートルは「延べ面積」で判断する点です。1フロアが100平方メートルでも、2フロア使えば合算で200平方メートルを超え、確認申請が必要になることがあります。判断は建築士に確認してください。検査済証がない物件の扱いは検査済証がない物件で民泊・旅館業を始められるかを参照してください。

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消防設備コストと退去タイムラインの連動——住宅から旅館への強化

住宅を旅館・ホテルへ用途変更すると、消防法令上の設備基準が大きく変わります。消防法施行令上、住宅は別表第一の(十)項、旅館・ホテル等は(五)項イに位置づけられ、(五)項イでは延べ面積にかかわらず自動火災報知設備の設置が義務とされています(延べ面積300平方メートル未満の場合は、特定小規模施設用の自動火災報知設備で対応できる場合があります)。古い住宅をそのまま宿泊施設にできるわけではなく、これらの設備改修費が転用コストに乗ってきます。

注意したいのは、これらの設備工事は賃借人が退去してからでないと進めにくい場合が多いことです。つまり、退去のタイミングが、消防改修・用途変更・許可申請という一連の工程の起点になります。退去がずれ込めば、その分だけ開業も遅れ、保有コストが膨らみます。退去の見通しと、消防・用途変更の費用・期間を、まとめて資金計画に織り込んでおくことが大切です。

民泊における消防法令上の取扱い等|総務省消防庁 予防課
(2026-06-15取得)

住宅(別表第一10項)から旅館・ホテル等(5項イ)への用途変更で消防設備基準が強化されること、5項イは延べ面積にかかわらず自動火災報知設備が原則義務であること、旅館業許可に消防法令適合通知書が必要であることの一次情報。

オーナーチェンジ物件・転用の取得判断チェックリスト

賃借人・占有者がいる物件を民泊・旅館業用に検討するとき、取得前に確認したい項目を整理します。

  • 現在の賃貸借契約の種類(普通借家か定期借家か)と、残存期間・更新時期
  • 退去の実現可能性(合意解約の見込み、正当事由、立退料の規模感)を弁護士に確認したか
  • 旧オーナーのサブリース契約の有無と、承継・解約の可否
  • 退去後に必要な用途変更(延べ面積200平方メートルの判断)・消防改修の費用と期間
  • 検査済証の有無など、旅館業許可・届出に必要な建物側の要件
  • 退去のタイミングを起点に、改修・許可・開業までの保有コストを試算したか

無断での民泊が発覚したケースなど、賃貸借にまつわるトラブル対応は入居者の無断民泊が発覚したときの対応ガイドでも扱っています。オーナーチェンジ物件の転用は、退去・契約・許可の3つが連動するため、弁護士・行政書士・建築士・税理士、そして保健所・消防署への確認を、早い段階から並行して進めるのが安全です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 賃借人がいる物件を買って、すぐ民泊にできますか?

原則としてすぐにはできません。借地借家法は賃借人を保護しており、オーナーが代わっても賃借人の地位は引き継がれます。退去には、合意解約か、正当事由を満たした更新拒絶が必要で、立退料がからむこともあります。退去の見通しが立たないうちは、転用の時期も読めないと考えておくのが安全です。

Q2. 立退料を払えば、必ず退去してもらえますか?

立退料の提示は正当事由を補強する要素の一つですが、立退料を払えば当然に退去させられるというものではありません。正当事由は、双方の使用の必要性や入居の経緯なども含めて総合的に判断されます。金額の見立ても事案ごとに大きく異なるため、弁護士に相談しながら進めてください。

Q3. 旧オーナーのサブリース契約は引き継がれますか?

改正民法605条の2により、対抗要件を備えた賃借人がいる不動産を譲り受けると、賃貸人の地位は原則として新オーナーに移転します。サブリース(マスターリース)契約も承継されるのが原則です。承継を避ける地位留保特約には要件があるため、契約書を確認し、専門家に承継・解約の可否を相談してください。

Q4. 普通借家を定期借家に切り替えて、期間満了で退去させられますか?

