編集: 民泊学校 編集部 | 最終更新日: 2026-06-03

Contents

この記事でわかること

  • 民泊スタッフ(清掃員・管理スタッフ)に雇用保険が適用される要件(週20時間・31日以上見込み)
  • 雇用保険と社会保険・労災保険の制度的な違い
  • 資格取得届・資格喪失届のハローワーク手続きの流れと期限
  • 令和7年度の雇用保険料率と保険料の計算方法
  • 離職票・失業給付の概要と民泊スタッフへの影響
  • 加入漏れ・手続き遅延のよくある失敗例と対策
  • 人件費・保険料を織り込んだ収支シミュレーションの活用法

結論先出し:民泊スタッフの雇用保険、まず確認すべき2つの要件

清掃員や管理スタッフを雇用している民泊ホスト・管理業者にとって、雇用保険の加入義務はとりわけ見落としやすい落とし穴のひとつです。「週に数日しか来てもらっていないから関係ない」という判断は、要件の確認なしには根拠が薄く、実務上はリスクを抱えることになります。

現状の制度ベースで整理すると、雇用保険の加入義務が生じる主な要件は「1週間の所定労働時間が20時間以上」かつ「31日以上の雇用見込みがあること」の2点です。この両方を満たす場合、パートタイム・アルバイト・短時間労働者であっても雇用保険の被保険者となる取り扱いとされています(最終確認は管轄ハローワークへ)。

民泊の清掃スタッフは繁忙期に時間を増やし、閑散期に減らすケースが多く、所定労働時間の「見込み」判定が難しいことが実務上の課題です。本記事では、加入要件の判定フロー・資格取得届と喪失届の手続き・令和7年度の保険料率・離職票の扱いまでを実務目線で解説します。

minpaku-koyo-hoken-tetsuzuki-2026 Step1 加入を判定
事業主の行う雇用保険の手続き(厚生労働省)
(2026-06-03取得)

事業主が行うべき雇用保険の加入・喪失・離職票発行等の手続き全般について、厚生労働省が公式に解説しているページ。

雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか(厚生労働省)
(2026-06-03取得)

雇用保険の被保険者要件と、事業主の加入手続き義務について解説した厚生労働省の公式ページ。未手続き時の遡及適用等についても記載がある。

令和7年度雇用保険料率(厚生労働省)
(2026-06-03取得)

令和7年度(2025年4月1日〜2026年3月31日)の雇用保険料率を掲載した厚生労働省の公式資料。一般事業・農林水産・清酒製造・建設の事業種別ごとに料率が記載されている。

はじめ君

はじめ君

週2〜3日だけ来てもらっている清掃スタッフにも、雇用保険って必要なんでしょうか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

週2〜3日でも、1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがあれば、加入対象となる場合があります。実際の時間数と雇用見込みをハローワークで確認することをおすすめします。

雇用保険とは:社会保険・労災保険との制度的な違い

民泊ホストが「保険」と聞いたとき、混同しやすいのが「社会保険(健康保険・厚生年金)」「労災保険」「雇用保険」の3種類です。それぞれは別々の法律に基づく独立した制度であり、適用要件も手続き先も異なります。

3つの制度の比較

制度名 根拠法 主な目的 手続き先 保険料負担
雇用保険 雇用保険法 失業給付・育児・介護休業給付等 ハローワーク(公共職業安定所) 労働者+事業主
社会保険(健保・厚年) 健康保険法・厚年法 医療・老齢・障害年金等 年金事務所 労働者+事業主(折半)
労災保険 労働者災害補償保険法 業務上・通勤災害の補償 労働基準監督署 事業主のみ全額負担

本記事が扱う「雇用保険」は、スタッフが失業したときの基本手当(いわゆる失業給付)や育児休業給付の財源となる制度です。手続き先はハローワークであり、年金事務所(社会保険)とも労働基準監督署(労災保険)とも異なります。

