編集:民泊学校 編集部|公開日:2026年6月17日|最終更新日:2026年6月17日

親が持っている空き家を無償で貸してもらった、親族の物件をタダで使わせてもらえることになった——こうした「お金を払わずに借りた物件」で民泊や旅館業を始めたい、という相談は少なくありません。家賃の負担がない分、収支のハードルは下がりますが、ここには見落とされがちな落とし穴があります。無償で物を貸し借りする契約は、法律上「使用貸借」(民法593条)と呼ばれ、有償の「賃貸借」とは法的な地位がまったく異なるからです。とくに、借りている人(借主)の立場が賃貸借よりも格段に弱いこと、そして貸主や借主が亡くなったときに契約が思わぬかたちで終わってしまうことは、民泊への投資(消防設備・届出・予約)を無にしかねない論点です。この記事では、使用貸借の物件で民泊・旅館業を始める前に押さえておきたい法的な前提を、公式情報をもとに整理します。

この記事でわかること

  • 「使用貸借」(無償)と「賃貸借」(有償)の法的地位の根本的な違い
  • 使用貸借の物件でも民泊・旅館業の届出・許可ができるかという制度上の答え
  • 住宅宿泊事業法の届出で、賃借人・転借人の承諾要件と「使用借人」のグレーゾーン
  • 旅館業(簡易宿所)の許可申請で求められる使用権原の証明と自治体差
  • 借地借家法が使用貸借に適用されないことで生じる「対抗力ゼロ」のリスク
  • 貸主・借主が亡くなったときに使用貸借がどうなるか(民法597条3項)
  • 使用貸借で民泊を始める前に整えておきたい「貸主の承諾書」のポイント
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Contents

使用貸借とは何か——民法593条が定める「無償で使う」契約

使用貸借とは、ある物を無償で使わせてもらい、契約が終わったら返すという契約です。民法第593条は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用・収益をして契約が終了したときに返還することを約することによって効力を生じる、と定めています。2020年(令和2年)4月1日に施行された民法(債権法)改正により、それまでの「物の引渡しがないと成立しない契約(要物契約)」から、「合意だけで成立する契約(諾成契約)」に整理されました。親が子に空き家を無償で貸す、親族間で物件をタダで使わせる、といった場面が典型例です。

ここでいちばん大切なのは、使用貸借と賃貸借(民法601条以下)は、似ているようでまったく別の契約だということです。両者を分ける決定的な違いは「対価(賃料)を払うかどうか」で、その一点が、借りている人の保護のあり方を大きく変えます。次の表で、民泊・旅館業に関わる範囲で両者を整理します。

比較軸 使用貸借(民法593条〜) 賃貸借(民法601条〜)
対価(賃料) 無償(払わない) 有償(家賃を払う)
借地借家法の適用 適用されない 建物賃貸借には適用される
第三者への対抗力 原則なし(買主等に明渡しを求められうる) 建物の引渡しで対抗力が生じうる(借地借家法31条)
借主の死亡 原則として契約が終了する(民法597条3項) 賃借権は相続される(原則)
貸主からの終了 更新拒絶の正当事由・立退料の保護がない 正当事由・立退料など借主保護が手厚い

この表から見えてくるのは、使用貸借は「貸主の好意で成り立っている、立場の弱い借り方」だということです。賃料を払っていないぶん、法律が借主を守る度合いが賃貸借よりも小さく設計されています。民泊という事業をその上に乗せると、この「立場の弱さ」が事業リスクとして表面化します。なお、有償の賃貸借で物件を借りて民泊をする場合の承諾取得や転貸の論点は民泊の賃貸借契約と転貸の論点で詳しく扱っています。

民法(明治29年法律第89号)第593条・第594条・第597条・第598条|e-Gov法令検索
(2026-06-17取得)

使用貸借の定義(第593条)、借主の用法遵守義務(第594条)、借主の死亡による終了(第597条第3項)、貸主による解除(第598条)の条文。2020年4月1日施行の改正で諾成契約に整理された。

はじめ君

はじめ君

「タダで借りた家」って、普通に借りるのと法律上は同じ扱いなんですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