普通借家を一方的に定期借家へ切り替えることは、原則としてできません。とくに平成12年3月1日以前に締結された居住用の普通借家は、合意があっても切替が禁止されています。現実的な出口は、合意解約か、正当事由を満たした更新拒絶です。退去後であれば、新たな入居者と定期借家契約を結ぶことは可能です。

Q5. 退去後、住宅をそのまま民泊にできますか?

そのままとはいきません。住宅を旅館・ホテルへ用途変更すると、自動火災報知設備など消防設備の基準が強化され、延べ面積200平方メートル超なら用途変更の確認申請も必要です。これらの改修・手続きには費用と期間がかかります。退去のタイミングを起点に、消防・用途変更・許可まで含めて計画してください。

Q6. 家主居住型の民泊なら、賃借人がいても始められますか?

住宅宿泊事業(民泊新法)では、賃借人として届け出る場合に「賃貸人が民泊(転貸)を承諾している旨」を証する書類が必要で、転借人の場合は賃貸人と転貸人の両者の承諾が求められます。つまり、自分が賃借している立場で民泊をするには貸主の承諾が前提です。今回のテーマである「賃借人がいる物件を買って転用する」ケースとは立場が異なりますが、いずれにしても、賃貸借の当事者の承諾・退去が論点になります。届出に必要な書類は観光庁の民泊制度ポータルサイトで確認できます。

届出の際の添付書類(賃借人・転借人の場合)|国土交通省 観光庁 民泊制度ポータルサイト
(2026-06-15取得)

住宅宿泊事業の届出で、賃借人の場合は賃貸人の転貸承諾を証する書類、転借人の場合は賃貸人・転貸人双方の承諾を証する書類が必要であることの一次情報。

まとめ——オーナーチェンジ転用は「退去の見通し」がすべての前提

賃借人・占有者がいる物件を民泊・旅館業へ転用する投資では、物件を「買えるか」より「賃借人に退去してもらえるか」が、はるかに重要な論点です。借地借家法は賃借人を強く保護しており、正当事由・立退料・合意解約という関門があります。さらに、旧オーナーのサブリース契約は民法605条の2で原則承継され、普通借家を定期借家へ一方的に切り替えることもできません。退去が実現してからも、住宅から宿泊施設への用途変更・消防設備の強化・旅館業許可という工程が控えています。これらはすべて「退去のタイミング」を起点に連動するため、取得前に退去の見通しと転用コストを見極めることが不可欠です。最終的な判断は、弁護士・司法書士・行政書士・建築士・税理士、そして保健所・消防署など、それぞれの専門家・窓口へ確認しながら、無理のない計画で進めてください。


⚠️ 本記事は2026-06-15時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊の制度は改正される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。

📋 ご確認ください(民泊学校 編集部より)

本記事は 2026-06-15 時点で公開されている公式情報・一次情報をもとに編集しています。
法律、条例、税制、消防、各種許認可、収支見通しなどは、お住まいの自治体・対象物件の所在地・物件種別・運営形態によって取扱いが異なります。
最終的なご判断は、必ず以下にご確認ください。

  • 制度・条例: 民泊制度ポータルサイト / 物件所在地の自治体(住宅宿泊事業 / 旅館業 / 特区民泊の所管課)
  • 消防: 物件所在地の所轄消防署
  • 税務: 顧問税理士 または 所轄税務署
  • 許認可・届出: 行政書士(民泊・旅館業に詳しい方)
  • 近隣対応・契約: 弁護士・宅地建物取引士

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はじめ君

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オーナーチェンジ転用で、結局いちばん大事なのは何ですか?
民泊学校 編集部

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「買えるか」より「退去してもらえるか」です。正当事由・立退料・サブリース承継・消防/用途変更が、すべて退去のタイミングを起点に連動します。取得前に退去の見通しと転用コストを、弁護士など専門家に確認してください。
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民泊学校 編集部。運営者は2015年からAirbnbでの民泊運用に携わり、複数物件の運営経験をもとに、公式ソースの確認・専門家への確認導線・実務目線の3つを軸に記事を編集しています。