なお、民泊の清掃スタッフが業務上ケガをした場合の補償は「労災保険」の管轄となります。一人親方や個人事業主が加入できる「労災特別加入」については、関連記事「民泊スタッフの労災・特別加入ガイド」で詳しく解説しています。また社会保険(健康保険・厚生年金)の適用拡大については「民泊の社会保険適用拡大 2026年版」をご参照ください。

雇用保険は労災保険とセットで「労働保険」として管理されています。新たに人を雇用した際は、労働保険の成立届(労働基準監督署)と雇用保険の適用事業所設置届(ハローワーク)の両方の手続きが必要となる場合があります。まだ手続きをしていない事業所は、早めに管轄ハローワークへ相談することをおすすめします。

はじめ君

はじめ君

雇用保険・労災・社会保険は別々なんですね。全部まとめて一箇所で手続きできるものではないんですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

それぞれ手続き先が異なります。雇用保険はハローワーク、労災はハローワーク併設の労基署、社会保険は年金事務所です。社会保険労務士に依頼すると一括で対応してもらえる場合があります。

加入要件の判定:週20時間・31日以上見込みの実務的な考え方

雇用保険の加入要件は、制度上「1週間の所定労働時間が20時間以上」かつ「31日以上の雇用見込みがあること」の2条件が基本とされています。民泊事業で清掃員や管理スタッフを雇う場合、この要件をどのように判定するかが実務の肝になります。

ただし、雇用形態・契約内容・勤務実態によって判断が変わる部分があるため、最終的な判定は管轄ハローワークや社会保険労務士に確認することを強くおすすめします。

加入要件の判定フロー

確認項目 判定基準 民泊での実務例
週の所定労働時間 20時間以上が要件 週4日×5時間=20時間の場合、要件を満たす場合がある
雇用見込み期間 31日以上の見込みが要件 「繁忙期3ヶ月の季節雇用」等は見込み期間の確認が必要
個人事業主への委託 雇用関係なし→対象外の可能性 業務委託契約の清掃業者。ただし実態が雇用関係なら対象となる可能性あり
65歳以上の新規雇用 高年齢被保険者として適用 65歳以上でも週20時間以上・31日以上見込みなら加入対象
学生アルバイト 昼間学生は原則対象外 定時制・通信制学生は対象となる場合あり。ハローワークで確認を

民泊清掃スタッフで特に注意が必要なケース

季節・繁閑変動の大きい雇用形態

民泊の清掃需要は観光シーズンや連休に集中します。「ゴールデンウィークだけの2ヶ月雇用」や「夏季のみの短期雇用」の場合、31日以上見込みの要件との関係を確認する必要があります。当初の雇用見込みが31日未満であっても、その後雇用が継続・延長された場合には要件を満たすことになる場合があります。

複数物件を掛け持ちするスタッフ

複数のホストやオーナーのもとで働くスタッフの場合、それぞれの雇用契約ごとに週の所定労働時間を確認する必要があります。「主たる賃金を受ける雇用関係」のもとで加入する仕組みとなっています(詳細はハローワークへ確認を)。

業務委託契約と雇用契約の境界

「清掃業者に業務委託しているから雇用関係はない」と考えていても、実態として指揮命令関係があり、時間管理もしているケースでは、雇用関係と判断される可能性があります。業務委託の形態であっても、実態が雇用に近い場合は雇用保険の対象となる可能性があるため、社会保険労務士への相談が現実的な対応策として挙げられます。

[出典: 厚生労働省「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか」 2026-06-03取得]

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要件を満たす場合は加入義務が発生します

「パートだから」「短時間だから」という理由だけで雇用保険の加入義務がないとは言い切れません。週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みという要件を満たす場合には加入手続きが必要となる場合があります。不明な点は管轄のハローワークまたは社会保険労務士にご確認ください。

はじめ君

はじめ君

繁忙期だけ雇うスタッフは31日以上の「見込み」をどうやって判断すればいいんでしょう?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