いいえ、別物です。無償で借りるのは「使用貸借」(民法593条)で、家賃を払う「賃貸借」とは保護のされ方が大きく違います。タダで借りているぶん、法律が借主を守る度合いが小さく設計されている、と理解しておくのが安全です。

使用貸借の物件でも民泊・旅館業は始められるか——制度上の答えと前提

結論から言えば、使用貸借の物件で民泊・旅館業を始めること自体が、制度上できないわけではありません。住宅宿泊事業法の制度上、届出ができる者は「所有者」「賃借人」「転借人」のいずれでもよいとされており、無償で借りている人を一律に排除する規定は置かれていません。旅館業法も同様に、自己所有か借りた物件かを問わず、許可の要件を満たせば申請できる立て付けになっています。

ただし、ここからが本題です。「始められる」ことと「賃貸借と同じように安心して続けられる」ことは別の話です。使用貸借には、(1) 届出・許可の手続きで使用権原をどう示すか、(2) 物件を第三者に売られたときに守ってもらえるか、(3) 貸主・借主が亡くなったときに契約が続くかという3つの固有の論点があり、いずれも賃貸借にはない弱さを抱えています。以下、順に見ていきます。

民泊(住宅宿泊事業)の届出で使用貸借はどう扱われるか

住宅宿泊事業の届出では、届出者が賃借人の場合、届出書に「賃貸人が住宅宿泊事業を目的とした賃借物の転貸を承諾している旨」を記載することとされ(住宅宿泊事業法施行規則第4条第3項)、賃貸借契約書に承諾の旨が明記されていない場合は別途承諾書を添付する必要があります。転借人の場合も、賃貸人および転貸人の承諾を証する書面が求められます。

ところが、「使用貸借(無償で借りた)」の場合の扱いは、施行規則に明示の規定が置かれていません。施行規則が承諾の記載を求めているのは賃借人・転借人についてであり、無償で借りた使用借人をどう扱うかは、条文の文言からははっきりしません。観光庁の「よくあるご質問」でも、登記上の所有者と届出者が異なる場合には原則として転貸承諾を証する書面の添付が必要とされていますが、使用貸借そのものの取扱いまでは整理されていません。つまり、使用貸借はいわばグレーゾーンで、自治体の窓口によって求められる書類が分かれうるということです。自己判断で進めず、届出予定の都道府県・保健所設置市・特別区の窓口に事前相談するのが安全です。

なお観光庁のFAQでは、登記上の所有者が死亡しているなどの事情で転貸承諾の取得が不可能で、かつ届出者以外に所有権を主張する者がいない等の事情がある場合には、行政庁の判断で転貸承諾書の提出を省略して届出を受理できる例外が示されています。ただしこれは限定的な取扱いであり、「承諾書は要らない」と一般化できるものではありません。

住宅宿泊事業者の届出に必要な情報・手続きについて|国土交通省 観光庁 民泊制度ポータルサイト
(2026-06-17取得)

届出ができる者が所有者・賃借人・転借人であること、賃借人・転借人の届出では賃貸人等の転貸承諾を記載・添付すること(施行規則第4条第3項)の一次情報。

よくあるご質問|国土交通省 観光庁 民泊制度ポータルサイト
(2026-06-17取得)

登記上の所有者と届出者が異なる場合の転貸承諾書面の要否、所有者死亡等で取得不能な場合に行政庁の判断で提出省略を受理できる例外の一次情報。なお使用貸借(無償借用)そのものの扱いはこのページに明示がなく、管轄自治体への確認が必要。

minpaku-shiyou-taishaku-2026 Step2 リスクを整理
はじめ君

はじめ君

親から無償で借りた家でも、民泊の届出はできるんですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

できないと一律に決まってはいません。ただ施行規則は賃借人・転借人の承諾要件を定める一方、使用貸借の扱いは明示しておらず、求められる書類が自治体で分かれ得ます。届出予定の窓口へ事前に確認してください。