雇用開始時の契約期間や継続可能性を実態に即して判断します。3ヶ月以上の見込みなら対象となりやすく、曖昧な場合はハローワークに直接確認するのが最も確実です。

資格取得届・喪失届の手続き:ハローワークでの実務フロー

雇用保険の手続きは、スタッフを雇い入れるとき(資格取得届)と退職・契約終了のとき(資格喪失届)の2段階で発生します。いずれもハローワーク(公共職業安定所)が窓口となります。

minpaku-koyo-hoken-tetsuzuki-2026 Step2 手続きする

雇い入れ時:雇用保険被保険者資格取得届

加入要件を満たすスタッフを雇い入れた場合、事業主は「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出する必要があります。提出期限は雇い入れた翌月10日までとされています。

提出先は事業所の管轄ハローワークです。民泊管理業者が複数物件を管理している場合は、事業所(本社または主たる事務所)の所在地を管轄するハローワークが基本となります。

資格取得届に必要な情報

記載項目 内容・備考
被保険者氏名・生年月日 マイナンバーとの突合に用いられる
資格取得年月日 実際の雇用開始日
雇用形態 常用・有期・短時間等を記載
週の所定労働時間 20時間未満なら加入対象外となるため正確に記載
賃金額 月額換算。変動がある場合は見込み額
事業所番号 雇用保険の適用事業所として登録済みの番号

手続きはe-Gov(電子政府の総合窓口)を通じたオンライン申請のほか、ハローワーク窓口での紙申請も可能です。社会保険労務士に委任している場合は、委任状をもとに代理申請が行われます。

退職・契約終了時:雇用保険被保険者資格喪失届

スタッフが退職する場合や、雇用契約が終了する場合は「雇用保険被保険者資格喪失届」の提出が必要です。提出期限は退職等の翌日から起算して10日以内とされています。

この喪失届に加え、スタッフが離職票を希望する場合は「雇用保険被保険者離職証明書」も同時に作成・提出します。離職票はスタッフが失業給付を受け取る際に必要な書類となるため、離職後に「離職票がもらえない」とトラブルになる前に、退職時の意向を確認しておくことが実務上の対応として挙げられます。

[出典: 厚生労働省「事業主の行う雇用保険の手続き」 2026-06-03取得]

手続きが遅れた場合の対応

雇い入れ時・退職時に手続きを失念していた場合は、遡って資格取得・喪失の届出が可能とされています。ただし遡及申請の際は、在籍・退職を証明できる書類(給与明細・出勤記録・労働契約書等)の提出が求められる場合があります。過去に遡って保険料の精算が発生することもあるため、手続き漏れに気づいた時点で早めにハローワークへ相談することをおすすめします。

ハローワーク手続きの電子化が進んでいます。雇用保険の各種届出は、e-Govポータルを通じたオンライン申請や、厚生労働省が提供する「雇用保険Web申請」に対応している手続きが増えています。窓口来訪の負担を減らすため、社会保険労務士への委任も含めてどの手続き方法が合うかを検討するとよいでしょう。

はじめ君

はじめ君

資格取得届の提出期限は翌月10日とのことですが、もし遅れたらどうなりますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

遅れた場合でも遡及届出が可能とされています。ただし在籍を証明できる書類が必要となる場合があり、保険料の精算が発生することもあります。気づいた時点でハローワークへ相談することをおすすめします。

令和7年度の雇用保険料率と保険料の計算方法

雇用保険の保険料は、毎年度見直しが行われます。令和7年度(2025年4月1日〜2026年3月31日)の料率は厚生労働省の公式資料で確認できます。本記事では2026-06-03時点の情報をもとに解説しますが、最新の料率は必ず公式ページで確認してください。

令和7年度の雇用保険料率(一般の事業の場合)

負担者 料率 内訳の考え方
労働者負担分 6/1000(0.6%) 賃金から天引きする分
事業主負担分 9.5/1000(0.95%) 事業主が別途負担する分
合計 15.5/1000(1.55%) 労使合計の保険料率

民泊・宿泊施設の清掃・管理業務は、一般的に「一般の事業」として取り扱われる場合が多いですが、農林水産業・建設業に分類される場合は料率が異なります。自社の事業分類についてはハローワークまたは社会保険労務士に確認することをおすすめします。

[出典: 厚生労働省「令和7年度雇用保険料率」 2026-06-03取得]

保険料の計算例

月額賃金15万円のパートスタッフを例に試算します。

  • 労働者負担分: 150,000円 × 0.6% = 900円(毎月の給与から天引き)
  • 事業主負担分: 150,000円 × 0.95% = 1,425円(事業主が別途負担)
  • 合計保険料: 150,000円 × 1.55% = 2,325円/月

年間で計算すると、事業主が負担する雇用保険料は1人あたり月額1,425円程度(月給15万円の場合)となります。複数のスタッフを雇っている場合は、この金額が人数分積み上がります。

雇用保険料は毎年変更される可能性があります。令和7年度の料率は上記のとおりですが、令和8年度以降の料率は別途改定が行われます。スタッフの給与計算や収支計画を立てる際は、最新の料率を厚生労働省公式サイトで確認することをおすすめします。

年度更新:概算保険料と確定保険料

雇用保険を含む労働保険(雇用保険+労災保険)の保険料は、毎年6月1日〜7月10日に「年度更新」の手続きを行い、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を申告・納付します。納付先は都道府県労働局、または金融機関等です。

清掃スタッフの勤務時間・賃金が繁閑によって変動しやすい民泊事業では、概算額と確定額の差が大きくなる場合もあります。年度更新の際は、実際の支払賃金集計を正確に行うことが重要です。

はじめ君

はじめ君

料率が毎年変わるとのこと、1人雇うと保険料はどれくらいかかるか目安が知りたいです。
民泊学校 編集部</

民泊学校 編集部

令和7年度の一般事業なら、月給15万円のスタッフで事業主負担は月約1,425円の試算例があります。実際の計算は賃金額と最新料率で行い、不明点は社労士かハローワークにご確認ください。

離職票・失業給付の概要:退職するスタッフへの対応

雇用保険に加入しているスタッフが退職・契約終了になる場合、事業主側には「離職証明書」の作成義務が生じる場合があります。特に、退職するスタッフが失業給付(基本手当)を受けようとするときは、ハローワークが発行する「離職票」が必要となります。

離職証明書・離職票の流れ

  1. 事業主が「雇用保険被保険者離職証明書」を記載・作成する
  2. 「雇用保険被保険者資格喪失届」と離職証明書をハローワークへ提出する
  3. ハローワークが審査のうえ「離職票(1号・2号)」を発行し、事業主に送付する
  4. 事業主がスタッフに離職票を渡す
  5. スタッフがハローワークへ離職票を持参し、受給手続きを行う

離職証明書には退職理由(自己都合か会社都合か)を記載する欄があり、この記載内容がスタッフの給付日数や待機期間に影響します。スタッフとの間でトラブルになりやすい部分でもあるため、退職理由の認識に齟齬がないよう事前に確認しておくことが実務上の対応として挙げられます。

民泊業での退職パターンと離職票の対応

退職パターン 離職票の扱い 注意点
本人の申し出による自己退職 スタッフが希望した場合に発行 給付制限期間(2ヶ月)が発生する場合がある
有期契約の期間満了(更新なし) 原則発行が必要 「会社都合」に近い扱いとなる場合があり、給付日数に影響
解雇・雇い止め 原則発行が必要 特定受給資格者となる可能性あり。給付条件が手厚くなる場合がある
繁忙期のみの季節雇用終了 スタッフが希望すれば発行 翌シーズンも再雇用の予定がある場合でも、期間内に手続きを

スタッフが離職票の発行を希望した場合、事業主は原則として拒否できません。「また来てもらうつもりだから離職票は不要」と判断せず、スタッフ本人の意向を確認することが重要です。離職票の不発行がトラブルになるケースも報告されています。