旅館業(簡易宿所)の許可申請と使用権原の証明——自治体差に注意

民泊新法ではなく旅館業法の許可(簡易宿所営業など)で運営する場合も、考え方は共通しています。旅館業を営もうとする者は、都道府県知事(保健所を設置する市では市長、特別区では区長)の許可を受ける必要があり(旅館業法第3条第1項)、申請にあたっては営業施設の構造設備を明らかにする図面などの添付書類が施行規則で定められています。

一方で、「使用権原を証明する書類」の具体的な様式は、旅館業法の本文には明記されていません。実務上は、各都道府県・保健所が「旅館業を営むために必要な権原を有することを示す書類」として、賃貸借契約書・所有者の承諾書・使用貸借の場合の使用承諾書などの提出を求めるのが一般的です。厚生労働省の「民泊サービスと旅館業法に関するQ&A」でも、他者から建物を借り受けて旅館業を行う場合は、賃貸借契約において転貸(又貸し)が禁止されていないことや旅館業に使用できることを、貸主や管理会社に確認する必要があるとされています。使用貸借の場合は、この「貸主の確認・承諾」を書面で残しておくことが、無償だからこそ一層大切になります。求められる書類は自治体ごとに差があるため、申請予定の保健所へ事前に確認してください。

旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条|e-Gov法令検索
(2026-06-17取得)

旅館業を営もうとする者は都道府県知事(保健所を設置する市では市長、特別区では区長)の許可を受けなければならないこと(第3条第1項)の条文。使用権原証明書の具体的様式は法令本文に明記がなく、実務上は各保健所の運用による。

民泊サービスと旅館業法に関するQ&A|厚生労働省
(2026-06-17取得)

他者から建物を借り受けて旅館業を行う場合は、転貸が禁止されていないことや旅館業に使用できることを貸主・管理会社に確認する必要があること(Q13)、申請窓口は施設所在地を管轄する都道府県等であること(Q11)の一次情報。

はじめ君

はじめ君

旅館業の許可だと、使用権原はどうやって示せばいいんですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

使用承諾書などで示すのが一般的ですが、具体的な様式は法令本文に明記がなく、保健所ごとに運用が分かれます。厚生労働省も貸主への確認を求めています。申請予定の保健所に、何が必要かを先に確認しておくと安心です。

借地借家法が使用貸借に適用されない——「対抗力ゼロ」が生む借主リスク

使用貸借の弱さがもっとも鋭く出るのが、この「対抗力」の論点です。借地借家法は、建物の所有を目的とする地上権・土地の賃借権や、建物の賃貸借に適用される法律で(第1条)、無償の使用貸借には適用されません。民泊に関わる場面で関係するのは、主に建物の賃貸借への適用です。賃貸借であれば、借地借家法第31条により、建物の引渡しを受けていれば、その後に建物の所有権を取得した第三者(買主など)に対しても賃借権を主張できます。これを「対抗力」といいます。

ところが、使用貸借には、この対抗力の規定が及びません。占有していても、第三者には対抗できないのが原則です。賃貸借における建物の引渡し(借地借家法31条)のような対抗要件が、使用貸借には用意されていないためです。具体的には、貸主が物件を第三者に売却した場合、新しい買主から「出ていってほしい」と明渡しを求められると、借主はこれを拒みにくいのです。民泊のために消防設備を入れ、届出をし、予約を受け付けていても、物件が売られた瞬間にその基盤が揺らぐ、というリスクがここにあります。

!注意:物件が売られると守ってもらえない可能性がある

使用貸借は第三者への対抗力がないため、貸主が物件を売却すると、買主から明渡しを求められたときに賃貸借のような保護を受けにくい立場になります。「当面は使えるから大丈夫」と考えると、設備投資や予約が無駄になりかねません。物件売却の可能性や、貸主との関係が将来も続くかを、取得前に弁護士へ確認しておくのが安全です。

借地借家法(平成3年法律第90号)第1条・第31条|e-Gov法令検索
(2026-06-17取得)

借地借家法が建物の賃貸借等に適用される法律であること(第1条)、建物の賃貸借は登記がなくても引渡しがあれば物権取得者に対抗できること(第31条)の条文。無償の使用貸借にはこの対抗力規定は及ばない。

minpaku-shiyou-taishaku-2026 Step3 届出・許可へ
はじめ君

はじめ君

貸主が物件を売ってしまったら、借りている自分はどうなりますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