はじめ君

はじめ君

繁忙期だけ来てもらう予定のスタッフが契約終了になったとき、離職票は出さなくていいですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

スタッフが離職票の発行を希望した場合、事業主は原則として拒否できません。「また来てもらう予定」でも、スタッフ本人の意向を確認して、必要であれば発行手続きを取ることが実務上の対応として挙げられます。

よくある失敗例と対策

民泊事業者が雇用保険の手続きで実際につまずきやすいパターンを整理します。同様の状況に当てはまる場合は、早めにハローワークまたは社会保険労務士への相談を検討してください。

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失敗例1:「週20時間未満だから不要」と確認せずに判断

雇用契約書には「週15時間」と記載していても、実際の勤務時間が繁忙期に常に20時間を超えているケースがあります。所定労働時間が20時間未満でも実労働時間が常態的に超過している場合は、ハローワークから実態確認が求められる場合があります。契約書の所定労働時間と実際の勤務実態を定期的に照合することをおすすめします。

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失敗例2:資格取得届を出し忘れたまま数ヶ月が経過

「まだ試用期間中だから」「正式雇用になってから届け出ればよい」と考えて手続きが後回しになるケースがあります。試用期間中であっても、加入要件を満たしていれば雇い入れた翌月10日が提出期限です。手続き漏れが発覚した場合は遡及申請が可能ですが、書類収集の手間と保険料の精算が発生することがあります。

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失敗例3:業務委託契約を結んでいるが実態は雇用

「業務委託だから雇用保険は関係ない」と思っていた清掃スタッフが、実態は時間指定・指揮命令あり・材料費はオーナー負担という状況で「雇用」と判断された事例があります。業務委託か雇用かの判断は契約書の名称ではなく実態によります。判断に迷う場合は社会保険労務士への相談が現実的な対応として挙げられます。

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失敗例4:退職時に離職票を渡すのが遅れ、給付申請が遅延

ハローワークへの資格喪失届・離職証明書の提出が退職から10日以上経過してしまい、スタッフが失業給付の申請に支障をきたすケースがあります。退職が決まった時点で喪失届の提出準備を進め、離職票の発行希望の有無をスタッフに確認することが、トラブル防止のための実務対応として挙げられます。

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失敗例5:料率の確認を怠り、誤った金額で天引き

前年度の料率をそのまま使い続け、料率改定後に誤った金額で天引きしていたケースがあります。雇用保険料率は毎年4月1日から変更される可能性があるため、年度初めに必ず最新の料率を確認して給与計算ソフトの設定を更新することをおすすめします。

はじめ君

はじめ君

失敗例を見ると、ほとんどが「確認不足」や「後回し」が原因のようですね。何から手をつければいいですか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

まずは現在のスタッフ全員の週の所定労働時間と雇用見込み期間を確認し、加入要件を満たしているかをハローワークで確認するのが現実的な第一歩です。

人件費・保険料を収支計画に織り込む

雇用保険料は小さく見えても、スタッフ数が増えるほど事業主負担は積み上がります。また、社会保険(健康保険・厚生年金)や労災保険、有給休暇の付与、退職金制度を組み合わせると、人件費の実コストは額面給与を大きく超える場合があります。

民泊の収支計画を立てるときは、以下の要素を合算した「実質人件費」を見積もることが現実的です。

  • 額面給与(時給×予定時間)
  • 雇用保険料(事業主負担分):令和7年度は給与の約0.95%(一般事業の場合)
  • 労災保険料:業種によって異なる料率
  • 社会保険料(健康保険・厚生年金):適用事業所の場合
  • 有給休暇分の給与(雇用から半年経過後に10日付与が原則)
  • 交通費・制服等の現物給与相当