使用貸借は第三者への対抗力がないため、買主から明渡しを求められると拒みにくい立場になります。賃貸借のような保護が働きにくいので、売却の可能性や貸主との関係が続くかを、取得前に弁護士へ確認しておくのが安全です。

貸主(所有者)が亡くなったとき——相続と使用貸借の継続・終了

親族間の使用貸借では、貸主(物件の所有者)が高齢であることも多く、貸主の死亡は現実的なリスクです。この場合、使用貸借は、貸主が亡くなっても直ちには終了しないのが原則です。貸主の地位は相続され、相続人が新たな貸主として、それまでの使用貸借関係を引き継ぐと整理されています。

ただし、安心はできません。第一に、相続人が複数いれば、「貸主」が複数の相続人に分散します。物件をどう扱うかで相続人の意見が割れたり、相続人の一人が物件を手放したいと考えたりすると、民泊の継続が不安定になります。第二に、相続によって新たに貸主となった相続人が、使用貸借を解除できる場合があると考えられています。民法の使用貸借の規定の多くは任意法規(当事者の特約で変更できる規定)であり、解除のルールも特約や個別事情によって結論が変わりうるためです。「貸主が死んでも自分はそのまま使い続けられる」と決めつけず、相続が発生したら相続人全員との関係を改めて整理し、必要なら承諾書を取り直すことを前提にしておくべきです。判断に迷う場面では、司法書士・弁護士への相談が欠かせません。

民法の一部を改正する法律(債権法改正)について|法務省
(2026-06-17取得)

2020年4月1日施行の民法(債権法)改正を案内する法務省のページ。改正の経緯と、同ページからリンクされるPDF資料で改正内容(使用貸借の諾成契約化、借主死亡による終了規定の整理など)を確認できる。条文そのものはe-Gov法令検索(民法593条・597条3項)で確認できる。

はじめ君

はじめ君

貸してくれている親が亡くなったら、民泊は続けられなくなりますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

貸主の死亡では使用貸借は直ちには終わらず、地位は相続人に引き継がれるのが原則です。ただし相続人が複数だと「貸主」が分散し、解除を求められる場合もあります。相続が起きたら関係を整理し直し、司法書士・弁護士へ相談してください。

借主(民泊ホスト本人)が亡くなったとき——民法597条3項の重み

逆に、借主(民泊ホスト本人)が亡くなったときの扱いは、貸主の死亡とは正反対です。民法第597条第3項は、借主が死亡したときは使用貸借が終了すると定めています(2020年改正前は旧599条に置かれていた規定)。使用貸借は「その人だから無償で貸す」という個人的な信頼にもとづく契約であるため、借主の地位は一身専属的なものとされ、原則として相続人に引き継がれません

これは民泊事業にとって重い意味を持ちます。ホスト本人が亡くなると、使用貸借が終了して相続人は使用借権を相続できないため、継続中の予約、消防設備への投資、すでに行った届出が、いずれも宙に浮くおそれがあるのです。賃貸借であれば賃借権は相続されるのと、はっきり違う点です。なお、土地の使用貸借で、その土地の上に建物を所有する目的の場合には、借主が死亡しても当然には終了しないとした裁判例(東京地裁平成5年9月14日)もありますが、これは建物所有目的の土地使用貸借に関するもので、民泊・旅館業に使う建物そのものの使用貸借では、借主死亡により原則として終了すると考えられています。事業の承継を見据えるなら、この点こそ専門家に確認しておきたい論点です。

使用貸借している土地は、借主の死亡によって使用貸借契約が終了するか(公益財団法人不動産流通推進センター・民間団体の参考解説)
(2026-06-17取得)

民法597条3項(旧599条)により借主死亡で使用貸借は原則終了すること、建物所有目的の土地使用貸借では当然には終了しないとした裁判例(東京地裁平成5年9月14日)、同条は任意法規で特約による排除が可能なことの解説。民間団体の参考情報であり、条文はe-Gov、最終判断は弁護士に確認。