これらを考慮した上で、稼働率・ADR・清掃回数などの変数を変えながら収支を確認することで、スタッフ雇用が収益に与える影響をより実態に近い形で把握できます。

人件費・保険料込みの民泊収支を試算する

清掃スタッフの給与・保険料・稼働率・ADRを入力して、月次収益のシミュレーションを行えます。雇用コストが収益に与える影響を数字で確認してみてください。

収支シミュレーターを使う →

はじめ君

はじめ君

スタッフを雇うと保険料以外にもコストがかかるんですね。全部込みで収支を考えるにはどうすれば?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

額面給与に加え、雇用保険・労災・社会保険の事業主負担分を合算すると実質コストになります。収支シミュレーターに各費用を入力して、月次での影響を確認してみてください。

専門家への確認が特に必要な場面

雇用保険の手続きは、業種・雇用形態・スタッフの属性(学生・外国人・高齢者等)によって判断が変わる要素が多く含まれています。一般的なルールを理解した上で、以下の場面では必ず社会保険労務士またはハローワークへの確認を検討してください。

  • 業務委託と雇用の境界が曖昧で、どちらの契約形態が適切か判断がつかない場合
  • 外国人スタッフを雇用する場合(在留資格・就労可否の確認も必要)
  • 65歳以上の高齢スタッフを新規採用する場合(高年齢被保険者の扱い)
  • 過去に手続き漏れがあり、遡及届出が必要と思われる場合
  • 季節労働や有期雇用を繰り返すスタッフの「更新限度・雇い止め予告」に不安がある場合
  • スタッフから「雇用保険に入っていないのか」と問い合わせを受けた場合
  • スタッフが育児・介護の休業を申請してきた場合(育児休業給付・介護休業給付の手続き)

社会保険労務士(社労士)は、労働保険・社会保険の手続き代行だけでなく、就業規則の整備・給与計算・労務相談も担います。清掃スタッフや管理スタッフを複数雇用する規模になってきたら、顧問社労士との連携を検討することが実務上の対応として挙げられます。

また、地域のハローワーク(公共職業安定所)には、雇用保険の手続き担当窓口が設けられており、事業主向けの無料相談も行っています。まずはハローワークへ問い合わせることも選択肢の一つです。

民泊スタッフの雇用管理全般については、関連記事「民泊スタッフの採用・雇用管理ガイド」で採用手続きや労働条件通知書の実務も解説しています。あわせてご参照ください。

はじめ君

はじめ君

社労士に頼むと費用はどれくらいかかりますか?小規模の民泊でも依頼するメリットはありますか?
民泊学校 編集部

民泊学校 編集部

費用は事務所や業務内容によって異なります。手続き漏れや誤りによるリスクと比較して検討することが現実的です。まずはハローワークの無料相談から始めることもできます。
minpaku-koyo-hoken-tetsuzuki-2026 Step3 保険料

FAQ:民泊スタッフの雇用保険 よくある質問

Q1. 清掃スタッフが週に15〜20時間程度勤務している場合、加入は必要ですか?

週の所定労働時間が20時間未満の場合は加入対象外とされています。ただし、「所定労働時間」が20時間未満であっても実際の勤務時間が常態的に20時間以上になっている場合は実態を確認する必要があります。また20時間を超えている場合は31日以上の雇用見込みとあわせて加入要件の確認をおすすめします。最終的な判断は管轄ハローワークへの確認が現実的です。

Q2. 民泊の法人運営で、清掃を外注業者に委託している場合はどうなりますか?

業務委託契約で個人事業主・法人に清掃を委託している場合は、原則として雇用保険の対象とはなりません。ただし、実態として指揮命令・時間拘束・材料費負担等が事業主側にある場合、雇用関係と判断される可能性があります。契約形態と実態の両面をあわせて社会保険労務士に確認することをおすすめします。

Q3. 外国人の清掃スタッフに雇用保険は適用されますか?

在留資格があり、適法に就労できる外国人の場合、原則として日本人と同様に雇用保険の加入要件の確認が必要です。ただし外交官や外国政府の職員等一部の例外があります。また就労可否は在留資格の種類によって異なるため、採用前に在留資格の確認を行うことが重要です。

Q4. 雇用保険料は給与計算の際にどのように処理しますか?

労働者負担分(令和7年度は一般事業で0.6%)をスタッフへの給与支払い時に天引きし、事業主負担分と合算して労働保険料として申告・納付します。年度更新(毎年6月〜7月)で前年度の確定額と当年度の概算額を申告する仕組みです。給与計算ソフトを利用している場合、料率設定を毎年4月前後に確認・更新することをおすすめします。

Q5. 離職票の発行はスタッフが希望した場合のみでよいですか?

スタッフが離職票の発行を希望した場合、事業主は原則として発行を断ることができません。また退職するスタッフが「失業給付を申請したい」という意思を示した場合も同様です。ただし退職後の再就職が既に決まっているケース等では不要な場合もあるため、退職時にスタッフ本人の意向を確認することが実務対応として挙げられます。

Q6. 雇用保険に入っていなかったことが発覚した場合、どのような対応が必要ですか?

加入手続きを怠っていた場合、遡って資格取得の届出を行うことができます。その際は在籍を証明できる書類(雇用契約書・給与明細・タイムカード等)の準備が必要となる場合があります。また、過去分の保険料(事業主負担分・労働者負担分)の精算が求められることがあります。手続き漏れに気づいた時点で管轄ハローワークへ相談することが現実的な対応です。

Q7. 民泊を個人事業主として運営しており、自分自身が清掃もしています。自分は雇用保険に入れますか?

事業主本人(個人事業主)は雇用保険の被保険者にはなれません。失業給付のような補償を求める場合は、小規模企業共済や国民年金等の別制度の活用を検討することが考えられます。なお、法人を設立して役員となっている場合も原則として雇用保険の対象外となります。詳しくはハローワークまたは社会保険労務士にご確認ください。

まとめ:民泊スタッフの雇用保険、実務チェックポイント

民泊スタッフへの雇用保険適用は、「週20時間以上かつ31日以上の雇用見込み」という要件の確認から始まります。清掃員や管理スタッフが複数いる運営体制では、このチェックを雇い入れのたびに行うことが手続き漏れの防止につながります。

手続きの流れは「資格取得届(雇い入れ翌月10日まで)→ 年度更新(毎年6〜7月)→ 資格喪失届・離職票(退職から10日以内)」の3ステップが基本です。料率は令和7年度の一般事業で労働者0.6%・事業主0.95%ですが、毎年4月に改定される可能性があるため最新情報の確認が不可欠です。

業務委託か雇用かの判定・外国人スタッフの扱い・手続き漏れの遡及申請など、判断に迷う場面では社会保険労務士またはハローワークへの確認が実務上の現実的な対応となります。収支計画においても、保険料を含む実質人件費を正確に算出した上で稼働率・収益の見込みを立てることが重要です。

雇用形態や人件費設計に不安がある場合は、採用前に専門家へ相談することで手続き漏れや労働トラブルのリスクを軽減できます。スタッフとの信頼関係を築きながら安定した民泊運営を進めるために、雇用保険の手続きを適切に整えることをおすすめします。


⚠️ 本記事は2026-06-03時点の制度を解説しています。住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊の制度は改正される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。

📋 ご確認ください(民泊学校 編集部より)

本記事は 2026-06-03 時点で公開されている公式情報・一次情報をもとに編集しています。
法律、条例、税制、消防、各種許認可、収支見通しなどは、お住まいの自治体・対象物件の所在地・物件種別・運営形態によって取扱いが異なります。
最終的なご判断は、必ず以下にご確認ください。

  • 制度・条例: 民泊制度ポータルサイト / 物件所在地の自治体(住宅宿泊事業 / 旅館業 / 特区民泊の所管課)
  • 消防: 物件所在地の所轄消防署
  • 税務: 顧問税理士 または 所轄税務署
  • 許認可・届出: 行政書士(民泊・旅館業に詳しい方)
  • 近隣対応・契約: 弁護士・宅地建物取引士

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