はじめ君

はじめ君

もし自分が亡くなったら、家族が民泊を引き継げますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

使用貸借は借主の死亡で原則終了し、使用借権は相続人に引き継がれないと考えられています(民法597条3項)。予約や設備投資が宙に浮くおそれがあるため、承継を考えるなら賃貸借への切り替えも含め、弁護士・税理士に確認しておくのが安全です。

使用貸借で民泊を始める前に整える「貸主の承諾書」のポイント

使用貸借は、賃貸借契約書のような書面がないまま「口約束」で成り立っていることが少なくありません。しかし民泊・旅館業の届出・許可では、貸主が「この物件を民泊・旅館業に使ってよい」と認めていることを書面で示せると、手続きが進めやすくなります。観光庁の届出様式や、横浜市・大阪市などが公開している承諾書の参考様式を踏まえると、使用貸借にあてはめて整えておきたい記載事項は次のとおりです。

  • 物件の特定:所在地・建物の表示(登記事項証明書と一致させる)
  • 無償で使用させる旨:使用貸借であること(賃料がないこと)を明記する
  • 民泊・旅館業に使うことの承諾:住宅宿泊事業/旅館業の用に供することを貸主が承諾する旨
  • 期間と更新:いつまで使えるか、更新の取り扱い
  • 貸主の署名・押印と日付:官公署発行の書類は自治体により「3か月以内発行」などの要件がある点に注意

マンション(区分所有建物)の場合は、これに加えて管理規約の写しや管理組合の承認が必要になることがあります。規約で民泊が禁止されていないかの確認は欠かせません。承諾書の具体的な書式や必要十分な記載は、自治体や物件の事情によって変わるため、行政書士に相談しながら整えるのが確実です。なお、入居者が無断で民泊を行っていたケースなど、オーナー側の視点での対応は入居者が無断で民泊運営していた、賃貸オーナーの対応ガイドで扱っています。

住宅宿泊事業(民泊)の届出について|横浜市
(2026-06-17取得)

所有者(及び転貸人)が営業を承諾したことを証する書類が必要なこと、登記上の所有者と届出者が異なる場合は相続等の登記完了後に手続きを進めること、マンションでは管理規約の写しや管理組合の承認書類が別途必要なことの一次情報(参考様式あり)。

はじめ君

はじめ君

口約束で借りているんですが、何か書面を用意したほうがいいですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

はい、民泊・旅館業の用に使ってよいという貸主の承諾を書面に残すと、手続きが進めやすくなります。物件の特定・無償である旨・民泊への承諾・期間・署名押印などを整えます。具体的な書式は行政書士に相談すると確実です。

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使用貸借から賃貸借への切り替えを検討すべきケース

ここまで見てきたとおり、使用貸借は「無償である」がゆえに、対抗力・相続・終了の各場面で借主の立場が弱くなります。民泊・旅館業として設備投資をし、予約を受け、事業として育てていくつもりなら、あえて使用貸借のままにせず、有償の賃貸借に切り替えることを検討する価値があります。少額でも賃料を設定して賃貸借契約に整えれば、建物の引渡しによる対抗力(借地借家法31条)が働き、借主の死亡時にも賃借権が相続されうるなど、保護の度合いが大きく変わるためです。

もっとも、親族間でいったん賃料を発生させると、貸主側に不動産所得が生じる場合があり、金額や状況によっては確定申告が必要になるほか、贈与税の論点が出てくる場合もあるなど、税務上の検討が別途必要になります。どちらの契約形態が自分の事情に合うかは、事業の規模・物件の将来・親族関係・税務の各面から総合的に判断することになります。「無償のままでよいか、賃貸借にすべきか」は、弁護士・税理士・行政書士に相談して決めるべき分かれ道だと考えてください。物件を取得・転用する際の権利関係の整理は賃借人・占有者がいる物件(オーナーチェンジ)の民泊転用ガイドもあわせて参考になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 親から無償で借りた家でも、民泊の届出はできますか?

使用貸借(無償の借用)の物件で届出ができないと一律に決まっているわけではありません。ただし、施行規則は賃借人・転借人の承諾要件を明記する一方で使用貸借の扱いを明示しておらず、求められる書類は自治体によって分かれうるグレーゾーンです。届出予定の都道府県・保健所設置市・特別区の窓口へ事前に確認してください。

Q2. 使用貸借だと、なぜ賃貸借より立場が弱いのですか?

無償であるために借地借家法が適用されず、第三者への対抗力がない(物件が売られると買主に明渡しを求められうる)こと、借主が亡くなると原則として契約が終了し相続人に引き継がれないこと(民法597条3項)、貸主からの終了に対して正当事由・立退料といった保護がないことが理由です。いずれも賃貸借にはない弱さです。

Q3. 貸主(親など)が亡くなったら、民泊は続けられなくなりますか?

貸主の死亡では使用貸借は直ちには終了せず、貸主の地位は相続人に引き継がれるのが原則です。ただし相続人が複数なら「貸主」が分散し、相続人が解除を求めうる場合もあります。相続が発生したら相続人全員との関係を整理し、必要なら承諾書を取り直すことを前提に、司法書士・弁護士へ相談してください。

Q4. 借主である自分が亡くなったら、家族は民泊を引き継げますか?

使用貸借は借主の死亡によって原則として終了し(民法597条3項)、使用借権は相続人に引き継がれないと考えられています。継続中の予約・消防設備への投資・届出が宙に浮くおそれがあるため、事業の承継を見据えるなら、賃貸借への切り替えも含めて弁護士・税理士に確認しておくのが安全です。

Q5. 旅館業の許可では、使用貸借でも申請できますか?

自己所有か借りた物件かを問わず、許可の要件を満たせば申請できる立て付けです。ただし使用権原を示す書類(使用承諾書など)の具体的な様式は法令本文に明記がなく、各保健所の運用によります。厚生労働省のQ&Aも、貸主への確認を求めています。申請予定の保健所へ事前に確認してください。

Q6. 無償のまま続けるのと、賃料を払う賃貸借にするのと、どちらがよいですか?

一概には言えません。賃貸借にすれば対抗力や相続面の保護が手厚くなる一方、賃料の発生で貸主側に不動産所得や贈与税の論点が生じます。事業規模・物件の将来・親族関係・税務を総合して判断する分かれ道なので、弁護士・税理士・行政書士に相談したうえで決めてください。

まとめ——「タダで借りられた」ことの裏にある弱さを直視する

使用貸借(無償の借用)の物件で民泊・旅館業を始めること自体は、制度上できないわけではありません。けれども、無償であるがゆえに、借りている人の立場は賃貸借よりも格段に弱く設計されています。届出・許可では使用権原の示し方が自治体ごとに分かれるグレーゾーンであり、第三者への対抗力がないため物件が売られると守られにくく、借主が亡くなれば原則として契約が終了して相続人に引き継がれません(民法597条3項)。「家賃がかからない」という入口の魅力の裏側に、これだけの不確実性が潜んでいます。設備投資や予約という事業の積み重ねを無にしないために、承諾書の整備、賃貸借への切り替えの検討、相続時の対応を、取得・開業の判断より前に考えておくことが大切です。条文の解釈や個別の結論は事案によって変わるため、最終的な判断は、弁護士・司法書士・税理士・行政書士、そして自治体・保健所の窓口に確認しながら、無理のない計画で慎重に進めてください。


⚠️ 本記事は2026-06-17時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊の制度は改正される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。

📋 ご確認ください(民泊学校 編集部より)

本記事は 2026-06-17 時点で公開されている公式情報・一次情報をもとに編集しています。
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最終的なご判断は、必ず以下にご確認ください。

  • 制度・条例: 民泊制度ポータルサイト / 物件所在地の自治体(住宅宿泊事業 / 旅館業 / 特区民泊の所管課)
  • 消防: 物件所在地の所轄消防署
  • 税務: 顧問税理士 または 所轄税務署
  • 許認可・届出: 行政書士(民泊・旅館業に詳しい方)
  • 近隣対応・契約: 弁護士・宅地建物取引士

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民泊学校 編集部。運営者は2015年からAirbnbでの民泊運用に携わり、複数物件の運営経験をもとに、公式ソースの確認・専門家への確認導線・実務目線の3つを軸に記事を編集しています。